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白夜 54話 ヴァイレン少佐

次話を読んでいただきありがとうございます。

ティリオの疑問、そして進む事態だが…


 ティリオは、外に出ていた。

 とある装置を作って、それをエルドリッジの隣に下ろして作動させて、この惑星を調査していた。


 巨大なクレーン車のような装置を操作するティリオにレナが近づき

「何をしているんですか?」


 ティリオが操作する端末を持ちながら

「この惑星を調べているんだよ」


 レナが

「なぜ、調べるのですか?」


 ティリオが惑星の立体映像を出して

「この惑星、人工的に作られた惑星だと思う」


 レナが驚きの顔で

「え、この惑星が…ですか?」


 ティリオが「ああ…」と頷いた次に、探査装置が警報音を鳴らしてティリオが

「ああ…やっぱりだ」

と、投影した立体映像に惑星内部が投影される。

 惑星の表面は、何かの覆う翼状の表面が形成され、内部は巨大な何かの装置だ。


 ティリオが調査を続けながら

「この惑星は、八雷神の故郷だとクロは言っていた。そして、人工惑星が封印されているのも…」


 レナが

「封印されているって…どういう事ですか?」


 ティリオが

「この惑星の組成、惑星の空間に残っているエネルギーや、超空間ネットワークにアクセスして色々と調べた時に…クロがここを封印する以前に、この人工惑星そのモノの機能が封印されているのが分かったんだ」


 レナが困惑の顔で

「封印されなければいけない、何かがあったって事ですか?」


 ティリオが頷き

「それが何なのか…を調べているんだが…」


 レナが

「ちょっと、クロに聞いてきます」

と、レナはクロがディア達の作業を手伝っている場所へ向かう。


 ◇◇◇◇◇


 クロ達がいるドーム。

 クロは、完成した装置の調節を行い

「よし、これで…出来る筈だ」


 装置の真ん中には結晶のミイラとなったヤライの超越存在、雷陣炎王のエネルギー結晶とそれに繋がる装置達、そして…それを注ぎ込むトリガー型の超越存在の覚醒の理論をベースとした装置のベッドがある。


 クロが

「じゃあ、サクッと終わらせましょうか」

と、ディア、レイセン、ミレセン、アイセンの彼女達四人を見る。


 ディアが

「レイセン、さあ…」


「うん」とレイセンが頷き、装置のベッドへ横になろうとした瞬間。


「動くな」

と、クロの背後から声がする。


 クロが渋い顔をして

「どういう事なんだ?」

と、クロは後ろを横見すると…ヴァイレンがいた。


 レイセンが

「ヴァイレン、どうして?」


 ディアが数名の兵士に抑えられて床に伏せる。


 その次に、レイセンの両脇の空間からしみ出すように兵士が現れて、レイセンの両腕を押さえる。

ステルス装甲を装備して侵入されていて、この現場が制圧された。


 クロが「そんなバカな!!!!!!!!」と言っている間に、ヴァイレンがクロを制圧して床に押さえつける。

 唯一、捕まっていないのは…ミレセンとアイセンだ。


 クロが押さえているヴァイレンに

「どうやって、侵入した? エルドリッジはオレが帰還した事で、オレと繋がっているんだぞ。侵入者があった場合は…いや、そもそも…なんで来られた? 次元圧縮結界に包まれている惑星なんだぞ?」


 クロにヴァイレンが

「お前達がこの惑星と超空間ネットワークを繋げてくれれば、後は…この惑星の内部にある時空ゲートを通ってな」


 クロが青ざめて

「惑星内部…時空ゲート…この惑星は、人工惑星か!」


 ヴァイレンが

「ご明察」


 レイセンが

「ヴァイレン、何が…起こっているのですか?」


 ヴァイレンが冷静な視線で

「これがファイライ時空の意向なのですよ」


 ミレセンとアイセンが俯き、アイセンが

「ごめんなさい。レイセン様…」


 ヴァイレンが

「全ては…猿芝居なのですよ」


 クロが色々と分かってしまい。

「ああ…そういう事かよ」

 

 ◇◇◇◇◇


 クロ達が作った装置がヴァイレン達によって持ち出される。

 エルドリッジは完全にヴァイレン達の手中に落ちているのか、クロの制御を受け付けない。

 クロは、両腕を背中で交差されて…特別な手枷に繋がれている。

 その手枷には、クロの力を妨害するエネルギーが放出されて、クロの力を大幅に落としている。

 クロがいる特別製の檻、それは特別なエネルギーシールドによって形成されていて、そこにディアも一緒に入れられている。


 装置があるドームの天井が開き、装置が持ち出されていく。


 それを見せつけられるクロ。


 クロが捕まる隣には、ヴァイレンと、ヴァイレンの部下達に囲われて捕まるレイセン、そんなレイセンと視線を合わさないようにするアイセンとミレセンの二人。


 クロは檻の中で皮肉に笑み

「何かぁ…色々と仕組まれてはいるとは…思っていたが…」


 ヴァイレンにレイセンが

「ヴァイレン、どういう事なんですか?」


 ヴァイレンは運ばれる装置達を見上げたまま

「レイセン様、貴女が…八雷神の継承者になろうとしているのは…知っていました。それを全部、利用させて貰いました。お父上もお母上も、長老達や、ファイライ時空の議会員達も…貴女の意思を知っていて、それを…」


 レイセンが

「私は…ただ…ヴァイレンと一緒に!」


 ヴァイレンが冷たい目をレイセンに向けて

「お嬢様、目を覚ましてください。夢だけでは…人は、生きて行けない。夢が叶わない、望みが遂げられないと知った時、初めて大人になる。お嬢様…大人になるべき時が来たのですよ」


 クロが

「あの…オレの質問を答えて貰ってもいい?」


 ヴァイレンがクロを見る。

 クロは、ヴァイレンの目を見つめる。その目は…深い深い闇の光が見える。

 それでもクロはヴァイレンに

「どこから、どこまでが全て…仕組まれている?」


 ヴァイレンが淡々と

「レイセン様がお嬢様が、ディアと共謀した時から全てのシナリオが始まっている」


 クロは呆れ笑みで

「つまり、ディアさんとレイセンさんが、協力してヤライの継承者になろうと動いた時から…って事か」


 ヴァイレンは視線をクロから外す。

 クロが口にする。

「レイセンさんの望みを叶えるフリをして…八雷神の力を取り戻す算段で全部が動いていた…と。ミカボシ達四人も…協力者か…」


 ヴァイレンは無言だ。


 無言のヴァイレンにクロは続ける。

「まあ、確かにミカボシ達に言わせれば、自分達の実験さえ出来れば…誰に付いたって、問題ないもんなぁ…。あの攻めてきた他の時空の星艦達も…お仲間かい?」


 ヴァイレンはクロを横見する。


 クロは、ヴァイレンにニヤニヤと嫌味な笑みを向ける。


 ヴァイレンがクロを横見していると、ヴァイレンの通信に連絡が入り

「どうした?」

と、ヴァイレンが通信を受け取っている。


 クロは、その通信の意味を分かっている。

 自分達以外が捕まっていない。


 ヴァイレンがクロを見て

「お喋りはそこまでだ。一緒に来て貰うぞ」


 クロが「ふ…ん」と笑みながら答える。

 自分を人質にするつもりなのが見えた。


 ◇◇◇◇◇


 ティリオが惑星内部を調査している装置の周辺にヴァイレンの部下達がいる。

「痕跡は?」

と、ティリオとレナの痕跡を探すが

「全く見つかりません」


「どこへ逃走した!」


 ティリオとレナ、ナイツの六人と、ミリアス達三人が、逃亡していた。


 兵士の一人が通信で

「大変です。彼らが乗ってきた宇宙戦艦が消えています」


 ◇◇◇◇◇


 クロはヴァイレン達に捕まって、共に移動する。

 ヴァイレン達の宇宙戦艦に乗せられて、惑星の内部へ通じる巨大な地上ゲートを通り、惑星内部、人工惑星の中心へ向かう。


 クロは、ヴァイレンがいる艦橋で、牢獄の装置にディアと共に入ったままいる。

 その隣には落ち込んでいるレイセンがいる。


 クロは艦橋の全体画面から見える情景に「ふ…ん」と声を漏らす。


 人工的に作られた惑星、ヤライの故郷、色々と疑問がよぎるも、クロは黙って見ている。


 落ち込んでいるレイセンにディアが

「レイセン、本当に…ごめんなさい。私が…アナタを…」


 レイセンが悲しげに微笑み

「ディアが原因じゃあないわ。未熟だった私が…」


 それを聞いていたクロが

「ヴァイレン少佐」


 ヴァイレンが振り向き

「どうしたのですか? クロード様」

 階級で呼ばれたので、丁寧に答える。


 クロがヴァイレンを見つめて

「レイセンのお嬢さんは、ヴァイレン少佐の事が好きだった。それは…分かっていたのか?」


 ヴァイレンの眉間が僅かに揺らぐのをクロは見ていた。

 ヴァイレンは

「任務に私情は、挟まない」


 クロは「へぇ…」と告げる。

 ヴァイレンには、様々な含みがあるのが見えていた。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次回、故郷の復活

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