表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
882/1109

星光 第91話 彼らの選択

次話を読んでいただきありがとうございます。

五百年前に起こった残虐な悲劇、それに各々の者達は…

 

 全ての始まりは五百年前にあった。

 この時空の超空間ネットワーク、高次元領域を使ったシステムは、アサの民という高次元領域と接続する者達によって構築された。

 超空間ネットワークは、様々な恩恵をもたらした。

 この宇宙にいるなら、どんな場所でもエネルギー供給や、情報の通信が即時伝達できる。

 さらに、この宇宙の果てから果てまで、数時間で行ける超空間ネットワークを使った空間移動も可能にした。

 そして、超空間ネットワークがもたらしたもう一つの恩恵が、空間を操作する事による様々な事象の操作だ。

 無論、そのレベルは小さいモノが多いが、それが積み重なって大きな事、惑星を人が住める環境に変えるまでを短い時間で可能にした。

 だが、超空間ネットワークがもたらすエネルギーや恩恵にも限界はある。

 それを突破する為に、アサの民の王であるオージンは、超越存在を誕生させようとした。

 それは、かつて…ティリオが生まれたアースガイヤ時空で行われた方法と同じであった。

 多くのアサの民との同期と、超空間ネットワークの膨大な演算能力に、この宇宙域の意識を全て観測する高次元領域観測力を合わせて、その資質があった。

 オージンの弟ヴァーリスを超越存在に押し上げる。

 それによって、この時空に更なる恩恵がもたらされる筈だった。

 その筈だったのに、アサの民の独裁がもっとキツくなると…勘違いした愚か者達が、アサの民は、更なる支配をする為に超越存在を生み出すと流布した。


 無論、それは勘違いとして…。

 だが、一部の自分が上に立たないと気が済まない革命やら革新やらを唱えて、綺麗事で人を騙す詐欺師達には通じなかった。

 その詐欺師達に騙された多くの若者達が…軍勢を従ってアサの民を虐殺した。

 それは五百年前だ。


 その愚かな綺麗事に騙された若者達にホワイトの祖父グレイスとグレイスの父親、そしてルナリスの祖先達。

 後に、この時空でトップとなる者達の祖先達がいた。

 アサの民は、突然の事で対応が出来ず。

 その軍勢に皆殺しにされる。


 そして、悪い事に…その時期は、ヴァーリスを超越存在とする為にアサの民が高次元連結をしていた時だった。

 そう、アサの民が対処できない事を知って、軍勢を差し向けて…。


 アサの民は、オージンを残して絶滅した。

 いや、一部、アサの民と結ばれた他の者達とのハーフは、逃れて…


 その後、愚か者達の軍勢はアサの民が残した遺産に群がって、ジワリジワリと破滅の道を歩み出した。


 どういう仕組みで動いているのか?

 どういう風に作られたのか?

 何もかも分からない、知らないシステムを使って、自分達の権勢を強める愚か者達。

 そして、そのシステムの根幹には、自分達が間違って殺してしまったアサの民の怒りと憎しみの塊、コアのないサタンヴァルデットがいる事を知って恐怖する。

 サタンヴァルデットが解放された場合、どのような結末を迎えるのか…。

 愚か者達は知っていた。

 

 それを何とかしようと奔走する愚か者達。

 何も、解決する方法が見つからない。

 いつ解放され、この時空を審判の大量虐殺で破滅させる脅威に怯えるしかない。


 そして、愚か者達は、アサの民の虐殺から二百年後に、やっと己の罪を認める事が出来た。

 愚か者達の本心は、結局、子供じみた事、自分が偉い、かっこいいという浅はかで愚かなナルシズムと、自分だけが利益を得たいマキャベリズム、自分と他人が分からず他者を道具にして支配するサイコパス

 人が真の意味で打ち勝たなければいけない闇の側面に、簡単に飲まれた結果だった。


 そして、愚か者達とその子孫達は、必死にアサの民の生き残りを探して…贖罪を始めた。

 だが、生き残ったアサの民のハーフは…本来のアサの民からかけ離れて別になり、その叡智も技術も歴史も繋がりも失われて。


 それでも…その欺瞞に満ちた贖罪にすがりつくしかなく。

 レッドリCEOホワイトは、本妻の他にハーフのアサの民から妻を迎えた。

 ホワイトの本妻も、ホワイトと同じ愚か者達の主筋から来た者で、自分達の祖先の過ちを知っている。

 その二人目の妻から生まれたのが…クロエラで、クロエラは他の兄姉妹と同じように大切に育てられた。

 それには、小ずるい打算があった。それは…

 もしかしたら…薄まり遠くなってしまった血筋から…再びアサの民が…。

 そして、再び復活したアサの民の為に、自分達が様々な時空を渡り、超高次元多結晶体を集めて超空間ネットワークのモドキを作ったが失敗だった。

 それでも材料は残っている。何時か、時間は果てしなく掛かるが、復活したアサの民が…


 そして、あの事件から五百年の歳月の後に、アサの民をベースとしたアームズヒューマンからアサの民として覚醒する者達がいる事を知った。

 アサの民をベースとしたアームズヒューマンも、アサの民の復活の為に行っていた。

 それが、まさか…こんな事になろうとは…ある意味、僥倖でもあった。

 

 アームズヒューマンから復活した彼ら、アサの民は、活動を開始した。

 まずは、この時空で傭兵として働き、様々な情報と活動して…何かをしようとしていた。

 それをホワイト達、かつての子孫と関係者は黙認した。

 この時空でアサの民が復活するかもしれない…という願いを込めて、彼らの好きにさせたが…。

 復活したアサの民が行おうとしていたのは、この時空からの脱出だった。

 別で、自分達の宇宙を作り、脱出。

 この宇宙を捨てる。

 その別の宇宙を作る材料として、超空間ネットワークに封印されたサタンヴァルデットと、超空間ネットワークの一部を持って行く。

 復讐でもない、この宇宙を捨てる。

 それにホワイト達は愕然とした。

 それを止める事も、辞めさせる事も、ホワイト達には出来ない。その権利さえない。


 ◇◇◇◇◇


 脱出するティリオ達の魔導時空戦艦ダガーノート。

 ティリオはブリッジで、キーブレードを取り出して見つめる。

 それを隣に並ぶジュリアが

「まさか…何かやろうと…考えていない?」


 ティリオが渋い顔して黙る。


 ティリオの前の操縦席にいるファクドが

「おい、ティリオ…残念だけど。ヘオスポロスの連中の言う通りだ。オレ達には解決できない。帰るしかない。それを聖帝様に届けて終わりだ」


 ティリオはグッとキーブレードを握り締めて黙っている。

 その手にグランナが手を置いて

「お前が何かを考えているなら、それはお前の仕事じゃあない。お前の父親、聖帝ディオス様達、超越存在や宇宙王達の仕事だ。オレ達の仕事は終わったんだ」


 その場にいる全員、ファクド、グランナ、ジュリアとアリルにナリルがティリオを見つめる。

 完全に何かをやろうとしているティリオを止める為に。


 そして、とある反応が魔導時空戦艦ダガーノートに出る。

 この時空の中央付近、かつてのアサの民の惑星があった銀河の上に時空転移の渦が出現する。

 そこから、結晶の棺が、聖櫃が出現した。

 その映像をティリオは鋭く見る。


 そこへ魔導時空戦艦ダガーノートのブリッジにカレイドの千華の鋭い顔の通信が入り

「おい、聖帝のご子息、協定を忘れるなよ。アレ…アタシ達のモノだ。聖櫃が出現した場合、アタシ達…カレイドに優先権がある。そういう契約な筈だ。それをやぶるなら、お前も敵だぞ、聖帝の小僧」


 ティリオが苦しそうに眉間を寄せた後、微笑み

「ごめん」


 ブリッジにいた全員が青ざめて

「お前! バカ!」

と、グランナが叫んだ瞬間、ティリオは煙幕攪乱のスタン手榴弾を転がして、ブリッジを攪乱、素早く脱兎した。

 ジュリアとアリルにナリルが魔法を使って攪乱を消した時には、ティリオが魔導時空戦艦ダガーノートに収納されたマキナのゼウスリオンに乗って出て行った。


 ファクドが

「バカ野郎がぁぁぁぁぁ!」

 

 ファクドの怒りの声がブリッジに響いた。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら

ブックマークと☆の評価をお願いします。

次話を出すがんばりになります。

次回、最後の言葉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ