星光 第135話 戦争シェアリング
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ティリオは、ディーエ時空連合の職員と機密条項の契約を交わし…
ティリオは、ディーエ時空連合との機密条項の契約を交わした。
ティリオのホームに、ディーエ時空連合の職員が来て
「これが内容です」
と、ティリオにデータ契約書を見せる。
ティリオのホームにある広めの居間のホールで、ティリオは対面に座るソファーで、データ契約書を見つめる。
対面にいる職員は、ティリオを品定めするように見つめる。
前半は、技術を流出させないという定番の契約だが、後半は…ディーエ時空連合で行われている事、戦争シェアリングに関する契約があった。
戦争シェアリングしている他の勢力へ提供しない。
敵対する勢力と協力関係、中立である勢力と、その内容が記されている。
ティリオが職員を見つめて
「戦争シェアリングってなんですか?」
職員が淡々と
「我々は調節された戦場で、戦争をして覇権を争っています。人殺しと戦争の違いは何だと思いますか?」
ティリオが厳しい顔で
「戦争と人殺しも変わりません。同じく互いの命を奪い合っている」
職員がハッキリと
「戦争と人殺しは違う。戦争は、ルールがある。そのルールの中で死者が発生するだけであって、人殺しではない」
ティリオが怒りの顔で
「そんなの…詭弁だ!」
職員が鋭い顔で
「黙れよ小僧。お前みたいな利益や資源を無限に配れる超越存在がいない、我らのような時空達は、こうして…利権を奪い合って生きて行くしかないんだ」
ティリオは、再び座ってしまい黙る。
職員が溜息をして
「我々は…超越存在という凄まじい存在を持っていない。アナタ方にとっては…身近でしょうね。でも、それを持たない我々とアナタ方とでは、彼我の差、全く違う生物の如く差がある。それだけは、ご理解してください」
ティリオが職員に
「なら、ボクが…自分が、アナタ達の中から超越存在を…」
職員が首を振って拒否して
「かつて、私達の時空達にも、超越存在がいましたが…それが原因で争い、破綻した。その結果、超越存在を殺してしまい。この戦争シェアリングという方法が生まれた。これでしか…解決方法がないのです。我々には…」
ティリオは頭を抱えてしまう。
職員が
「では、他に変更や手を加える部分は、ありますか?」
ティリオは、契約書の中でも、ディーエ時空連合の敵対する勢力に技術を流出させないを条件に、自分が研究で使う部分だけは許可して欲しいという部分を付け加えて、契約は締結された。
利益的な事は、ティリオが技術を研究に使うとして、そこで相殺という形にした。
正直、使える技術は、ティリオが今まで持っている技術と同じ部分が大半なので、問題はない。
職員との契約締結後に、残してくれた戦争シェアリングのデータをティリオが見ていると、グランナがホームに来た。
グランナが急いでティリオがいる居間のホールに来て
「ティリオ!」
と、ソファーに座っているティリオ達を発見する。
ティリオの両脇にエアリナとジュリア、ティリオの後ろの背もたれにナリルとアリルが座って、定番のティリオ達ハーレム夫婦の相談風景へグランナが来て
「ティリオ、お前が持っている」
ティリオは直ぐにグランナに契約締結の時に受け取ったディーエ時空連合のデータが入った端末をグランナに渡して
「大変な事だぞ」
グランナは奪うように受け取ってデータを見ていく。
「そんな…」
と、苦しそうにデータ端末に額を当てる。
そこへファクドとレリスにルビシャルの三人も来た。
苦しそうにするグランナをファクドが渋い顔でみつめて、ルビシャルが心配げに、レリスは淡々と冷静に見えるが少し焦りが。
ルビシャルが、ティリオ達の何時ものハーレム夫婦情報共有の風景に
「ねぇ…ちょっと、みんなで話し合わない?」
ティリオ達は全員が一瞬でアイコンタクトして会話する。
ルビシャルは、個々に違うのに一緒の生き物のようなティリオ達五人にちょっと気味悪さを感じるも、まあ、ティリオ達だから仕方ないと黙認する。
ティリオが
「みんな、座ってくれ」
◇◇◇◇◇
ティリオ達が職員から受け取ったディーエ時空連合の戦争シェアリングについての話し合いが行われる。
全員がソファーに座って楽な体勢で、ファクドが
「こんな事になっているなんて…」
レリスが
「何時からこんな状態に…」
ティリオが
「受け取ったデータから過去を調べると、二十年ほど前から…だ」
ルビシャルが悲しい顔で
「最初は、廃棄された都市や惑星、土地といった限定的な場所での限定戦争だったのに…それが、様々な都市や地域、宇宙域で…」
ティリオが
「色んな場所、しかも…民間人が暮らしている場所を戦場にする戦争へ移行して…」
グランナが厳しい顔で
「戦争シェアリング、戦争を限定的な場所で行う事で争いを調停する制度が…いつの間にか…様々な戦場で限定的に戦争をして、そのトータルで…」
ファクドが鋭い顔で
「だが、ルールは存在する。戦争にルールは必要だ。そこから逸脱した場合、それは…単にテロという犯罪と変わらない。そのルールがある。それを守る事で…この戦争シェアリングは保たれているが…」
レリスが自分の持って来たヘオスポロスでのデータを開示させて
「戦争シェアリングで使われる都市や、宇宙コロニーや、宇宙施設は、互いの敵対する者達にとって痛手となる場所が選別されている。これは…戦争をいう皮を被った破壊行為だろうに…」
グランナは、自分の手を見つめて握り
「みんな、すまない。オレは…もっとこの事を調べたいと思う。だから…」
ファクドとティリオが視線を合わせて、ファクドが
「オレ達も付いていくよ」
グランナが
「これは、オレの問題であって、お前達の問題じゃあない」
ティリオが
「グランナは、ボク達の仲間だろう。なら…一緒に解決する手段を探すのに何の問題があるんだ?」
グランナが
「良いのか? お前達を巻き込んで」
ファクドがグランナの隣に座って肩を組み
「今更だろう。オレ達…お互いに色々と頑張って来たんだから」
グランナが顔を伏せて涙を隠しながら
「ありがとう。みんな…」
こうして、ティリオ達はグランナに協力する事となった。
しかし、そこで待っていたのは…。
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次回、またしても潜入