第2話 スキルを選ぶのじゃ!
「キャラの外見が作成できましたら、次はスキルの選択になります。 まず現在のステータスを表示いたします。」
そうVCFO運営委員の沢村さんが言うと田中さ「デビリータじゃっ!」 デビリータのの目の前に青い半透明のスクリーンが浮かびあがった。
「おお! これかっ!?」
デビリータはいそいそと覗き込む。
「どれどれ?」
そこに表示されていたのは。
力:D
体力:C
素早さ:B
知力:B
精神:C
魅力:A(敵対種族はE)
聖属性耐性
邪悪属性弱点
とあった。
「ふーむ、これは強いのか?」
魅力がずば抜けてるのはさすがに分かるが、あとBが多いのも分かるのだがそもそもBはどれぐらい凄いのかデビリータは分からない。
そこで沢村は答える。
「簡単に説明しますと、Dは人並み、Bですとトップアスリートクラスと考えていただければ。 Aですと、そうですね。連続優勝が狙えるレベルになるでしょうか?」
Cはさしずめプロレベルくらいだろうか?
となるとここまでの能力を持つ者は……
「通常ですとありませんね。 まあ、レベルを上げれば能力値は変わってきますので絶対に有利ではありません」
なるほど、デビリータは考える。
能力的には魔法などの後衛がよいはずだ。
しかしやろうと思えば回避盾も出来そうな感じでもある。
だがしかし、後ろから魔法で殲滅は心が疼く!
デビリータは厨二心をときめかせながら、話を聞く。
「ステータスを確認されたなら、次はスキルについてです。 まずはスキル欄をご覧頂き、そこから6つ、スキルを選んでください。 それが初期スキルになります。 その中には種族スキルもありますので出来るだけ初期で習得をオススメします」
そう言われデビリータはスキルを見てみるが、これがまた多い。
ソートもあると言われたので魔法、種族スキルにチェックを入れると、かなり減った。 それでも100以上あったが。
「むむむ、これは悩む」
とはいえまずは種族スキルを見てみる。 それによって取る魔法もかわるやもしれないからだ。
種族スキルは、【飛行】、【聖魔法】、【祈り】、【聖結界】、【邪悪看破】があった。
【飛行】は正確には、飛ぶ事そのものではなくきちんと飛行する、車でいうなら運転のテクニックのような物。
【聖魔法】はそのまま、聖属性の魔法を習得できるスキル。
【祈り】は神に祈る事でMPを回復できる物。 神に祈るのはとにかくMP回復手段はあった方がいいだろう。
【聖結界】は簡易的にセーフティエリアを作り出すスキルらしい。
セーフティエリアとは敵が入ってこない場所の事でここで安全にログアウト可能になる場所でもある。
【邪悪看破】は属性が邪悪、もしくは敵対関係にあるものをマップ上に表すスキルで、PKなんかもこれに表示できる。
ネットの事前情報なんかで、クローズドβ版にあった看破系の有効さは書いてあったの、でデビリータは取る予定でいた。
どうも【邪悪看破】は、上位スキルと言われた【敵対看破】の更に上のスキルらしく初期で取れるのは有利どころではないだろう。
しかし、種族スキルを全部取ってしまえば取れるのは残り一つ。
それではデビリータが望むキャラになりえない。
とはいえ、後からスキルを取ることも可能なのでここは取るべきだろうか?
「うぬぬぬぬぬぬぬ」
デビリータは悩んだ。 彼女は決断力に欠けるのだ。 外食でなにを頼むか20分掛けたこともあるくらいに。
妹は即断即決なのだが、
とはいえ、時間も残り少ない。
「ええいっ! ままよっ!!」
デビリータは全部を習得し、残りを【魔力増幅】にした。
「お決まりでしょうか? では、最後にキャラネームを登録すればクリエイト終了になります」
名前は決まっていた。 当然どんな名前かはわっかっていると思う。
「名前は、デビル・デビリータ・デビリオンじゃ!」
「申し訳ありません。 名前は10文字以内でお願いします。 ・も一文字に入ります」
先ほども10文字と言われたのにデビリータは理解していなかった。 アホの子であった。
「やかましいわっ!? むむ、ならデビリータで……」
「デビリータ様でよろしいですね? クリエイト完了を確認しました。 それではオープンβ開始時間までお待ちください。 ……現在時刻は11:14分ですね」
40分近くあるなら、一度ログアウトすべきかとデビリータは考えた。
喉も乾いたのもある。
「ではログアウトするか」
「はい、それではこれにて失礼させていただきます」
そういって沢村さんは消えた。 よく考えたらクレーム対応に来ただけなのにキャラクリまで付き合ってくれるとか出来た人であった。
まあそんな事は考えてないデビリータはさっさとログアウトしたのだが。
「……お早う、姉」
デビリータ、いや田中 洋子がVRギアを外すと、そこには妹である、田中 九ノ花がいた。
「お早う、九ノ花。 どうしたの?」
「……ご飯」
そういってハンバーガーを差し出す。 レンジで温めているのでホカホカであった。
二人は姉妹である。 外見も似ていたが、料理が壊滅的なことも似ていた。
とはいえ2170年代においては、料理が出来ない者は多く、自動調理器さえあればいいのだから問題もない。
「ありがとう。 で九ノ花はこのゲームやらないの?」
「……姉、忘れてる、私大学受験真っ最中」
二人はどう見ても小学校高学年か中学生くらいにしか見えないが、妹は高校三年、姉に至っては二十歳超えている。 まあ引きこもりではあるが、お金はある。
姉妹二人が遊んで暮らせるくらいには。
どっちにしろ、妹の方は別のゲームが気になっているようだ。
丁度、大学に合格できたくらいに正式サービスが始まるゲームがある。
そのゲームを”ラグナスフィア”といった。
よくVCFOの会社とライバルと言われる所から出るゲームなので期待は持てるのだ。
洋子もラグナでもいいかと思っていたが、VCFOのオープンβに当選したのでこっちをやる事になった、なおラグナにおいては二人共落選している。
洋子はハンバーガーをパクリと食べ、おトイレに行き12時になる10分前には再びVRギアを被るのだった。