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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
デザイナーズ編
972/1109

白夜 28話 黒天

次話を読んでいただきありがとうございます。

新たな段階へ進もうとするアークシア、それにクロは…


 クロとレナを乗せたオメガデウス・ヴァルヤが、星系よりも巨大な四十天文単位の星艦へ近づく。


 オメガデウス・ヴァルヤを待ち構える星艦の兵器達だが、それをオメガデウス・ヴァルヤは突き抜けた。


 何とか兵器達は押さえようとするも、オメガデウス・ヴァルヤに触れた瞬間、砂のように砕け散る。

 オメガデウス・ヴァルヤが放っているクロの力によって自身が存在するエネルギーを放出されて、空間に溶ける砂のように消えて行く。


 そして、オメガデウス・ヴァルヤは星艦へ突貫して内部へ入る。

 その内部は、三つの太陽と、幾つも惑星を回すリングと、装置としての惑星達があり、その一つ、十字架のように光を放つ惑星がある。

 それにアークシアがいる。


 そこへクロは、オメガデウス・ヴァルヤを向けた。


 十字架の光を放つ惑星、その中心、そこには…エルドリッジがあってその内部が花のように開いている。

 エルドリッジを構成している数億の結晶棺達が花弁の中心にある雄しべの如く広がり、その中心には白光と輝く翼を背負う機神、オメガデウスがある。


 そのオメガデウスに乗るは…アークシアだ。

 オメガデウスのコアにいるアークシアに膨大な量のエネルギーが注ぎ込まれる。

 それは、超越存在としての新たな覚醒を促しているトリガーだ。


 この星艦が高次元から超高次元へと接続して、アークシアを更なる超越存在へ押し上げているのだ。

 それなら、成功する。アークシアは超越存在としての資質を十分に持っている。

 だが…。


 オメガデウス・ヴァルヤがアークシアのいるオメガデウス・ハレルヤへ近づき

「よう…」

と、クロが声を掛ける。

 クロの隣にいるレナは黙って見守る。


 アークシアがオメガデウス・アレルヤから

「父上、邪魔をしに来たのですか?」


 クロが

「お前が、このまま…超越存在として神化して終わるなら…黙っていよう。だが」


 アークシアが決意した顔で

「残念ですが。私は…もっと上に行きます。その階位まで行かなければ…アルテイル共和時空国を救えない」


 クロが呆れた顔で

「確かに、アヌンナキ、ホモデウスが治めた時空連合ホーリートライアングルは…十万年という治世を続けた。だが…それは…ホモデウスであるアルダ・メルキオールという絶大で絶対な残酷な支配者のお陰で成り立っていた。夢物語のような世界じゃあなかったぜ」


 アークシアが

「それでも、多くを救えるというなら…」


 クロがオメガデウス・ヴァルヤを

「そうかい、じゃあ…仕方ない。潰させて貰うぜ。生きとし生けるものはなぁ…後悔と絶望の歴史を積み重ねてこそ進化する。それを止める訳にはいかねぇ…」

と、オメガデウス・ヴァルヤをオメガデウス・アレルヤへ突貫させる。


 アークシアが苛立ち

「そうですか…犠牲を積み重ねるのが道を肯定するなら、否定します!」

と、オメガデウス・アレルヤを突貫させる。


 漆黒を纏うオメガデウス・ヴァルヤ

 白光を纏うオメガデウス・アレルヤ


 白と黒が衝突した。


 鮮烈な七色の光が周囲に広がる。


 クロがオメガデウス・ヴァルヤの両手に漆黒のエネルギーを握り締めて

「ガキが…全てを救えるなんて、夢物語を語るんじゃねぇぇぇぇぇ」


 アークシアがオメガデウス・アレルヤの周囲に幾つもの光達を召喚させて

「では、苦しむ人達を見捨てろ!と父上は言うのですか」


 オメガデウス・アレルヤの光達が、オメガデウス・ヴァルヤへ疾走する。

 それをオメガデウス・ヴァルヤは漆黒の拳で叩き潰す。


 クロのオメガデウス・ヴァルヤで光達を叩き潰しながら前進して

「それが! 傲慢なんだよ!」


 アークシアがオメガデウス・アレルヤから無数の光を発射して

「傲慢なんかじゃない!」


 クロがニヤリと笑み

「クソ傲慢な小娘…お前みたいな綺麗事が大好きなヤツが! 一番、世界を壊すんだよ!」


 アークシアが苛立って

「では、どうすれば苦しむ人達を救えるのですか!!!!!!!!」


 クロのオメガデウス・ヴァルヤで光を叩き潰しながら

「救う必要なんてねぇ。それを何とかしなかったツケが世界に充満して、世界中の全てが苦しむ事をしないと…世界は、人は…生きている者達は、対処しねぇんだよ!」


 アークシアがオメガデウス・アレルヤから光の攻撃を無限に放ちながら

「それじゃあ、遅い!!!!!!!!」


 クロのオメガデウス・ヴァルヤがオメガデウス・アレルヤに取り付き

「遅くてけっこうだ! 手遅れ、最悪になった! それでしか世界は学ばないんだよ!」


 アークシアは、オメガデウス・アレルヤとオメガデウス・ヴァルヤを両手で組み押して

「じゃあ、犠牲者がなければ動かないなんて…絶望です!!!!!!!!」


 オメガデウス・ヴァルヤとオメガデウス・アレルヤが両手を組み合わせて押し合う。


 オメガデウス・ヴァルヤは漆黒の全てを押し潰す闇を

 オメガデウス・アレルヤは白光の全てを輝かせる光を


 光と闇が衝突する。


 クロが

「アークシア…お前の目の前にいるオレは…かつて、このインドラ時空帝国を、アルテイル共和時空国の前の世界を救おうとした男なんだぜ」


 アークシアが叫ぶ

「だから! なぜ! 今の、この世界を救おうとしないのですか!」


 クロはニヤリとあざ笑い

「救おうとした世界が、この結末だ。救う価値なんてなかったんだよ」


「違う!!!!!!!!」とアークシアが叫ぶ。


 クロが声を荒げる。

「何を違ってねぇ!」


 アークシアが

「私は、超越存在として覚醒した時に幸福を感じた! 多くの苦しむ人達を救える…と。でも、でも、でも!!!!!!!!」


 クロが少し声を優しくして

「でも、救う所か…アヌンナキ・プロジェクトの遺産に手を染めるしかなかった。後悔している…と」


 アークシアが涙して

「ええ…そうです。だから、私は私が…皆を救える存在に、救世主になって…」


 オメガデウス・アレルヤと両手を組み合わせているオメガデウス・ヴァルヤが接近して クロが諭すように

「そういう甘い所は…サクラと一緒だなぁ…」


 時が来た。


 アークシアを超越存在とアヌンナキのハイブリッドにする力が貯まり、アークシアへ注がれる。


 虹色の光を放つオメガデウス・アレルヤ。


 アークシアが

「私は、父上が諦めた救世主になってみせる」


 クロが呆れた顔で笑み

「だから、ムリなんだよ」


 アークシアの超越存在としての階位が上がる。

 四十天文単位の星艦を繭にして、アークシアの新たなサルヴァードが出現する。

 光の翼を伸ばす巨大な鎧超龍が出現する。

 その全長十光年サイズ。

 光の翼と巨大な光輪を背負うアークシアのサルヴァード、エルテンス。


 そのサルヴァード・エルテンスを更にアヌンナキの融合として進化させる為に、結晶棺達が花弁となっているエルドリッジが光となって降り注ぐ。


 サルヴァードのコアであるアークシアが

「これで、全てが…私は救世主になる」


 遠くから見守るロゼスト達、ロゼストはアークシアの覚醒に笑み

「これで…全てが救われる」


 クロとレナの乗るオメガデウス・ヴァルヤも宇宙空間にして、サルヴァード・エルテンスを見上げる。


 レナが隣にいるクロに

「クロ、もしかして…これ、成功?」


 クロが鋭い顔で

「な、訳ないだろうが…」


 

 サルヴァード・エルテンスのコアにいるアークシアが

「これで…私は…ん?」

 アークシアは目の前にいる膨大な意識達に困惑する。

 その意識達は、絶望と怒りに満ちていた。

 そう、エルドリッジに取り込まれた者達の意思だ。

 アークシアが

「聞いてください。確かに…アナタ達は犠牲になった。でも、もう…これで…」


 強い怒りの衝動がアークシアを襲う

「そんな、聞いてください!」


 怒り怒り怒り憎しみ憎しみ怒り怒り怒り憎しみ怒り怒り怒り憎しみ怒り怒り怒り憎しみ

 怒り怒り怒り憎しみ怒り怒り憎しみ怒り怒り怒り憎しみ怒り怒り怒り憎しみ憎悪

 全てが許せない!!!!!!!!


 アークシアが拒絶と吐き気が襲う。

 それでも、アークシアは受け入れようとしたが、、その憎悪達が拒否をして


 アークシアのサルヴァード・エルテンスから赤黒い光の奔流が昇っていく。


 膨大な赤黒いエネルギーが収束して形を形成する。

 それは、多頭龍だ。全てを食い殺して破壊するという衝動によって誕生した超龍である。


 クロが

「ああ…こうなった」

と、呟く隣に、ミカボシとスクナのオメガデウスが来る。


 ミカボシが

「失敗か…」


 スクナが

「やはり、ダメだったか…」


 レナが

「クロ、どういう事になっているの?」


 クロが出現した数百億光年サイズの赤黒い多頭龍の超龍、デューヒュドールを見上げて

「アヌンナキの記述には、サタンヴァルデットっていう罪人を食い殺すバケモノを産み出す方法がある。要するに…超越存在としての方向性を見いだせば、サタンヴァルデットっていうバケモノから遠ざかるが、アヌンナキ、ホモデウスを創造しようとすると、必ずサタンヴァルデットを通らないといけねぇ」


 スクナが

「要するに失敗して、サタンヴァルデットの紛い物が誕生した…という事だ」


 レナが恐る恐る

「じゃあ、このまま放置すると…どうなるの?」


 ミカボシが

「サタンヴァルデットになろうとして、周辺の銀河や宇宙にいる知的生命体達を食らい付くして、サタンヴァルデットになるまで暴走し続ける」


 スクナが

「まあ、この時空と周辺の時空にいる者達は、滅んだな」


 クロが

「それを止められるのは、オレだけ…だが…」


 ミカボシが

「コクテン、君の力が発揮できるように時空を支えるのを、自分とスクナがやろう」


 そこへ

「私も…手伝えるわよ」

と、ナーシャがオメガデウスに乗って現れる。

「ミカボシと…私、そして、もう一人の三人の超越存在の御柱を使えば…より安定していけるはずよ」


 ミカボシが鼻息を荒げて黙る。


 レナがクロを見つめて

「クロ…」


 クロが

「分かっている」


 ミカボシがクロだけに伝わる秘匿で

「実はな………」


 クロはそれを聞いて苛立つ顔をするも、直ぐに平静に戻り

「今は、これに対処する事に集中する」 


 スクナが

「では、準備はいいかね」


 ナーシャが

「ええ…」


 ミカボシが

「何時でも…」


 スクナ、ミカボシ、ナーシャの三人が個々に乗るオメガデウス達が光の輪を形成して、波動を放つ。

 その波動が、この時空を包み、クロの力の発動に耐えられるようになる。


 クロは操縦席から立ち上がり

「じゃあ、行ってくるわ」


 レナが

「私は、何をすればいい?」


 クロが微笑み

「早く帰ってこいって祈っていてくれよ」


 レナが頷き

「分かった」


 クロが光となって

「じゃあ、直ぐに終わらせてくるぜ」

と、告げて光となって昇った。


 光となったクロは、アークシアから漏れ出るデューヒュドールへ向かう。


 アークシアがそれを見て

「父上」

と。

 

 それにクロが

「全く、言っただろう。失敗するって」

と、送り昇る。


 数百億光年サイズとなった鎧の多頭龍の超龍デューヒュドールの上で漆黒の爆発が生じる。

 その爆発は、デューヒュドールと同等の大きさで、そこから巨大な鎧の腕が伸びる。


 漆黒の爆発の元は、クロである。

 クロの超越存在の顕現であるサルヴァードが出現する。

 クロのサルヴァード・シャヴァラス

 三対の鎧腕を持ち、背中には燃えるような光輪を背負い、三ツ目の鎧頭部を持つ、不動明王の如き鎧のサルヴァードが顕現した。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次回、戴冠式

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