第三十八話 ガリウス2
ガリウスはイルミナドの城壁の上に立っていた。
遠眼鏡を覗きながら駒の動きを確認する。
(膠着状態か……想定どおりの動きだな……)
ガリウスもビャクレンと同様、特殊天慶を持っていた。
支配の魔眼と呼ばれる能力である。魔眼は目に魔力を込めることで発動し、発動状態で対象と目を合わせながら、いくつか問答をすることで己の支配下に置くことができる。
ただし、この魔眼には時間制限があり、条件を満たしてから三日間のみしか効果が無い。また、一度使った相手には二度と使うことができないなど、いろいろ問題はあった。
(貴様の学友も含め、239人の駒を作った……)
もし、テオドールが西部の小鬼と称される者と同一人物であれば、あっという間に皆殺しにされるだろう。
だが、実際は膠着状態となっている。しかも、外から見る分には攻撃も死者を出さないように注意されているような気配を感じた。
殺傷能力の高い魔術を使えばいいのに、あえて選ばれていない気がする。
(つけ入る隙としては充分だ……)
既にテオドールたちが泊まっている宿の間取りは把握している。外から殺到する駒たちを迎撃しているのはテオドールではない。
テオドールは廊下から入り込んでくる駒の対応をしているのだろう。
(……俺が死んだら、後は頼むぞ、ビャクレン)
ガリウスは遠眼鏡を倉庫に戻し、城壁から音もなく飛び降りた。




