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白夜 46話 星艦と接触

次話を読んでいただきありがとうございます。

宇宙の深淵であるボイド領域に隠された星艦、そこには…


 レナはファリナと共に後部の展望室で降りていくボイド領域を見つめる。


 ファリナが

「真っ暗」


 レナが

「何か…吸い込まれそうな暗闇」


 そこへクリニアとナルファが来て、ナルファが

「このボイド領域は、昔、宇宙船の墓場なんて言われて…多くの宇宙船が落ちて消えた場所だったみたいよ」


 クリニアが

「もしかしたら、ボイドの底に落ちた宇宙船達の怨霊が…」


 ファリナが

「お二人は仏教徒なのですか? 私は教会の教徒なので、怨霊は通じませんね」


 ナルファが

「宗教、持ち出すの禁止」


 他愛もない会話をする。


 ファリナが

「でも、こんな領域でエンジェリオンに乗って放り出されたら…永遠に出られなさそうで…」


 クリニアが

「昔は、ここに宇宙刑務所の人工惑星を作って、出られないようにしたらしいわよ。でも、実際、人工物がボイド領域にあると、その反応で方向が分かっちゃうから…脱走しやすかったとか」


 ナルファが

「ここに残されても、エヴァルダーであるアタシ達がいれば、直ぐに見つけるし…メガデウスなら、どんな場所でもスイスイ!と回収で終わりよ」


 クリニアが

「この任務に、私達が選ばれたのも…そういう事なんでしょうね」


 レナが

「思った以上に危険は少ないんだ」


 クリニアが渋い顔をして

「ええ…ボイド領域よりも星艦の方が…」


 ファリナが

「何か、ありました?」


 ナルファが

「クロっちから連絡があって、二人にも伝えるけど。星艦…信号はあったんだけど。通常なら信号と同時に状態を知らせる暗号が入っているんだけど…無かったって」


 レナが鋭い顔で

「もしかして、罠?」


 クリニアが

「そうだとしたら、ボイド領域でも全く問題ないメガデウスの私達だけを残して、他は全力逃走という事ね」


 ナルファが

「メガデウスに乗っているアタシ達なら、簡単に相手をまけるだろうし、何人かは脱出を手伝いながら一緒にってね」


 ファリナが

「厄介な事に…」


 ナルファが微笑み

「クロやアタシ達がいるんだ。何とかなるさ」


 ◇◇◇◇◇


 クロ達を乗せた宇宙戦艦が強まる信号に近づく。

 宇宙戦艦の司令室には、大人数がいる。

 操縦するツルギとサポートのジースの後ろには、クロとミリアス、アルヴァ、ライアス、アークアといて、サポートのジースが

「かなり、信号とその発信間隔が狭まっているが…」


 ライアスが

「何も見えないなぁ…」


 クロとアルヴァが厳しい顔をしてクロが

「アルヴァ、見えるか?」


 アルヴァが頷き

「うん。あと…百光年くらいで…」


 ライアス、ツルギがクロとアルヴァを見つめて、ライアスが

「見えるのか?」


 クロが

「あと、もう少しで有視界に…」


 見えて来た。

 巨大な全長三十億キロの星艦が、小さな点から徐々に大きくなっていく。


 ミリアスが

「本当にあったのですね…」


 星艦の形状は、平たい円環に五方向に伸びる柱が見える。


 ジースが

「クロさん。何の星艦か…」


 クロが記憶を探って

「多分、ゴリュウドって名前の星艦だと思う」


 ミリアスがコメカミを押さえて、データを参照し

「消失している星艦のリストにある名前ですね」


 アルヴァが

「古い星艦なんだよね?」


 ミリアスが

「ええ…クロさんがいなくなって数十年後に消失した…星艦ではありますが」


 アルヴァがエヴァルダーの感覚で捉えつつ

「それにしては…なんか…新しいような感じがする」


 ミリアスが

「クロさんが言っていた通り、自己再生して新しくなった…では?」


 クロも顎を摩り

「いや、それだったら、新旧の色んなパーツが混じって、ゴチャゴチャする筈なんだが…全体的に、何か…新しい感じがする」


 ジースが

「警戒を持って扱った方が、無難…と」


 クロが

「ああ…そうだな」


 ◇◇◇◇◇


 クロがエンジェリオン、白銀に輝く翼を持つマキナ…人型機体を先頭にメガデウスの二機が続く。

 メガデウスの二機に乗るのは、ジェイスとクリニアだ。


 クロの操縦するエンジェリオンが先行して、無限のように広がる星艦の上を進む。

 ジェイスとクリニアのメガデウスの二機が続き、ジェイスが

「星艦だって分かっているけど、デカすぎる…」


 クロがフッと笑み

「まあ、全長三十億キロだからなぁ…近い大きさとして、恒星を中心として数個の惑星軌道まで覆い尽くす程と同じだからな」


 クリニアが

「父さん」


 クロが

「父さん?」


 クリニアが

「ああ…その…ダメなら」


 クロが笑み

「いいさ、お前達にとっては父に当たるんだから、当然だろう」


 ジェイスが

「じゃあ、親父!」


 一気に距離感が縮まったのにクロは戸惑うも

「お、おう…どうした?」


 ジェイスが

「どうして、内部に入る為の簡易的な超空間ネットワークトンネルが使えないんだ?」


 クロが

「星艦には、数光年規模だが、超空間ネットワークを張れる力があるのは…」


 クリニアが

「ええ、分かります。それの反応はあるけど、封鎖されているなんて…」


 クロが

「超空間ネットワークには、一致する解除コードってモノがあるんだ。そのコードを発信して、それを星艦側が受理する事で、星艦が発生させている超空間ネットワークを使える」


 ジェイスが

「通信機器の許可と似ているのか? 親父」


 クロが

「そういう事だ」

と、告げて自分が乗るエンジェリオンを星艦の上に下ろす。

 無限に続くような鋼色の大地、星艦に着地してエンジェリオンを跪かせて手を置く。


 ジェイスが

「親父は、警戒しているって事だよなぁ…」


 クロが頷き操縦桿の右手を強く握り、自分の認証信号を送り

「ああ…普通なら、オレのコードで認証が通るはずだ」


 クリニアが

「つまり、何かあると踏んで、私とジェイスだけを連れて三人で…所ね。父さん」


 クロが

「ジースには、こっちの通信が切れたら即効で逃げろってしてある。そして、二人は状況分析と回避能力が高い。もしも…逃げるとしたら、お前達を連れていた方が無難だ」

 クロが送った認証コードが星艦へ伝わると、そこの床が開き通路が現れる。

 エンジェリオンとメガデウスの二機が呑み込まれる程に巨大な落下通路が現れる。


 ジェイスが

「下が見えねぇ…」


 クロが

「十万キロの装甲だ。行くぞ」

と、クロのエンジェリオンが先行して、それにジェイスとクリニアのメガデウスの二機が続く。


 落下して行く三つの人型機体(マキナ)は、あまりにも長い落下通路内で音速を越えた落下速度となり、星艦の内部へ入った。


 そこは、中心に光り輝く恒星と、その周囲を歯車のような惑星軌道の装置と、それに繋がれる惑星サイズの施設達があった。

 まるで、時計の内部のような構造だが、その規模は二十億キロサイズと超絶巨大だ。


 ジェイスが

「超絶巨大な艦とは思えない内部だよなぁ…」


 クリニアが

「内部におかしい部分は、ないように思えるけど」


 クロが怪しい視線で

「おかしいな。こんな構造だったか?」


 星艦は、内部中心にある中心恒星によって形状を維持され、その恒星が持つ重力エネルギーを操作して移動する星間重力推進だ。

 そして、星艦の内部は、その恒星の持つ重力場によって構造が決まる。

 クロがいた時代の星艦の内部は、同じ性質の恒星が組み込まれている。

 つまり、クロが知っている星艦の内部とは違うのだ。


 クロが疑問を感じている隙に


「動かないで貰おう」


 クロの乗るエンジェリオンの後ろにいたメガデウスの二機が制圧されていた。


 メガデウスの二機を制圧するのは、黒いメガデウスの二機と、クロの目の前に黄金の翼を伸ばしたオメガデウス一機が出現する。

「久しぶりだな。コクテン」

と、告げるのは…ハジュンだ。


 クロが懐かしいような忌々しい顔で

「ああ…久しぶりだな。ディーエ時空の時、以来か?」


 ハジュンが少し悲しげな顔で

「アテルイも我々の力で、君を復活させてあげたかったが…致し方ない」


 クロが

「じゃあ、その友情の証として、ここは見逃してくれないか?」


 ハジュンが

「残念だが。それとこれとは別だ」


 クロ達は捕縛されてしまった。


 


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次回、八雷神の遺言

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