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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
鉄のララバイ
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白夜 34話 サクラとの過去

次話を読んでいただきありがとうございます。

ヤライとの戦いを終えて帰還したクロードとアルード、それを待つ少女サクラ


 クロードはアルードの操縦によって帰還する。


 全長100キロの超巨大宇宙戦艦エルドリッジからクロードが乗る恒星間戦略兵器デウスが下ろされる。

 全ての作業は、宇宙空間に浮かぶ巨大な宇宙港で行われる。


 クロードが乗る恒星間戦略兵器デウス、全長が100メートルの滑らかな形状をした機神で、生体と機械の融合体、有機物的なシステムと機械的なシステムが融合した存在。

 ナノテクノロジーの最終到達点だ。


 クロードが収まる結晶のコクピットが外されて、宇宙港のコロニーに収納される。


 宇宙港の広場で、クロードは結晶のコクピットから出て額を抱えて出てくると…

「兄さん」

と、アルードが声を掛ける。

 アルードの後ろには、アルードが乗るデウスイドがある。

 翼を伸ばす機械的な機神デウスイド。

 クロードの操縦する機体とは違って純度100%の機械的なシステムで作られた機神だ。

 

 クロードがアルードに

「アルードのデウスイドにオレも乗れたらなぁ…」


 アルードが少し残念な顔で

「ボクは、兄さんの機体デウスに乗りたかったよ」


 クロードがおどけて

「繋がっている無人兵器達が潰される痛みが襲ってくるから、悲惨だぞ」


 アルードが

「ボクの戦い方は、一点を突破する方法でしかない。兄さんの戦い方は色々と融通が効く。それが…羨ましいよ」


 クロードが

「オレは、お前の一点突破がかっこいいけどね」


 アルードが笑み

「それよりも、早く惑星へ帰ろう」


 クロードとアルードは、宇宙港から惑星へ繋がる軌道エレベーターを降りて惑星に到着する。


 軌道エレベーターの港から無人タクシーに乗って…キムロウ博士がいるユニックインダストリーへ帰ってきた。


 巨大な施設、ビルがピラミッド型に並んだユニックインダストリー。

 ここで、クロードとアルードは生まれた。

 正確には、キムロウ博士によって製造された。


 ユニックインダストリーへ帰ってくると

「おかえりなさい」

と、クロードとアルードに呼びかける少女がいた。

 クロードとアルードより一つ上の十六歳の彼女。

 黒髪ショートに優しい笑みをクロードとアルードに向ける。


 クロードが

「ただいま、サクラ」


 アルードが

「ただいま、サクラ」


 サクラは、おかえりなさい…と出迎えた二人に

「二人とも無事で良かったわ」

と、クロードとアルードを見て、クロードを見る。


 アルードが何かを察して

「ボクは、メディーサとアシェイラの彼女達の所へ行って、報告とデータを上げるよ。兄さんは、サクラと一緒に休んでいてよ」


 クロードが

「アルード、そんなに気を…」


 アルードがクロードの背中を押して

「いいの、兄さんはデウスの影響で疲れているんだから任せて。じゃあ、サクラ、よろしく」


 クロードは呆れてしまう。

 サクラはクスっと笑み

「ね…だから、屋上の庭園エリアでノンビリしましょう」


 クロードが溜息をして

「分かった。行こう…サクラ」


 アルードの気づかいによって、クロードとサクラはユニックインダストリーの屋上にある庭園エリアへ行くと、そこには四季折々の花や木々が咲き誇っていた。


 クロードはサクラと共に、ピンク色に咲き乱れるサクラの木の下に来て座る。


 この庭園エリアは、四つの四季が設定されていて、その四季による花が咲いている。

 何時でも四季の花々が見える贅沢な庭園エリア。


 クロードが寝そべろうとすると、サクラが膝枕してくれた。


 クロードがサクラを見上げて

「いいよ。膝、痛くなるだろう」


 サクラがクロードの額を撫でて

「いいの。わたしがこうしたいから…」


 クロードが深呼吸すると、サクラの香りが…

「ちょっと疲れた。少し寝る」


 膝枕するサクラが微笑んで

「うん。どうぞ…」


 クロードはサクラの香りに包まれて寝息をする。


 サクラは、クロードを気づかうように頭を撫でる。


 こうして、サクラに甘えさせて貰う事にクロードは遠慮がちだが、サクラは…クロードを何時も大切にしてくれる。


 戦いから帰ってきたクロードは、疲弊している。

 恒星間戦略兵器デウスによって無数の無人兵器達の中に自分の意識をコピーさせて戦う群体だ。

 その無数の無人兵器達が破壊されると、その壊れた兵器達の痛みをクロードは感じる。

 一つの意識が無数の意識として分裂拡散する感覚は、自分が溶けて消えてしまう恐怖になる。

 それは、死の恐怖に似ている。

 クロードは、何度も出撃の度に味わい、分裂拡散した意識達の痛みを受ける。

 それが…どれ程に大変で…。

 サクラには、クロードを優しく癒やすだけしかできない。

 そして、何時も祈っている。

 早く…この戦争が終わる事を…。


 サクラの膝枕で眠るクロード。

 サクラは優しくクロードを労る。

 二人がいるサクラの木の下の穏やかな時間。


 だが…

「サクラ、何をしている?」

 キムロウ博士が娘の顔を見る。


 サクラが父親のキムロウ博士を見て

「お父さん…」


 キムロウ博士が

「母さんが…ユリが心配しているぞ」


 サクラが少し困り顔で

「もう少しだけ…お父さん、お願い」


 サクラは、キムロウ博士とユリ博士の間に産まれた娘だ。

 クロードとアルードのように人工的に生まれた存在ではない。

 父キムロウ博士と母ユリ博士が愛し合って生まれた愛娘だ。

 そして、サクラには特別な力が…。


 クロードが目を覚まして

「サクラ、ありがとう。もう良いから、ユリ博士のところへ行ってあげな」


 サクラが苦しそうな顔で

「もう少し、休んでもいいのよ…クロード」


 クロードはサクラに微笑み

「ありがとう。もう十分だ」


 キムロウ博士がクロードを鋭く見つめて

「クロード、次の任務まで…休息に専念しなさい」


 クロードが敬礼をキムロウ博士に向けて

「了解しました」

と、告げてサクラから去って行く。


 その背中にサクラは手を伸ばしてしまうが、その前に父キムロウ博士が入り

「さあ、サクラ…母さんのところへ」


 サクラが手を引いて

「分かった」

と、父キムロウ博士と共に母ユリ博士の下へ行く。


 父キムロウ博士にサクラは連れられて、母ユリ博士の下に来ると、母ユリ博士が

「サクラ、調節があるから…」

と、操作している装置がある。

 白い円形の台座、その中心にクリスタルで構築されたカプセル。

 それにサクラは入り目を閉じる。


 サクラを入れたクリスタルのカプセルの下にある円形の台座が電子回路のような光を明滅させる。


 その脇で端末で操作する母ユリ博士が

「順調ね。サクラは…あちら側へ呑まれないでいるわ」


 ユリ博士の隣にキムロウ博士が来て

「サクラには、超越存在としての資質があるが。若い故に調節が難しい」


 ユリ博士が

「クロードくんのお陰で…調節できるけど」


 キムロウ博士が厳しい顔で

「クロードには、サクラの超越存在の資質とは逆のアヌンナキ…ホモデウスの資質がある。それが超越存在を調節する力の研究に役立つとは…」


 ユリ博士が

「アナタ…もう少し、クロードへの当たりを弱めたら。将来は…サクラとクロードが二人で、このユニックインダストリーを紡いでいくのよ」


 キムロウ博士が

「だからこそだ。クロードは…将来のユニックインダストリーの長として、厳しく育てなければならない。実績も必要だ」


 ユリ博士が

「厳しくした結果、もし…クロードくんがダメになったら…」


 キムロウ博士は

「大丈夫だ。クロードは、その程度で潰れる事は無い」


 キムロウ博士は、クロードに過度な期待をしていた。

 将来は、娘のサクラと共にあるだろう…と、故にサクラも自分も、このユニックインダストリーを支えられる人材にする為に。

 クロードの意思とは無関係に…。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら

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次話を出すがんばりになります。

次回、クロードの運命

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