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白夜 48話 取り戻す手配

次話を読んでいただきありがとうございます。

出来すぎている状況だが、一応に従うクロ達…


 スクナは直ぐにアズサワに連絡を取ってくれた。

 通信に出たアズサワが

「なるほど、クロードから報酬で貰った。八雷神を封印した惑星への移動コードを戻して欲しい…と」


 通信を中継するスクナが

「そうだ。もし…返して貰えるなら、相応の報酬を用意できる」


 アズサワが映る画面を見つめるクロ達。


 画面のアズサワが

「報酬で受け取った品だ。別の報酬で返還というなら問題ない」


 スクナが

「では、どのような報酬が必要かね?」


 アズサワが

「クロードからの依頼は、情報を拡散させる情報としての対価だ。ならば、同じ情報の対価を望むとしよう。そちらがやろうとしている…トリガー型の超越存在の覚醒のデータが欲しい」


 それを聞いたクロの眉間が寄る。

 トリガー型の超越存在の覚醒…


 スクナは通信を仲介したまま、ミカボシとアテルイとハジュンは無表情だ。


 クロの周囲には、クロの仲間達が集まっている。

 ジースがクロに耳打ちする。

「クロさん。これって…」


 クロが小さく

「どこまで…仕組まれているか…分からないな」

 このアズサワとの通信も仕組まれた事かもしれない。


 ミカボシがレイセン達三人の彼女達を見て

「構わないか?」


 レイセンが

「そうしないと…進まないのでしょう…。だったら」

と、了承する頷きをする。


 スクナが

「だ、そうなので…」


 アズサワが

「了承した。コードの交換は、こちらで場所を指定する。それまでに用意してくれ」

と、アズサワの通信が切れた。


 クロがスクナに近づき

「トリガー型の超越存在の覚醒って何だ?」

と、見つめる。


 スクナが

「こっちだ」

と、クロ達を連れていく。

 様々な移動カーゴに乗って到着した場所、そこは…人が収まる程の巨大な水晶と、下に円形の台座型のシステム、その巨大な水晶の上部に様々なケーブルが伸びて、ケーブルが伸びた天井には、青いオメガデウスが天井の装置に磔になっている。


 中心にある巨大な水晶を見ると、人型の何かが浮かんでいるが…巨大な水晶の歪みで人影しか分からない。

 

 スクナが

「これが、その装置だ」


 クロが鋭い顔で

「何をするつもりだ?」


 スクナが

「君がディーエ時空連合で体験した事を人サイズで再現する装置さ」


 クロが人影が浮かぶ巨大な水晶を睨み

「まさか、あそこには…超越存在の魂が…」


 スクナが

「今回の協力者として必要だからね」

と、スクナが空中を撫でると光の文字が飛び、それが装置達に伝播する。


 円形の台座型のシステムの五カ所から人の手が置かれるサイズの円柱が伸びる。


 その五カ所の内、四カ所にアテルイ、ハジュン、ミカボシ、スクナ、の四人が向かい両手を置く円柱に手を重ねる。


 ハジュンが

「今回の規模は、小さいが…我々、五人がいれば十分…成功する」


 空いてる場所、つまりそこには…


 ミカボシが

「君がそこに付かないと始まらないぞ」


 クロの後ろをレナが摘まみ「クロ…」と心配げな声をするもクロは

「分かったよ」

と、告げてクロの両手が置かれる場所へクロが向かう。

「レナ、大丈夫だ」

と、クロは向かいながらレナに微笑む。


 それでもレナは不安だったが…クロが協力する姿勢を否定はできない。


 五人の超越存在が巨大な水晶を中心に五芒星に配置された両手が乗る円柱に手を置くと、装置が起動する。


 クロが両手を置いている円柱から力が吸収される。

 大したレベルではない。自分の力が全て持って行かれるというより、吸収しつつ、別の力…おそらく、繋がっているスクナ、ミカボシ、アテルイ、ハジュンの力も流れ込み、増幅している感じだ。

 これは…リンク・ハイパーグレートを作るのと似ているが…。


 五人の超越存在の力が混ざり、五人で増幅した特別なエネルギーは、人影がある巨大な水晶に注がれて五つの光を放つ。

 白、黒、赤、青、碧の五色の光を放ち、それが収束するように中にある人影に吸収される。同時に上部の天井に繋がっているオメガデウスから高次元を越えた場所からの力、黄金の光も繋がっているパイプラインから降りる。


 五色の光と黄金の光が混ざって巨大な水晶の人影の収束し、巨大な水晶がひび割れて中にいた人影が出現する。

 七色の光を放ち、長い髪をなびかせる。

 それは女性だ。

 

 クロは警戒している。

 トリガー型の超越存在の覚醒…。

 そのコアに使われた人物だ。


 巨大な水晶から誕生した女性がその場に跪き座ると、砕けた巨大な水晶の破片達が光に変わって、女性を包み込み衣装を形成する。

 女性は黒い服を基調としたシックなスカート姿だ。

 その風貌は、どことなく…仕事ができそうな女性の感じだ。


 誕生した新たな超越存在の女性が立ち上がると、クロと視線が交差した。


「んん!」とクロは感じ取る。

 あれ? この感じ…とクロの眉間が寄る。


 新たな超越存在の女性は、目元にあるバイザーを下ろして

「問題ないようね…」

と、口にしつつ手の感触を確かめる。


 レイセンと二人の仲間が目覚めた超越存在の女性に近づき

「大丈夫だった? ディア…」


 ディアである超越存在の女性は、レイセンに微笑み

「ええ…大丈夫よ。レイセン、ミレセン、アイセン」

と、レイセンと二人の女性の名を告げる。


 そこへスクナが来て

「成功したようだな」


 ディアが頷き

「私の理論通りの結果になった」


 レイセンが

「じゃあ、後は…私が、八雷神様の力を…」


 ディアやレイセンの肩を持ち

「ええ…可能よ」


 クロが近づき

「どういう事か…聞かせて貰えると、ありがたいのだが…」


 ディアがクロを見る。


 クロの超越存在の感覚で、ディアは…彼女ではない別人であると示しているのに、なぜか…メディーサとディアが同じに思えてしまう。


 ディアが自分を示して

「私は、超越存在の研究をしていたの。ミカガミの女王から生まれたデザイナーズだから」


 クロは「そうか…」と自分を納得させるようにした。

 ミカガミの女王はメディーサの孫弟子に当たる。メディーサの遺伝子を使って、メディーサのような存在を産み出していても不思議ではない。

 このディアは、メディーサの研究、超越存在の覚醒を研究するデザイナーズと…

 

 クロは後ろにいるレナを見てしまう。


 レナは唐突なクロの視線に困惑して首を傾げる。


 クロはレナを見た後、呼吸を整えて

「まあ…察するに、自分で自分の理論を証明した…と」


 ディアは頷き

「ええ…私はある程度の適性がある者を超越存在として覚醒させる研究をしていました。ですが、適性があるからと言って、超越存在になれる訳ではない。だから…超越存在の方々の力を借りて、超越存在に覚醒する研究をして、それを自分の身で証明しました」


 クロは、スクナ、ミカボシ、アテルイ、ハジュンの四人を見る。

 彼らは超越存在の研究をしていた。

 トリガー型の超越存在の覚醒、ディアが研究していた事を手助けする事で、その成果を…。

 まあ、確かに聖帝の子息や、聖帝側の力を借りないで超越存在になれるなら、それを欲する者達にとって重宝されるだろう。

 アズサワが、トリガー型の超越存在の覚醒のデータを欲していたのも…

 いや、アズサワがこれに気付いているという事は、一枚噛んでいる可能性も… 

 色々と考えていたら、頭が痛くなる。

「まあ、色々と思う所があるが…これで…」

と、クロが告げる。


 スクナが

「これで、アズサワの対価が揃った。後は…これをアズサワに届けて、君が渡したコードを取り返すだけだ」


 クロは色々と手際よく進んでいる状況を怪しむも

「そうだな。早い事に越した事はない」


 ◇◇◇◇◇


 クロ達は、星艦の内部に停泊している自分達の宇宙戦艦にいた。

 その宇宙戦艦の会議室でクロとミリアスにジースの三人が話をする。


 ミリアスが

「色々と仕組まれているような感じがします」

 当然の疑問を口にする。


 ジースも

「彼らの目的が八雷神の力を得るだけで終わるとは思えない」


 クロが

「ああ…だろうな…」


 ジースが

「もしかしたら、八雷神の次として覚醒して…アルテイル時空共和国からの独立を…」


 ミリアスが不安な顔で

「大きな動乱が起こる可能性があるという事ですね」


 クロが

「今の段階だけじゃあ、判別は難しい。だから、もう少しつき合ってみてヤバそうなら…」


 ミリアスが

「全てを破壊…という事ですか?」


 クロが

「それは最悪な選択であって、別の選択肢があるなら…そちらにするだけだ」


 ジースが

「その選択肢に、クロさんによる制圧、管理下に置くという事も…」


 クロは

「今は、ともかく付き従って見守るだけだ」


 ◇◇◇◇◇


 クロ達が乗る星艦ゴリュウドが空間重力波推進で航行している。

 星艦の中心にある動力炉である恒星の重力を操作して移動する全長三十億キロの星艦。

 クロ達の連絡によって、移動には支障が無い。

 

 航行中の星艦のモニターを見つめるクロの隣にディアが来て

「こんにちは」


 クロはディアを見つめて

「ああ…こんちは」


 ディアが微笑み

「少し、お話をしませんか?」


 クロが

「ああ…良いけど」


 ディアが

「私と初めて顔を合わせた時に、貴方は驚いていましたが。何故ですか?」


 クロは恥ずかしそうに頭を掻いて

「昔の馴染みを思い出したからさ」


 ディアが目元を隠すバイザーを上げて

「そんなに、昔馴染みの方に似ていましたか?」


 クロが微笑み

「存在としては別モノって分かっているんだけど。どうしてかねぇ…」


 ディアとクロが話をする。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次回、嵐の入口

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