星光 第113話 賢者の大鷲
次話を読んでいただきありがとうございます。
ティリオ達が巻き込まれる前、アースガイヤに侵略してくる者達が
ティリオ達がいるネオシウス時空で何かが起こったと同時のアースガイヤでは
「緊急警報を発令!」
「アースガイヤ星系のイージスシールドが!」
「イージスシールドが突破されます!」
アースガイヤ星系、惑星アースガイヤの月軌道の上の軌道に浮かぶ全長千キロの白銀と輝くセイントセイバー号の巨大司令室、大艦橋では、オペレーター達が所狭しと走り、席にある端末を操作して指示や情報の整理、様々な処理をしていた。
アースガイヤ星系の外縁を守る強大な魔法の盾、イージスシールドを突破するのは、惑星兵器級の存在だ。
全長一万二千キロにも及ぶ巨大な惑星兵器が十機も、全てを原子単位まで破壊するイージスシールドを突破して、アースガイヤに迫っている。
しかも、単騎で空間を曲げて進む特別な空間転移航法で、二時間後にはアースガイヤに到達する。
そんな危機的な状況で、セイントセイバー号の大艦橋の最上段にいる聖帝ディオスは、大荒れになっている現状に
「うろたえるな!」
と、怒声を放つ。
それは、他の通じている部隊や組織にも繋がっている。
ディオスが立ち上がって静かに呼吸して
「うろたえるな…我々は自身ができる事をやる。そうすれば…自ずと問題や困難を乗り越えられた。焦るな、うろたえるな…自らやるべき事をやりなさい」
それだけで大慌てだった空気が変わった。
「データ! 集めろ!」
「部隊編成と連絡の確保」
「他の時空への連合への連絡と連携を」
「ディオス様に収集したデータのまとめを!」
一気にアースガイヤ全体が纏まって動くようになった。
ディオスの席の隣にいるアーヴィングが
「やはり、聖帝の力は違いますね」
ディオスが余裕の体勢で腕組み
「大した事をしている訳ではない。自分には…そう、先人達がどうすれば良いかを見せてくれた事があったからだ。それをしたまでさ」
そう、先人達、ディオスと共にアースガイヤを守るアースガイヤの王族達の立派な背中があったからこそ、ディオスは聖帝と呼ばれる程の威風堂々を背負う事ができた。
纏まり始めたアースガイヤは、早かった。
直ぐにセイントセイバー部隊が出動し、セイントセイバーの機神、魔導装備部隊、ゼウスリオン部隊、魔導時空艦隊部隊と、様々な編成を組み、アースガイヤへ侵攻する惑星兵器へ向かった。
アースガイヤへ向かってくる惑星兵器の形が変貌する。
それは巨大な鷲のようだ。
翼を広げて獲物を狙う様は、明らかに…異様で威圧的だ。
セイントセイバーの部隊が到着した瞬間、惑星兵器達の激しい応戦が始まる。
だが、セイントセイバーの部隊も負けていない。
防護を固めつつ確実に惑星兵器へダメージを与える。
部隊には、惑星兵器に取り付いてハッキングして、乗っ取る部隊まで現れた。
ディオスとアーヴィングは、次世代達の活躍ぶりを見て満足する。
ディオスが来た初期の頃は、惑星兵器一つでも相手にするに骨が折れたが、今は違う。
惑星兵器適度なら、部隊編成と作戦さえしっかりやれれば、対処ができるのだ。
もう…ディオス達が活躍した時代は、過去の遺物なのだ。
それをディオスは、感じ入っていると、オペレーターが
「ディオス様、鹵獲した惑星兵器から取り出したデータです」
と、鹵獲した惑星兵器のデータを持ち込んできた。
それにディオスとアーヴィングは困惑する。
仕事が早すぎて、逆に怖さとたくましさを感じてしまうが。
焦る事なくディオスが
「ご苦労、見させてもらう」
オペレーターがお辞儀して
「あと、もう…一機程度で終わりますので、鹵獲した惑星兵器は、こちらで詳しい解析に回して置きます。詳細は明日になるかもしれませんが。もし、お急ぎでしたら」
ディオスが
「いや、それでいい…安全に処理して詳しく分かるようにしてくれれば十分だ」
オペレーターが再度お辞儀して
「は、では…」
オペレーターが去って行く姿にディオスとアーヴィングが
「ディオスさん。皆…優秀ですね」
ディオスが遠くを見て
「色々と教育に…精を出したからなぁ…経験も積ませたし…」
アーヴィングが
「ティリオは、どんなセイントセイバーになるんでしょうね…」
ディオスが
「ティリオなら…多分、教育機関にするんじゃないか?」
アーヴィングがティリオの回りに集まっている者達を思い返して
「まあ、確かに…そうなりそうですね」
ディオスが受け取ったデータを開示して魔導立体映像として見つつ
「さて、問題の兵器だが…」
と、データを分析しようとしていると
「ディオス様! 大変です! ティリオ様達がいるネオシウス時空が!」
◇◇◇◇◇
ネオシウス時空、ティリオ達のいるヴァイオレットの時空艦隊は、急いで星艦オルボスから脱出する。
ティリオは、急いで自分達の魔導時空戦艦へ乗り込み、宇宙空間へ出た。
ティリオとファクドにグランナがいるティリオの魔導時空戦艦。
クロスト達十人がいる魔導時空戦艦。
その二艦が併走して宇宙空間を走る。
ティリオが自分達の魔導時空戦艦の艦橋で動く星艦オルボスを捉えていると、星艦オルボスが何処かへ向かっていく。
ティリオが立体パネルを操作してネオシウス時空の超空間ネットワークにアクセスし
「どこへ向かうつもりだ?」
と、星艦オルボスが向かう先を探る。
だが、赤いパネルが艦橋を埋め尽くす。
ティリオが青ざめて
「全方位、この時空全てにハッキング…だと」
それを見たファクドが
「ティリオ! リンクを切れ!」
ティリオは、急いでこの艦とクロスト達の艦の超空間ネットワークを切断した。
そのお陰でハッキングの被害から回避できた。
ティリオ達の二艦後に続くヴァイオレットの時空艦隊が動きを止めた。
クロストが艦橋の通信に現れて
「ティリオ、もしかして…ヴァイオレットさんの艦隊は…」
ティリオは自分の魔導時空戦艦を急転回させて
「ああ…ハッキングにやられた!」
ヴァイオレットの時空艦隊、ヴァイオレットの旗艦の大艦橋では、ハッキングによって航行停止になった自分の時空艦隊に
「何が…起こっているんだ?」
ヴァイオレットの元へ仕官が来て
「司令…これを…」
と、立体映像を投影させる。
そこには時空転移して出現する惑星兵器があった。
その数は五百機。
このネオシウス時空の全域に五百機もの所属不明の惑星兵器達が出現して、その姿を展開する。
それは、アースガイヤを襲撃した惑星兵器達と同じ翼を広げる大鷲の姿になった。
その大鷲の惑星兵器達が、一斉にネオシウス時空の超空間ネットワークをハッキングして、ネオシウス時空の兵器達をダウンさせる。
そして…ハッキングされた超空間ネットワークを使って、ネオシウス時空全域に独占通信が始まる。
そこにいるのは、五人の女性達。
金髪のジョカ、黒髪のイナンナ、赤毛のシャヴァ、青髪のブリジット、白髪のケインナ
その五人が映る独占映像がネオシウス時空の全てに放映される。
ジョカが
「我らは、アルマティス! このネオシウス時空に真の未来を取り戻す者達だ!」
ティリオは魔導時空戦艦で、それを見て
「ああ…テロが…始まった」
ここまで読んで頂きありがとうございます。
続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら
ブックマークと☆の評価をお願いします。
次話を出すがんばりになります。
次回、始まっていく