星光 第118話 畏怖の超越存在達
次話を読んでいただきありがとうございます。
圧倒的な差がある者達との衝突にティリオ達は、そして、ティリオ達が残した…
銀河サイズのゴルドルドラグラーが超龍の顎門から七色の光線咆哮を放つ。
十数万光年サイズの銀河など一瞬で消し飛ばす程の超絶エネルギー。
エーシェントルドは三十万光年サイズの巨体で受け止める。
銀河を破壊する程の光線がエーシェントルドに当たって拡散し、それが次の銀河を生み出す。
それでもエーシェントルドは平然として、紫金の龍鎧巨人の右腕を振り上げて、ゴルドルドラグラーへ墜とす。
その墜落する拳の周囲から幾つもの星系の卵が爆発して生まれて、ゴルドルドラグラーへ衝突した瞬間、新たな銀河が二つもできた。
銀河が誕生するエネルギーの二つ分もゴルドルドラグラーが浴びて、弾かれて仰け反る。
あああああああ!
ゴルドルドラグラーのコアで叫ぶティリオ達。
グランナが
「なんだよ、アレは!」
ティリオが叫ぶ
「次だ!」
ゴルドルドラグラーが鎧の翼と顎門を広げて更に強大なエネルギーをエーシェントルドへ放出する。
その七色のエネルギーが通過するだけでマイクロブラックホールと超新星爆発が連続して発生して、更に威力を上げる。
それに悠然とエーシェントルドが右手を伸ばして
「ほう…器用だな…」
たった腕一本でエーシェントルドはゴルドルドラグラーの攻撃を受け止めた。
ティリオはゴルドルドラグラーに攻撃を続けさせながら、自分達の周囲を汚染した深紅の宇宙を凝視する。
これ程の超越存在の衝突でも時空排他作用が起こらない。
つまり、相手…ラージャハラアーダーの力が作用しているのが分かる。
だが、それで自分達の力を抑えているようには感じない。
「ふん!」とミカボシはエーシェントルドの右手を突き出して、ティリオ達のゴルドルドラグラーの攻撃を粉砕した。
その余波で、周囲に新たな銀河達が創造されて、その間をエーシェントルドは突き進み、右手の拳をゴルドルドラグラーへ突き立てる。
更なる衝撃がゴルドルドラグラーのコアに響く。
「あああああああ」
「きゃああああああ」
叫ぶ仲間達。
コアにいるティリオ達は焦りを感じる。
ゴルドルドラグラーで攻撃しても全く歯が立たない。
ティリオの隣にジュリアが来て
「ティリオ…これじゃあ…」
ティリオが鋭い顔で
「本来なら撤退だけど…」
ファクドも来て
「全く、本命だったオレ達が囮なんてなぁ…」
◇◇◇◇◇
別の宇宙船では、ルークスが皇族や王族専用に作られた隠し超空間ネットワークの空間転移回廊を進む操縦していた。
ルークスが運転する宇宙船に、オージンとナハトルにグラドスが乗っている。
通信でティリオ達のピンチである画像を見て、オージンが
「もっと早くならんのか!」
と、操縦するルークスを詰める。
ルークスが
「ムリですよ。これが宇宙船の限界速度なんですから」
ルークスが操縦する宇宙船の横を紫苑と千華のバトロイドと、エアリナが操縦するオメガデウスが併走する。護衛だ。
エアリナがティリオ達の危機に
「もっと早く!」
と、ルークスに呼びかける。
ルークスが
「ムリだって、この宇宙船の限界だって」
そして、目的に惑星の出口へ空間転移して宇宙空間へ出た瞬間。
バトロイドに乗っていた千華と紫苑が
「うわぁ…」と千華
「こっちも…」と紫苑
ティリオの作戦は、こうだ。
本命はティリオ達だが、もしもの保険としてルークス達に遠方の施設へ向かって貰った。
その保険が本命になってしまった。
そして、目的地の惑星の前に出た瞬間、機神スカイギアがいた。
その機神スカイギアに乗るのは、ケインナだった。
機神スカイギアを操縦するケインナが
「これを見過ごすなんて、二人は、どういうつもり?」
ティリオ達の事は、ミカボシとハジュンが対処する事になったが。
見過ごしをしていた。いや…それは…
ケインナは、怪しかったミカボシとハジュンを見抜き、独自に動いた。
エアリナがオメガデウスの出力を最大にして
「行ってーーーーー」
と、百キロサイズの機神スカイギアと同じサイズの光の流星になって、待ち構えていた機神スカイギアへ突貫する。
オージンが
「無茶をするなよ!」
機神スカイギアとオメガデウスの衝突を余所に、ルークスの宇宙船と紫苑と千華のバトロイドが惑星へ向かう。
だが、その前にケインナが置いた無人兵器の艦隊が現れる。
紫苑と千華のバトロイドが人型の戦闘形態へ
「さっさと行けーーーーー」
千華が叫び、膨大な弾丸をバトロイドが発射して無人兵器達を撃墜して道を作る。
惑星の大気圏へ入る宇宙船。
ルークスが
「どこかに下りる港へ」
オージンがルークスの肩を掴み
「施設の道路へ不時着せい!」
「ええええ!」とルークスが震えて「で、でも…」
イラついたナハトルが「操縦を代われ」とルークスを退ける。
グラドスが惑星のシステムにハッキングして
「施設までナビゲーションする」
宇宙船は、目的の施設がある空中都市へ向かって爆走し、その空中都市へ突っ込む。
宇宙船を道路に押し付けて不時着させて、道路が大混乱するが、構わず強制着陸を決行。
宇宙船の底を削りつつ、目的の施設前に来て、ナハトルがオージンを担いで飛び出し施設内、他時空間通信バイパス施設を走る。
オージンがティリオから託された通信相手の信号を手に
「これでいいんじゃな…ティリオよ」
◇◇◇◇◇
深紅の宇宙というリングで戦うティリオ達。
ティリオ達の銀河サイズのゴルドルドラグラーと、その何倍も大きな紫金の龍鎧巨人のエーシェントルドの戦いは、圧倒的にエーシェントルドが押していた。
ティリオ達が何度も何度も攻撃を放つも、エーシェントルドは全く怯まず鉄拳を叩き込む。
ティリオ達は理解している。
ティリオ達が向かうはずだった銀河を捕まえるラージャハラアーダー。
ティリオ達を襲うエーシェントルド。
この二柱の超越存在は、ティリオ達では敵わない。
超越存在としての階位が違い過ぎるのだ。
エーシェントルドのミカボシが
「さて、戯れもここまでにしてやろう」
ラージャハラアーダーのハジュンが
「良いのか? もう少し相手をしてやった方が…」
ミカボシが
「攻撃も単調になって来た。策が尽きた…頃合いだろう」
ハジュンが
「そうか、好きにしろ」
ミカボシがエーシェントルドの右手を掲げると膨大なエネルギーが発生して集約する。
それは光速を超える速度で巨大になる。
そのサイズ、十億光年サイズの白光を燃えて輝く巨球だ。
十億光年サイズの白光球を掴むエーシェントルドが
「さあ、これでお終い。まあ、お前達なら耐えるだろうが…立てはしなくなるだろう」
ティリオ達はゴルドルドラグラーのコアから、輝く巨大な光球を見上げて
「冗談だろう」
と、ファクドが青ざめる。
そのエネルギー規模、時空が消し飛ぶ程の密度を持っているのを感じていた。
クロストが自分達のいる深紅の宇宙を見つめる。
深紅の宇宙の状態が変わっていく。
「多分、アレほどのエネルギーをぶつけても被害が出ないようにしているみたい」
グランナが
「ティリオ! 次は!」
ティリオが苛立った顔で
「次は、ない」
グランナは青ざめる。
耐えるしかない。宇宙が、時空が消し飛ぶ程のエネルギーを前に。
ミカボシが
「では、楽しかったぞ。聖帝の子供達よ」
と、エーシェントルドの攻撃を振り落とす。
落ちてくる時空破壊球。
だが、その時空破壊球へ無数の閃光が突き刺さって、時空を破壊する程のエネルギーを相殺させる。
そして、深紅の宇宙を切り刻むように、光を放つ鯨達が飛び交う。
無数の光の鯨達の軍勢が深紅の宇宙を突き破って現れる。
ミカボシとハジュンが構える。
次の瞬間、深紅の宇宙を切り裂く閃光と共に、その閃光がエーシェントルドの胸部、ミカボシがいるコアへ突き刺さる。
エーシェントルドのコアにいるミカボシの前に、とある人物が長身の銃、トンプソン・コンデンターの銃口を向けている。
ミカボシが鋭い顔で、目の前にいる人物を睨み
「なるほど、神越存在を…か」
ミカボシのコアに突入したのは、神越存在である北斗だった。
ハジュンはラージャハラアーダーを使って侵略した宇宙が再び元に戻っていく様に困惑する。
汚染した深紅の宇宙を元に戻している存在、光の鯨達は、北斗が連れてきたメガデウスの軍勢だ。
◇◇◇◇◇
とある惑星の他時空間通信バイパス施設の施設のパネル達を前にオージンが項垂れていた。
「間に合ったわい」
ティリオから託された救援者への信号を放ち終わったのだ。
◇◇◇◇◇
北斗が鋭い視線で構えた瞬間、光となる。
光の速度の中で北斗は、背中に無数に発生するトンプソン・コンデンターを手にして、ミカボシへ放つ。
縦横無尽に走る弾丸達。
それをミカボシは弾き落とす。
北斗は縦横無尽の飛び交い、トンプソン・コンデンターを切り替えて何度も何度も弾丸をミカボシへ発射する。
それをミカボシは手刀で落とし続ける。
幾つもの弾丸の中にある、とある毒の弾丸がミカボシの右腕を襲撃した。
ミカボシの右腕が後ろへ仰け反る。
「う!」
その毒の弾丸がミカボシの右腕を侵食する。
ミカボシは、懐にあった黄金の小刀で、その弾丸を傷口から掘り出して排出させたが、毒の侵食が。
「くそ、そうか…だから…キサマが」
と、北斗を睨む。
北斗は次弾を装填したトンプソン・コンデンターを構え
「ここで降伏するなら」
ミカボシが苦しそうに笑み
「残念だが、仕事が残っているのでね」
と、告げた瞬間、エーシェントルドが閃光になった。
同時にハジュンのラージャハラアーダーも閃光になり爆発して消滅、ミカボシとハジュンは逃走した。
爆発の余波が終わった宇宙空間に佇む北斗が銃達を仕舞ってティリオ達を見つめて
「全く、無茶をする」
ティリオ達は、助かった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら
ブックマークと☆の評価をお願いします。
次話を出すがんばりになります。
次回、救援者