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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
亡国覚醒カタルシス
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星光 第121話 彼女達の生い立ち

次話を読んでいただきありがとうございます。

アルマティスの目的となった彼女達の生い立ち…とは?


 彼女達は、人工的に作られた新人類だった。

 ネオニス、新人類汎用機。

 それが彼女達の生物的な呼称であった。

 小さい頃は、安定的な空間である疑似情報世界で育成され、肉体はナノマシンと生体部材によって構築されている。

 安全で安定的な、デジタル世界、映画マトリックスのような、高度に構築された疑似世界で彼女達は成長して、現実世界へ肉体を得て現れる。

 その高度に完成された肉体は、今までの人類の性能を遙かに超えて、機能も様々に付加されて、正に新人類と呼べる程の存在だった。


 そんな彼女達五人

 ジョカ、イナンナ、シャヴァ、ブリジット、ケインナ

 彼女達は特別だった。

 彼女達は、五人で一人であり、一人で五人だった。

 彼女達は、幾つもの意思を連結させつつ個人を維持する方法を模索する為に設計された。

 五人は、何時も意識が繋がっていた。

 お互いが不快に思う気持ちや、嬉しいと思う気持ちを共有している。

 感情と記憶の共有、それによってどこまで個人を維持できるか?

 無論、過剰な感情反応は、ある程度、防波堤が働くようにはなっていた。

 なぜ、彼女達のような存在が必要だったのか?

 そのような実験が行われたのか?

 

 それは…限界…が原因だ。


 ネオシウス時空は、新たな超越存在を夢見ていた。

 過去、二千年前に出現した超越存在の一人、その彼の再現を願っていた。

 その血筋、遺伝子、素養、環境の再現

 その全てが失敗した。

 結局、一人の存在はそこでしか現れない。

 たった一人を再現しようとしても、再現できない。

 その一人は、永遠不変で、永遠に戻らない。

 どんな個人でさえも、この一瞬に現れた存在であり、再現不可能であると…。


 別のアプローチが行われた。


 ならば、それに近い別の存在を作ればいい。

 そうしてネオニス、新人類が誕生する事になる。

 人が行う繁殖ではない。人工的に人工子宮から生まれる人工的に素晴らしい人類。

 その結果は、新たな奴隷制度を生み出すも、長い時間を経て、新人類と旧人類は同等の権利があると…なった。

 だが、それでも決定的な溝は、あり続けた。


 そんな片隅に彼女達五人もいた。


 ジョカは、他の四人と共に資源生産宇宙船に乗って宇宙の隕石や流星の資源を採掘して、ブロックに加工して提供する仕事をしていた。

 作業に対する負荷や、健康は、優れたシステム達によって維持管理されていた。

 娯楽も…十分に提供されていた。


 ジョカは、とある古い映像を見ていた。

 それは、人類が宇宙へ出た後、他の種族の人類と結ばれて家庭を築くドラマだった。

 何度も使い古された定番中の定番。

 そんなドラマをジョカは見つめて

「なんで、私達は…」


 新人類を生み出す課程で、様々なタイプの人類が生まれた。

 獣人、翼人、爬虫類型の亜人。

 無論、元から存在する原住民族もいるが、それらの全ては人だった。

 亜人種タイプの人類は、少数ではある。

 その少数のタイプとの恋愛話は、ドラマとして使い古された古典だ。


 ジョカは、寂しく

「どうして、私達には…次を残す能力がないの…」


 ネオニスであるジョカ達によって、繁殖機能は必要ではない。

 だが、コミュニケーションとしての男女の肉体的な交わりの機能はある。

 それに繁殖機能が付随していない。

 恋愛は可能だ。愛情を紡ぐ事はできる。

 だが、その課程において男女の交わりによって子を成す機能はない。

 後で追加すれば問題ではない。

 

 ジョカは、それに疑問を感じていた。

「私達は、誰かと一緒に…」

 生物としての…


 そんな疑問を抱えつつジョカは生きてきた。

 それは、他の四人も何処となく、ジョカを通じて感じていた。

 

 イナンナが

「いいじゃない。私達は私達の人生がある」

 シャヴァが

「気持ちは分かるよ。私達は繋がっているから。でもいいじゃない。そういうモンだって」

 ブリジットが

「悩む気持ちは分かるけど、私達は私達なんだから」

 ケインナが

「疑問を感じるのは大事だよ。でも、出来ない事があるって受け止めるも大事だよ」


 ジョカは、家族であり仲間、友人でもある四人に

「そうだね。羨んでも悩んでも仕方ないか」

 ネオニスであればよくある悩みだ。


 そんな感じで悩みつつ疑問を感じつつも日々を過ごしていった。

 人類より長い寿命、五百年レベルまで生きられるのだから、その内に受け止められるようになる。時間が可決する…とジョカは思っていた。


 だが…


 ジョカ達がいる採掘宇宙船が宇宙海賊に拿捕された。


 ジョカ達は捕まった。

 捕まり捕縛された五人に、海賊の男の一人が

「どうせ、コイツらには…繁殖機能がないんだろう。だったら」

 ジョカ達の体を弄ぼうをした。

 己の愚かな獣欲を満たすために。

 

 いやああああああ!

 ジョカ達は、泣き叫ぶ。


 たった一人の男の言葉で、仲間の海賊達の男達も…

 最悪な陵辱の宴が…始まるはずだった。


 ジョカを引っ張り犯そうとした男の首に誰かの手が触れる。

 その瞬間

「ぎゅさああががさがsわわれあららわさああわわ」

 男の体がねじれて有り得ない方向へ曲がり、歪な物体へ変貌した。


 同じくイナンナ、シャヴァ、ケインナ、ブリジットを掴んでいた男達が青ざめた。


 スッと彼は倒れるジョカに屈んで

「大丈夫か?」


 ジョカが彼の顔を見上げた。オルスである。

 オルスの不安な顔がそこにある。


 男達が武器を手にしようとすると、オルスが

「それを抜けば、敵対と判断するぞ」


 男達は、武器を手にする手を止めて一人が

「他の仲間は…」


 オルスが扉を顎で示すと、歪な物体となって呻く仲間がいた。

 この場にいる海賊達以外の全員が、全身を歪にねじられて曲げられて、生きる不気味な物体へと変貌していた。


 それに恐怖した海賊の一人が

「てめぇぇぇぇぇぇ!」

と、武器を手にした瞬間、残りの全員の体が歪に曲がりねじられて、生ける不気味な物体へと変貌した。

 

 オルスが溜息を漏らして

「変わらんなぁ…何千年先に転生しようが…人の愚かさは変わらない。絶望する」


 それが彼女達五人とオルスの出会いだった。


 海賊達は…生ける不気味な物体へと変貌して、襲撃した海賊宇宙船に戻して、とある惑星へ向かわせた。数時間後には逮捕されるだろうが…海賊宇宙船を拿捕した宇宙警察や軍はビックリするだろう。


 オルスは、彼女達五人の治療を行った。

 大きなケガはないが…色々とあってショック状態ではあった。


「やはり、警察や公共に連絡して…」

と、オルスは彼女達のメンタルケアを思った。


 ジョカがポツリと

「私達は、命を紡げないから…乱暴にされるんですか?」

 その言葉は、彼女達五人の理不尽を味わった気持ちだった。


 オルスは悲しくも苦しい顔で

「そんな事は無い。悪いのは襲撃した連中だ。連中が自分達の愚かな行動を正当化させる為にやった、間違いだ」


 ブリジットが

「アナタの力…普通ではないですよね?」


 オルスが

「ああ…偶々だ。偶々…そう、そういう能力に目覚めただけさ」


 ジョカがオルスに近づき

「アナタの名前は?」


 オルスが

「お…」とここでの名を言おうとしたが…「ミカボシ、だ」と前世から続く神名を口にした。


 ジョカがオルス…ミカボシを見つめて

「ミカボシ…」

と、ミカボシを見つめた。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら

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次話を出すがんばりになります。

次回、ティリオ達の気付き

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