白夜 26話 決意の先
次話を読んでいただきありがとうございます。
それぞれの道、そして、その行動が…
クロは、オメガデウス・ヴァルヤに乗って色々と設定をしていた。
その間にオメガデウス・ヴァルヤが格納庫の空中に浮かび、様々な装備が装着されていく。
その接続を確認するクロの席の隣にレナが来て座る。
「順調?」
クロが設定を操作しながら
「順調も何も…装備のリンクを繋げているだけだからなぁ…問題ない」
レナがクロを見つめて
「ねぇ…クロ。本当にクロの言う通りになるの?」
クロが手を止めて右にいるレナを見つめて
「なる。絶対に連中の企みは失敗する。1000%だ」
レナが驚きの顔で
「どうして、失敗するって確証できるの? アークシア女王は、クロの遺伝子から生まれたデザイナーズなんでしょう? しかも…相当に強化されたタイプで」
クロが嘲笑の顔で
「アイツは、純粋すぎるんだよ。人として真っ当すぎる。だから失敗する」
レナが眉間を寄せて
「それって、成功するタイプに多いと思うんだけど…」
クロがレナに
「いいか、超越存在なら…人として真っ当で真っ直ぐならありだが、アヌンナキ、ホモデウスは違う。人間の邪悪の底の底を知って受け入れる力が必要だ。純粋で真っ直ぐな、優しく真っ当な人間は、それはムリだ。人間の最悪すぎる絶望的な性質を知って、失望して潰れるだけさ。それが原因で失敗する」
レナが少し悲しい顔で
「じゃあ、どうして…クロは…超越存在になれたの? そして…私は感じている。アナタの内側には、ホモデウスのような…得体の知らない何かがある」
クロはどう、答えれば良いか…という微妙な顔で
「オレは、タイプが違うんだよ。色々とな。だから…そう、だから分かる。それだけさ」
レナが
「じゃあ、聞かせてよ。クロの昔の事…」
クロが驚きでレナを見つめて
「ん…もしかして、ミカボシやスクナから色々と聞いたのか?」
レナが
「私が聞いたのは、クロが…ディーエ時空連邦の超越存在だったシュバラとイーシュって二人を救おうとして…死んでしまった事だけ」
クロが、ふふ…と笑み
「なるほど…」
レナがクロに近づきクロの瞳をずっと深く見つめて
「だから、それ以前の、クロが…クロードだった頃の話が聞きたい」
クロがイスに深く腰掛けて
「嫌だって言ったら?」
レナが
「必要な事以外、クロと会話しない。今後…」
ふふふ…とクロは、子供のようなレナのワガママに笑ってしまうが…
「分かったよ。これが終わった後に、話そうか…長い長い、どうしようもない。おっさんの愚痴だぞ。いいのか?」
レナは頷いて
「それでもいい。聞かせて…」
クロはレナの頭を子供のように撫でて
「じゃあ、後でな。約束だ」
◇◇◇◇◇
アークシア達は、アクジズ星系の主星から飛び立つ。
一隻の大きな宇宙戦艦、それに追随する多くの宇宙戦艦達と、メガデウス達。
大きな宇宙戦艦、アークシアが乗る旗艦にロゼストとナイツ達のメガデウス達が並んで続く。
アークシアを運ぶ旗艦、その先は…あの星艦だ。
ロゼストがアークシアに通信を繋げて
「アークシア様、後の妨害に関しては…我々が…」
アークシアが溜息を漏らして
「父上が…これを否定した。ならば…」
ロゼストが頷き
「ええ…必ず破壊しようとするでしょう」
ロゼストのメガデウスの隣に、ジースが操縦する宇宙戦艦の戦闘機バトルシップが近づき
「ロゼスト、我々は…勝てるのか? あの…マハーカーラ最強の男に…」
ロゼストは仮面に隠す口元で笑み
「勝利する必要はない。抑えるか時間を稼げればいい」
ジーズが
「アークシア様が…覚醒するまでの…時間稼ぎか…」
ロゼストが
「そうだ」
ジーズが複雑な顔をして
「クロードには味方になって欲しかったが…」
ロゼストが笑みながら
「敵か味方か…分からない状態より、ハッキリと敵と分かった方が楽だ」
ジースが厳しい顔で
「我々が全力で戦っても勝てない、メガデウスという超兵器でも勝てない。そんなバケモノが敵とは…」
ロゼストが
「存在がない幽霊と戦う訳じゃあないんだ。実体がある。それで十分だ」
アークシアが一人で乗る旗艦は、星艦へ近づく。
星艦の一部が開き、そこへアークシアの旗艦が入って行く。
アークシアが旗艦の操縦艦橋で祈っている。
その祈りが願う先。
星艦の内部に入ると、そこは…星系だ。
三つの太陽が中心に鎮座する星系の内部があり、その星々を巨大なリングが繋ぎ、まるで精密時計の内部のような星系、星艦の内部。
アークシアが乗る旗艦が、とある惑星装置へ近づく。
輝く結晶で構築された惑星サイズの装置へアークシアの旗艦が近づくと、その惑星サイズの装置の表面が開いて、内部を見せる。
そこには、巨大な結晶の十字架があった。
その巨大な十字架には、エルドリッジに取り込まれた者達の結晶棺が並んでいる。
アークシアは、この結晶棺達を収束してアヌンナキ、ホモデウス、神人を構築して、更に星艦の中心にある三つの太陽には、超越存在のミカボシとスクナがいる。
その二人の超越存在から、超越存在の超高次元からの力を召喚させて、アークシアに注ぐ。
アヌンナキの収束したエネルギーと、超越存在のエネルギーをその身に受けて、アークシアは、超越存在とアヌンナキのハイブリッドになる。
それが成功するかは…
それでもアークシアはやるしかない。
アークシアの乗る旗艦が、惑星サイズの装置の内部に入り、吸収される。
祈るアークシアの周囲を結晶の球体に包む。
アークシアはひたすらに祈る。
自分を…導く光を求めて。
その身を生け贄にして…未来を作る為に。
◇◇◇◇◇
アークシアが星艦に取り込まれると、星艦が虹色の光を放つ。
ついに始まる。
だが、遙か遠方の宇宙から一筋の光が出現する。
オメガデウス・ヴァルヤだ。
オメガデウス・ヴァルヤは、超光速で星艦へ向かう。
オメガデウス・ヴァルヤにはクロとレナの二人が並んで操縦席に座っている。
レナが
「クロ、始まったみたい」
クロが笑み
「予定通りだ」
ここまで読んで頂きありがとうございます。
続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら
ブックマークと☆の評価をお願いします。
次話を出すがんばりになります。
次回、結末への