白夜 50話 突撃の現場
次話を読んでいただきありがとうございます。
大混乱する戦場を駆け抜けて、クロ達は…
星艦ゴリュウドから四つの光が飛ぶ、それは…四機のオメガデウスだ。
そのオメガデウス達には、ミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュンの四人が乗っている。
その四つのオメガデウス達は、星艦ゴリュウドを押さえつけた星艦達を押しのける力を放ち、星艦ゴリュウドから離すも、星艦ゴリュウドを押さえた四つの星艦達から膨大な数の兵器達が発進していく。
サイズとして数百メートルと宇宙戦艦サイズより巨大な兵器達が星艦達から霧のように噴出する。
その無数の兵器達が星艦ゴリュウドへ襲いかかる。
星艦ゴリュウドも応戦しようとして同じサイズの兵器達を放ち、無数の光の攻撃を放って応戦する。
グチャグチャな星系級の戦場が出来上がる。
それを突き抜ける二つの戦艦がある。
一つは、クロ達が最初の乗り込んだ宇宙戦艦と、もう一つは別の宇宙戦艦だ。
二つの宇宙戦艦は併走する。
一つはクロ、レナ、ナイツの六人とジース、レイセン達とディアを会わせた四人、そして、ベイルラム・インダストリーのミリアスとミリーにアルナが
もう一つは、ライアス達四人が。
ライアス達が操縦する宇宙戦艦が通信でクロ達が乗る宇宙戦艦へ
「では、応援を要請しに!!!!!!!!」
と、ライアスが通信で伝えて、その場から急速離脱する。
クロ達が乗る宇宙戦艦は、アズサワがいる惑星へ向かう。
クロは宇宙戦艦の艦橋で、操縦するミリアスとジースがいる席の後ろにいて、離れて行くライアス達の宇宙戦艦を見つめて
「頼むぜ」
ライアス達には、頼るべき相手の通信を託している。
ジースが探査レーダーを見て
「クロさん、ヤバい…」
クロ達が乗る宇宙戦艦の周囲に無数の空間転移の光が瞬く。
クロが青ざめて
「おいおい、こっちが本命ってバレているのかよ!」
そこへディアが来て
「もしかして、私達の認証パターンが流出して…」
「冗談じゃあねぇぞ」とクロは頭を抱える間に、膨大な数の宇宙戦艦達が空間転移して、クロが乗る宇宙戦艦を包囲して攻撃してくる。
操縦桿を握るミリアスが激しく操縦桿を動かして
「攻撃が多すぎて、回避できない!」
ナイツの六人達が艦橋から離れてメガデウス達がある格納庫へ向かい、メガデウス達に乗ると、六機のメガデウスが飛び出て、宇宙戦艦を守るように光の輪を形成する。
その光の輪から宇宙戦艦を守るシールドエネルギーが放出され、ある程度の攻撃が弾かれるも
「親父!」
と、メガデウスに乗って守るジェイスが
「オレ達の防壁でも限度がある!」
ミリーとアルナは、格納庫へ向かって自分のマキナへ乗り込み、ミリーは前、アルナは後ろと、前後で重武装のマキナを宇宙戦艦に配置して、攻撃する宇宙戦艦達へ攻撃を開始する。
ミリーが
「数が多すぎて、撃ち落とし切れない!」
クロは後ろにいるレナに手を伸ばして
「レナ! 一時的だが、オレの力をレナを使って増幅させて、宇宙戦艦の推進力を上げる!」
「分かった!」
と、レナはクロの手を固く握る。
クロの力がレナに送られると、レナは無意識に手を前に、宇宙戦艦の前に伸ばす。
クロが待つ空間の力、暗黒が宇宙戦艦の前の空間を書き換えて、宇宙戦艦の推力を上げる。
だが、それでも、それでも、出現する宇宙戦艦達の方が上回って先を塞がれそうになる。
クロが
「多少、荒くなってもいい! 惑星へ行けーーーーー」
クロの言葉の後、レナはクロから渡される力を鋭い槍先のように変えて、推力と前方を塞ぐ宇宙戦艦を貫く力に変えた。
◇◇◇◇◇
アズサワは、海が見えるベンチに座っていた。
そこから見える空は、クロ達が戦っている光が見えていた。
アズサワの周囲は困惑しているが、アズサワは冷静に座って本を読みつつ、スマホの時計を見て
「ソロソロだな」
アズサワがいるベンチの遙か遠くで宇宙戦艦が強制着水して、アズサワがいるベンチに向かってくる。
激しく水しぶきを放ち、宇宙戦艦がアズサワの座るベンチの岸辺に強制接岸すると、宇宙戦艦のドアが開き
「アズサワーーーーー」
と、クロが叫んで姿を見せる。
アズサワがベンチから立ち上がって
「予想より少し早いな」
クロが苛立ち気味に、報酬のトリガー型の超越存在の覚醒データが入ったプレートを投げる。
それをアズサワが受け取ると、アズサワが懐からクロから受け取ったままの、あのチョコレートスティックの箱を取り出してクロへ投げる。
「早く行った方がいい。君達の情報は筒抜けらしい」
クロはそれを受け取って、あの時のままのチョコレートスティックの箱を開けると…確かにあの時のままの封印された惑星へ向かう位置情報を示したデータのプレートがあった。
クロがアズサワに
「お前が…バラしたのか?」
アズサワは皮肉な笑みで
「そんな事をする程…暇人じゃあないんでね」
クロが宇宙戦艦へ入りながら
「じゃあな」
アズサワは手を振って答えた。
◇◇◇◇◇
クロはアズサワから返されたデータ・プレートを宇宙戦艦の操縦席にいるジースに渡して
「これをインストールして、直ぐに向かうぞ」
同じ操縦席にいるジースとミリアスが視線を交差させて、ミリアスが
「準備の為の色々な資材は?」
クロが
「現地に行けば何とかなる」
ジースは、データ・プレートをインストール用のカートリッジに填めて
「色々とメチャクチャだ」
宇宙戦艦は、急速発進して宇宙へ出た。
だが、目の前には無数の…膨大な数の宇宙戦艦達が待っていた。
それにレイセンが
「これ…どうすれば…」
惑星周囲を完全に封鎖する宇宙戦艦達。
クロが苛立っていると、通信が入る。
その通信は
「レイセン様、お戯れは…ここまでです」
通信画面に出てきた男性にレイセンが
「ヴァイレン」
レイセンに使えるデザイナーズの男ヴァイレンが
「八雷神様の復活など、誰も望んでいません。ディア、止めろ」
ディアは苦しそうにする。
デザイナーズ同士には上位と下位がある。上位の者の命令は下位の者にとって強制力がある。逆らえない訳ではないが、逆らおうとすると苦しむようになっている。
クロが
「一つ聞いていいか?」
ヴァイレンが
「クロード様ですよね。私は、ファイライ時空軍、少佐ヴァイレンです。レイセン様に使える騎士として設計されたデザイナーズです。今回の事は、様々な行き違いがあったようです。謝罪します。ですので、全てはここで…終わりという事で」
クロが
「この大量の軍団を呼び寄せたのも、お前か?」
ヴァイレンが
「報酬に関して相談した結果、お力添えをいただけるとなったので…」
クロがレイセンに
「どうする? 続けるか? それとも…」
レイセンがディアを見ると、ディアが頷き
「足掻けるなら…」
クロがヴァイレンに
「悪い、続行だ」
ヴァイレンが「残念です」と答えた次に通信が切れた。
そして、一斉に攻撃が始まった。
ミリアスが急いで宇宙戦艦の出力を全開にして逃げ
「どうするの?」
クロは目を閉じて感じて
「ライアス達、間に合ったか…」
と、クロはジースの席の端末にある航路座標設定で数値を設定して
「ここへ向かえ!」
ミリアスは苛立ちながらも
「分かったわよ!」
宇宙戦艦をその座標へ向かわせて走らせて数秒後、宇宙戦艦へ併走する存在が空間転移で出現する。
それは光速で移動する運搬カーゴの宇宙船だ。
それに乗って操縦するのは
「全く! なんて配達だ!」
ティリオだった。
クロがレナの肩を持ち
「行くぞ」
レナは頷き
「うん!」
クロはレナを連れて光速移動する宇宙戦艦から、併走するティリオの宇宙船へ飛び乗り、その宇宙船の格納庫にある新たな相棒にレナと共に乗り込む。
クロが前でレナが後ろの複座の操縦席に座るクロとレナ。
通信画面が出てティリオが
「要求通りのスペックは満たしてある」
クロが操縦桿を握り自分とのリンクを確立させながら
「悪いな。こんな事に巻き込んで」
通信のティリオが
「後で事情の説明と…その前にこの事態から」
クロが笑み
「大丈夫さ」
クロの前の席にいるレナが
「クロ! 何時でもいける!」
クロが
「レナ! 行くぞ!」
格納庫から新たな装いになった相棒オメガデウス・ヴァルヤが発進する。
新たに回収されたオメガデウス・ヴァルヤ
胸部に人型機体、その周囲を巨大な二対の腕が伸びて、その巨大な腕達の肩から黄金の翼が伸びて、脚部は人型の足と巨大なスラスターが合体している。
背面部には、多くの誘導砲身が備わり、それは…高次元の力を行使する機体というより、戦う為に特化した機体になっていた。
クロがオメガデウス・ヴァルヤを操縦して
「行くぜーーーーーー」
オメガデウス・ヴァルヤの背面にある砲身達と、二対の巨大な腕達から膨大な数の光線砲撃が飛び出して前面にいた宇宙戦艦達を破壊して道を切り開く。
そして、オメガデウス・ヴァルヤは、他の仲間達がいる宇宙戦艦とティリオの宇宙船を引き連れて光のエネルギーの流星となり、空間転移して消えた。
オメガデウス・ヴァルヤの力により、レイセン達が乗る宇宙戦艦とティリオの宇宙船が何処かへ空間転移して消えたのだ。
それをヴァイレンは鋭い視線で、自分がいる宇宙戦艦の艦橋の艦長席から見守り
「レイセン様、ディア…」
と、告げて黙る。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら
ブックマークと☆の評価をお願いします。
次話を出すがんばりになります。
次回、再び戻った場所