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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
愛娘、アイカ

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第93話 襲撃者の正体

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ヴァアナ達が来て、ディオスに託した男の正体が判明する。それによってディオス達はとある作戦を考案する。


 バルストラン王宮にてディオス関係者が勢揃いしていた。

 ディオスは勿論、妻達のゼリティア、クレティア、クリシュナ

 ソフィアにナトゥムラ、スーギィ、マフィーリア、カメリア

 そして…ヴァアナの関係者。

 ヴァアナ、ケンジロウ、部下の獣人の女性二名

 更に、魔導通信機でアルヴァルドが入っている。


 ヴァアナが、ディオスに手をさし向けて

「ウチの者がアナタに渡した物を…」

 

 ディオスは、受け取ったロザリオをヴァアナに渡す。


 ヴァアナは受け取ると

「これは、ウチの部門がよく使う魔導情報端末です。これには、ある方法でエンチャンとされた魔法情報が入っています」

 ヴァアナは、小さな両手で抱えられる程の魔法陣を展開、その中でロザリオが浮かぶと、ロザリオの形状が変化する。

 幾つものスライドや変形を繰り返して棒状の鍵に変化した。


 ヴァアナの部下の女性が、とあるそれに挿せる魔導端末をヴァアナに渡すと、端末より立体画面が出て情報が開示される。


 ヴァアナが

「彼の調べていたのは、このバルストランに入った非合法犯罪組織ゾルトリアの動向です。彼は、情報屋になりすまして、ゾルトリアに接触、ゾルトリアがどのような情報を欲しているか調べ、その目的を探っていました」


 クレティアが苦い顔をして

「はぁ…ゾルトリアねぇ…」


 ディオスが

「何か心辺りでも?」


 クレティアは忌々しいという顔で

「アタシがダーリンと出会う前に、ダージーってクソ野郎の奴隷だったじゃない。そのダージーが所属していた組織がゾルトリアだったわ」


 ディオスが聞き難そうに

「…その………どんな…事をしていたんだ?」


 クレティアは横に顔を背けながら

「主に、犯罪組織、マフィアとかテロリスト共の子飼いよ」


「子飼い?」とディオスは首を傾げると


 クリシュナが

「まあ、金で雇われた用心棒よ。でも…その実体は…暗殺の幇助や、そいつ等が行う犯罪行為の手引きも手伝う」


 クレティアが目を瞑り苦しそうな顔で

「本当に最低最悪だった」


 ディオスがヴァアナに

「そういう組織は、けっこうあるのか?」


 ヴァアナがディオスの右にいるクリシュナを見て

「そっちのシャリカランにいた奥さんの方が詳しいんじゃないのか?」


 クリシュナが言おうとしたら、魔導通信機でのアルヴァルドが

「それは、ワシが説明しよう。殆どの暗部組織は、国や、それに連なる組織、我らのように大きな宗教系…まあ…それも世界では片手だが。それに属している。普通に考えればその方が運営し易いし、色々と都合が良い」


 ディオスはそれを聞いて

 ああ…つまり、ゴ○ゴ13のような、漫画での事は無いのね


 アルヴァルドが続ける。

「まあ…そこから外れた存在。まあ…金さえ貰えばなんでもやる犯罪組織は…我らそういう暗部にとっても天敵だ。発見次第、潰してもいるが…一つ潰せばまた一つ出ると、イタチごっこ。ゾルトリアも優先的に潰す犯罪組織だ」


 ヴァアナは

「ゾルトリアの主な活動範囲はアフーリアだ。我々も何度か対峙している。とても、厄介な連中で、色々と禁忌の技法を持っている」


 ディオスが

「禁忌の技法とは?」


 ケンジロウが

「胸くそ悪い事だ。スキルを持った人物をエビルの外法ってヤツでアクワ・ウェーターに変えて、それを体内へ注入、そのスキルを使うっていうクソな事をする」


 クレティアが

「ダージーってヤツも似たような事をしていた。相手の魔力を奪って魔法具の材料にしたり、色々とね」


 ヴァアナが端末の情報を操作しながら

「そのゾルトリアの連中が、全員揃ってバルストランに来ているという情報が入った。その密入国した時期は、丁度、グレンテル殿の偽証騒ぎがあった時だ」


 ディオスはハッとする。

 ああ…どさくさに紛れて来たのか…。


 ソフィアが

「そのゾルトリアの連中が来た目的は何?」


 ヴァアナが端末を操作しながら

「その目的の情報を…私が今日、受け取る予定だったが…。残念な事に彼は…」


 ケンジロウが

「やられた痕跡を見るに、おそらく…ゾルトリアが気付いて、襲撃…逃げる最中…アンタ達と遭遇、そして…これを託す事は、確実にオレ達にも伝わると…がんばった訳さ」


 ヴァアナが

「私達は、この機を逃さず、ゾルトリアの連中を潰すつもりだ。その協力をして欲しい」


 アルヴァルドが

「それの協力に我らも混ぜて欲しい。ゾルトリアは我らにも潰す理由があるからなぁ」


 ディオスが

「何が目的でその…ゾルトリアという連中はバルストランに来たんだ?」


 ヴァアナが

「それが…この…ヘラクレスの首狩りという作戦らしい…」


 全員の前に魔法の立体画面を投影させて、情報を開示させる。


 ソフィアがその情報を見ながら…

「何? そのヘラクレスって」


 マフィーリアが

「世界図書館の情報にあった。古い神話の話だ」


 世界図書館、その本体は神の塔バベルがあったユグラシア中部とアーリシア南部の堺にある一万年前の町にある情報システムの一つで、そこには一万年前より蓄えられた膨大な情報が収まっている。

 その膨大な情報…書籍部門になんと…地球であった神話が残っていた。


 おそらく、自分と同じように地球から来た者達が…その情報を残したのだろう…とディオスは思っていた。


 マフィーリアがグラサンを上げて

「主神とされるゼウスが、色んな女神や女に手を出して、奥さん女神ヘラがそれにやっかみ問題を起こすという話だ」


 ディオスはそれに内心

 まあ…大筋はそうかと思うけど…ちょっとねぇ…違うような…。


 更にマフィーリアは

「ヘラクレスは、そのギリシャ神話という話に出てくる英雄だ」


「あああ…」とナトゥムラが


「思い出した。確か…色々と功績を挙げて有頂天になっていたら、浮気されたと勘違いした奥さんに間違って毒殺されたっていう話だったよなぁ。ええ…調子に乗っている時ほど、気をつけろっていう謂われだ」


 ディオスは俯き

 いや…ちょっと、違うような…。もっと、ねぇ…興奮するような冒険譚だったようなぁ…。

 

 苦しそうにするディオスにゼリティアが

「どうした夫殿?」


「いや…何でもない」

と、ディオスは答えた。


 ヴァアナが

「とにかく、その話の英雄をもじった作戦で動いているのは確かだ…」


 スーギィが

「ヘラクレスか…多分、何かの隠語だろう。なんの隠語だ?」


 ケンジロウが

「とにかく、このバルストラン王都ベンルダンの事を詳しく調べているのは、間違いないぜ」


 ゼリティアが

「という事は…ここでテロを起こすという事か?」


 ヴァアナが

「そのヘラクレスっていう意味が分かれば…その目的も分かるんだがねぇ」


 ディオスは、開示されたデータの立体画面を見つめる。

 確かに王都の事をよく調べている。

 テロって考えるのが普通だけど…。

 どうも…おかしいなぁ…。その範囲が王都全体に及んでいる。

 まるで…何かのデータを…。


 データを収集しているポイントが出てくると…。


 アレ? このルートって

 ディオスには憶えがあった。

 そう、ディオスが色々と買い物へ寄っている店のルートだ。


 まあ…確かに自分の事は調べるよねぇ…。


 あれ? ヘラクレスって確か、色々と功績を上げた英雄だったよね。

 英雄…自分のルート…まさか…!


 ディオスが挙手して

「あの…目的が分かったと言ったら…」


『え!』と全員の視線が集中する。


「その…もしかして…オレが狙われているかも…」


 クリシュナがハッとして

「ああ…ヘラクレスって様々な功績を上げた英雄よね」


 全員がハッとする。


 ケンジロウが

「つまり、ヘラクレスってのは、ディオス…アンタの事で、首狩りってのはその首を…」


 通信機で参加するアルヴァルドが

「確認してみるぞ」



 三十分後、魔導通信機よりアルヴァルドが

「確認した。驚く事だが…ディオス。裏でお主を殺す為に金を出すと言っていた連中がいたらしい。その額、金貨三百万枚だ」


「おうおう」とナトゥムラが驚き「そんな程度のはした金で、このヴァシロウスを倒した大英雄様を倒せるなんて、誰も思っていないぜ」


 アルヴァルドが

「当然じゃ。確実にディオスは返り討ちにするだろう」


 この世界では、暗殺する際にターゲットに接近して切りつけないといけない。

 遠方よりの射殺は、魔法防壁で防がれる。

 毒を盛るは、レジストの解毒の魔法によって不可能。

 よって、完全に殺すにはターゲットに接近して、刺殺するしかない。


 ヴァアナがフッと笑み

「つまり…ゾルトリアの連中は、その金額で殺せると踏んで受けた訳か…」


 ディオスが

「その自分を殺すように頼んでいた連中は?」


 アルヴァルドが

「どうやら…エニグマらしい」


 ディオスはフッと笑み。

 散々、エニグマの邪魔をしていたのだ。当然だろうが…まさか、他に依頼するなんて…


 ナトゥムラが

「どうする? 一斉に王都に捜査を掛けてゾルトリアを捕まえるか?」


 カメリアが

「ムリでしょう。そのどさくさに紛れて、逃亡するのは間違いないかと…」


「じゃあこのまま、黙っているのか?」

 ナトゥムラは聞く。


 皆から意見が出ない。


 ディオスは考える。

 そうだなぁ…何か誘き寄せて…あ!

「皆さん、だったら誘き寄せて一網打尽にしましょう」


 ソフィアが

「何か作戦があるの?」


 ディオスはニヤリと笑み

「自分を寄せる囮にするんですよ」


 ヴァアナが

「作戦は?」


 ディオスが

「作戦はこうです。王都の東にある大きな緑地御苑で、自分とクレティアとクリシュナの三人が、夜間の訓練をすると情報屋に流布してもらうんですよ。それで、一気に誘き寄せて、隠れた部隊が外縁からゾルトリアの連中を取り押さえて、自分達は中心から攻める。どうでしょう」


 ディオスの作戦にヴァアナが

「悪くない。その作戦、是非…我らも参加したい。ゾルトリアは潰したかったし、捕まえられて一挙両得だ」


 アルヴァルドが

「うむ、その作戦、我らも乗らせてくれ」


 ディオスはソフィアを見て

「ソフィアは?」


 ソフィアは項垂れ

「それしかないようね…。レディアンを呼んで話し合いましょう」

 こうして、その作戦を話し合う夜が迎えられた。



 翌日の夜、王都の暗がりの倉庫では、ゾルトリア達が…話し合っている。

 仮面の男、ゾルトリアを仕切るバラルが身分を隠す仮面の顔を押さえて

「諸君…朗報だ!」

 各々、怪しい仮面の十数名のゾルトリアの連中に向かって両手を挙げて鼓舞する。

「昨日、逃がしたヘルクタルのヤツから、ディオスに我々の作戦の概要が漏れたらしい」


 ナイフを研ぐ紅い仮面の男が

「ダメじゃねぇか!」


 魔導士の黒い仮面の男が

「じゃあ…金貨三百万枚のこの計画はパーって事かよ」


 バラルが

「いいや、寧ろ、乗ってきてくれたぞ!」


『はぁ?』と全員が訝しい声を漏らす。


 バラルは続ける。

「なんと…標的であるディオス・グレンテルが! なんと一週間後に夜間訓練の為に、東にある王都御苑で活動するという情報が入った。つまりだ…こういう事だ。我らを一網打尽にする為に、自ら囮になったという事だ」


 紫の仮面の男が

「なんだよ。罠を張っている場所に飛び込めってか」


「いいや、違う。それを利用して我らは目的を達成させる。この情報を広くバラ撒く。我らゾルトリアに秘策あり、ディオス・グレンテルを殺すに協力してくれれば分け前は弾むとねぇ…」


 灰色の仮面の男が

「つまり、雑魚に相手を任せて、我らは悠々と仕掛けを仕込むと…」


 バラルが

「そういう事だ!」


 ゾルトリア達は笑った。


 バラルが「盛大なパーティーをしてやろうじゃあないか!」



 同じ倉庫で七人の子供達が閉じ込められて過ごしていた。

 夜、倉庫は冷えるので子供達は身を寄せ合って倉庫にあった布を纏めて包み、寒さを凌いでいた。

 その中にいるアイカは、目蓋の裏に殺された家族を過ぎらせる。


 アイカは、アリストス共和帝国の南アリストスの出身だ。

 家は小さな貴族で、小さな村が傍にあった。

 村の子供達と遊び、そして、優しくて暖かな両親と暮らしていた。

 のんびりとした生活。そんな中、襲撃者が来た。

 目的は、アイカを手にする事だ。

 アイカには特殊なスキルがあった。

 そのスキルが一番強く出たアイカをゾルトリアが狙い、村を襲撃…村人を殺して、アイカを誘拐した。

 誘拐する寸前に、アイカはスキルを使って応戦したが…ゾルトリアの連中が持っていた魔導具や、ゴーレムによって潰され、アイカと逃げていた両親は、アイカの目の前で無残に殺された。

 その死ぬ寸前に両親がアイカに、生きて…生き抜いてと…言葉を残した。


 絶対に、生き抜いてやる…。


 アイカはそう、強く念じて今日を過ごした。




 アリストス、アインデウスの世界樹城で、アインデウスは、妻達三人と…まだ、幼い子供達に、長女のリュートと次男達、三男達と、家族に囲まれて暖炉の前にいた。

 家族の一時に、アインデウスは微笑んでいると…そこへディウゴスが来て

「アインデウス様…例の…アイカ・ブラウンについてですが…」


 アインデウスは「分かった」と立ち上がり、そこから離れ、ディウゴスを連れて廊下に出る。


 ディウゴスが

「アイカ・ブラウンが誘拐された時と同時期に戦闘スキルを持つ子供六名も、同じように家族や周辺の者達を殺されて誘拐されております。その後を…追跡して調べていると…。アフーリアに行く妙な飛空艇の存在が浮かび上がりました」


「引き続き、調査をせよ。それで何か分かった場合は…」


「はい、しかるべき手続きをもって、誘拐された者達の奪還を」


「うむ。頼んだぞ」


 ディウゴスが去るとアインデウスは堅く拳を握り

「絶対に子供達を取り戻す」

 そう、決意していた。




 数日後、ディオスは屋敷で午前の妻達の訓練をしていると、そこへ…ラーナとカルラが来た。


「こんにちわ、ディオス様」とカルラは挨拶して


 ラーナは

「クリシュナ様ーーーー」

 クリシュナに抱き付いた。


「ようこそ、ラーナ」

と、クリシュナは抱き付くラーナの頭を撫でた。


 ラーナは離れると

「リリーシャちゃんは!」


「こっちよ」とクリシュナは、ラーナをリリーシャのいる子供部屋で案内する。


 それにディオスも付いて行く。

 

 ラーナはリリーシャとティリオがいる子供部屋に入ると

「リリーシャちゃん! ティリオちゃん!」

と、スライディングして二人を抱き締めた。


 嬉しげに二人を抱くラーナ。


 それを見つめるディオスに、カルラが

「ディオス様…その…どうやら、ゾルトリアの連中が色んな奴らに呼び掛けているようで…沢山の犯罪者集団が絡みそうなんですよ」


 ディオスは眉間を寄せて

「マズいのか?」


 カルラは微笑み

「いいえ。寧ろ、潰したい連中が集まるので、他の我らと同じ組織が、加えてくれと…」


「ああ…うん…」

 ディオスは微妙だった。


 カルラが

「いや…バカな連中ですよ。潰されると決まっているのに、集まるんですから…」

と、嬉しそうだった。


 そこへ、レベッカが来て

「旦那様…ユリシーグ様が…」

 

 ユリシーグが後ろにいて、ディオスの元へ来て

「ディオス…お前のやる事にサルダレスも噛ませてくれ」


「おお…うん。いいぞ」

 ディオスは

 何か、いいように集まって、利用しているよなぁ…

 と、思った。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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