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白夜 49話 嵐の入口

次話を読んでいただきありがとうございます。

目的の場所へ、惑星へ向かっていたクロ達だが…


 クロが一人で外の風景が見える区画にいた。

 アズサワの対価を持って移動する星艦ゴリュウド。

 超空間ネットワークトンネルを使った移動は、全長三十億キロサイズの星艦でムリではないが、もの凄いエネルギーが必要なので、重力を操作した超光速航行で目的の惑星へ移動していた。

 超光速航行で流れ行く光の風景をクロが見つめていると、隣にディアが来た。

「こんにちは…」


 クロが左にいるディアを見て

「ああ…こんちは」

と、告げるとポケットからチョコレートスティックの箱を取りだしてディアに渡す。


 それをディアは微笑み摘まんで

「ありがとう」

と、唇と尖らせて食べる。


 その仕草にクロは…自然と目が鋭くなってしまう。

 それにディアが気付いて

「私に何か?」


 クロは溜息を漏らして

「いや、そっくりだなぁ…と思ってね」


 ディアがクロの横顔を見つめて

「誰にですか?」


 クロは外の風景を見つめながら

「アンタは、ミカガミの女王、メディーサの孫弟子が作ったデザイナーズの一人なんだろう」


 ディアは頷き

「はい。そうです」


 クロは顎を摩り

「そのメディーサと…似ているなぁって。まあ、そりゃそうだろうよ。メディーサをベースにしているって言っていたし、オレの超越存在としての感覚も…別人だって」


 ディアが

「そんなに私は、メディーサ様と似ているのですか?」


 クロが外を見ながら

「何気ない仕草、口調の節々、細かい所も…そっくり過ぎてな」


 ディアがクロを見つめて

「クロ様にとってメディーサ様は、どんな人でしたか?」


 クロは思い出しつつ

「そうだな。一言で言えば、女って感じだったなぁ。差別的な意味じゃあねぇよ。ただ、何て言えば良いのか…。自分以外の誰かの為に動く事を行動原理にしているってのが。何とも女性らしいって感じがしたからさ」


 ディアが目を細めて

「好きだったんですか?」


 クロが笑み

「ああ…好きといえば好きだったなぁ。人として友人として仲間として、互いに違う者同士として…かな」


 ディアがクロを見つめて

「じゃあ、メディーサ様が…クロ様の事を好き…その…男女として好意があったと伝えたら」


 クロが背伸びして

「どうだろう? その当時は、色々とあったし。サクラの事も尾を引いていたし。レナと出会う前にメディーサが…いや、止めておこう。もしもの話なんて意味は無い。だが、そうだな。もしもの話をするなら…男女として付き合ったかもなぁ」

と、ニヤリと何処か皮肉に笑う顔をディアに向けた。


 ディアがその顔を見つめて

「もし、生きていたら…今でも…大切な」


 クロが真剣な目で

「ああ…オレにとって、アルードやアシェイラとメディーサは、大切な…そう、どんな存在より、世界より、大切な存在だ。そう、家族ってヤツだった」

と、告げてクロは外を見て

「でも、もう…いない。アルードもアシェイラもメディーサも…過去の昔に消えたのさ」

と、告げる横顔は、どことなく寂しそうだ。


 それを聞いてディアが「そうですか」と少し俯く。


 二人で数秒の間が続いた後、クロとディアが顔を驚愕にして

「どういう事だ!」

と、クロが叫び、ディアが焦りを見せる。

 クロとディアの超越存在の感覚が…敵を捕らえていた。


 ◇◇◇◇◇


 クロとディアの二人が話をしている最中、星艦ゴリュウドの制御をしているホールでは、操縦席にレイセンと両脇にミレセンにアイセンが並び、ミレセンとアイセンが星艦を操縦して、ミレセンが

「レイセン様、後…少しで目的の惑星の近辺に」


 レイセンが安心して

「妨害とかなくて良かった」


 その言葉に同じホールにいるミリアスとジースが

「どういう意味で、そんな言葉を?」

と、ミリアスが尋ねる。


 レイセンが二人に

「私達の行いを良しとしない人達もいて…その方達の妨害があるかと…」


 ジースが

「つまり、敵対者がいる…と」


 レイセンが渋い顔で

「はい」


 ミリアスとジースは嫌な予感を抱えたそこに

「大変だ!」

 ナイツの六人がホールに駆け込みクリニアが

「この星艦の周囲に」


 ホール全体に警報が鳴り響く。


 ナイツの六人のジェイスが

「この星艦と同じ星艦クラスの艦が四つ、超空間ネットワークトンネルから空間転移してくる!」

と、ナイツの彼ら彼女らにはエヴァルダーの力がある。

 それが知らせてくれた。


 ◇◇◇◇◇


 目的地へ向かう星艦ゴリュウドの上下左右の空間に、巨大な星艦サイズの空間転移が出現する。

 出現したのは、星艦ゴリュウドと同じ星艦が四つ、星艦ゴリュウドの上下左右を押さえている。


 それに外を見るホールにいるクロが驚愕して

「なんだコレ!」


 星艦ゴリュウドへ向かって囲んでいる四つの星艦達が突貫する。


「うああああああああ」

「きゃあああああああ」

 身体が浮き上がる程の強烈な衝撃を星艦ゴリュウドが受けて減速する。


 クロは、隣にいたディアを抱えて守り、浮かんで空中に二人して飛ぶもクロはディアを守るように抱えて着地する。


 クロが抱えるディアに

「大丈夫か?」


 ディアは戸惑いつつ

「ああ、あ、はい」

と、答える。


 そこへレナが駆け込み

「クロ!」

と、見るとディアを守って抱えるクロにムッとした顔をする。


 クロがレナの元へ走り

「何が起こっている!」


 レナがハッとして

「突然、星艦が四つも現れて追突されて、この星艦が強制減速されたの」


 クロが青ざめて、外で追突した星艦を見つめて

「どういう事だ。追突した星艦は、多分、アルテイル時空共和国のモノじゃあない他時空の星艦だぞ」


 クロ、レナ、ディアの三人がいる場所に通信画面が開く。

 そこにいるのは、別の場所にミカボシだ。

 ミカボシが

「コクテン、マズい事になったぞ」


 クロがミカボシの通信画面を凝視して

「どういう事だ? 説明しろ」


 ミカボシが淡々と

「どうやら、我々の企みが別の時空の者達、超越存在を欲している、超越存在がいない時空の者達の耳に入ったらしい」


 クロは全てを察した。

「まさか…オレ達がやる事を横取りする為に…」


 通信のミカボシは頷き

「そうだろうな」

と、告げた次に

「ディア殿、トリガー型の超越存在の覚醒に関するデータは?」


 ディアは懐からデータが入ったプレートを取り出して

「ここに」


 ミカボシが

「私と、スクナ、アテルイ、ハジュンの四人、そして、星艦ゴリュウドを使って…ここは押さえる。他の者達を連れて…目的を」


 クロが鋭い顔をして

「オレを信じても大丈夫なのか?」


 ミカボシが笑み

「君なら…やるだろう。そういう期待は裏切らない男だと分かっている」


 クロがチィと舌打ちして

「レナ、ディアさん。行くぞ」



ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら

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次話を出すがんばりになります。

次回、突撃の現場

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