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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
愛娘、アイカ

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第95話 アイカとの出会い

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは、子供達を奴隷にして捨て駒にしたゾルトリアの所行に、激怒を越えた赫怒となり、ゾルトリア達は卑劣な手段でディオスに攻撃する。赫怒するディオスは…


 レディアン達は、悲鳴が止んだので王都御苑に突入、それは他の組織の者達も同じだった。

 突入すると、そこは死屍累々が相応しい場所だった。

 ディオスによって、両手足の全ての関節を外されて絶望顔で気絶する者達が横たわり、別の場所では、強力な炎で吹き飛んだような者達や、稲妻で焦げた連中もいる。


 それをレディアンと共に見たナトゥムラが

「オレ達なんて必要ないんじゃない?」


 レディアンが

「まあ…捕まえるには人海戦術だ。ディオス達の方へ行くぞ。戻って来ないという事は、何かがあったんだ」




 ディオスは、自分を殺すためだけに集められたスキル持ちの子供達を抱き締めて涙していた。

「ごめんよ。オレ…君たちの家族を守れなかった。ごめんよ」


 優しく抱き締めるディオスの温もりを子供達は感じて、警戒が緩くなる。


 アイカもディオスの温もりを感じてホッとする。

 ああ…暖かい…。

 久しぶりの優しい温もりだ。


 クレティアが

「ダーリン、子供達を連れて逃げて」

 その声はディオスの耳に届いていない。


 クリシュナが

「アナタ…ここは私達がやるわ」


 ディオスは立ち上がる。


 ディオスは己に語りかける。

 ふざけるな! こんな事が許されていいのか!

 それに答える声。

 否

 その声はディオスの渦にいる存在からだった。

 その存在はディオスの強烈な意思に同調していた。


 こんな事…絶対に許されない!

 ソウダ、許スマジキ!

 許せない!

 許ス、アタワズ

 故に、故…。

 

 ディオスはスッとそこから動く。向かう先は、ゾルトリアの十二人である。


「ダーリン!」

と、クレティアが叫んだ次に悶える。

 ディオスから送られる魔力の圧力が一気に跳ね上がった。


 ゾルトリアの連中は、狙い通りだと…。

 ディオスはこういうのが許せないタチなのを知っている。


「アーリシアの大英雄の首! 取ったりーーーーー」

 三名が疾走する。


 ゾルトリアは魔法で加速してディオスに迫る。

 

 クリシュナが「あ」とアナタと叫ぼうとしたが、ディオスから送られる魔力に押さえれて黙る。

 そして、ディオスから僅かに霞みが昇っているのが見えた。

「え…何?」とクリシュナはそれが理解出来なかった。


 ディオスは悠然とゾルトリア達に近付く。


 三人の仮面、ゾルトリアがディオスに斬り掛かる。


「ハハハハハハハ!」

 挑発に乗って我を忘れたディオスに勝ったと思った。


 だが、ディオスに向けた剣が、ディオスの振るった拳に砕かれ、拳が迫る。


 バカめ! 我らはスキル注入されている! スキルの効果で我らの体は鋼を越える…

 拳が顔面にメリ込み顔が変形する。

 意識途絶、軽々と数メータまで飛んでグルグルと回転して地面に頭から落ちた。


「え…」

と、ゾルトリア達は動きが止まる。


 拳を堅くするディオスが怒り、涙する顔を見せ

「お前等…覚悟は出来ているんだろうなぁ―――――――」

 ディオスの瞳が紅く輝いた。


 ディオスに殴られ地面に転がり痙攣するゾルトリアのメンバーに他のメンバーは

「は! 油断しやがって!」

 向かっていたゾルトリアの二人が再び斬り掛かる。


 ディオスに斬り掛かる二人、ディオスは拳を走らせる。


 最初の男が

 バカめ! おれの持っているナイフはアダマンタイト製だ! 折れる筈が


 軽々と、ディオスはアダマンタイトのナイフを粉砕。

 その拳が、鋼鉄と同じ強度の筈の体に沈み、くの字の曲がった後、果てまで吹き飛んで、木に衝突、意識途絶。


 後の一人が「おおおおおおお」とディオスに斬り掛かるも、持っているナイフがディオスに刺さった瞬間、折れて

「え! そんなバカな! アダマンタイト」

という言葉を残してディオスのアッパーを食らって空を飛び、後頭部から落ちた。


 残りの九人は、ディオスの様子に驚愕する。


「クソーーーー」

 三人が魔法陣を両手にディオスに直接魔法を浴びせて倒そうとする。


 ディオスの前まで疾走、ディオスに向かって攻撃魔法を放つも


 ゴオオオオオオオオ!


 ディオスは人知を超えた咆吼を放って攻撃魔法を消し飛ばした。


「え!」と三人が止まった瞬間、ディオスのパンチを顔面、顎、顔側面から喰らってぼろ切れの如く空中を舞って、後頭部から落ちた。

 

 ディオスは怒りで涙しながら、残りのゾルトリア達に近付く。


 クレティアとクリシュナは呆然とする。

 ディオスは、魔法を発動させる魔力も、自分達から受けたスキルさえも封印されている圧倒的不利でも、相手を圧倒する。

 二人は、嬉しさと武者震いで悶えた。

 これが、自分達の夫だと! 改めて尊敬と敬意が沸き起こる。

 

「クソッタレがーーーー」

 残り六人の内、バラルを除く五人が、召喚の魔導水晶を使って巨大なゴーレムを五体出現させる。


 子供達は震える。

 そう、家族や家を、周囲の家々や人々を無残に殺した強力なゴーレムが現れたからだ。

 二十メートルの鋼のゴーレムが、ディオスに向かって殴りかかる。

 圧倒的質量が迫るが、ディオスが巨拳に向かって殴りかかり。

 敵うはずがないが当然だろう…だが、違った。


 ディオスの拳が、ゴーレムの巨拳に勝ってゴーレムの腕が吹き飛んだ。

『オアアアアアアア』

 ディオスは吠えて、ゴーレム達を拳で粉砕する。


 二十メータの鋼の巨体が、軽々と裂けて粉砕。


 見る間に五体のゴーレムは破壊されてくず鉄となった。



 その場景に子供達は、ディオスに…感激する。

 これが…。


 ゴーレムをアッサリと失った五人は、ディオスに向かって斬り掛かる。

 持っているナイフや剣は、最強の高度、加工には同じアダマンタイトを使用しないと加工できない、アダマンタイト製だが…そのナイフや剣を軽々とディオスは粉砕。

 五人の顔面、顎、腹、顔側面、顎と拳を叩き込む。

 五人は吹き飛んで空を飛び、地面に転がる。


 その光景を、駆け付けたレディアンとナトゥムラにマフィーリアと、ヴァンスボルトは見た。

 鬼神の如きディオスに、四人は驚愕していた。


 最後の一人になったバラルにディオスは迫る。

「ま、待て…なぁ…」

 バラルは怯えたフリをして、背面から四つの刃を伸ばしたアームを伸ばしてディオスを背面から刺そうとするが、その四つのアームをディオスは拳で粉砕する。


 バラルは驚愕する。

 そう、この仕込みアームの武器もアダマンタイト製なのだ。

 それを粉砕するディオスに、怯えていると。


 ディオスはバラルの腹に拳を叩き込む。

「ゴフフフフフフ、オウゥ、う…」

 強烈な痛みがバラルの腹部を襲う。

 バラルも、ゾルトリアの連中は、エビルの外法によって体を鋼鉄化させるスキルを発動させているのに、それにも構わずディオスの一撃が、生身で鋼鉄の棒に殴られたような威力である。

「ウィィィィィィィィィィ」

 バラルは袖に仕込んだアダマンタイト製のナイフを両手にして、ディオスに斬り掛かる。


 何度も言う、アダマンタイト製の金属は、同じアダマンタイトでないと加工できない。


 それをディオスは問答無用に拳で粉砕、バラルの顎に綺麗なアッパーを叩き込んだ。


 バラルの仮面は半壊、バラルは空中を飛んで回転しながら、背中から落ちた。


 バラルの意識は完全に途絶、痙攣していた。


 そこへ、ディオスはバラルの襟を掴み、殴りかかろうとした。

 止めである。


 その上がった右腕をクレティアが触れて

「待った。ダーリン…あの子達に、人殺しを見せていいの?」


 クリシュナがディオスの左肩に触れて

「そうよ。もう…お終い…ねぇ。アナタ」


 ディオスは後ろにいるアイカ達子供を見て、バラルの襟を離した。


 クレティアとクリシュナは、本気でディオスに惚れ直した。

 赫怒している状況で、これ程までに自分を維持できるのだから。


 クレティアは、辺りを見回す。

 倒されたゾルトリアを見て

「ああ…不利な状況だったのに…勝っちゃったよ。ダーリン」


 クリシュナが

「アナタに施された呪印、解呪するわ」

と、ディオスへ施されたゾルトリアの呪印を解除していった。


 その後、王都御苑にいた全ての犯罪者達は、合同の組織部隊に捕らえられというより、回収されて、一段落した。



 ディオスは、両手を少しケガしていたので、回復魔法のエンチャンされた包帯で軽く手当される。

 その後、七人のゾルトリアによって奴隷にされ、解放されたアイカ達子供に近付くと

「なぁ…ウチに来ないか?」


 アイカ達子供達は、顔を見合わせた後、頷いた。

 それしか、道はない事が分かっていた。



 ディオスにクレティアとクリシュナの三人とアイカ達七人は、大きな魔導車に乗ってゼリティアの城邸に来る。


 城邸では、ディオスから事情を聞いたゼリティアが多くの女中と執事を連れて出迎え

「さあ…まずは…汚れと、そのボロを変えようぞ」

 ゼリティアは子供達を向かい入れた。


 子供達は、最小限にボロボロの格好だった。


 城邸の女中達が、子供達を運んで、一緒に大きな城邸の大浴場に入って汚れを綺麗に洗う。


 その間に服と、城邸のコック達が、腕を振るって料理を作る。

 城邸の全員が、ゼリティアから子供達の身の上の話を聞かされ、何とかしようと心が燃えていた。

 綺麗になった子供達は、城邸の医者に診て貰い健康状態をチェックする。

 問題はないが…栄養状態が悪いので、栄養のある食事を必要とすると、それをコック達に伝えると、料理を消化に良い状態にする。


 ディオスは、城邸でスヤスヤと三つのベビーベッドで眠るティリオ、リリーシャ、ゼティアに寝顔を見つめていると、クレティアがソッとドアを開けて

「ダーリン、子供達が…」


「ああ…」

と、ディオスは立ち上がってクレティアとその場を交代する。


 ディオスは綺麗になった子供達を広間で見る。


 男の子が三人、女の子が四人の七人で、年は…皆、六歳から八歳だった。


 ディオスはそれで余計に涙がこみ上げる。

 まだ、年端もいかない子供達が…。


 それにゼリティアは肩を置いて

「さあ、夫殿…」


「ああ…」

と、ディオスは涙を拭って

「みんな…こっちへ」

 料理が沢山ならぶ大食堂に来る。


 子供達は、沢山のバイキングが並ぶテーブル達に目を輝かせる。

「さあーーー 存分に、好きなだけ食べてくれ」


『わああああああ』

 子供達は一斉にバイキングのテーブル達へ走った。

 料理が並ぶ巨大な皿達の傍には、執事達や女中達が並び、子供達の大きなお皿へ料理を盛る。


 子供達の目の前で肉一杯の美味しそうなスープ、肉の春巻き、具だくさんのカレー、七色のプリン。

 とにかく、執事達と女中達は豪勢に盛って子供に渡すと、ガマン出来なかったのか、手づかみで食べる子供がいた。


 子供達はおいしい料理に目を輝かせて興奮する。

 ゾルトリアに捕まってからは、マズイ栄養食しか与えられなかった。

 それが、今は豪華で豪勢な料理が取り放題、食べ放題だ。


 子供達は、席に着いて盛られた色取り取りの食事を口にかき込む。


 美味しそうに食べる姿に、事情を知る執事達や女中達の瞳にはこみ上げるモノがあった。


 食べ終わると直ぐに子供達は、オカワリにいって、好きなだけよそって貰う。

 

 そこへディオスが来て

「どうだ?」


 子供、アイカが「ホガホガ(おいしい!)」と答えた。


「ははは」とディオスは楽しそうに笑う。


 そこへ、セバスが来て

「ゼリティア様…レディアン様達が…」


 セバスの後ろにはレディアン、ナトゥムラ、マフィーリア、なんと…ヴァアナにケンジロウもいた。

 レディアンが子供達に寄り添うディオスに来て

「御苦労だったな。その…例の子供達か…」


「ああ…」とディオスは頷く。


 レディアンも子供達の事情を知っている。

 故に、子供達が楽しそうに食べる姿に心が温かくなる。


 ヴァアナが来て

「ゾルトリアの連中の始末は任せろ。こんな外道をやった奴らにはそれ相応の罰を与えてやる」


 ディオスは肯き

「ああ…頼む」


 子供達の嬉しがる晩餐に、レディアン達も加わって大騒ぎの楽しい事となった。


 お腹いっぱい食べた子供達は、七人が余裕で眠れるセブンスサイズの大ベッドに来て、眠る。

「じゃあなぁ…」とディオスは呼び掛け、部屋を出ようとしたが、子供達がディオスの手を取って


「一緒に寝て…」

 アイカが告げる。


 両脇にはゼリティアとクリシュナがいて、二人はディオスの背中を押して

「だってアナタ」

「そうじゃと夫殿」

 二人に押されてディオスは

「分かった」

と、子供達と共に巨大なベッドで眠る事にする。


 ディオスが真ん中で、子供達は左右に広げたディオスの両腕を枕にして眠り始める。

 子供達が静かになると、ディオスはフッと笑み

「もう…大丈夫だよ…」


 子供達は、夢を見る。

 それはゾルトリアに故郷を、家族を、友達や、隣の人達まで、殺される悪夢だ。

 ゾルトリアの魔の手が自分に伸びて捕まった瞬間、ゾルトリア達が吹き飛ぶ。

 ゾルトリアを殴り飛ばしたのは、ディオスだった。

 ディオスが、次々とゾルトリア達を倒して悪夢を、楽しい夢に変えてくれた。


 ディオスも気付けば、子供達と眠っていた。

 ディオスの全身が子供達の枕となって七人の子供達は、ディオスに触れて眠る。


 その同時刻の夜中、ゼリティアとクレティアにクリシュナの三人が、部屋で飲み物を片手に話していた。


 クレティアが

「これを見てくれる」

と、三人の間にあるテーブルへポケットにあった何かを包んだ布を置く。


「なんじゃ?」

と、ゼリティアは包みを開けると、そこにはゾルトリアの連中が使っていたアダマンタイトのナイフの破片があった。


 それにゼリティアが触れた瞬間

「お! 熱!」

 そう…破片が触れない程に熱いのだ。


 クレティアが

「驚いたでしょう。これ…アダマンタイトのナイフの破片なの。夫がこれを殴って破壊した時に出たモノよ」


 ゼリティアは驚き

「何と…ついに夫殿は、アダマンタイトでさえ、破壊する魔法を編み出したのか…」


 クレティアが首を横に振って

「いいや、この時、ダーリンは魔法やスキルを罠で封じられていたのよ」


「はぁ?」とゼリティアは首を傾げる。


 クリシュナが

「夫は、どういう原理かは分からないけど…。アダマンタイトを破壊して、相手を圧倒して倒す事をしたわ。ゼリティア、これを触った時に熱かったでしょう」


「ああ…うむ」

 ゼリティアは頷く。


 クリシュナが

「アダマンタイトは、魔力を増幅する効果がある。その増幅作用は数千倍…。故に色んな魔法道具や、魔導鎧、装備なんかにも使われている。

 おそらくだけど…夫は、アダマンタイトが受けていられる許容の数万倍もの魔力をアダマンタイトにぶつけたから、拳撃で壊せたと思う。

 そして、壊れたアダマンタイトの破片は、その魔力を蓄積しているから、触った時に膨大な魔力の放出をして熱く感じる」


「なんと…」

 ゼリティアは頭を抱える。

 そう、そんな凄まじい魔力を一気に放出するなぞ、体が耐えられない筈…

「夫殿に異常は?」


 クレティアが

「前のヴァシロウスの時のように、急激な魔導疲労を起こしているか? 検査したけど…普通程度の魔導疲労しか起こしていないって」


 ゼリティアはホッとして

「そうか…。しかし、夫殿は何をしたのだ?」


 クリシュナは首を振って

「分からない。でも…確かな事は…夫は凄かった。本当に痺れるくらい凄かった。それだけよ」


 ゼリティアは目蓋にディオスが、アダマンタイトを砕く様子を浮かべる。

 気持ち的には、信じられないが…どこかで、それをやってしまうだろうと…思ってしまう。

「そうか…それは、きっと凄まじい光景だったろうなぁ…」


『ええ…』とクレティアとクリシュナは強く頷いた。



 当の本人、ディオスは、子供達に囲まれて幸せそうな顔で眠っていた。

 へへへへ…と不気味だが暖かい笑みを浮かべて。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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