106.配信休止=彼女はVtuberの在り方を改めて説かれる。
驚き、口を開けたままの私とノーみりん先生に対し、オリィちゃんは少し困ったように笑いながら言葉を続ける。
「そもそもの大前提として私はある一部分を除いてあり、と言いましたよね?」
「あ……」
「……そういえばそうだっけ。ここまでの話を聞いてて、すっかり忘れてたよ」
言われてみれば確かにこの話を始める一番最初にそういう前振りをしていた気がする。
ノーみりん先生と同じく、ここまでのオリィちゃんの話しぶりを前に頭から抜けていた。
「最強Vtuberというキャラクターを前面に出してきた漆黒ゆうぐれなら多少の炎上なんて無視しても問題はないと思います。でも、ある一点、異性との関係についてだけはそれがたとえ根も葉もない嘘だったとしても、火を消すのは難しい……だから何か対策が必要になってくるって事です」
異性との関係……なんとなくだけど、オリィちゃんの言わんとしている事は分からなくもない。
問題発言や裏でのキャラ問題はそれくらいはいいんじゃないか、誰だって素の自分はある、裏までキャラを強要しなくても、のように擁護の意見も生まれやすいけど、異性との関係問題はそうもいかない。
これは女性Vtuberに限った話ではなく、男性Vtuberにも言える事だけれど、配信を見てくれる視聴者の中にはいわゆるガチ恋勢と呼ばれるファン層が必ずと言っていいほどいる。
このガチ恋勢は要するにアバターを通して画面の奥の本人、あるいはキャラクターを疑似恋愛的に好きになってしまうファンの事で、ネタで言っている人もいるが、本当に本気でそう言った感情を向けてくる人も少なくない。
Vtuberというコンテンツが陽の目を浴び、清純を求められるアイドルと化してきた事の弊害……といったら言い方は悪いかもしれないけど、一種の文化として捉えればそう悪いものではないのだろう。
普通に配信していく分には良好な関係を築けると思うけど、異性の影が見えたその瞬間、その関係性は一瞬で破綻する。
好きの気持ちが大きければ大きいほど、裏切られたと感じてしまい、反転、憎悪を燃やしてアンチになってしまう。
もちろん、みんながみんなそうだとは言わない。
でも、そうなってしまう人は一定数いるし、残念な事にそういう人ほど、疑り深く、弁明を言い訳と捉えてしまう節がある。
だから異性関係は別問題というのも改めて言われてみれば分かるのだが――――
「って事ですって言われても……結局、その対策をどうしようって話になるんじゃ……」
「……そうだね。ここまで長々と話したのにまたそこに戻るなら堂々巡りもいいとこだよオリィちゃん?」
疑問に対する答えを持っているのかと暗に尋ねるノーみりん先生にオリィは待っていましたと言わんばかりに、にっこりと笑うのだった。
106.配信休止をご覧くださり、誠にありがとうございます。
ここまでの前置きをひっくり返す礼嬢オリィ。果たして彼女の口から語られる解決策とは……?
今後が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録とグッドボタン……もとい、ブックマークと評価の方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「……お二人共、ガチ恋勢についてはどう思われますの?」
「どうって言われてもねぇ……私はVtuberっていうか、イラストレーターだし……」
「ガチ恋勢ね……自意識過剰でなければ私にもいっぱいいるのだと思うのだけれど、どうと言われると返答に困るわね」
「……まあ、聞いた手前ですけれど、私にはガチ恋勢なんていないでしょうから関係ありませんわね」
「……何を言ってるんだか、オリィちゃんのファンはガチ恋勢、多いと思うよ?」
「そうね、あ、でも、ガチ恋勢ってよりは保護者目線が多いのかもしれないわ」
「いやいや、流石にそんな事はありませんわよ!?全く二人共冗談が過ぎますわ……」
「「…………」」
「ちょ、何か言ってくださいまし!」




