110.配信中=彼女は不敵に笑い、不遜を貫き通す。
「……まず始めに、今日はこの配信を見に来てくれてありがとう。そして長らく休んだせいで心配を掛けてしまってごめんなさい。今日はその辺りの事情も踏まえて話していくわ」
《――――そんな事はどうでもいいから謝罪はよ》
《――――男を毎日とっかえひっかえしてるってホントなの?》
《――――ってか、あんな炎上騒ぎ起こしておいてよく配信できるな。恥ずかしくないの?》
《――――そのキャラでまだいくんだ……陰キャぼっちの癖に》
ただ普通に喋っただけなのに返ってくるのは批判的な言葉ばかり。でも、ここで挫ける訳にも、声音に出す訳にもいかない。
正直、緊張で吐きそうだし、心無いコメントに折れそうだけど、今の私は最強Vtuber〝漆黒ゆうぐれ〟だ。
最強たる私は悪意にも負けないし、この程度で声を震わせはしない……だから私は何事もなかったかのように話を続ける。
「……みんなも知っているだろうけど、今、私はいわゆる炎上をしている状態よ。その内容は……まあ、今更ここで論う必要もないわね。その真偽が見たくてきている人も多いでしょうし、ね?」
悪意に満ちたコメント欄が何するものぞと言わんばかりに挑発的な物言いをしつつ、不敵な笑みを浮かべる。
たぶん、今の言葉に対しての批判や文句がコメント欄で溢れているのだろうけど、関係ない。
私は漆黒ゆうぐれとして当初の予定通り、配信を進めるだけだ。
「それじゃあ、早速、炎上騒動についてだけど……まどろっこしいのは私の趣味じゃないので始めに結論から――――今回の件、私は謝罪も釈明も一切する気はないわ。そういうのを期待していたのならお生憎様ね」
《は?》
《何それ?》
《ふざけんな!ファンを裏切っておいてなんだその態度は!》
《謝れ!俺達は無様に謝罪する姿を見に来たんだよ!!》
荒れ狂うコメント欄。それもその筈、コメントの中にもあったように今回の配信に集まった人の大半が大人気Vtuberの醜態を望んでいる。
それが謝りもせず、不遜な態度と言葉で開き直っているのだからその反応も当然だろう。
「……まあ、予想通りの反応ね。けど、私は言葉を曲げるつもりはないわ…………だって私はファンを裏切ってなんていないもの」
《……はい?》
《裏切ってない?どの口がそんな事言ってんの?》
《現にいくつもの裏切りを書いた記事が出てるだろ!》
《これは醜い言い訳きたか?》
私の言葉に困惑と憤りを見せるコメント欄だが、知ったこっちゃない。
こうやって強い言葉で詰めようとしてくる人達の大半はファンではなく、ただ叩いて悦に浸りたいだけの知らない人達なのだから。
110.配信中をご覧くださり、誠にありがとうございます。
荒れ狂うコメント欄と向き合い、笑う彼女の心境とは……?
今後が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録とグッドボタン……もとい、ブックマークと評価の方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「いけっ!そこですわ!もっと抉るように煽るんですわよゆうぐれ様!」
「……どうしたのオリィ?そんならしくない声を上げて」
「……たぶん、オリィちゃん自身も鬱憤が溜まってたんだと思うよ。ほら、大好きなゆうぐれちゃんが好き放題言われてたから」
「……べ、別に大好きとかじゃ……友達を馬鹿にされて黙って見てられなかっただけですわ」
「……いやいや、大好きじゃん。その反応」
「……流石に照れるわね。オリィがそこまで私の事を好きだなんて」
「わー!わー!ち、違いますわよ!もうっ!!」




