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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
星を繋ぐ子供達
922/1109

星光 第131話 過去と今

次話を読んでいただきありがとうございます。

学園生活に戻ったティリオ達、そこには何時もの学園生活があったが…


 グランナは悲しい夢を見ていた。

 ごめん、ごめん…と幼いグランナは謝っていた。

 それを受けて目の前の少女が微笑み

「いいんだよ。仕方ない事だから」


 グランナにとって大切な少女は、永遠にグランナと出会う事はなくなった。

 

 グランナが超越存在になる前の幼い頃、グランナのいる時空、宇宙は…隣国の超越存在であるゲイオルの時空から、超越存在のエネルギーを分配されていた。

 超越存在のエネルギーは、まさに万能だ。

 様々な物質やエネルギーを生み出す。反物質から反重力、原子サイズのナノマシン、果ては空間を制御するエネルギー

 万能エネルギーとされる超越存在の力だが、その総量には限界がある。

 それは仕方ない事だ。

 超越存在とて一個の存在、どんなに万能の権能を持っていても、生じさせる力には限界がある個人なのだ。

 

 そして、その超越存在のエネルギーを巡って争いを起こすのも常だ。


 グランナの心の奥深くに刺さった痛み。

 自分が…救えなかった…大切な子の記憶。

 

 その時代、グランナが幼い頃、セレソウム時空の超越存在ゲイオルのエネルギー分配が足りない地域の時空にグランナと彼女は生まれた。

 グランナの一門と彼女の一門は、貧しいエネルギー供給状況でも手を取り合って頑張っていた。

 だが、限界が来てしまった。

 グランナの一門と、彼女達の間で内戦が始まった。

 それに彼女達の側が負けた。

 始まった理由は些細な事だったのに…大きくなって…

 

 幼いグランナと、彼女は別れる事になった。


 幼いグランナが別れ際に彼女に

「ごめん。ごめん」

と、謝るしかない。

 その肩をグランナの父親が抱く。


 彼女はそれに微笑み

「いいんだよ。仕方ない事だから」


 彼女達はグランナの時空から追放された。


 その後、セレソウム時空で聖帝ディオスが絡む大きな事があった後、グランナの時空へのエネルギー分配が増えた。


 この時、グランナは…将来、自分が超越存在になる未来を叶える努力を始める。

 何時か…追放してしまった者達を呼び戻す為に

 幼い体に強い覚悟を背負って…。


 ◇◇◇◇◇


 そして、望み通りの超越存在になってシュルメルム宇宙工業学園でティリオと共に訓練する日々を過ごしている。

 グランナは目を覚ますと、あの時の事を思い出して涙していた。

「ああ…全く」

と、グランナが涙を拭って身支度を始める。


 ドアがノックされて

「グランナ様」

と、起こす声が


 グランナは身支度を終えて

「待ってくれて、今すぐ行くから」

と、部屋を出ようとすると、ベッドにある家族写真を見る。

 幼い頃の家族写真、父親と自分にプラチナブロンドの彼女と、彼女の家族と並ぶ…


 グランナが

「行ってくるよ…キュリア…」

と、言葉にして部屋を出た。


 そこから何時もの日常が始まった。


 何時ものようにグランナはホームの仲間達を連れて、ティリオ達と合流する。

「おはよう、ティリオ」

と、グランナが呼びかけ


「ああ…おはよう」とティリオを初めてエアリナ、ジュリア、アリル、ナリルが挨拶して、大きな一団となって学舎へ向かう。

 その途中、ファクド達、レリス、ルビシャル、クロエラと合流して、何時もの学園での日々が始まる。

 勉強と訓練、様々なカリキュラムを終えた後、マキナの訓練をデュエロタクトのメンバーで行い。

 そして、夕方にはティリオの指導の元で、ファクド、グランナ、クロエラの超越存在としての訓練をする。

 グランナは、他の二人より先に進んでいるので、色んなエネルギーを生成する訓練をする。

 グランナの周囲には、重力エネルギーの球体、電磁力の光、核力を閉じ込めた質量体が浮かび、それが様々に組み合わさって相互作用させる。


 ファクドとクロエラは、超越存在のエネルギーを取り出す訓練をひたすら続ける。


 透明なシールドで構築されたピラミッドの中で、超越存在の訓練を続ける。


 ファクドがグランナを見て

「オレも早くグランナみたいにやってみたいよ」


 ティリオが

「焦る必要はないよ。ファクドは、そろそろ行けそうだけど」


 ファクドは、自分の両手から溢れる黄金の光粒子を見つめて

「適正か…」


 ティリオが

「ファクドは、王様って感じだね。多くの人達に力を貸し与える事で、その力を発揮するタイプかも」


 ファクドが肩をすくめて

「オレの傍人達に、オレの力を分け与えて色々とした方が早いって事か…」


 ティリオが

「それでも一通りは出来た方がいいから、そういうのは、その後って事で」


 ファクドが手を振って「あいよ」と答える。


 クロエラは集中して超越存在のエネルギーを両手や全身から放出する。

 白銀の光粒子を放出するクロエラの集中が途切れると、超越存在のエネルギーが消える。

「私は、まだまだ、取り出せるようにする努力が必要ですね」


 ティリオが

「無理矢理に蓋を開けてもいいけど…それだと、逆に抑える訓練になる。あふれ出てくるのを止める訓練ってのは難しいんだよ。クロエラはゆっくりでいいよ」


 ファクドが

「クロエラの今のレベルで、高次元兵器オメガデウスを扱えるんだ。十分さね」


 クロエラが

「それでも、ディオス様達、宇宙王クラスには成りたいです」


 ティリオが

「訓練を続ければ、卒業する頃にはなっているって」


 ファクドがグランナに向いて

「しかし、グランナは…どうして、そんなに飲み込みが早かったんだ?」


 グランナが

「オレは、小さい頃からゲイオル様と同系統の力を僅かにでも持っていたからな」


 ファクドが笑み

「デュエロタクトの時に使っていたハイパードライブってヤツか…」


 グランナが悲しげな顔で

「小さい頃から、それなりの努力はしていたからな」


 ファクドが

「確かに、お前は…オレ達以上に超越存在になるって執着していたからなぁ…」


 グランナが周囲にある生成したエネルギーを融合、相互作用させながら

「いざ、なってみれば…出来ない事も多いし、親父の元においてある、オレと繋がるオメガデウス・フォーミュラ・スペリオルから超越存在のエネルギーを放出させて、オレの時空で色々とやっているが…人材不足だ」


 ファクドが

「万能な力を得ても、結局はそこで行き詰まるのか…」


 グランナが上を見上げて

「オレの時空では、過去にエネルギー不足で出て行った人達に呼びかけて、やり直そうとしている」


 クロエラが

「出て行かれた人達は、戻って来て…」


 グランナが厳しい顔で

「そう、簡単には上手く行かないさ」


 ◇◇◇◇◇


 グランナの父親がとある時空の宇宙コロニーに来る。

 そこの宇宙コロニーは人口が過密状態ではあるも、何とか生活が成り立っていた。


 グランナの父親グラゼオは、その宇宙コロニーの統治者に顔を見せる。

 宇宙コロニーのビルで

「久しぶりだな」

と、グラゼオは目の前にいる獣人の男性に呼びかける。


 獣人の男性は遠くを見るように

「ああ…久しぶりだな」


 グラゼオと獣人の男性は、かつて同じ時空、グラゼオの時空で生まれたが…エネルギー分配が原因で、出て行った。


 グラゼオが

「生活は、どうだ?」


 獣人の男性が

「何とかやっているさ。グラゼオの息子が超越存在になったと聞いた。おめでとう」


 グラゼオが

「ありがとう。なぁ…ジューレイス…戻って」


 ジューレイスが手を向け

「悪い、できんのだわ。この時空の者達と、もう…離れられない位に深く関わってしまった。それを捨てて戻るのは…ただ、新しい場所でやってみたいと思う者達が出たなら、グラゼオの所を紹介するまでは、できる」


 グラゼオが頷き

「そうか…」


 ジューレイスが

「グラゼオ、お前は…もう、オレ達とは立場が違うんだ。超越存在を持たない時空の側であるオレ達が、この時空から去って、お前の元に行けば…どうなると思う? 人々を略奪しているのではないか?って疑心暗鬼が蔓延する。それが最悪に傾いて…」


 グラゼオが

「そうか、済まなかった」


 ジューレイスが

「すまんな。十年ってのは長いんだ。そして、まさか、グランナ君が超越存在になるなんて、誰しもが思わなかった。そういう事さ」


 グラゼオは去って行った。

 移動する時空戦艦内で、グラゼオは厳しい顔をする。

 息子グランナが超越存在となったお陰で、超越存在のエネルギーから膨大な物資とエネルギーが生成可能になり、それを生かせる人員を増やすだけ。

 その人を増やす事が一番の苦労になっている。

 かつて、自分達の時空、セルゾス時空から去っていた者達を中心に呼びかけて回るも、今回のような事になってしまう。

 去った者は帰らず。後は…追放された者達を…

 グラゼオが苦しい顔をする。

「なぜ、あの時に…あんな争いをしてしまったのだろうか…」

 後悔と苛立ち、悲しさが襲ってくる。

 今にして思えば…争う必要なんてなかった。

 なのに…。

 追放した彼らを切っ掛けに、ジューレイス達のように自ら出て行く者達が多発して、それによって分配されるエネルギーで維持が可能になった。

 それは、正しかったのかもしれない。その当時までは。

 状況が一変した今では、間違いになってしまった。

 

 グラゼオが

「何処かの政治家が言っていたな。全ては歴史が決める。そうだな、歴史は決めた…オレ達が間違いだった…と。あの決断は過ちだった…と」

 

 あの時の正しさが今になって間違いとなって苦しめていた。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次話を出すがんばりになります。

次回、出会った彼女と彼

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