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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
動く世界、なんだこれ?

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第88話 交流の終わり

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでください。

あらすじです。


マッドハッターは、自爆覚悟でディオスを殺そうとするも、別の仲間に阻まれ逃れる。

そして、今回の事態によって様々にロマリアは変わっていく。ディオスの明日はどっちだ?


 コイツはここで必ず殺す。

 そう決心したマッドハッター。


 その変化に、アルヴァルドも気付いた。

「キサマ…妙な事を考えいるなら…止めておけ…徒労に終わるぞ」


 ディオスは警戒で正面のマッドハッターを睨む。


 マッドハッターは、ニヤリと笑み

「さて…最後の幕を引こうじゃないか…」

 マッドハッターの背中が異様に膨れる。


『な!』

と、アルヴァルドに、ゼウスリオンに乗るマリウスとアルディルは警戒を高めた瞬間、マッドハッターの背中が爆ぜて、そこから大量のドラゴンの頭部が出現する。


 マッドハッターの数百倍もある巨大な多頭竜が出現する。

 大きさ的に百メートル越え、まるでギリシャ神話のヒュドラのようなドラゴンは、大量に生える頭を、四人に。

 ディオス、アルヴァルド、ゼウスリオンのマリウスとアルディルに向けて、業火を放つ。

 

 四人は一斉に避ける。


 業火は地面を溶かしてマグマに変えた。


 大地さえ溶かす業火の攻撃を前に、マリウスがゼウスリオンから紫電の光線を発射する。


 ヒュドラの頭が吹き飛ぶも直ぐに再生して、攻撃を開始する。


 アルディルもゼウスリオンで、空間断絶の攻撃を繰り出し、ヒュドラを両断がしたが、なんと、ヒュドラは二つに割れて再生してその数を増やした。


 アルディルは「チィ」と舌打ちした。


 そう、このヒュドラは、分断されば、そこから再生、更に散らばった肉片が、別の個体となるのだ。


 アルヴァルドは、ディオスに

「ディオス! お前なら出来るだろう」


「お任せを」

 ディオスは告げて、魔法陣を展開する。

”クワイトロール・ホロウ・オクタゴン”

 八角形の空間の檻に二頭のヒュドラを閉じ込め

「消えろ!」

”バルド・フレア”

 二頭のヒュドラの間に、閃光が出現、大爆発した。

 数千万度の殲滅火球によって、ヒュドラは蒸発するように消滅、空間の檻のお陰で、その爆発の影響は閉じ込められている。


 アルディルが

「あら…意外と簡単に終わったわね」

 ちょっと物足りなさそうだ。


 ヒュドラが閃光の中で蒸発しているのを見ながらディオスは

「マッドハッターも一緒に処理してしまったなぁ…」

 そう、ヒュドラはマッドハッターから生じたのだ。

 つまり、一心同体であると見た方が自然だ。

 エニグマの情報…手に出来なかった…とディオスは思い腕を組んだ次に、ドスっと背中に何かが負ぶさった。

「え…」とディオスは戸惑い、後ろを振り向くと、マッドハッターがディオスに負ぶさっていた。

「な!」


「さあ、一緒に黄泉の旅路へ行こうじゃないか…」

 マッドハッターが狂笑した。


『ディオスーーーーー』

 アルヴァルドとマリウスが叫ぶ。


 ディオスの背に負ぶさっているマッドハッターの胸部が閃光を放つ。


 ディオスは察した。

 ゼロ距離からの自爆!

 ディオスは振りほどこうとしたが既に遅し、自爆寸前の所で、マッドハッターの背に何かが突き刺さった。


「な…」

 マッドハッターは驚愕する。胸部にある金属の半球体に、その刃が届いて、自爆を止めていた。

 マッドハッターの背に刺さるのは漆黒の布状の物体である。


 ディオス達より、数十メータ離れたそこに、その漆黒の布状の物体を足下から伸ばす人物がいた。大きな黒い日笠帽子に、黒のコートを纏う男。

「冷静なアンタが…そんな事をするなんて似合わないぞ」

と、男が告げた。


 マッドハッターは男を見て

「アーヴィング! 邪魔をするなーーーーー」


 アーヴィングと呼ばれた男は腕時計を見て

「いい頃合いだ。帰るぞ…」


 マッドハッターの背に刺さっていた漆黒の布が抜けて、マッドハッターを保護するように包んで、発生させた主、アーヴィングの元へ運ぶ。


 それに素早く、アルヴァルドとマリウスが反応、マッドハッターを回収したアーヴィングへ走るも


「バーアイ」

と、アーヴィングは告げて、マッドハッターを連れたまま、足下の影に呑み込まれて消えた。


 アルヴァルドと、マリウスのゼウスリオンの一閃が、消えたそこを虚しく削る。


 ディオスは頭をふり

「全く、やれやれだぜ…」


 またしてもエニグマを逃がしてしまった。




 その後、首都モルドスと皇帝城のメカニカルドラゴン達による防衛戦は、数時間後に終了して、各軍隊は、住民の救助を行った。


 二日後、首都民救出は終わり、アーリシア統合軍とフランドイル軍、トルキア軍は、帰還を開始する。


 それに、ロマリア皇帝ライドルは、お礼がしたいと引き止めようとするも、別に普通の事をしたまでだと、言って帰還して行く。


 その帰還する前に、ロマリア軍と援軍達、双方の兵士がお互いに労い。

 お互いがお互いの国に来た時に、酒でも酌み交わそうと堅く約束した。


 アインデウスのドラゴニックフォース部隊だけは、ロマリアのもてなしを受けて、そして…何かの約束を交わして、帰還した。


 何の約束かは、その三日後に判明した。


 ディオスは、崩壊した建物達が広がる街の大通りに立つ。

 これからの復旧が…。

 そう、苦難の道が見えていると…。

 街の人達が、魔法陣を壊れた家に向かって展開、なんと壊れた家の残骸が浮かび上がってパズルのピースのように組み合わさって修復された。


 うそーーーん

 オレの心配を返せよ!


 次々と、壊れた家は、家を修復する魔法によって再生され、元の場所に収まる。

 中にあった家具や調度品、食品、衣類はは再生出来ないが…僅か一日にして、首都の崩壊した建物の半分以上が再生される。

 なんでも、家にはその設計図状態を保持する魔法具が装着されいるらしく、それによって家とか建物は簡単に再生されるそうだ。


 クソ! これがファンタジーか! これが魔法の世界か!

 本当に心配して損をしたディオス。


 ディオスの滞在する屋敷も半壊していたが、子供達が遊び感覚で家を再生する魔法を使い元通りにした。

 ただし、装飾品や調度品は、買い足さないといけないが…。


 あ! そうだ、その壊れた品の回収が!

  ディオスの思いは虚しく…壊れた廃品は、家を再生する魔法の時に、はじき出されて道路に山となると、それを回収する飛空艇が現れて、UFOキャッチャーのようにアームですくい取り回収、後に使える部品と廃棄する部品に分けられて、再利用される。


 クソ!と、ディオスは内心で、魔法世界の情緒がない所に悪態を付くも、辛い現実を目にする。


 今回の事で犠牲者が出ていた。


 千人近い犠牲者を…首都の人々は、合同葬祭する。

 それに、皇帝ライドルや娘で次期皇帝のアルミリアス、その皇帝のロイヤルファミリー全員が出席する。


 無論、それに、トルキアの援軍を指揮した将校、アーリシア統合軍とフランドイル軍の将校、レディアン達も参加して、一緒に弔う。

 勿論、ディオスも参加。

 

 膨大な数の人が埋め尽くす大葬祭の会場でライドルが言葉を口にする。

「正直に言おう。悔しい。我が民達が犠牲になったのは辛い。だからこそ…次にこのような事が起こった時は、誰も犠牲を出さない事をここに誓おう。その為に尽力する。彼らに冥福を…」


 合同大葬祭が終わり、レディアンがとある書類をディオスに渡す。

「アリストスも許可した。構わないだろう」


 ディオスはフ…と息を吐き

「ええ…必要でしょうから…」



 その日、アインデウス皇帝の部隊ドラゴニックフォースがロマリア皇帝と約束したモノが、ロマリアに届いた。

 七機のゼウスリオンだ。

 金属の滑らかな甲冑装甲には、一切のつなぎ目がない。

 金属なのに、有機的に関節の各部位が動くゼウスリオン。


 ディオスも、これを設計した時に、これ程までになるとは思っていなかった。

 ちょっとゴツゴツになるかなぁ…と予想していたが、それに反して滑らかなデザインだった。

 

 そう、ロマリアはアーリシア、アリストスとゼウスリオンに関する運用提携を結んだ。

 先の首都防衛戦で、ゼウスリオンはその凄まじいスペックを示した。

 無論、こんな超魔導兵器を簡単に提供はしないだろうが…今回の首都防衛戦が、切っ掛けとなって、ロマリアにも自国を守る為に必要だろうと、判断されて七機が配備される。


 無論、これを動かすのは神獣技を使えるロマリア皇家の者達だ。

 そして、包括的大規模破壊魔法による使用限定条約も付けてだ。


 お披露目式に、ディオスも参加して、七色の七機のゼウスリオンを見上げる。

「まさか…こうなるなんて…」

 意外な事態にディオスは戸惑い、手に持つカクテルのグラスに口を付けて、パーティーの周囲を見渡すと…フランドイルの王子ヴェルオルムと、アルミリアスの二人が仲良く話しているのが見えた。

 二人は二十歳くらいの同年配だ。


 そして、今現在より、このゼウスリオンの操者となった。


 確か…ヴェルオルムのゼウスリオンのタイプは広域戦略型、アルミリアスも同じタイプだ。


 まあ、似たようなゼウスリオンを使うから、色々と聞いているのかなぁ?

 ディオスはそう思いつつ、フランドイルの精霊神獣ジンと、ロマリアの神獣技のデータを脳裏に過ぎらせる。


 確か、神獣技は、器に宿るようにしてゼウスリオンに搭載するから…そこがジンとは違うんだよなぁ…。

 器に宿すか…、器に…あ!

 そう、ちょっとした事を閃いた。

 神獣技なら、アレ、いけるじゃねぇ?



 ディオスが来てから二十八日目、ディオスは皇帝城の豪華な席にいた。


 長いテーブルには、一番奥の豪華に飾る周囲を背負うライドルと、その両脇にロマリア七つに分けられた地区を統治する七人の大公が並んでいる。


 ディオスはライドルと対面にする反対にいた。


 ライドルと七大公達が、和やかに食事をする。

「いや…皇帝陛下…。首都が危険の時に、逃げずに民を守ろうとは…。王の鏡ですなぁ」

 大公が褒めちぎる。


 ライドルは苦笑して

「おいおい、褒めても何も出ないぞ。まあ…民あってのワシじゃ。逃げるなぞ。死んだ方がマシだ」


 大公の一人が

「確かに素晴らしいお心ですが…皇帝陛下が、亡くなったとなったら…我が国が乱れます。どうか…その辺りは分かってください」


「分かった分かった」


 ディオスは、大公達の苦言も受け止めるライドルの姿を見て、以外に思った。

 そう、外面は高圧的だが…内面は、民に優しい。

 そうだよね。王様って民を守る存在。民があるから王でいられるんだから…。

 でも、民の中にある利権問題で色々と苦労しそう。


 ジーと見つめるディオスにライドルが

「どうした? グレンテル?」


「ああ…いえ、皇帝陛下って外から見ると怖そうですが…。こっちに来て見てみると…優しいなぁ…と思って…」


 大公の一人が

「ええ…そうですともグレンテル殿。皇帝陛下が優しいのを知ってそこにつけこむ、愚か者がいます。そんな愚かな輩から皇帝陛下を守るのも、我らの使命ですから」


 ライドルが

「おいおい。そう乗せるな…何が欲しいのだ?」


 はははははは

 楽しげな声が響き、ディオスは微笑みながら料理を頬張る。

 そう、出されているロマリアの料理、マジで美味い。

 キャビアみたいなモノを乗せた刺身の一品に、豪華なボルシチ、パンも色取り取り、マジでこの世界の料理は、どの国も料理も美味いのだ。


 口にメイ一杯頬張るディオスに大公が

「今日の料理は、どうですかなグレンテル殿?」


「おいしいです」とディオスは呑み込んで答えた。


「そうですか…。もし、我が祖国が気に入ったのなら…。このまま、ここで暮らしますか?」


「え…」とディオスは戸惑う。


 大公が

「ディオス殿のような方が、皇帝陛下の傍にいてくれるなら…。我々も…ねぇ」

「ええ…安心が出来ます」


 ディオスは「ああ…」と言葉が出ない。


 ライドルが

「どうだ? 我が国で、お前の力を生かさないか?」


 ディオスは右に傾きながら俯き

「その…申し訳ありません。自分は…バルストランを…アーリシアを捨てる事は出来ません」


 その答えに、大公達は「はぁ…」と残念そうに溜息を漏らし、ライドルは酒の入ったグラスを手にして一口

「はぁ…羨ましいのぉ…バルストラン王が…。もし、時を戻せる魔法があるなら…真っ先にお前を我のモノにしたろうに…」


 ディオスは後頭部に右手を置いて謝りながら

「すいません。本当に…申し訳ありません。その…ロマリアに危機が訪れた時は、必ず、力を貸します。それでご容赦を…」


 こうして、豪華な宴の席は過ぎていった。



 三十日目、ディオスが帰る日が来た。

 空港のロビーでは、屋敷で共にした子供達とその保護者、アルミリアスに親衛隊の乙女達とラハトアに、ドリトルと研究者達が集まって、ディオスの別れを惜しんだ。

「みなさん。お世話になりました」

 みんなと握手するディオス。


 子供達が

「ねぇ、ディオスさん。このままここで暮らしてよ。もっと面白い魔法を習いたい」

「そうだよ!」


 ディオスは苦しそうな顔で

「ごめんね。その…帰らないといけないから」


『えええええええ』と残念がる子供達。


 ドリトルが

「ディオス殿、是非、必ずお会いしましょう」


「はい」とディオスはドリトルを握手する。


 アルミリアスは

「ディオス様。もし、新しい家族が欲しくなったら…是非、我が国へ」

と、ニコニコで微笑む。


 クソ、最後まで引き抜くつもりかよ。

と、ディオスは苦笑する。



 多くの人の見送りを受けながらディオスは、帰路へ向かった。

 その帰宅の飛空艇の中で、バルストランの王宮、ソフィアに連絡する。

「ああ…それで、帰還した場合は、直ぐに王宮に来た方がいい?」


『そうね…。まずは、屋敷に帰りなさい。みんなを安心させた方がいいじゃない?』


「え、いいの?」


『ええ、報告は屋敷に帰ってから三日後くらい後でいいわ』


「ああ、そう、それなら、そうする」

 

 ディオスとの連絡を終えたソフィアは、王の執務机に両肘を乗せ、両手を組んだ手の前で怪しく微笑む

「あのバカが…やった事の報いを受けるといいわ」


ディオスは、バルストラン王都の空港へ午前の半ばに到着。

 そのまま、魔導タクシーにて屋敷に帰宅した。

 一ヶ月ぶりの我が家、そして、我が赤ちゃん達。

 ゼリティアに連絡すると、帰宅する日にはこっちの屋敷に来て、ゼティアと共に待ってくれていると。

 

 やったーーーーーーーーー

 家族水入らずで過ごせる幸せを噛み締めるディオスは、屋敷に到着、玄関を開けて

「ただいま」

と、入った次に

「え!」

 目にしたのは、玄関の広間を埋め尽くす魔導士達だ。

「ええ? えええ?」


 困惑するディオスの前に、エルダー級魔導士の四人が来る。


「お帰りなさいませ、ディオス殿」

 アインシュ。


「いや…ロマリアでの活躍、聞き見にしていますよ」

 ケンブリッジ。


「しかし、ディオス殿、貴方は、アーリシアの、アーリシアの、アーリシアの大英雄。それを忘れてしまっては困りますねぇ…」

 アルサドーラ。


「ですから…その自覚を持って貰う為に…今から、ロマリアでの修学の成果を見せて頂きましょう」

 サンドラ


 四人は口元だけが笑み、目が笑っていない。


「ああ…」とディオスは青ざめると、その両脇を四人が連れてきた助手に担がれ、広間のテーブルに座らされる。


 そして、ドンドンと書類の束が並ぶ。


 それは…ディオスに開発を依頼する魔法陣のデータであった。


「あの…家族と…」

と、ディオスが告げると、一団が割れて家族の姿が見える。


 ティリオを抱えるクレティア

 リリーシャを抱っこするクリシュナ

 ゼティアを両腕に抱えるゼリティア

 その周りに堅い顔をするレベッカとチズ

 苦笑するココナにユーリ

 最早これまでという顔のセバス。


「ダーリン、がんばれ! 終わったら、みんなで相手してあげるから」

 クレティアは抱いているティリオの手を振って応援する。


 レベッカが眼鏡を上げて

「全く、自業自得です。ロマリアでその権勢を存分に示し過ぎた罰です」


 そして、ディオスの脳裏に、ソフィアが報告を待つという理由が分かった。 

 あああ! これがあるからかーーーーーー

 知っていたのかよ!

 

 頭を抱えるディオス、それに「さあ!」と一団は迫った。

「やれやれ、勘弁してくれよ…」

と、ディオスは泣き言を呟いた。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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