間話 御方
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間話です
一人の老人がソファーに座って本を読んでいた。
書籍が並ぶ本棚、そして中心には宇宙全体を映し出す卓上。
その隣で、老人がソファーで本を読んでいると、暗がりからスクナが現れて
「御方」
と、ひざまずいて老人に頭を下げる。
老人は本を閉じて
「ご苦労、計画はどうだった?」
スクナが
「やはり、まだまだ…データと実証が足りません」
老人は溜息を漏らして
「そうか…まだまだ…か」
スクナが
「しかし、着実ですが…方法が分かりつつあります」
老人が
「そこまで、ミカボシ、ハジュン、アテルイは…続いてくれるかね?」
スクナが笑み
「以外と、三人は義理堅いですし…大黒天とも…縁がありますので…」
老人が微笑み
「そうか、良かったよ」
と、告げた次に右手を前に差し出して、握り締めると黄金の粒子が周囲から集まって手に集中する。
そして、握った右手の平を開くと、そこには超高次元多結晶体があった。
空間からその超高次元多結晶体を包む瓶のエネルギーが発生して包み混む。
それを老人は、スクナに投げて渡す。
「これが、今回に必要な分だ」
スクナは受け取って
「ありがとうございます。これで…覚醒がスムーズに…」
老人が
「今回の実験で、何が…得られそうかね?」
スクナが
「おそらく、超越存在をトリガーとした。トリガー型の超越存在の進捗が…。それ…と」
老人が
「メディーサの復活か…」
スクナが
「トリガー型の超越存在より、そちらの方がお約束できます」
老人が
「アシェイラより先にメディーサの復活とは…。兄さんは気付くかなぁ…」
スクナが
「気付いたとしても、別の転生体として認識するでしょう」
老人が嬉しげに微笑み
「気付いてくれた方が、嬉しいのだがねぇ…」
◇◇◇◇◇老人の過去◇◇◇◇◇
アルードは、ガージェストが評議会の間違いを追求している時期に
「お前をトップにしてやる」
と、ガージェストに約束した。
ガージェストが怪しい笑みで
「目的は?」
アルードが怒りに似た強い決意で
「兄さんを生かす為だ。そして、兄さんを英雄として…世界に立たせる為だ」
ガージェストは得意げに
「いいだろう」
アルードとガージェストは契約した。
これが後々にガージェストにとって地獄になると知らずに。
クロードがマハーカーラ艦隊と共に裏切りで自爆した時に、一隻の宇宙艦が逃走していた。
それに乗っていたのはアルードだ。
「兄さん、すまん」
アルードは死んでいなかった。
逃れて、とある計画の為に。
そして、現在…老人となったアルードが、本を読んでいると、近くの机の上にある白い仮面が浮かび上がる。
矢尻の如き白い仮面で、目の部分だけに穴が空いている。
浮かび上がる仮面が
「未来が、動くぞ」
と、言葉を口にする。
老人、御方とされるアルードが
「それでも、メディーサとアシェイラの復活は、確定しているのだろう」
浮かび上がる仮面が
「ああ…そうだ」
老人のアルードが微笑みながら
「なら、問題ない。計画になんら支障もない。なぁ…アムザク」
浮かび上がる仮面、アムザクは
「その通りだ」
アルードは五百年間、暗躍していた。
アムザクの意識が宿る仮面と共に…。
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次回、新たな機体