第8話 キングトロイヤル オルディナイト財団の交渉
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ディオスは高純度魔導石の提供を交渉の材料に、王候補の一人、ゼリティア・オルディナイトと対話する。だが、それはソフィアの知らない裏だった。
キングトロイヤル オルディナイト財団の交渉
その夜、屋敷の個室でディオスはクリシュナを前にとある話をする。
「………本気?」
と、クリシュナはディオスを見つめる。
「どうだ? 可能性としてはアリだろう」
ディオスは真剣な顔だ。
「んん…」とクリシュナは考え「でも、それで上手く行かなかったらどうするの?」
「それはその時だ。今は、これが最善の案な筈だ」
と、ディオスは本気だ。
クリシュナは首を傾げつつ
「止めはしないわ。私の考えとしては無謀ではないかもしれないけど、成功する確率は低いかもって感じね」
「そうか…」
ディオスは顎に手を当てる。
「ねぇ、仕込みは何時にするの?」
クリシュナの言葉に、ディオスは立ち上がり「今、直ぐだ」と部屋から出る。
ディオスは、屋敷にある魔導通信機の元へ来て、懐からメモを取り出す。そのメモには連絡先の番号が記され、その番号へコールし繋がる。
「ウォン教授ですか。ディオスです。例の条件についての話があります」
翌朝、朝食の前にケットウィンの元へディオスが
「え、ゼリティア・オルディナイトの今日の予定を知りたい?」
ケットウィンは顔を驚きに染める。
「はい」と淡々とディオスは頷く。
権利者の伯爵回り三日目では面会する人数も限られ、回る権利者の少なさから大体の候補者達の動きは読めて来ている筈だ。
「どうするつもりなんですか?」
と、ケットウィンの心配げな疑問にディオスは
「そんな大それた事はしません。ただ、前にあった時に誘われた事をキッチリと断りたいので…」
「はぁ…そうですか…」
ケットウィンは少し疑問にも思いつつも、ディオスに予想されるゼリティアの動きを伝えた。
その情報を元に、午前中、ディオスはクリシュナを伴って魔導車で行く。
クリシュナは、予想される面会者の位置が示された赤点の地図を見つめ
「この何処かにゼリティアが現れる可能性があるのよね」
「ああ…恐らくな」とディオスは頷く。
クリシュナがディオスを見つめ
「どこから回る?」
「まずは、ゼリティアの屋敷が近い方から行こう。時間を有効に使うなら、近い所から遠くへ広がる筈だ」
と、ディオスは行動を開始した。
こうして二人は、ゼリティアの屋敷から一番近い権利者の屋敷の前に止まり、魔導車から降りる。
門の前でディオスとクリシュナは、ゼリティアが来るのを待ち構える。
クリシュナは時計を持ち
「どのくらい待つの?」
「十分くらいだ」とディオスは淡々と
「そう…」
と、クリシュナが答えて三分程過ぎた頃に、一台の見慣れた大型魔導車が来る。その魔導車がディオスとクリシュナの横に止まり、窓が開いた。
「おやおや、これはこれは…もしかして妾の元に来る覚悟が決まって待っておったのか?」
ゼリティアだ。
読みは正解だった。
ディオスはゼリティアを見つめ
「今日は、ゼリティア殿に話があって待っていた」
「ほう…色よい話かえ」
ゼリティアは、楽しげに笑む。
ディオスは懐から、小さな片手サイズの保管ケースに収まる魔導石を取り出し、ゼリティアに差し向ける。
「これに関する商売で、そちらのオルディナイト財団の会長と話がしたい」
ゼリティアは、扇子で顔を隠し訝しい視線でディオスを見て
「これは、魔導石か…」
「そうだ」とディオスは頷く。
「主、妾がオルディナイト財団の鉱物開発部門の総括をしているのを…分かっているか」
「ああ…人から聞いた。それも込みでこの魔導石に関する商売をしたい」
ディオスとゼリティアは互いに視線を交差させ続け
「良かろう」とゼリティアは、ディオスの手から魔導石のケースを受け取る。
「連絡先は、ここだ」
と、ディオスはメモも差し出すと、同席していたセバスが手を伸ばし「失礼します」とそのメモを受け持つ。
ゼリティアは窓を閉め、目的の貴族の屋敷に入り、それを見終えてディオスとクリシュナは乗ってきた魔導車に戻る。
「さあ、種は蒔いた。後はどう出るか…」とディオスは呟いた。
王都、オルディナイト財団の本部がある建物の理事長室で、ゼリティアの祖父にしてオルディナイト財団理事長のバウワッハが机に向かい書類にサインをしていると…。
コンコンと扉がノックされ「失礼します」と秘書が入る。
秘書がバウワッハの側に来て
「理事長…ウォン教授がご到着しました」
「通せ」とバウワッハは告げてペンを置いた。
秘書が扉の前に戻り、扉を開け「どうぞ…」とウォン教授を部屋に通した。
「理事長、突然の申し出にありがとうございます」
ウォン教授は頭を下げる。
「いやいや、構わんよ。ウォン教授…それより、さあ」
と、ウォン教授を部屋にあるソファーに座らせ、自分も対面に座る。
「ウォン教授。お話にあった事は事実かね」
「はい」とウォン教授は持っていた鞄から資料を取り出し、バウワッハに見せる。
「理事長。これは間違いなく、純度九十四パーセントの魔導石です」
バウワッハは資料を手に取り
「信じられん。そんな高純度の魔導石が存在するなど…。あり得ない話だと貴殿から聞いていたが」
「それを訂正しなければなりません」
「…で、どの程度の?」
「かなりの高純度です。抽出分化の際には、おそらく…魔導車の魔導エンジンに使う魔導石を数万個精製可能だと…」
「飛空挺用の大型魔導エンジンには?」
「おそらく、数十個程に…しかも、高純度の為に高出力を可能とするので、従来の大型エンジンを更に小型化させる事も」
「ふむ…時価総額金貨百万枚か…」
「はい…」
バウワッハは深くソファーに腰掛け
「で、これを持ち込んだ人物は、どうしたいと…」
「他にもこれと同サイズで同純度の魔導石をもっているらしく」
「詳しい産地といった情報は?」
「全くその…答えてはくれず…持ち込んだ方の名前だけしか」
「そうか…」
バウワッハは資料を見つめ続け、ウォン教授も静かになり、二人の間に沈黙が降りる。
「ウォン教授…」
「はい」
「昨日、我らの財団にとあるルートから、この魔導石と同じ純度を誇る魔導石が来た。それは、君の資料にある魔導石より小型だが、確かに、これと同じ純度の魔導石がね」
「はぁ…」
「ウォン教授、正直に話して欲しい。君はこの問題の魔導石の人物と通じているのでは?」
「え…」
「持ち込まれた小型の同純度の魔導石の発端場所の証言で、もっと大きな魔導石の依頼を教授に頼んだと…」
「ああ…」とウォン教授は額から汗を拭き出した次に「も、申し訳ありません。実は、実験用にこの魔導石を提供する代わりに、理事長にこの事を臭わせるように話して欲しいと言われて…」
「やれやれ…では、教授はその人物の名前以外に連絡先も知っているのだね」
「は、はい…」
コンコンと扉がノックされ「失礼します」と秘書が子機の魔導通信機を片手に
「ゼリティアお嬢様から緊急の…」
「ん」とバウワッハは通信機を持ち
「ああ…ワシじゃ、ああ…。ああ…そうか分かった。また、後で良いかゼリティア」
通信を切ると、深くため息を吐き
「やれやれ、色々と手を回しおって、食えんヤツじゃな…」
その夕方、ディオス達がいるケットウィンの屋敷で、ディオスは地下の研究室に篭もり魔導石を生成していた。そこへコンコンと扉をノックするクリシュナ、ディオスはそれに気付き、魔導石の生成を止めるとクリシュナが近付き
「さっきアナタへ連絡あったわ。ゼリティアの執事だったかしら…セバスって人が、明日の午後三時にアナタを迎えに来たいって。理由は例の魔導石の商談について大旦那様が直接話をしたいそうよ」
「そうか…分かった」
ディオスは再び魔導石の生成に戻る。蒔いた種に芽が出た。後はどう育つか…。
翌日の午後、一台の魔導車がケットウィンの屋敷の前に止まる。そこから出てきたのは、ゼリティアの執事セバスだった。セバスが屋敷の門にあるベルの魔導石に触れると、屋敷の玄関が開き、そこからクリシュナが顔を見せる。
「お待ちしていました」
クリシュナが屋敷の門を開けると、セバスはお辞儀して
「ディオス様をお約束通り、お迎えにあがりました」
玄関から、台車を押すディオスが現れる。
台車には三つの大きな包みが乗っている。
セバスは、台車の荷物を見つめ
「これは…」
ディオスはその一つを解き
「お持ちする魔導石です」
台車の包みにあったのは、三十センチサイズの大きな魔導石が浮かぶ保管ケースだった。
「畏まりました」とセバスは魔導車のトランクを開けて、魔導石の包まれた三つの包みを荷台に載せる。
「では、参りましょう」とセバスが後ろのドアを開けそこへディオスとクリシュナが乗り込み、出発した。
二人を乗せた魔導車は、ゼリティアの屋敷に来る。
ケットウィンより何倍も大きな屋敷の門を潜り、奥にある屋敷というより城の如き邸宅の前に止まり、城の邸宅から数十名の執事と侍女が現れ道を作り、お出迎えする。
ディオスは、規模が違うなと思いつつ、魔導車に乗る魔導石を持とうと荷台に向かうもセバスが制止し
「荷物は、私どもがお運びします」
セバスが手を叩くと、四人の執事が荷台に来て、魔導石の包みを抱える。
「こちらです」とセバスが先頭にディオスとクリシュナの二人を案内する。
城の邸宅の二階に上がり、何度か角を曲がると装飾が施された扉の前に来て
「こちらでお待ちください」
セバスが扉を開けてディオスとクリシュナを通し、中央にあるテーブルに魔導石の包み三つを置いた。
ディオスは、入った部屋を見回す。壁は朱色で絵画が壁に掛かり、カーテンは金の金縁と装飾が施された豪勢な物で、所々に高級そうな壺や彫刻が置かれている。
ザ・超お金持ちだな…とディオスは思っていると、中央テーブルの両端にあるソファーに座るクリシュナが
「もしかして、萎縮している?」
「フン!」とディオスは鼻息を荒げ
「そんな気はさらさらない。寧ろ、これだけの調度品を持てるという事は、狙い通りになるかもしれんと、思ってる」
「そう…」
と、座るクリシュナは、自分の隣の場所をポンポンと叩き
「あんまり、じろじろみていると…下に見られるかもしれいわよ」
「どうしてだ?」
「大抵、財力のある者の応接室には、気付かないように客の態度を監視する目や耳を仕込んでいるものよ」
「成る程…」とディオスはクリシュナの隣に座る。
交渉を有利にする為に、客がどういう反応をするか調べる為に仕込みをしている場合が多い。そして、この待つ時間も…それを見る下調べかもしれない。
その通りで、全体を見渡せる一角にある天井角の鳥の剥製に中の映像と音声を捉える仕込みがあり、別の部屋でそれをゼリティアが目にして
「あらあら、付いてきている女は中々に鋭いわね」
と、目を細くして笑う。
二人が席について数分後、扉が開かれる。
扉を開いたのはセバスで、そこから
「いやはや、お待たせしました」
オルディナイト財団の理事長バウワッハと後ろには、赤髪のおかっぱの少年が付き従う。
セバスと共にバウワッハと赤髪の少年が入ってくると、ディオスとクリシュナは立ち上がり
「初めまして、ディオス・グレンテルです。こちらは連れのクリシュナ」
ディオスとクリシュナは深く頭を下げ
「本日は、このように急なご面会を設けて頂きありがとうございます。そちらの」
「まあまあ、堅苦しい挨拶はいいから」
と、バウワッハは朗らかに答え、二人の対面するソファーに座りセバスと赤髪の少年は後ろに立つ、ディオスとクリシュナは座る。
「でだ、この包みはセバスから聞いているが…」
バウワッハはテーブルに置かれた三つの包みを触り
「例の魔導石かね」
「はい…」とディオスは三つの包みを解き、大きな魔導石が浮かぶ三つのケースを顕わにする。
「ディフィーレや」とバウワッハが赤髪の少年へ向く。
「お調べします」と赤髪の少年ディフィーレはその内の一つに触れ
”マジックスキャニング”
と、魔法を唱えて魔法を発動する。触れた魔導石のケースが淡い光を放つ。
「このディフィーレは、様々な魔導アイテムを調べる力に長けておる」
バウワッハの指示で品定めをするディフィーレは、次の魔導石に触れ調べ、また次の魔導石に触れ調べ終わりバウワッハに耳打ちしようとするが
「はっきり、調べた結果をおっしゃって欲しいですな!」
強く放つディオス。
ディフィーレは困っていると、バウワッハが「良い」と告げる。ディフィーレは背筋を伸ばし
「この三つを鑑定した所、純度九十四パーセントの魔導石の大型結晶であると…」
「その時価総額は…」とディオスはディフィーレを凝視する。
ディフィーレは「う…」と詰まらせる。
「言え。ディフィーレ」とバウワッハが告げる。
「はい…。その…恐らく、金貨百万枚に匹敵すると思われます」
バウワッハは、両手を組み
「さて、どのような商談を? この魔導石がある鉱山をワシに売ってくるのか?」
ディオスは静かにバウワッハを見つめ
「この魔導石は、鉱山から採取され物ではないのです」
「ほう…では、魔導石を精錬してか? では、その技術をワシに売るという事か?」
「いいえ、精錬もしていません。この魔導石はゼロから生成した物です」
それを聞いたディフィーレは目を丸くして
「そんなバカな! 魔導石を人工的に生成なんて…。あり得ない!」
「ディフィーレ」とバウワッハが呟くが、ディフィーレは興奮して
「だって、いや、百歩譲っても生成出来たとしても、この高純度を生成出来るなんてありえない。不可能だ!」
「ディフィーレ様」とセバスが肩を持ち、ディフィーレはハッとして「ああ…すいません」
バウワッハはディオスを見つめ
「と、申しているが…」
ディオスは淡々と
「事実です。もし、疑うのでしたら生成する場面をお見せしますが…」
バウワッハは組んだ手を合わせ叩きながら
「話が見えてこない。つまり、どういう商談をしたいのかね? ディオス君」
ディオスは背筋を伸ばし胸を張り気味に
「自分はこの魔導石を生成する。それを貴方方に買って頂きたいという商談です」
「成る程、成る程、成る程…君の見立ては悪くない。この特別な魔導石を売る相手として我らを選んだ事は十分、見る目がある。正しい判断だ」
「自分はこの取引を、貴方達だけにして続けたいと…」
「ほう、それはそれは…間違いのない判断であると思うぞ」
「この魔導石の取引価格ですが…先程の値と同額では些か過ぎるというモノ」
「ほう、で、幾ら程を?」
「金貨…五万枚から三万枚の間で取引したい」
「え!」とディフィーレは驚き再び目を丸くする。
金貨百万枚に匹敵するモノを、その二十分の一で応じるというのだ。
ディオスは冷静に淡々と
「それと、この魔導石を生成する施設を作るのと、材料に関して援助もして頂きたい」
バウワッハは右手を頬に当て
「つまり、我らオルディナイトの部門に加わるという事かね」
「半分は独立していて、半分は漬かっているという感じにしたい」
「ほう…」とバウワッハはディオスと魔導石を交互に見つめる。
その脳裏では、これ程、チョロい商談があるか? 莫大な利益をもたらすであろう高純度の魔導石、その製造施設への援助、技術と利益がお手頃で手に入る商談。
ウォン教授や、孫のゼリティアも使って商談を持ち込んだのだから、相当に難題が来るかと食えん男だとも思っていたが…この商談、手にするに問題はない。
「よろしい。この商談、買いましょう」
バウワッハが手を差し出す。この手を握れば商談成立である。だが…ディオスはその手を見つめ動かない。
「どうしましたかな」
動かないディオスにバウワッハは困惑すると、ディオスが静かにゆっくりとバウワッハを見つめる。バウワッハはその視線に言いしれぬ恐怖を感じた。それ程までに不気味にディオスが見え、ディオスは
「この商談、成立させたいのですが…問題があります」
「問題とは?」
フゥ…とディオスは息を吐き吸い
「自分は今、キングトロイヤルで王の選定を受けています。ソフィア・グレンテール・バルストランを師と崇める弟子です」
「ほう…」
「そのソフィアが王の選定に敗れ、王都を去るというなら…自分もそれに付いて行かなければなりません。そうなると…この商談、破談にするしか…」
バウワッハに嫌な予感が過ぎる。
「つまり、どういう事…かね?」
ディオスから魔物じみた気配が醸し出される。
「つまり…ソフィアが王になれば、この商談を成立させる事が出来るのです」
セバスの手が硬く握られ、ディフィーレは顔が青ざめる。
つまり、こういう事だ。ソフィアを王にするのに協力してくれれば、この商談は成立する。
バウワッハの顔が見る見る鋭くなり、威圧が篭もる。
「つまりだ。ワシの孫娘ゼリティアが王になるのを諦めさせ、ソフィア殿を王にするに協力せよという事かぁ」
声色に威圧が篭もり、緊張がその場を包む。
ディオスは、ウンとは首を振らないが、強い威圧を込めてバウワッハを凝視する。
バウワッハも、鋭い顔でディオスを見つめ凝視する。
互いの威圧が篭もった睨み合いが続く。
これがディオスの狙いだ。莫大な利益をもたらす魔導石を取引に、ゼリティアを王にさせる事を諦めさせ、ゼリティアにある支援票を全てソフィアに貢がせよという事だ。
とんでもない男だと、バウワッハが痛感する。
そして、ディオスがどうして回り口説く食えないやり方で、商談を持って来たのか今、分かった。この為の布石だった。
バウワッハは強く両手を握りしめる。
今ある選択は、この莫大な利益をもたらせる魔導石を手にするに孫娘の王への道を閉ざすか、それともこの魔導石を捨て、孫娘を王にさせるか。
ディオスがポツリ
「どちらの天秤が大きいか、ご判断ください」
ギリっとバウワッハは噛み締める。利益か、孫娘の夢か。
バンッと扉が開かれ「迷う必要などありませんわお爺さま」とゼリティアが入ってきた。
「ゼリティア…」とバウワッハは驚きで見つめる。ゼリティアは、ディオスの隣に立ち
「この商談、お受けいたしますわ。勿論、アナタの条件、ソフィアを王にさせる事を約束しますわ」
バウワッハ、セバス、ディフィーレは呆然とする。
「ですが…」とゼリティアは扇子を広げて掲げ
「こちらとしても条件がありますわ…」
ゼリティアはその条件をディオスに告げると、ディオスは肯き
「分かりました。そのように、条件を呑みましょう。ですが…ソフィアの方にも聞く必要があるので…」
「それは、魔導石がどのように生成されるか見る時に、妾から話しますわ。それでよろしいかしら?」
ゼリティアは怪しく見つめ
「確かに…」とディオスは淡々と「では、何時ほどに」
ゼリティアは試す様に
「今日よ。今すぐに」
淡々とディオスは告げる。
「では、こちらも準備がありますので。先に帰らせて欲しいのですが…」
「セバス」
ゼリティアは呼び
「は」とセバスはお辞儀して
ゼリティアは扇子を回して
「お二人を…」
「畏まりました」
セバスはディオスとクリシュナを連れて送り迎えをする。
部屋から二人がいなくなった後、バウワッハが俯きに
「すまないゼリティア…」
ゼリティアは跪き祖父の手を握り
「何を申しますお爺さま。このような重要な事、迷う必要もありませんわ」
「しかし…だが…」
「これも妾が目指す。この国を豊かにする計画の一つですわ。この魔導石からもたらされる利益は必ず、この国をオルディナイトも豊かにしますわ」
「そうか、すまんな…ゼリティア」
バウワッハは優しく孫の手を握り返した。
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次話を出すがんばりになります。