星光 第143話 宣戦布告
次話を読んでいただきありがとうございます。
ティリオ達の…宣戦布告が始まり…
ディーエ時空連合に新たな勢力が加わる。
ゾディファル教団。
ヴィルガメスがいるシュルメルム時空から来た。
その発表を超空間ネットワークで放映される。
その様子を淡々と、アズサワとエボリューション・インパクターであるシグマ達が、立体画面から見ていた。
エボリューション・インパクターのアルファが
「ゾディファル教団が来るとは…」
アズサワが淡々として
「まあ、シュルメルム時空で問題を起こした…まあ、巻き込まれて出て行った連中だ。足場が欲しいのだろう」
アズサワ達は、ただの予測因子が一つ増える程度だ。
キュリアがいるヴァサラス大佐達の勢力も冷淡だ。
キュリアが
「自ら…」
キュリアと共に放映される立体画面を見るヴァサラス大佐が
「そうだな。これが…どんな地獄の始まりか…分からずに」
キュリアが悲しい顔で
「私達も始めは、希望に満ちていました。でも…」
ヴァサラス大佐が苦しそうに眉間を寄せて
「今は、お互いの被害をどれだけ少なくするか…その為にアズサワ達の演算と介入に頼ってはいるが」
キュリアが
「いずれは…それも対応できなくなると…」
ヴァサラス大佐が
「アズサワ達、エボリューション・インパクター達の計算では、あと…一年が限界らしい」
キュリアが悲しい顔で
「一年。その一年の間に対応策を…」
ヴァサラス大佐が首を横に振って
「ムリだ。全てが複雑に絡み合いすぎて…その絡んだ糸を解こうとすれがするほど、絡みついて来る。地獄だよ」
キュリアが
「誰か、この地獄を破壊してくれる人達がいれば…」
ヴァサラス大佐が溜息を漏らして
「救世主なんて…いなんだ。それが現実だ。最悪で、悲劇的な結末しか分かっていない選択も選ぶしかい。それが現実だ」
キュリアはそれを聞いて黙ってしまう。
自分達を受け入れてくれたヴァサラス大佐達も必死で足掻いていた。
でも、このシステム、戦争シェアリングは恐ろしい程にそれさえも歯車として運用し続ける。
地獄の再生産と運用。
一生、死ぬまで戦い奪い、奪われ続ける奈落の地獄。
それを変えようとしても…より、地獄の奈落へ落ちていった。
そして、多くの変えようとしていた人達が…諦めて受け入れた。
無常こそ生きている証。生きるとは苦しむ事だ…を体現した完璧なシステムに。
多くの戦争シェアリングに依存しているディーエ時空連合の勢力達は、新たな生け贄として加わるだけ…と思っている。
超空間ネットワークの放映に出ているゾディファル教団の教皇マリアンナが
「我々もディーエ時空連合の戦争シェアリングに加わります」
その宣言に、ミカボシ、ハジュン、スクナ、アテルイ達、ディーエ時空連合の戦争シェアリングの根幹を支え維持する超越存在は嘲笑を向ける。
ようこそ…地獄へ。
我らの新たな存在を生み出す為の、永劫の生け贄になってくれて…ありがとうございます。
ゾディファル教団の惑星級宇宙戦艦ソルハルの広間を放映する映像達。
教皇マリアンナが
「では、我々が投入する戦士達を紹介します」
マリアンナの後ろの影から多数の人影が前に出る。
それに映像を見ていた者達が声を上げる
「な!!!!!!」
そこに出てきたのは、ティリオ、グランナ、ファクド、レリス、スラッシャー、千華、紫苑、一莵、そして…ディジレーター達四人
ヴァサラス大佐が座っていた席から立ち上がって
「なああああ!」
と、驚きで声を詰まらせた。
キュリアも青ざめて驚き
「どうして、グランナ…」
別で見ていたアズサワが寝そべっていたソファーから飛び起きて棒立ちになる。
「…え…」
と、沈黙の驚きだ。
映像に映る一団、マリアンナが
「彼らがゾディファル教団の戦士達です」
と、手で示した後、ティリオが前に出る。
ティリオが息を吸う。
そう、ここから…もう、後戻りは出来ない。
「ここに宣戦布告します」
映像を見ていた者達全員がザワザワと戸惑う。
ティリオ達は、将来の若き超越存在の跡取りだ。
それが、こんな地獄に介入するのだ。
ティリオが拳を前に突き出して
「ぶっ潰してやる! このふざけたシステムを! ぶっ潰して破壊する!」
映像を見ていた全員が戸惑いばかり。
ハジュンが
「愚かな、潰せる訳がない」
スクナが
「この程度の軍勢、我らの足下には及ばない」
アテルイが
「逆にキサマ等を取り込んでくれるわ」
ミカボシは
「………」
沈黙だ。
ハジュンが
「どうした? ミカボシ…黙って」
ミカボシが嫌そうな顔で
「嫌な予感がする」
それは当たった。
ティリオ達が戦争シェアリングを破壊すると宣言した次に、強制的に超空間ネットワークの通信に介入する勢力が三つ。
ティリオ達と共に別の勢力の映像が入り込む。
「よう、元気か?」
そこには収天螺王と全事顕王の二人が映り込み
収天螺王が
「面白そうな話を聞いてな。武器や物資提供くらいのつもりだったが。オレ達も戦争シェアリングに介入させて貰う」
超越存在でも最強の一角でもある収天螺王が介入すると宣言した。
それにハジュンが
「な! お前達は戦争商売人だったろうが!」
二つ目の勢力、それは、ヘオスポロスだ。
ヘオスポロスの映像には、エピオンを筆頭にウィングゼロ、デスサイズ、ヘビーウェポン、ロックサウンド、アルトロンが…
エピオンが淡々と
「我々は、この超越存在が跋扈する戦場を、自らの進化に場に使えると判断して、戦争シェアリングに介入する」
それにスクナが
「バカな…システム的な戦争屋が…どうして…」
もう一つは、シンイラだ。
アマカスが先頭に立って、後ろにサタンヴァルデウスの者達が並び
「やれやれ、我々もここに特大級の罪を生産する存在がいると知り、介入する事にした。全ての罪の浄化…その体現の為に戦争シェアリングを食らい壊す」
ティリオ達の介入を筆頭に、超越存在といった強大な時空覇者達の介入が戦争シェアリングで始まった。
それにアズサワが
「はははははははははは!」
と、額を抱えて嬌笑する。
それにエボリューション・インパクターのベータが心配げに
「アズサワ…」
アズサワが頭を抱えて大笑いしながら
「そうだ! その通りだ! 変えられないなら更地にしてしまえばいいのだ! はははは! 何とも原始的で野蛮で、はははははは!」
おかしくなったアズサワにエボリューション・インパクター達は戸惑う。
笑い終わったアズサワが乱した髪を整えて
「さて、これから信じられない程に忙しくなるぞ」
と、冷笑を浮かべた。
ティリオ達の介入を見たディーエ時空連合の者達は、ある予感を感じていた。
変わる。この力達がぶつかり合って、このディーエ時空連合を奈落に落とすシステムが…。
救世主ではない。破壊者だ。
だが、それで…
ディーエ時空連合に介入する強大な超越存在のぶつかり合いは、他の時空の超越存在達や、超越存在を持たない時空達の注目の的になった。
それを遠くから、ディオスは屋敷に繋げた立体画面から、ティリオ達の姿を見つめていた。
ディオス達はティリオ達が映る立体画面を前に全員が真剣な顔をしていた。
無論、そこにはティリオの妻達もいる。
ディオス達と一緒にいるエアリナが
「お義父さん…これは…」
ディオスが
「ああ…これぐらいは必要だろう」
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次回、宣戦布告の顔合わせ