星光 第109話 諸々の動き
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ティリオ達が修学旅行中、ルビードラゴン達が調べモノをしていると…
とある時空のとある惑星の、とある倉庫…
その倉庫の入口で身を隠して待機する四人、ルビードラゴンと、セイントセイバー部隊の若手のクロストにナハトルとアリエスだ。
ルビードラゴンを先頭にクロストにナハトルが続き、アリエスは後方で探査魔法を展開して周囲を警戒している。
アリエスが
「ルビードラゴン先輩、二名の近づく…」
ルビードラゴンは、イマイチ…先輩と呼ばれる感じになれていない。
この若手の少年達と少女はティリオの幼なじみであり、ルビードラゴンも三人が小さい頃から武術や知識をティリオと共に教えていた。
普段は、ルビーおじさんだが、任務の時だけ先輩になる。
慣れない…と思いつつも
「そうか、オレが先行する。クロスト、ナハトル」
クロストとナハトルは頷き、ルビードラゴンの後に…
別の侵入者が次に入るドアを開けた音の次に
「ルビードラゴン」
と、声がした。
ルビードラゴンは肩の力を抜いた。
剣を構えていたクロストとナハトルが、武装を解除したルビードラゴンを見つめていると、ルビードラゴンが突入する部屋に入り
「エピオンか…」
ルビードラゴンの目の前にスーツ姿のエピオンとサウンドロックがいた。
クロストとナハトルにアリエスも武装を解除して、ルビードラゴンの後ろに続く。
三人ともエピオンとルビードラゴンの関係は知っている。
ヘオスポロスのエピオンとルビードラゴンは親子の間柄であるが、その距離感は親子というより兄弟な感じだ。
ルビードラゴンがエピオンに近づき
「ヘオスポロスも探っていたのか…」
エピオンもルビードラゴンに近づき
「そっちも探っていたのは、分かっていたから…いずれは遭遇すると思っていた。なので」
ルビードラゴンが呆れた顔で
「オレと遭遇するように」
エピオンはルビードラゴンにデータプレートを差し向ける。
「一万カ所ほどだ」
ルビードラゴンもデータプレートを差し向け
「オレ達は、七千カ所ほど」
お互いにデータプレートを交換するルビードラゴンとエピオン。
エピオンが
「オレ達が調べた一万カ所、全部がダミーだった」
ルビードラゴンが渋い顔で
「こっちも全部…ダミーだ」
当たり前のようにヘオスポロスのエピオンとセイントセイバーのルビードラゴンが情報交換しているのを、セイントセイバーのクロスト達は黙認する。
エピオンとルビードラゴンの関係は、表向きは非公式だけど、裏では公認されている。
意外な事だが、利害の一致があるなら…裏で協力し合う事もある。
ヘオスポロスの目的は、自分達の進化の為に。
アースガイヤや超越存在達の宇宙王の者達は、己の世界の安寧の為に。
お互いの利益が損なわないなら、お互いに放置なのだ。
現在、ルビードラゴンとエピオンが追跡している事案は、多時空間輸送組織レッドリが超高次元多結晶体や、アムザクの遺産を手に入れた経路の洗い出しだ。
エピオンが
「まさか…レッドリの連中も自分達がダミーを噛まされていたなんて、知らなかったろう」
ルビードラゴンが
「ああ…これ程の組織、何時からあった?」
エピオンが鋭い顔で
「もしかして、組織じゃあないのかもしれない」
ルビードラゴンが鋭い顔で
「とんでもない力を持った個人の集合体…という…」
そこへコンコンとノックがあり
「よう、丁度良かった。会いたい面子の雁首が揃っているじゃあないか」
と、スラッシャーが現れた。
クロスト達は警戒するも、それにルビードラゴンは手を向けて静止させる。
スラッシャーが笑み
「あの聖帝の小僧より、話が分かって助かる」
と、前に出てデータプレートを二枚も取り出してルビードラゴンとエピオンに近づく。
ルビードラゴンとエピオンは黙ってデータプレートを受け取り、自分達のデータプレートをスラッシャーへ渡す。
スラッシャーが笑みながら
「オレ達の調べた五千カ所もダミーだった」
エピオンが溜息を漏らし
「ダミー。偽装のオンパレードとは…ウソもビックリだ」
スラッシャーが面倒くさそうに後頭部を掻いて
「中々、尻尾を掴ませてくれないぜ」
そこへ
「おやおや、これは僥倖なメンバーだ」
と、シンイラの面子、アマカスを先頭にサタンヴァルデウスの三名が来る。
アマカスは懐から三つのデータ結晶を取り出して
「ここでの交流に我々も加えてくれないかね?」
ルビードラゴンの脇をクロストがつついて
「ルビーおじさん。ボク達…下がった方がいい?」
ルビーおじさんというプライベート呼びは、本当に困った時に使う。
ルビードラゴンが
「三人は、ドアの向こうで待機という形で」
クロストは頷き、ナハトルとアリエスを連れて入ってきたドアの壁に身を隠す。
アマカスが
「あの子達は、状況を見る力があるのか?」
ルビードラゴンが
「セイントセイバーは良家の子供達が多い。そういうマズい事を察する力を生まれながらに持っているし育まれてもいる」
アマカスが「なるほど」と呟き、そして…ここにいる全員の極秘のデータ交換が行われた。
アマカスが
「ルビードラゴン殿、そちらは…偽装ばかりだったろうが。我々は、所在が分かっている者達を探し出した」
ルビードラゴンとエピオン、スラッシャーがアマカスを凝視する。
アマカスが軍服の意匠がある服装の帽子のつばを摘まみ
「ネオシウス時空にある組織の十カ所が…我々の調べた偽装会社に通じて、そして…そこから超高次元多結晶体やアムザクの遺産をレッドリの連中へ」
ルビードラゴンが渋い顔をして
「ネオシウス時空…だと」
スラッシャーとエピオンがルビードラゴンを見る。
二人は知っている。最近、ティリオ達がそこへ行っている事と、ちょっとした交流もあった事を。
アマカスが
「ネオシウス時空は、聖帝側の繋がりでしか調べられん」
「んん…」とルビードラゴンが唸る。
アマカスが
「その繋がりがある会社、ネオシウス時空のタルコシアス連合宇宙帝国の皇族で廃嫡されたオルスという人物が作った会社達の一部のようだ」
ルビードラゴンは額を抱える。ティリオが何かに巻き込まれている。
「マジか…ティリオ」
アマカスが追い打ちを掛けるように
「そして、どうやら…そのオルスが何かの動きをしているようだ」
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次回、逸般の誤家庭




