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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
星を繋ぐ子供達
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星光 第149話 死神とシンイラ

次話を読んでいただきありがとうございます。

シンイラとの戦いの前に、ヴァサラス大佐から昔話を聞くティリオ


 ティリオの元へヴァサラス大佐が来た。

「やあ…」

と、ヴァサラス大佐がティリオを正面に対面のソファーに座る。


 ティリオがお辞儀して

「ようこそ、どのような事で自分に?」


 ヴァサラス大佐が少し悲しげな顔で

「そうだね。昔話をしに来たんだよ。兄さん達が…そうハジュンとアテルイの二人が、どうして…戦争シェアリングというシステムを作ったのかを…ね」


 ティリオが困惑気味に

「戦争シェアリングは、最初は…争いを限定的に行って調停させる為に生まれたのでは?」


 ヴァサラス大佐が溜息交じりで

「それは建前の話さ」


 ヴァサラス大佐が語る過去、今から三十年前だ。

 ディーエ時空連合がまだ、ディーエ時空連邦だった頃

 ディーエ時空連邦は、様々な時空の流民の集合体だった。

 様々な理由で、各々の時空から排斥されて、ディーエ時空連邦へ流れ付いていた。

 ディーエ時空とその周辺の時空達は、エネルギー量が低い時空で、資源や活用できる惑星の土地が少ない時空達の集まりだ。


 時空には様々な場所がある。最初から資源や活用できるエネルギーが多い時空は、早くに文明や知性体が発展して、他時空へ移動する程の文明になるが…その資源やエネルギーが少ない場所では、発展が遅れて…その前に息絶える知性体達は多い。

 ディーエ時空とその周辺の時空にも微かな文明の跡はあるも、それは全て絶えてしまい、こうして他時空からの流民の居場所になってしまった。

 そんなディーエ時空連邦に二人の超越存在が現れた。

 それが…ハジュンの始まりであるシュバラと、アテルイの始まりであるイーシュだ。

 双璧の超越存在

 超越存在の出現としては珍しい事ではない。

 超越存在は、必ず対局、対となる二対の超越存在が出現する事がある。

 超対称性やら色々と言われるも、要するに強大な二つが同時に出現して、世界のバランスを保つのだ。


 シュバラとイーシュの二人は、超越存在の権能を発揮してディーエ時空連邦に様々なエネルギーや物資を生産してばら撒いた。

 その恩恵によって、苦しい生活を余儀なくされていた者達の多くが救われた。

 確かに救われたが…結局は、新たな問題も起こっていく。

 それは…二人の超越存在に近い者達ほど、豊かになっていく差が生じる。


 公平な分配というのは存在しない。

 誰しもが主張する公平というのは、自分のとっては公平でも相手にとっては不公平なのだ。

 それは、どうしようない事実であり真理だ。

 世界は、社会は、人の世の中は、絶対に公平にならない。

 そして、問題が起こった事でしか解決でないし、解決する力が働かない。

 世界の問題が最悪な頂点に達した事でしか社会や多くの人々は動かない。

 時既に遅し

 それが世の常なのだ。


 二人の超越存在の王は、ディーエ時空連邦のエネルギーや物資の問題は解決させても、人々に渦巻く差別や格差を救う事はできないのだ。


 その人々の不公平と不満を正確に知るために…二人は、とある存在と接触した。

 それはシンイラだ。

 シンイラ、罪を狩る神々、サタンヴァルデウス達には高次元から知性体の無意識にアクセスして罪人を観測する力がある。

 それを応用して、ディーエ時空連邦にいる人々の意識を観測して、不公平や不満の正体を掴んで対処する。

 高次元からの意識観測により対処するシステムを作り出した。


 シンイラの持つサタンヴァルデットを作る技術?

 そのサタンヴァルデットに関する記述、技術、叡智を使って…

 ディーエ時空連邦の全体に存在する超空間ネットワークを下地に、その意識観測システムを構築した。

 それにより、多くの人々の意識を観測して不平不満や不平等の根幹への対処が始まった。

 それは、一応の成功をもたらしたが…新たな問題が出現した。


 それは、超越存在が不要なのでは?

 そう、超越存在に依存していたディーエ時空連邦は、超越存在が作った時空達を支えるシステムによって、超越存在の必要性に疑問が生じた。

 それと同時に、自分達は超越存在を超えた存在になった…と傲慢になっていった。


 煽り運転と同じ心理だ。

 運転手の能力は向上していない。車が進化して快適になった結果、運転手が自分の運転能力が上がったと勘違いするのと同じ現象だ。


 そして…やってしまった。

 超越存在が諸悪の根源として、ディーエ時空連邦の人々は、超越存在を敵視して…

 更に悪化する現象が続く。

 ディーエ時空連邦には、多くの時空の流民が流れてくる。

 その者達の不満のはけ口として、超越存在のシュバラとイーシュが…ディーエ時空連邦の敵にされた。

 ディーエ時空連邦を救おうと奔走した二人が悲しくも、ディーエ時空連邦の敵にされて…

 そこから戦争シェアリングの始まりが起こった。

 世界の敵と戦う戦場、それが戦争シェアリングの始まりだ。

 シュバラとイーシュは、ディーエ時空連邦の超空間ネットワークのシステムに縛られて…未来永劫、人々の不満のはけ口として敵として戦わせて、敗北し続ける。

 それならまだしも、シュバラとイーシュの超越存在のエネルギーを搾取し続ける事もした。

 それを新たに来た流民達に配る事で、ディーエ時空連邦は黄金期を迎えて、ディーエ時空連合となった。


 二人の超越存在の王による生け贄によって、ディーエ時空連合は成り立つ歪な世界となった。

 それに超越存在の家族であった者達も…加担してしまった。


 誰かを敵にして維持する世界に未来はない。

 自分達の問題を、自分達の悪性を直視しない者達に未来はない。


 ある超越存在の王がディーエ時空連合に挑み、シュバラとイーシュを助けた。

 だが、それをディーエ時空連合は許さなかった。

 その三人の超越存在の王達を…一個の時空と共に殲滅する作戦を打ち立てて

 成功させた。


 ディーエ時空連合は、世界から敵が消えた!と勝利宣言した。


 だが、それが地獄の始まりだった。


 超越存在の王達が作ったシステムは、超越存在の王でしか修理できない。

 今まで無償で維持されたディーエ時空連合を支える超空間ネットワークのシステムが様々に機能不全を起こして、ディーエ時空連合が一気に危機に陥る。

 それが、更なる悲劇の加速を起こす。

 エネルギーと資源が目減りして限られるディーエ時空連合は、戦争シェアリングを使って破壊して全体量を減らして、目減りしていくエネルギーと資源で維持するしかない。

 膨大な人命と資産に財産を戦争シェアリングで壊しつつ、何とか維持されたディーエ時空連合

 その穴埋めとして、時空の流民を受け入れる事をした。

 地獄のような戦いでしか生きられない世界になった。


 二十年前、新たな超越存在として転生したハジュンとアテルイが帰って来た。

 それにディーエ時空連合は、救世主として飛びついたが…

 それは救世主ではなかった。

 ディーエ時空連合の更なる戦争シェアリングの加速と悲劇の拡大が始まった。

 それに従うしかないディーエ時空連合の者達。

 

 ディーエ時空連合は、全てが暴露されている。

 過去の超越存在の王達を犠牲にして成り立った罪人達が暮らす世界。

 それがディーエ時空連合の本質であると…知れ渡り、戦争シェアリングによる絶望と地獄の生産を容認した。

 

 過去に、なぜ…あんな愚かな事をしたんだろうか…?

 大義名分、オレは正しいとする誹謗中傷する者達と同じ心理になって

 未来にあるのは絶望という、真実しかない。


 ハジュンとアテルイは、新たにミカボシとスクナの超越存在の仲間と共に時空サイズのシステムを作り出した。

 そのシステムは、戦争シェアリングのシステムと繋がり、戦争シェアリングの勝者に資源とエネルギーを与えて、敗者に勝者を殺す牙を与える。

 ディーエ時空連合は、戦争シェアリングを通じて未来永劫に勝者と敗者が入れ替わり、殺され壊されて、恨み憎まれて、絶望と悲劇が渦巻く地獄の世界へ変貌した。


 そんな地獄に排斥された時空の流民達が流れ付く。

 行き先は、地獄でも死ぬよりはマシ…として。

 人の本性である悪性をトコトン利用する戦争シェアリングのシステムは、大いに地獄を大生産している。


 ヴァサラス大佐が過去の話をティリオに語り終えると

「これが、アシュリオ兄さん、ナライラ様の真実です」


 それを聞いてティリオは黙るしかない。


 ヴァサラス大佐が涙しながら

「どうして私達は、何時も過去を後悔しています。だから…シュバラとイーシュであったアシュリオ兄さんとナライラ様に…殺される事を望み、自ら戦争シェアリングで殺された者達もいました。それで兄さんやナライラ様の恨みが消えるなら本望であると…それでも…何も変わらなかった。だから、アナタ達が壊してくれる言ってくれた時…嬉しかった。私達は救われる事を望んでいません。この戦争シェアリングが破壊されて、兄さんとナライラ様の憎しみが消える事を望んでいます」


 ティリオが困った顔で

「すいません。ボク達は…」


 ヴァサラス大佐は涙を拭って

「分かっています。キュリア達を助ける為に破壊する。それでも…我々が望んだ事をしてくれるのは変わりません。だから、ありがとうございます。そして…自分を通じて全てのディーエ時空連合の者達が協力する所存です」


 ヴァサラス大佐がティリオとの対話を終えて部屋から出る時に、目の前にグランナとキュリアの二人と、ドアの左右にファクドとレリス、スラッシャーの三人がいた。

 ティリオとヴァサラス大佐の話を静かに聞いていた。


 ヴァサラス大佐がキュリアに

「キュリア、君達は今後の結果を関係なしに、グランナ殿の所へ行きなさい」


 キュリアが悲しい顔で

「大佐…私は…」


 ヴァサラス大佐が微笑み

「大丈夫だ。どんな事になっても私達は…だから」

と、ヴァサラス大佐がグランナの肩に手を置いて

「キュリア達の事、任せたぞ」


 グランナがお辞儀して答える。


 ◇◇◇◇◇


 ティリオは、一人…外に出て夜空を屋上から見上げていると、その後ろにあるドアからエピオンが現れて

「ティリオ・グレンテル。話がある」

と、エピオンが隣に来て

「このディーエ時空連合が昔…」


 ティリオが

「それ、ヴァサラス大佐から聞いたよ」


 エピオンが

「そうか…で? 続けるのか?」


 ティリオが頷き

「続けるよ。最後まで…」


 エピオンが渋い顔で

「救いがあるか…どうかは分からない。だが…一つ言えるのは、終わりがある。それだけだ」


 ティリオが

「ねぇ…このディーエ時空連合の戦争シェアリングで作ろうとしている。父さんのカウンター超越存在の魂ってもしかして…」


 エピオンが背を向けて

「それは、シンイラとの戦いで分かる」

と、告げてティリオから去って行った。


 

 そして、シンイラとの対戦の日。

 ティリオを筆頭に一莵と一莵のディジレーター達四人がチームとなって、シンイラと戦う事になった。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次話を出すがんばりになります。

次回、天地無限戦争

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