表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

第1話 天使爆誕なのじゃ!

息抜きに書いてみました。

不定期連載です。

その日、デビル・デビリータ・デビリオンは困惑していた。


「なんじゃ、これは……」

彼女の目の前には彼女の作成キャラのデータを映すホロウィンドウが開かれていた。


デビル・デビリータ・デビリオンは困惑していた。

二度見するくらいには、


馬鹿な、ありえんじゃろ!?

わらわは偉大なる魔界公爵が一柱、デビリータなるぞ!

それをたかがゲームごときが馬鹿にしおって!


デビリータは次第に怒りで我を忘れそうになった。

そこに声が掛かる。


『どうかされましたか? ユーザー名:田中 洋子様?』

洋子、いやデビリータは突然割り込んできたのはこのゲーム、Valhallaka(ヴァルハラ) Crown(クラウン) Frontier(フロンティア) Onlin(オンライン) 通称VCFOのサポートAIに食って掛かる。


「ちっがーうっ! わた、わらわの名はデビル・デビリータ・デビリオンであるっ! 田中 洋子なる名ではないっ!?」


『エラー! 文字数が多すぎます。 10文字以内で名称を決定してください』

デビリータの魂の叫びは、しかしAIには届かなかった。


ぐぬぬ! おのれ融通の利かぬ機械脳めが。

デビリータは取りあえずそれを保留にしておいた。

そんなことよりもだ。


「おい機械脳よ! これ、これはどういうことじゃ?」

デビリータは、光の球体として現れたサポートAIにホロウィンドウを突きつけた。


『問題がありましたでしょうか?』

そう言ってウィンドウの前をフヨフヨと漂う。


「問題大ありじゃっ! 見よこの種族を!」

そう言われ種族を確認するAI。 そこにはこう書かれていた。

種族:天使 と。


『おめでとうございます。 UR(ウルトラレア)種族を獲得なさいましたね』


UR(ウルトラレア)種族と言われ思わず頬が緩むのを感じたが、現在キャラクター作成中なため、デビリータはただの棒人間にしか見えないのだった。 当然表情も動かない。


「とっ取りあえず変更を要求するっ!」


『確認します…… ログを確認しました所、ユーザー様は種族決定にランダムを選択なさいましたね?』

そう言われデビリータは頷く。


「うむ」


『ランダム選択の注意書きにもあったと思われますが、ランダムの場合は変更が出来ません。 どうしてもと言う場合はキャラ再作成となります』


むむ。 それは困った。 デビリータは再作成による時間のロスを想い悩む。


『なおキャラデリートは無料ですが再作成には料金が発生いたしますがよろしいですか?』


「よろしくないわっ!?」


無駄使いは出来ない。 お母、いや経理の者から苦情(おしかり)がくるからだ。

ならばどうする? デビリータはふと、視線の端にある時計を見る。


……いかんっ!? 現実時間を示しているデジタル表示の時計は、10:25を示している。

オープンβ(ベータ)開始は12:00 多少の余裕はあるが作り直すとなるとどうだろうか?


「仕方ないこのままじゃ!」


「分かりました お客様は残り、キャラの外見とスキルの選択が残っております」


そう言われ外見選択のためまずはデフォルトキャラを呼び出す。


……オウシット!

思わずデビリーナは呻いた。


そのキャラはまさに天使そのものだった。

つややかな金髪は軽くウェーブが掛かり肩まで伸び、その肌はどこまでも白い。

特徴的なのは背中にある大きな翼だろう。

白くどこまでも純白のその翼はまさしく天使の象徴であった。

悪魔を自称するデビリータにこれはむごい。と思われたが彼女には秘策があった。


「よし! ではこの髪色を紫に、そして翼を黒くせよ!」


そう、いわゆる堕天使のような配色にすることだ。

髪色は兎も角、翼の色を黒くすれば誰でも堕天使と思うだろう。


してやったり! デビリーナはドヤ顔、まだ棒人間だが、だった。


「申し訳ありません。 天使はその選択配色が制限されております。 明るい配色のみご選択頂きますようお願いいたします」


「なん……じゃと!?」


詳しく調べてみると、髪色は金か銀に近い色のみで暗色つまり黒系は選べなかった。 また翼に関しては白一択であった。


「なぜこんなに不自由なんじゃっ! ええい責任者を呼べっ!!」


そうデビリータが叫んだ時、サポートAIがチカチカと瞬き光の人型に変わる。

それに驚いて見つめていると、その光の人型は喋り出した。


「こちらはVCFO運営委員所属ヒューマリオンです。 お客様の要請に従いサポートAIに変わり対応させていただきます。」


いきなりの運営の登場にキョドるデビリータ。


「ふぁっ!? ああ、いえその……」


「お客様……キャラ名をまだご選択なされてないので田中様と「デビリータじゃ!」 デビリータ様の選ばれた『天使』においてご不自由を感じておられるとか。 よろしければその説明をいたしたいのですが?」

そう言って運営と名乗る人型はデビリータの返事を待つ。


時間は……まだある。 せめて納得のいく説明をしてもらおうと頷く。


「ありがとうございます。 ではまずこの『天使』はUR(ウルトラレア)種族となっております。 これはまさにUR(ウルトラレア)で最上級のレアリティとなっており、このサーバー内に一人しか選択出来ない物となっております。」


なんと! そこまでレアじゃったとは。 デビリータは自分の引きの良さに震えが走った。


「そして、ほかの選択可能な種族にない特徴がございます。 それが、その翼でございます」

そう言ってアバターの背中を指さす。


ふむ、確かに公式HPを見てもこのような物が生えてる種族はなかったなとデビリータは思った。


「本来、VRゲームではリアルとの差異を埋めるため、例えば身長や体重の変化などですが、を変更した際アバターの方にその認識の差異を埋めるリソースが内包されております。 これはどの会社のVRゲームでも同様かと思われますが、しかしこの『天使』はそのリソースをすべて翼につぎ込んでおりまして……」


「なるほどのう……」


などとしたり顔で頷いているが、デビリータはまったく理解していなかった。


「その代わりと言ってはなんですが、この翼はまさに翼としての機能を備えております。 つまり飛行が可能となっております」


おおおおおおおおお!!!!!!

マジかっ!? mjk!?


既存のVRゲームでは生身で空を飛ぶ、機械的な物でならともかく。 事は出来なかったそれがこのゲームでは……


「やるっ! この『天使』でプレイする!」


デビリータの勢いに、顔はないがなんとなく安堵したような雰囲気で運営は頷くと説明を続けた。


「ありがとうございます。 では次にプラス面の続きを、UR(ウルトラレア)であるようにその能力も他の種族より優れた物が多く、勿論すべてではないのですが。多用なプレイをお楽しみいただけるかと思われます」


ほうほう、剣に魔法に俺TUEEEする姿を想像しほくそ笑むデビリータ。棒人(ry


「次にマイナス面といいますか、これはキャラの製作時の物なのですが、キャラの外見データはお客様の外見で製作されます」


そういうと、目の前にあったアバターが見慣れた自分の姿、田中 洋子の現実での姿になる。


「うげえ!?」


「あ、ご心配なく現在のデータはプライバシーの問題でこちらからでは見ることが出来ませんので」


そう言われても安堵することなど出来ない。


「と、とと取りあえずなんとかならんのかっ!?」


このままでは身バレしてしまうかもしれないと気が気でなかった。


「髪色を変更すれば多少は変わるかと」


その提案を受けすぐさま変更に入る。


髪を銀色に…… 眼は、おお! 左右で変えれるのかっ!

これはいいと、早速右を金、左を赤に変える。


そこで改めてアバターを見る。


腰まで届くつややかな銀髪、右目は金、左目は赤の厨二な配色。

身長は150行くか行かないかくらいの、年齢のわりには低い背はリアルと変わらずデビリータのコンプレックスを刺激する。

そしてその胸はまっ平らであった。 小学生でも少しはあるのにと涙を誘うくらいであった。



しかし、誰がどう見ても天使の誕生であった。 むしろ爆誕であった!










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ