100.配信休止=彼女の絶望へその二人は踏み込んでいく。
――――ゆうぐれ先輩は凄いですよね。配信はもちろん、裏でもスタッフやライバーの人にもあんなに好かれてますし、本当に尊敬します!
いつだっただろう。収録でスタジオに行った時、良く懐いてくれていた後輩の子に言われた言葉だ。
その子は私よりも年上の後輩という普通なら少しだけ気まずいような関係性だったけど、それを感じさせない底抜けの明るさと包容力を持っていて、むしろ私の方が尊敬し、羨ましいとさえ思っていた。
もしも私が彼女のようにずっと過ごせていたなら、本当の私が彼女のような在り方だったのなら、こんなふうな事態にはなってなかっただろう。
薄暗い部屋の中で一人、そんな意味のないたらればを考えていた私は諦観の笑みを浮かべ、再び目を閉じる。
部屋に引きこもってどれくらい経ったのかはもう分からない。
身体は喉の乾きと猛烈な空腹を訴えているが、今の私に食欲なんてあるわけもなく、お母さんがドアの前に置いてくれたご飯にも手をつけてはいなかった。
日がな一日を暗い部屋でただぼーっと過ごし、眠る……それが今の私の生活だ。
とはいえ、ご飯を食べなかろうと、水分を取らなかろうと、生きている以上、お手洗いには行きたくなってくる。
いくら全部がどうでも良くなったと言っても流石にお手洗いに行かない訳にもいかない。
このまま私がこの部屋で朽ちていくとしても、お母さんに最低限、迷惑の掛からないよう、部屋の中を汚すわけにはいかないだろう。
……現在進行形で物凄い迷惑を掛けてるのに今更、何を言っているんだって話だけど――――
そんな事をぼんやり考えていると、誰かが階段を上ってくる足音が聞こえてくる。
きっとお母さんが外にあるお盆を取りに来たのだろうと思い、申し訳なさを感じながらも息を潜めたその時、ドアをノックする音と共に私は信じられない声を耳にする。
「――――ゆうぐれちゃん、私が来たよ!」
「――――ちょ、ノーみりん先生っ!白崎さんは今、傷心しているんですからそんなノリで話しかけても答えてくれるわけないじゃないですか!?」
聞こえてきたのはここにいる筈のない友達の声。
こんな事になってしまった以上、もう会うことも、声を聞くことさえもないと思っていたのに……どうして――――
「傷心なのはもちろん分かってる。でも……だからこそ、私はいつもみたいに話しかけるよ……ゆうぐれちゃんが私にそうしてくれたように、ね」
「…………その言い方は少しずるいですよ。でも、まあ、確かに気を遣って呼びかけても白崎さんは応えてくれなさそうですし……一理あるかもしれませんね」
衝撃を受けたままの私を他所に扉の外でそんなやりとりをしている二人。
そして、一瞬の静寂の後、突然、鈍い音が響き、私と外とを隔てていた扉が勢いよく開け放たれる。
「――――さあ、ゆうぐれちゃん。覚悟はいい?私達が助けにきたよ!」
風通しの良くなった室内に響く快活な声の先、そこには大切な私の友達……ノーみりん先生とオリィちゃんが真っ直ぐこちらを見据えていた。
100.配信休止をご覧くださり、誠にありがとうございます。
皆様の応援のお陰で礼嬢オリィの物語は100話を迎える事ができました!
漆黒ゆうぐれのお話も佳境に差し掛かった本編と礼嬢オリィの物語をこれからもよろしくお願いします!
つきましては、今後が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録とグッドボタン……もとい、ブックマークと評価の方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「本編は未だにシリアス展開ですけれど、今回ばかりは特別ですわよ!ね?ノーみりんお母様?」
「だね!だから今回はちょっと無理矢理だけど引っ張ってきたよ〜!」
「え、あ、ちょ、待ってママっ!?私、心の準備が……」
「大丈夫ですわよゆうぐれ様。本編であんな状態なのに今ここで話すのが恥ずかしいんですわよね?私達は気にしませんわ」
「そうだよっ私達はゆうぐれちゃんとこうして一緒にこのコーナーをできるだけですっごく嬉しいんだからね!」
「で、でも……」
「あーもうっ焦れったいですわね!最強Vtuberならもっとしゃんとしてくださいまし!」
「ほら、ゆうぐれちゃん!準備はいい?せーの――――」
「み、「「みんな〜ここまで見てくれてありがとう!これからもよろしく」お願いいたしますわ」ね!」




