星光 第114話 始まっていく
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ティリオ達がヴァイオレットの時空艦隊を復旧させる事に専念している間に…
ネオシウス時空が前代未聞の大規模テロに遭遇した。
アルヴァート陛下が主星の危機管理センターの警報画面を見て青ざめる。
危機管理センターの司令ホールは大混乱だ。
ネオシウス時空の軍事と生産を維持する過去の超越存在の遺産達が全て乗っ取られる。
ネオシウス時空の広域に出現した大鷲の惑星兵器達がリンクを繋げる。
そのリンクの光がネオシウス時空の超越存在の遺産達と繋がる。
瞬く間にネオシウス時空の全てが乗っ取られた。
そして、ネオシウス時空の上位次元、高次元に新たな超空間ネットワークが構築される。 新たな超空間ネットワークを創造する超演算は、乗っ取られた超越存在の遺産達と大鷲の惑星兵器達のリンクが行っている。
ネオシウス時空の高次元に新たな超空間ネットワークが誕生して広がっていく。
前のネットワークの上に覆い被さるように、新たな超空間ネットワークが広がっていく。
アガラシアをコアとした超空間ネットワークが、新たな超空間ネットワークに包まれていく様は、まるで…蝶の羽化のようだ。
それを…ミカボシである彼が、とある宇宙戦艦の画面で見ていた。
その隣にハジュンが来て
「順調か?」
ミカボシが笑み
「ああ…順調だ。これを組んだのは前のオレだったからなぁ…。それにしても、一切、改良を加えていないとは…どこまでも…この世界は、愚かという事か…」
ハジュンが
「超空間ネットワークなんて代物を簡単に扱えるのは、お前やオレ達のような超越存在でないとムリだからな」
ミカボシが
「そもそも、それの素材となる大量の超高次元多結晶体は、あの方が用意してくれたモノだ。それが無ければ、こんな計画を実行に移す事はなかったろう」
ハジュンが
「で、ここでのオレ達の成果は?」
ミカボシが指をクチビルに当て
「秘密だ」
「ふ…」とハジュンは笑った。
◇◇◇◇◇
ティリオ達は、ヴァイオレットの時空艦隊の旗艦の司令ホールに入り、司令ホールの端末を集めているメインシステムの下部ハッチを開いて、ティリオとクロストにナハトルがメインシステムの接続部と、自分達の魔導時空戦艦の接続配線を伸ばして接続していた。
狭いメインシステム内部をミミズのようにティリオは進み
「これと、これを…」
一度、この時空艦隊を修理していたので、どこにどんな配線があるのか、どんなシステムがあるのか…分かっている。
「クロスト、ナハトル、これをダガーノートの12番に」
「分かった」とクロストとナハトルは、ティリオからの配線を受け取り、ティリオの魔導時空戦艦ダガーノートに通じている配線基板の12番に接続する。
その配線基板達の周囲には、ティリオの仲間であるグラドス、ガオス、ラグスの三兄弟がいて、グラドスが
「ティリオ! プログラム、走らせられるぞ」
と、三兄弟は、直接入力の端末を操作して即興のプログラムを組んでいた。
その頃、旗艦の動力炉であり演算システムの巨大炉システムにマーリルとナーリスが行きマーリルが
「ティリオ、こっちのシステムとの接続を始めるよ!」
二人の背後にグランナのマキナ、ガイオロスが巨大な端末セットを背負って現れる。
ナーリスとマーリルがが全長十キロもある巨大炉システムの周囲を鳥のように飛び渡り、それにグランナのガイオロスが続いて
「ここ!」
と、ナーリスとマーリルが手招きする。
「分かった!」
と、グランはガイオロスを操縦しながら背中に背負う端末セットから配線を取り出して接続する。
アリエス、エアリスの姉妹は、ファクドと共に外部接続をアシストする従属艦へ向かい、その従属艦へ、マキナを操縦して接続端末をセットする。
ファクドがマキナのサラスティヴァを操作しながら
「全く、こんな事になるなんて…」
アリエスがマキナ、ゼウスリオンを操縦しながら
「ルビーおじさんや、ディオスおじさんのカンが当たってしまったなぁ」
エアリスもマキナ、ゼウスリオンを操縦しながら
「ティリオの護衛で終わるつもりだったのに…」
ティリオが全員の通信に
「ここの問題は、ここの人達が解決する。自分達が関わる必要はない。今は…この時空艦隊を立ち直らせて、身を守る事を考えよう」
ファクドが
「その通りだ。ここがチャンとしないと、どうにもできんからな」
ティリオは、最後のメインシステムの接続を終えて
「よし、これで行けるはずだ」
と、手を伸ばして
「クロスト、ナハトル」
その手をクロストとナハトルが引き上げてクロストが
「後は?」
引き上げられたティリオが厳しい顔で
「やってみるしかない」
ナハトルが
「ぐーくん、がーくん、らーくん、お願い!」
グラドス、ガオス、ラグスの三兄弟は頷き合い
”アディストギガンティス”
と、情報体の機神を背後から出現させて、端末から情報体の世界へ突入させた。
アディストギガンティスの三機は、情報体の世界を飛んでいきハッキングされた箇所の修復と切断を行う。
その作業中の三兄弟達にティリオとクロストとナハトルの三人が駆けつけて、ティリオが
「どう?」
グラドスが
「凄いよ。並大抵の演算能力じゃあない」
ガオスが
「ボク達のように情報体機神、アディストギガンティスが無かったら…」
ラグスが
「多分、復旧はできないと思う」
三兄弟達の情報体機神、アディストギガンティスが次々とハッキングからヴァイオレットの時空艦隊を救出する。
旗艦の巨大炉システムの接続をしていたマーリル、ナーリス、グランナが巨大炉システムの息吹が戻る重低音を聞いて、グランナがガイオロスのハッチを開き
「二人とも、入れ!」
と、マーリルとナーリスの二人は、ガイオロスへ入った。
グランナがガイオロスを操縦して、巨大炉システムから離れて
「どうやら、上手く行ったらしいな」
ティリオ達、司令ホールは、復活するシステム達に仕官とヴァイオレットが胸をなで下ろすが、ティリオが
「ヴァイオレット司令! 敵は絶対に、こっちが復旧した事を知っているはずだ!」
ヴァイオレットが
「全員、警戒態勢!」
ティリオがクロストとナハトルに
「行こう。絶対に刺客を差し向ける筈だ」
グラドスが
「ボク達は…」
ティリオが
「三人は、再度のハッキングに備えて」
グラドス兄弟達は頷いた。
ティリオ達は急いでゼウスリオンが置かれた内部港へ行き、ゼウスリオンに飛び乗って、ティリオ、ナハトル、クロストの三機のゼウスリオンが飛翔する。
その最中、クロストが
「ジュリア達は…どうなって…」
ティリオが
「大丈夫だよ。ジュリア、アリル、ナリル、エアリナの四人は強いから」
心配がないと言えばウソだ。
でも、四人は弱くない。
どんな状況になっても会える。絶対に…
◇◇◇◇◇
ミカボシは全てのデータが飛び交う宇宙戦艦のホールで、ティリオ達のいるヴァイオレットの時空艦隊が復旧したのを知る。
ミカボシは笑み
「ほう…やはりか…」
ミカボシの右側に立体映像が出る。
出たのは、シャヴァとブリジットだ。
シャヴァが
「こちらでもモニターした。私とブリジットが対処する」
ミカボシが
「良いのか? この時空全体に口上を述べているのだろう」
ブリジットが
「ジョカ達がいれば十分だ」
ミカボシは笑み
「そうか…任せる」
と、シャヴァとブリジットの通信が終わる。
ミカボシが
「さて…どのくらい、戦えるのかの試金石にさせて貰おうか…」
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次回、黄金の兵器達