星光 第112話 帰って来た男
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別行動していたエアリナ達の目の前に…
オージン達の霊廟に観光にエアリナ達四人はつき合わなかった。
エアリナ、ジュリア、アリル、ナリルの四人は、霊廟がある惑星の近隣にある惑星の都市に下りて観光をしていた。
惑星の海上にある都市から惑星の自然の大地を観光する小型飛行船が飛んでいる。
その一つに乗ろうとエアリナ達四人が移動していると、エアリナが足を滑らせて誰かに倒れ込む。
「あ…」
と、エアリナが体勢を崩して右にいた男性に寄りかかる。
それを男性が支えて
「大丈夫ですか? お嬢さん」
と、微笑む男性は紳士的だ。
エアリナがお辞儀して
「ありがとうございます」
男性は微笑み
「無事なら…ん…」
と、男性の顔色が僅かに揺らぐ。
男性の仲間が
「どうしたミカボシ…」
男性は仲間の男性に
「なんでもない。ハジュン」
ハジュンと呼ばれた男性の顔や露出している所々にはメカニカルな機械があった。
ハジュンは頷き
「そうか…」
ミカボシと呼ばれた男性は
「では、お嬢さん。良き観光を…どこかでお会いするかもしれませんね」
それをエアリナが聞いて戸惑い
「え…」
困惑するエアリナにジュリア、アリル、ナリルの三人が来て
「大丈夫」とアリルが
ミカボシとエアリナが視線を合わせている。
ティリオに近い百八十の長身のミカボシと、百六十のエアリナの身長差の視線交差。
エアリナは、ミカボシの視線にとある何かを見た。
「アナタは…」
ミカボシがそれに微笑むと
「何をしているミカボシ、ハジュン」
と、遠くから金髪の女性が二人を呼びかける。
ミカボシとハジュンが金髪の女性を見つめて、ミカボシがエアリナ、アリル、ナリル、ジュリアに微笑み
「では、これにて…偉大なる太陽の伴侶の皆様…」
それに、え?とジュリア、アリル、ナリルの顔が疑問に染まり動きが止まっている間に、ミカボシとハジュンは、金髪の女性と共に何処かへ消えた。
エアリナ達四人が動けず固まっていると、そこへ
「おお、お嬢さん方、ここにいたのか…」
と、オージン達が近づく。
オージンが動かないエアリナ達を見て
「どうしたんじゃ?」
ジュリアが
「さっき、エアリナとぶつかった人、私達を…偉大なる太陽の伴侶の皆様って言っていたわ」
オージンが驚き
「どっちへ向かった!」
千華が脇から小型の銃器を取り出して構える。エアリナ達が指さす方向へ走ろうと構えるが…
ナリルが
「気になって気配だけを追跡していたんですが…消えました」
オージンといたルークスが
「なんで、皆さん…警戒を?」
オージンが厳しい顔で
「帰って来たぞ、オルスがなぁ…」
◇◇◇◇◇
オルスであるミカボシとその仲間ハジュンは金髪の女性と共に別の宇宙船の中にいた。
三人は直ぐに瞬間移動して、この宇宙船に来た。
金髪の女性ジョカが
「なぜ、急いで宇宙船に戻って出港した?」
ミカボシとハジュンにジョカと、ジョカの仲間達を乗せた宇宙船は、凄まじい速力で惑星から離れていた。
ミカボシが微笑み
「聖帝の子息達がいるようだ」
ジョカが驚き
「まさか! 我々の計画が…」
ミカボシが首を横に振り
「その段階ではないらしい」
ジョカが厳しい顔で
「早めに計画を…」
ハジュンがミカボシを見つめて
「前倒しにするか?」
ミカボシが
「問題ない、予定通りにすればいい。不測の要素を対応する為に、私とハジュンがいる」
ハジュンはフンと鼻を鳴らして
「まあ、良いか。少しは暴れるか…」
ジョカが鋭い顔で
「どっちせよ。我らアルマティスの計画が遂行される事が最優先だ」
ミカボシが
「そう、天照女神達が…この時空で新たな光となる為に…」
と、ジョカと共に五人の女性を見つめた。
◇◇◇◇◇
ティリオ達の時空艦隊の旗艦にクロストの時空戦艦が到着する。
旗艦の内部港に着艦したクロスト達の魔方陣を展開して移動するアースガイヤ式の魔導時空戦艦の扉が開いて桟橋が架かり、そこをクロスト達が歩いてくる。
その桟橋の終わりに腕を組んで待っているティリオと両脇にファクドとグランナの二人が並んでいる。
クロストを先頭に
「やあ、ティリオ、グランナ、ファクド」
と、挨拶をする。
グランナとファクドは、どうしたんだ?という顔だ。
グランナが
「お前達も…オレ達の修学旅行に来て、どういうつもりなんだ?」
クロストがティリオを見ると、ティリオが訝しい顔だ。
それは、そうだ。
クロストを筆頭に男性はナハトル、グラドス、ガオス、ラグス、女性陣はアリエス、エアリス、サラナ、マーリル、ナーリスと、この十人は…ティリオが小さい頃からの幼なじみであり、グラドス、ガオス、ラグスは三兄弟、アリエスとエアリスは姉妹、マーリルとナーリスも姉妹、全員がジュリアやナリルにアリスの親戚でもある武家の出身。
幼き頃よりティリオと一緒に武術を高め、ティリオの父ディオスからも様々な魔法技を授かっている。
その能力と性格の良さを見込まれて、若くしてセイントセイバー候補生として、セイントセイバーに加わっている。
ティリオの将来が決定したが故に、次期聖帝であるティリオの直下に入る精鋭中の精鋭の彼ら彼女達が全員、来た。
つまり、何かが起こるかもしれないという…。
ティリオが冷静な視線で
「なんで、みんなして来たの?」
ティリオの態度に幼なじみの彼らは苦笑いだ。
ティリオの内心が分かっている。
何かが起こる可能性があるから派遣されて来た。
一緒に修学旅行なんて建前で、本音は別だ。
ティリオの態度にファクドが微笑み
「いいじゃないかティリオ、一緒に修学旅行を楽しもうぜ。何もなければ、それで良しなんだから」
グランナも察していて
「そうだぜ。大勢の方が楽しいだろう。ティリオも」
ティリオは溜息の後
「まあ…確かに、みんながいた方が楽しいけど…後で事情を」
突然、旗艦全体が揺れた。
その揺れにティリオ達は対応して踏みとどまる。
ファクドが旗艦の艦橋と通信を繋いで
「ヴァイオレット司令。何が起こったんですか?」
通信画面には、焦るヴァイオレットがいて
「今までここで、生産物資待機モードだった。星艦オルボスが…急に動き出した!」
ティリオが鋭い顔で
「この星系サイズの艦が…動いている慣性か…」
クロストが額を抱えて
「ティリオ、実は…セイントセイバーの任務でルビーおじさんと一緒に、時空間輸送組織レッドリと繋がりがあった組織を調べていたんだが…」
ティリオがクロストを凝視して
「まさか…」
クロストが厳しい顔で
「このネオシウス時空のオルスという人物が作った組織や会社の幾つかと通じていて、しかも…動きがあったらしい」
ティリオは額を抱えて
「つまり…巻き込まれたのか…」
クロストが頷き
「おそらく…ね」
ティリオ達は大きな事態に呑み込まれてしまった。
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次回、賢者の大鷲