白夜 31話 訓練と暗躍
次話を読んでいただきありがとうございます。
クロは依頼された教官をして、聖帝ディオスの息子ティリオは…
クロは、アークシアの仲間であるナイツの教官をしていた。
アクジズ星系の惑星の大地で、腕を組むクロ。
そのクロを前にして視線が鋭いナイツの六人。
雰囲気が険悪
クロの隣にいるレナが
「クロ…何か言う事があるでしょう?」
クロが「え?」と口にするも
「ああ…その、色々と済まなかった。謝罪する」
と、ナイツの六人に頭を下げる。
ここは、謝っておく事で尖った角も丸くなる事がある。
ナイツの六人は、釈然としないし…謝って頭を下げている相手に色々と文句を言うと器が小さいように思えて、とにかく、モヤモヤしている。
だが、ナイツのクリニアが
「もう…我々の敵にはならないのでしょう?」
クロが顔を上げて
「ああ…ない。敵になる理由が一切ない」
ナイツのジェイダスが
「じゃあ、最初からアークシア様が超越存在として階位を上げるだけなら協力したのか?」
クロが頷き
「ああ…それなら協力したさ。だけど…」
と、横にいるレナを見る。
レナが
「要、報酬交渉次第」
その答えにクロは苦笑いをする。
ナイツのアヴァロが
「なんで、そんなにアヌンナキ・プロジェクトを嫌うのですか?」
クロが鋭い目で
「昔、そのアヌンナキ・プロジェクトで…この時空が消えそうになったのと…」
と、少し呼吸を置いて
「オレは、そのコアとなった女の子を殺した事がある」
『えええ…』とナイツの六人は困惑の顔をする
クロが淡々と
「嫌な昔話だ。それより訓練教官として…オレは来たが…要らないなら帰るぜ」
ナイツのアークアが
「いいえ、私達の強化をして欲しいです」
クロが
「六人は基礎は出来ているんだ。後は…経験だ。実戦形式で行う」
クロが提案した強化プランは、実戦経験を積ませる事だ。
クロが様々に想定した訓練をナイツの六人は熟す事になる。
メガデウスを使った様々な仮想実戦での戦闘訓練が行われた。
◇◇◇◇◇
別の場所、聖帝ディオスの屋敷があるアースガイヤ時空の惑星アースガイヤではティリオが機神に乗って移動していた。
向かう先は、惑星アースガイヤにある国々の一つロマリア帝国だ。
惑星アースガイヤは、国家が集まった連邦になっている。
その連邦の纏め役の一つであるロマリア帝国の前代皇帝であるライドルの元へ向かっていた。
前代のロマリア帝国の皇帝ライドルとティリオは、ティリオの弟シュリオが婿入りした親戚であり、普段から色んな法律の相談や話をしに顔を見せている。
ティリオが乗った機神がライドルのいるロマリア皇帝城へ到着すると、ティリオはコクピットに置いた荷物のリュックを背負い外に出て
「ライドルおじさーーーん」
と、機神に手に乗って降りると、機神の足下にライドルがいた。
「おおお! よく来たな!」
と、ライドルはティリオを迎える。
ティリオはライドルと共に皇帝城へ入り、皇族一家が住む居住区へ入る。
「いらっしゃい、ティリオ君」
と、微笑む五人の婦人、ライドルの奥方達だ。
ティリオが微笑み
「こんにちは、今日は、良いサケが手に入ったので! 一緒に食べましょう」
と、ティリオは居住区にある調理室へ行き、サケをさばいた。
ティリオは父ディオスが料理をするので、同じように料理を学んでいて、振る舞う。
皇帝ライドルの一家と共にサケの料理を楽しみつつ、そこへシュリオが顔を見せて
「あれ? ティリオ兄さん、来ていたんだ」
ティリオが自分と似ている弟のシュリオに微笑み
「ああ…ちょっと遊びに来た」
シュリオが
「じゃあ、後でこっちの土産があるから、実家に持って行ってよ」
ティリオが頷き
「分かったよ」
ライドルの家族達との食事会を終えた後、ティリオはライドルの書斎に来て、ライドルと紅茶を飲みながら話をする。
ティリオが
「ライドルおじさん。アルテイル共和時空国の…クロードっていう超越存在については…」
ライドルがティリオの隣にある席に座り
「聞いている」
ティリオが鋭い目で
「ぼくは、父さんに、ソイツを封印処置した方がいいって言ったんだけど…」
ライドルはティリオを見つめて
「ディオスは、待て…と言ったのだな」
ティリオは両手を組み真剣な目で
「父さんは、長い目で見てはくれないか…って。でも、ぼくには…あのクロードって男がミカボシ達と同じに見えるんだ。斜めに構えてそこから嘲笑っている…危険な感じがするんだ」
ライドルがそれを聞いて頷きつつ
「そうか…危険な感じか…」
ティリオが
「お願いがあるんだ。ライドルおじさんからも父さんに、危険かもしれないって…」
ライドルが
「ティリオ、お前の意見は否定しない。だが…もう少し…相手を知って見てからでも遅くはないか?」
ティリオが
「相手を知るって、その相手は自分の事を語る気はないんだよ」
ライドルが
「あまり、よくはないが…アインデウス殿の宝物庫には、人の記憶の中に入れる魔導具がある…と聞いた事がある。ただ、人の記憶へ入るのだから…危険が伴うので封印されているようだが…」
ティリオが目を見開き
「その魔導具を使って…相手の記憶を…」
ライドルが難しい顔で
「あまり、良い事ではない。だが…相手が相手だ。強大な力を持つ超越存在だからな」
ティリオが
「アインデウス様、貸してくれるかなぁ…?」
ライドルが
「本心をちゃんと伝えなさい。さすれば、アインデウス殿は必ず力を貸してくれる。そういう方だ。ワシも口添えしよう」
ティリオが微笑み
「ありがとう、ライドルおじさん」
ライドルは微笑みティリオの肩をなでて
「お前は、真剣すぎて悩みすぎる。その前にワシでもいいから、必ず相談してくれよ。相談されたワシも嬉しいからな」
アースガイヤは魔導文明である。物理法則では叶えられない特別な力を宿したアイテムが多く存在している。
ティリオはライドルの相談の後、アインデウスの世界樹城へ向かい、アインデウスに偽りなく伝えると、アインデウスが受け止めて
「分かった。その魔導具、ティリオの使用を許可しよう」
ティリオがアインデウスに頭を下げて
「ありがとうございます。アインデウス様…」
アインデウスが
「ただし、気をつけろ。危険と思ったら直ぐに使用を…」
ティリオが頷き
「はい、直ぐに使用を止めます」
こうしてティリオは、アインデウスから相手の記憶の中へ入り込める魔導具…ミネモシュネを借りる。
黒い王冠のような魔導具、ムネモシュネは、指定した相手の記憶の世界へ入り込める。
ティリオはコレを持って、クロがいる時空の惑星へ向かった。
移動する時空戦艦内でティリオが真剣な顔で
「これで、見極める…」
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次回、最初の入口