白夜 40話 逃れた先
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クロードがアルードが逃れた先、そこは…
クロードは、とある時空の港にいた。
「兄さーーーーーん」
と、後ろから食事を買ってきたアルードが来た。
クロードは、アルードによって助けられた。
次元圧縮結界で世界から切り離される寸前に、アルードがクロードを回収、脱出した。
クロードとアルードは、インドラ時空帝国とは違う時空の宇宙港に停泊している。
クロードは、アルードから食事のパックを受け取り
「アルード、帰るなら今だぞ」
アルードがクロードの隣に座って、食事のパックを開き
「帰るって? ユニックインダストリーは…もう、評議会に押さえられて…帰る場所さえないよ」
クロードが
「それでも、お前なら、アルなら…アシェイラやメディーサがいる」
アルードが
「兄さんには、サクラがいる。じゃあ、一緒に帰らないと…」
クロードがアルードの隣に座って食事のパックを開けて
「オレが帰れば、オレを装置とした特別な統治システムが作られる。そうなれば、キムロウ博士が、サクラの未来が…終わる」
アルードが
「兄さん、どうして、みんなを信じてくれなかったの? 兄さんがみんなを信じて色々と話してくれれば…道はあったはずだよ」
クロードが食事のパックの食事を食べながら
「ない。評議会は超越存在をトップとした体制が気に入らないんだよ」
アルードが
「それじゃあ、兄さんを上としたアヌンナキのシステムも同じだろう」
クロードが
「方便だ。人としてのトップと、システムとしてのトップでは、全く違う」
アルードが
「同じだよ。それがハイパーグレートか? ホモデウスか? それだけさ」
クロードが溜息を漏らして
「アルードは、これからどうするつもりだ?」
アルードが
「兄さんこそ、これからどうするつもりなんだよ」
クロードは
「オレは、当てがある」
アルードが笑み
「当てなんてないだろう。ヤライを封印すると同時に自分も封印しようとしたんだから…そんな、次があるなんて想定していないでしょう」
クロードがその通りすぎて黙ってしまう。
アルードが
「ボクには当てがあるんだよ」
クロードがアルードを見つめて
「どんなだ?」
アルードがニヤリと笑み
「ミシガン大佐のところへ行くつもりさ」
クロードが驚きで
「ミシガンって! あのベイルラム時空傭兵団のか?」
アルードが
「前に、兄さんもスカウトされたろう」
クロードが難しい顔をして
「アイツは…ちょっと、体育会系というか、軍隊気質というか…」
アルードが
「仕事を斡旋して貰うんだよ。せっかく、凄い戦闘マシンも持っているし…」
と、宇宙港にある自分達の宇宙戦艦グルファクシを見つめる。
宇宙戦艦グルファクシには、イドロムの二機、オメガデウス一機、そして…クロードが乗っていた恒星間戦略兵器デウスと、最強の兵器達がある。
クロードが
「まあ、斡旋して貰うなら…」
アルードが手を伸ばして
「決まり! 行こうか…兄さん」
クロードがアルードの手を握り
「全く、無計画の気ままな傭兵稼業とは…」
アルードとクロードが乗る宇宙戦艦グルファクシは、ベイルラム時空傭兵団の元へ来た。
目の前には、見るからにゴロつき、反社っぽい荒くれ達がいる。
そして、そんな者達の前に、反社の親分のような顔つきの男、ミシガン大佐がいて
「キサマ等! よく来たな!」
声がデカい
クロードは耳が痛くなる。
アルードは苦笑いだ。
実力を見るとして、アルードとクロードが乗るイドロム二機と、ベイルラム時空傭兵団の団員と戦わされ、荒い歓迎の後に、酒をあおるようにバカ騒ぎする宴会。
前に、ヤライとの戦いの際にベイルラム時空傭兵団とは組んだ事があった。
それで、荒くれ具合は知っていて、あまり関わりたくなかったが…。
仕方ない。
ぐちゃぐちゃな宴会の後、ミシガン大佐がとある人物を紹介してくれた。
二人の保護者的な位置になる人物、イーシャの祖母イルーナだ。
長寿のエルフ族であるイルーナが二人の身請けとなって、孫娘のイーシャが
「アタシが、お前等の上だ! 分かったな」
ここでも体育会系のノリで、クロードはうんざりする。
アルードは、クロードの様子に苦笑いだ。
インドラ時空帝国は、ヤライとの戦争、ファイライ時空共和国との戦いが終戦して、安定するかに見えたが。
ヤライという屋台骨を失ったファイライ時空共和国の一部が、暴走を起こして宇宙海賊としてインドラ時空帝国やファイライ時空共和国、その他の周辺時空を荒らし回っていた。
その宇宙海賊を退治する傭兵として、アルードとクロードが活躍する。
二人の活躍を機体…マキナのお陰だと陰口を言う者達もいる。
だから、二人のマキナを盗もうとするが…
「兄さん」とアルードがクロードを呼びに行く
「どうしたんだ?」
と、クロードがアルードに
アルードが
「また、盗もうとして…」
クロードが呆れて
「またか…」
イドロムもオメガデウスも恒星間戦略兵器デウスも二人しか乗る事ができない。
認証によるロックではない。
クロードが操縦席のハッチが開いたままの自分のイドロムを見ると、目を剥いて死んでいる男がいた。
イドロムを盗もうとして、イドロムに全てのエネルギーを吸われて殺された。
クロードは、反重力クレーンを操作して、操縦席から死体を取り出して、遺体袋に詰めて、認証が刻まれた腕のナノマシン刻印から所属を調べると、ミシガンの連中だ。
クロードとアルードが乗る機体は特注品だ。
クロードはホモデウス、アルードはハイパーグレート、神人と超越存在の資質がある。
それは、高次元から膨大なエネルギーを召喚できる性質を持ち、それを体内に蓄えて自由自在に取り出せる。
その超エネルギー発生体という性質によって、イドロムやオメガデウス、デウスが動かせる。
それがない者達は、二人のマキナに乗った瞬間、全てのエネルギーが吸い取られて死ぬ。
だから、認証もロックも必要ない。
クロードとアルードの機体に乗って、盗もうとして死亡したバカをミシガン大佐のところへ送る。
無論、ミシガン大佐の仲間達には反発する者もいたが…ミシガン大佐も事情を知っているので
「そうか…」
その一言で終わる。
そして、それを気に入らないミシガン大佐の部下の一部はクロードとアルードを闇討ちするが、返り討ちになって終わる。
ミシガン大佐も、後々にそれが裏切り者になる可能性があると分かっているので、そういう厄介な部下達を始末できるとして、放置しているのだ。
その分の迷惑をかけた慰謝料は、裏からクロードとアルードに支払われている。
イーシャの所に所属させたのも、イーシャ達だけがクロード達の機体を修理できるからだ。
あと…イーシャの祖母イルーナはキムロウ博士と裏で繋がっているのもある。
ミシガン大佐は、裏でヤライの弟アマガラと通じている。
要するにアマガラからクロードとアルードの面倒を見て欲しいと頼まれている。
クロードとアルードには、秘密にして語りはしないが…クロードは薄々、気付いていた。
こうして、クロードがアルードは宇宙海賊を退治の日々を過ごして、知り合いや仲間も増えて、これが後々のアルードをトップにしたマハーカーラ艦隊の礎となる。
そうして十年が過ぎた頃だ。
インドラ時空帝国で、大きな動きがあった。
評議会が…新たな統治システムを建造すると…。
それが失敗した。
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次回、散り桜、前編