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ツキと王  作者: 鷹坂光樹
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始まりの夜


プロローグ的なものですので短いです。

基本、こんな感じで書いていきますね。

どうぞ、シリアスが苦手な作者の物語をご覧あれ・・・・。


少女は、歩いていた。

夜風に靡く草原の上。月の見下ろす暗闇の中。

森に囲まれた広い草原の真ん中で、少女は深く息を吸った。

酷く張りつめた空気が、体の中を蹂躙する。


・・・あったかい。


少女はただそう思うと、ふいに森の方へと歩き始めた。

足や手を動かす度、繋がれた長い鎖が音を立てる。

手から手へ、足から足へと伸びた鎖は赤黒く錆びついていて、少女から解き放たれることはなかった。

痩せこけたみすぼらしい姿。ぼろぼろで薄汚れた長い白地のワンピース。

少女は見慣れた自分の姿を気にせず、闇の広がる森へと足を進めた。

森の中は静かで、誰もいなくて、真っ暗で。

少女はそんな自然の姿にどきどきした。

そしてその中に入ろうとした瞬間。


【去れ、人間】


低く雷のような轟きが、静寂を切り裂いて降ってきた。

少女はピタリと動きを止め、じぃっと目の前に立つ木の上を見つめた。

ざわり、と木々が蠢いた。

でもおかしなことに、風は吹いていなかった。

葉っぱの隙間から覗く、暗闇よりも深く寂しいふたつの闇が少女を見下ろしていた。


「き、れい・・・・」


息も、言葉もつまるような、そんな姿をしていた。

声や姿からして男の人のようだった。

それでも少女は、そんな綺麗なひとを見たことはなかった。

今まで醜い人間ばかり見ていたからか、少女の目は一心に輝いていた。

それを見た木の上の人影は、さらに不機嫌そうに口を開いた。


【去れ、人間。ここはお前の来るところではない】


人間、と聞いて少女は顔をしかめた。


「にんげん、違うーあたしはぁ家畜だよー」


その言葉を聞き咎めたか、人影の眼はゆらりと揺れた。

空気はピリピリと切り詰めていたが、恐怖さえも知らない少女にそれがなんなのかは理解できなかった。


「ねえ〜綺麗な黒ぉいひと・・・・」


少女は開けるだけ腕を開き、くすくすと笑った。

綺麗なひとが自分を見ていることが、なんだかおかしかった。


「あたしのことぉ、殺してえ・・・・?」



闇はただ静けさに佇んで。

月は空の冷たさに凍りついて。

きらきら輝く、奇妙な月夜のことだった。




















こんな流れですね。

読んでくださった方、ありがとうございます。

良ければ感想を残してくださると、作者が泣いて喜びます。

それではまた、次回でお会いしましょう。

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