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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
愛娘、アイカ

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第98話 子供達の所在

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは、子供達を養子にする手続きにはいった。これで、全てが良しとなる時に、子供達の殺された両親の親族達が、子供達を探していた。そして、保護しているディオスの下へ来たのだ!


 ディオスは何時も通り、午後にあるティータイムのお菓子を作っていた。

 人数が七人も増えたが、何の苦労もない。

 楽しく作っていると、子供達がディオスの作っている姿をこっそりと見つめている。

 今日は、どんなお菓子が食べられるか楽しみなのだろう。


 ディオスは、期待されている視線を感じて、もの凄く気合いが入るが…


 隣でサポートするレベッカが

「調子に乗って、前みたいに巨大なケーキを作るのは止めてください。旦那様」


 そう、子供達がディオスの事をパパと呼んでくれた嬉しさに、ディオスは暴走、巨大なウエディングケーキを作ってしまい、食べきれずにフェニックス町の人達も呼んで、何とか片付けた事があった。


「ああ…う、うん」

と、ディオスは気まずそうに頷いた。



 そして、何時もの午前の訓練中、子供達が素振りをしている所へソフィアが来た。

「やっほーーーーー 遊びに来たぞーーーーー」

 ソフィアが楽しそうに子供達の前に来る。


『ソフィア様ーーーー』

 子供達がソフィアの下へ来る。


「はいはい」

と、ソフィアは楽しげに一人一人抱っこして頬にキスをする。


 ディオスはそれを見て微笑み、嬉しくなる。


 ソフィアはまるで、自分の弟妹かのように子供達に触れあってくれる。

 本当に、愛情ある光景だ。


 お昼過ぎ、子供達が昼寝していると、広間でソフィアがディオスに書類を渡す。

「はい、子供達の学校に関する書類よ」


「ああ…すまない。ありがとう」

 ディオスは受け取る。


 ソフィアが腕を組んで

「その…子供達の事…色々と分かったけど…。その、酷いモノね。もう…いっそうの事、戸籍でもアンタの子にしてしまいなさいよ」


「そうだな…そうした方がいいか…」


「クレティアとクリシュナにゼリティアの三人は?」


「もう、子供達のママだから、何も問題ないらしい。戸籍の事も話してみるさ」




 その夜、ゼリティアとクレティアにクリシュナの三人で、居間で軽くおしゃべりしていると、ディオスが

「なぁ…子供達の事…フェル、リティア、アル、アイカ、ダンロ、ティダ、シャルなぁ…オレの子供として法律とか、諸々の事をちゃんとしたいんだ…」


 それを聞いてクレティアは嬉しそうに

「いいじゃない」


 クリシュナが微笑み

「ええ…その方がいいわ」


 ゼリティアも微笑んで肯き

「もう…ティリオやリリーシャにゼティアも、姉や兄として受け入れておる。その方がいいぞ」


 妻達からの了承を得てディオスは

「ありがとう。さっそく、そうする」



 子供達に関する戸籍、養子にする手続きが始まった。

 まあ、色々な審査があるが、ほぼ、問題はないだろう…というお墨付きを、王宮の法務大臣から貰った。

 後は、その時が来るまで待っているだけだった…が。



 その日、午後にレディアンがヴァンスボルトと若い将校を連れてディオスの屋敷に来た。

 

 ディオスは広間でレディアンから説明を受けた。

「え…子供達を探している人達が、アンメリカにいるのか?」

 ディオスは驚きを見せる。

  

 レディアンが肯き

「ああ…我々が子供達の調査をしていると知って、その者達が接触してきた。アイカ・ブラウン以外の六名の子供達の親族が結集して、子供達を必死に探していたらしい」


 ディオスは口元を抱える。


 レディアンが

「その者達が、明日にでも、ここへ来て子供達と面会したいそうだ。どうする?」


 ディオスは目を閉じて

「分かりました…。一応…会いましょう」


「よろしく頼む」とレディアンは頷く。



 二日後、数台の魔導車タクシーがディオスの屋敷に到着する。


 ディオスは、七人の子供達と共に、それを迎えていると、魔導タクシーから乗ってきた人達が飛び出し、ディオスの傍にいるフェル、リティア、アル、ダンロ、ティダ、シャルの六人に抱き付いた。


 各子供達の叔父伯母夫婦に、無くなった両親の片方の祖父母だった。


 子供達に抱き付いた皆は、涙して

 良かった。生きていて本当に良かった。

 本当に子供達の心配をしていたのだ。



 ディオスの案内で、子供達の親族達は、広間にてディオスから事の顛末を聞いた。


 自分を殺す為に、使い捨てにされた子供達は、ディオスのお陰によって救われ、こうして、ディオスの下で暮らしている。

 子供達の両親や兄弟姉妹を殺した、連中の話をしたら一人がテーブルを叩いた。


「クソ…オレが仇討ちをしたかった」

 悔しそうに泣く男性はダンロの伯父だった。それに妻が肩に手を置く。


 ディオスは静かに淡々と

「連中の最後は、悲惨でしたよ。口封じの為に、生きながらミイラになった。想像を絶する苦痛だったでしょう。ですが…殺される前に、どんな連中が関わっていたか…情報を抜き取ってから、死んで欲しかった」


 子供達の祖父母の一人、祖父が

「あの…ディオス様…。子供達の事ですが…」

 その祖父の妻、祖母が

「私達の方で引き取りたいのです。その為にここに来ました」


 ディオスは目を閉じた後

「ちょっと待ってください」

 別の部屋に行き、あるモノを取ってきた。

 それはウソを見抜く魔導具トゥルーベルだ。

 それを、自分の目の前にテーブルに置いて、ソファーに座り

「皆さんのウソ、偽りのない覚悟を聞きたい。自分は…もう…子供達を自分の子供として受け入れている。それをおいそれと、渡すなんて出来ない」

 ディオスは魔獣さえ怯ませる威圧を向ける。


 ディオス一人より、多くいる十数名の親族達は、怯む。

 本気だ…と。


「オレは! あの子達の父親だ!」

 ディオスの語尾が荒くなる。

「オレの命より大切な子供達を、奪いに来たのなら、それ相応の覚悟をみせろ! 出来ないなら…叩き出すまでだ!」


 親族達は、ディオスの本気を浴びる。


 ディオスの覚悟が本気なのは、ウソを見抜くトゥルーベルによって証明されている。

 ウソを言っていない。故に一切鳴らないのだ。


 さっきの伯父が

「私は…ダンロの両親の父の方の兄です。アイツが…殺されたと知って駆け付けて、その…無残にされた遺体と対面しました。何でこんな酷い事を…。そして…遺体の中にダンロがいない事を知りました。

 夢にも見るんです。無残に殺された弟の無念が分かるんです。

 悔しかったろう。幼子を奪われて、それを残して死ぬ無念が、だから! オレは、私は残されたダンロを、精一杯愛して、弟の無念を晴らしたいんです。お願いします」


 フェルの祖父が

「ワシも同じです。残された孫娘を殺された息子達の分まで愛して、見守りたいのです。お願いします」


 一斉に、

「お願いしますリティアを」

「アルをお願いします」

「ティダの事を大事にしますから、お願いします」

「シャルを…お願いします」


 トゥルーベルは一切鳴らない。

 彼らの覚悟は本物だった。


 ディオスは目を瞑る。

 本心は、

 ダメだ! やっぱり、渡せない!

 ディオスの意思も堅い。


 そこへ、クレティアとクリシュナが娘達フェル、リティア、アル、アイカと、息子のダンロ、ティダ、シャルを連れて来て


「ダーリン、この子達に決めさせよう」

 クレティアが言う。

 

 子供達は、暫し迷った後、自分達の親戚達の方へ歩み寄り


 フェルが

「パパ…私達、行くよ」


 それを聞いてディオス

 うぅぐぐぐ…

 泣き崩れてしまった。

 そこへ、六人の子供達が寄って

『パパ。パパ』とディオスへ抱き付き


「うわぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!」

 ディオスは嗚咽する泣き声を上げて六人の娘、息子達に抱き締めた。



 その夜、親戚は屋敷に止まり、ディオスは子供達と一緒に何時も、お風呂を共にした。

 お互いに背中を流し合い、語り合い、大きな七人用のベッドでディオスに集まって子供達は眠る。

 そうして、ディオスも眠ってしまい、静かになった所で、リティアが起き上がり

「みんな…起きてる?」


 子供達がすくっと体を起こした。


 そして、アイカの下に集まり


 フェルが

「わたし達はいっちゃうけど…アイカは…」


 アイカは肯き

「うん、パパのそばにいるから」


 子供達は七人揃って指切りをする。

「どんな事があってもわたし達はパパの子供だから」


 ディオスはそれを寝たふりして聞いていた。

 目元から涙が溢れてしまった。



 翌朝、子供達は親戚達に引き取られてアンメリカに向かう。

 子供達の親になるとする親戚達に、何度もディオスは頭を下げ

「よろしくお願いします。そして、これが連絡先です。何でもいいです。困った時は連絡をください。どんな事でも力になりますから」

 親戚達に連絡先の魔導プレートを渡す。


 親戚達も

「子供達を救って頂き、ありがとうございました。このご恩は一生忘れません」


「そんなのいいんです!」

 ディオスは首を横に振った。

 

 こうして、ディオスは六人の子供達と別れをする。


 子供達を乗せて行く魔導タクシーを見ながら、大泣きするディオスにクレティアとクリシュナは肩に手を置いて

「よくがんばったダーリン」

「立派だったわアナタ」


 うくぃぃぃぃぃぃ

 ディオスは男泣きしていると、アイカが

「パパ…わたしはここにいるから」

 アイカが手を伸ばすと


 ディオスはアイカを抱き締め

「ああ…ありがとうアイカ」


 アイカの頬がディオスの涙で濡れた。



 それから、三日後だった。

 レディアン達が来た。


「何の用事ですレディアン様…」

 広間でディオスは話していると


 レディアンが深刻な顔をして

「アイカ・ブラウンの事だが…とんでもない事になった」


「はぁ?」

と、ディオスは眉間を寄せる。


 レディアンは重苦しそうに

「アイカ・ブラウンを…アインデウス皇帝が引き取りたいと申し出てきた」


「はぁぁぁぁぁ!」

 ディオスは驚きで声を上げた。



 その二日後…アインデウスの臣下ディウゴスがマリウスを連れてディオスの屋敷に来た。

 玄関の広間でディオスは応対する。

 ディウゴスとマリウスはソファーに座り、ディオスはその対面のソファーに座っている。


 そこへレベッカが紅茶を持って来て

「どうぞ」


「ありがとうございます」

 ディウゴスはお辞儀して

「アイカ・ブラウンですが。彼女のスキルは我が歴代のアインデウス皇帝の血族が持つ、ドラゴニックフォースという力の亜種なのです。故に、アイカ・ブラウンは我らで引き取るのが…当然かと…」

 理路整然に言うディウゴスにディオスは切れた。


 飲んでいたカップをテーブルに叩き付けて割り

「テメェ…ふざけた事、ぬかしてんじゃねぞぉぉぉぉぉぉ」

 一気にぶち切れたディオスの、ディウゴスとマリウスは度肝を抜かれた。


「ああ…何か、説明に不備でも?」

 ディウゴスが冷静に切り返す。


 ディオスは怒りで立ち上がり

「お前等…自分達がその、血族でそれを引き取るのは、当然だぁぁぁぁぁ。ふざけんじゃねぇぞ! アイカはオレの娘だーーーー それを、そうするのが理とか、そんな理由で来やがって! そんな事、出来る訳がないだろうがーーーーー」


 ぶち切れ状態のディオスにクレティアとクリシュナが来て

「落ち着いてダーリン」

「アナタ、ストップ、ストップ!」

 怒れるディオスを止めようとする。


 そこへ、アイカが来てディウゴスに

「わたし、絶対にここから離れない!」

 ディオスに抱き付いた。


 それを見たディウゴスは眉間を押さえた後。

「少々、お待ちを…」

 ソファーから立ち上がり、胸元から魔導通信機を取り出して会話する。

「アインデウス様…その、はい、はい…ええ、ディオス様は、アイカ様をお子だと…はい」

 ディウゴスは、ディオス達の方へ向きアイカに

「アイカ様、主様がお話を…」


 アイカは魔導通信機を受け取り

「なに?」


『こんにちは、アインデウスという者だ。アイカくん、君はどうしたい?』


「わたしは、パパといるって約束した。だから、ここにいる」


『……そうか、分かった。これを持っていた人へ戻してくれ』


「ん」

と、アイカはディウゴスに戻すと、ディウゴスが通信をして

「アインデウス様…」


『ディウゴス、家族は引き離せない。アイカは…ディオスを父としている。ムリだ』


「そうですか…」


『ディウゴス、拡声モードに』


「はい」


 ディウゴスは、魔導通信機を多数会話モードにして、テーブルに置き


「アインデウスである。この度は、大変、申し訳ない無礼をした。すまない」


 それを聞いてディオスは怒りを収めてソファーに座る。

「アイカはオレの娘だ。渡さない」


『分かっている。だが…我々にも、確認がしたい。年に二・三度でいい。私の下へ来て欲しい。無論、同じ子供達の確認をするために、集まる集会のようにしても構わない。その条件を呑んで欲しい』


 ディオスは目を閉じた次に開けて

「分かった。それをアンメリカにいる子供達の集まるパーティーにして、活用する」


『ありがとう。アーリシアの大英雄殿』


 ディウゴスが帰り際に

「正直、何の不安もありません。ディオス殿が、アイカ様を自分の娘と言い張ったのですから…。では…」


 ディオスはアイカを抱えてそれを見送った。


 そして、年に二・三度もアンメリカにいる残りの子供達と会える事に、心が嬉しくて躍った。




 しかし…そんな日々にショックが。

 王宮の王執務室で、ソフィアを前にディオスは一枚の書面を見てショックを受ける。

「なんで、また…オレが行かないといけないの?」


 そう、近々あるロマリアでの十二国王達とロマリア皇帝に、トルキア共和国首相と、アインデウス皇帝の大きな会談に、ディオスも同行せよと…。

 ソフィアが

「ロマリア皇帝が、アンタに是非、合わせたい人がいるってさ」


 ディオスは

「いや、今…色々と研究が立て込んでいるし、アイカの養子や学校の件が…」


 ソフィアがフッと笑み

「それは、ゼリティア達が何とかするって」


 ディオスは渋い顔をして

「断れない?」


「断れると思う?」

 ソフィアは鋭い笑みを見せた。


 ディオスは項垂れ

 クソ! 強制かい! 今は…アイカや子供達といるべき大事な時期なのに…

 そう、思ってショックを受けていた。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございます。

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