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星光 第88話 贖罪の対価

次話を読んでいただきありがとうございます。


ティリオ達は、最後の交渉人であるクロエラ達の護衛を行う。

そこで、ティリオは…クロエラの父、レッドリCEOホワイトの案内で、とある場所に


 オージンは目の前にいる弟の生まれ変わりであるルジェルことヴァーリスと並んでいるクロエラの二人に

「お前は…」

と、呆れた声を漏らす。


 ルジェルが

「兄さん、頼む…これが最後にする」


 オージンが厳しい目つきで

「失敗したら…?」


 ルジェルが俯き

「これが最後だって…」


 オージンは溜息を漏らして

「分かった。だが…こちらで護衛を用意するからな」


 ルジェルが頷き

「分かった」


 オージンがティリオ達の元へ行き事情を説明する。

 説明を受けたティリオ達は、ティリオの両脇にいるグランナとファクドがティリオを見つめる。

 ティリオが悩んでいるとオージンが

「すまんの。ムリを言ってしまった。他を…」


 ティリオが

「いいえ、護衛、やります」


 そこへクワイエルトとアクレイトが来て、アクレイトが

「その護衛、我々も同行してよろしいでしょうか?」


 ティリオ達が渋い顔をする。

 アクレイトが

「もし、護衛対象を直ぐにでも逃走させないといけないなら…我々の超空間へ作用させる力が有利になりますよ。対象やアナタ達を直ぐに、ここへ帰還させられますよ」


 ティリオとグランナとファクドの三人はアイコンタクトして、ファクドが

「まあ、一時的な同盟という事でなら…」


 クワイエルトが頷き

「ええ…構いません。我々も目的のモノを運搬し終えて暇人ですから」


 オージンが

「そうか…後は…ゲヘノムヴァ側の装置が待ちか…」


 アクレイトが

「時期に届くでしょう」


 こうして、ティリオ達とテスタメントの二人を護衛としてクロエラとルジェルが交渉役として魔導時空戦艦ダガーノートへ乗って出て行った。


 ◇◇◇◇◇

 

 移動の最中、ティリオはエアリナに通信で全てを話していた。

 エアリナが

「そう…そういう事だったのね」


 ティリオが

「ぼくは…どうすれば良かったんだろうか?」


 エアリナが

「私の思う事だけど、オージンの言う通りだと思う。外部の私達が口を挟んで良い問題ではないわ。ここの時空の人が解決するべき問題だけど…」


 ティリオが通信のエアリナを見つめて

「問題だけど?」


 エアリナが微笑み

「私はティリオがしたい事を応援したい。だから、ティリオの判断に任せるわ」


 ティリオは俯き気味に

「分かった。ありがとうエアリナ」


 そうして通信を終えている間に交渉に指定された巨大コロニー宇宙戦艦に来た。

 この巨大コロニー宇宙戦艦を運営しているのは、クロエラのレッドリだ。


 レッドリが管理するコロニー宇宙戦艦へティリオ達は入り、護衛として千キロ級のコロニー宇宙戦艦の内部都市へ来る。


 ティリオとジュリアとアリルにナリルの四人を先頭に、脇にグランナとファクド、後ろにテスタメントの二人、その中央にルジェルとクロエラが入り移動する。


 内部都市を移動する最中、二人の男性が、レッドリCEOのホワイトと執事のルビコンが来た。


 レッドリCEOホワイトは、娘のクロエラを見て

「クロエラ…気が済んだか?」

 

 クロエラが首を横に振り

「まだです」


 ホワイトは娘に呆れつつ

「お前の要求通りに、この時空のトップ達が集まっている」

と、後ろの巨大なビルを指さす。

 そして、ホワイトはティリオに

「キミには、私から話があるのだが…」


 ティリオは仲間達を見ると、グランナが

「ここはオレ達で十分だ。構わないぞ」


 ティリオは頷き、ホワイトに

「大丈夫そうなので…」


 ホワイトが「こちらへ」とティリオを誘導する。


 ティリオは仲間と別れてホワイトと共に別のビルへ来る。


 そのビルの中を進み、とあるホールへ通される。

 ホールの中心には、一人の老人が移動式のカプセルベッドで横になり上半身を起こしていた。

 ホワイトが

「父上、彼を連れて来ました」


 ティリオが老人の隣に来ると、老人が

「初めまして、若き超越の王よ。ワシは…ホワイトの父親にして、この大罪の原因を作ってしまった者達の一人、グレイスという者だ」


 ティリオが困惑気味に

「色々と聞いた事がありますが。まずは…どうして、ぼくがここに呼ばれたんですか?」

 

 グレイスは目を閉じて思考を機械に伝えるとホールの中心に電子回路の模様が集まり、円柱が上がってくる。

 上がった円柱が天井に当たって止まると、その中腹部分が開き、とある物体を露出させる。

 それは、黄金の電子回路模様に剣の柄を持つ刃が鍵状の物体だ。


 グレイスが乗るカプセルベッドが移動して、その物体に近づき

「これを…アナタに…」

と、告げると鍵状の剣が浮かびグレイスの膝の上に置かれて、グレイスは自分がいるカプセルベッドをティリオへ移動させて、ティリオへそれを渡す。

 

 ティリオは受け取った瞬間、これが何なのか分かった。

「まさか…これは…超高次元多結晶体…」


 グレイスが

「それは、我々が作り出そうとした超空間ネットワークの接続と起動を司るキーだ」


 ティリオが

「まさか…アサの民以外の超空間ネットワークを作る事が出来たのですか?」


 グレイスがフッと笑み

「出来なかったさ。精々…出来の悪い紛い物で使えない無駄の浪費をしただけだ」


 ティリオがグレイスから受け取った超高次元多結晶体のキーの剣を見つめながら

「これを構築する素材は…?」


 グレイスが

「その素材を探し出して獲得する為に、多時空運輸企業、レッドリを創設した」


 ティリオが

「まさか…アナタはアサの民が復活してこのような事になるのを知っていたのですか?」


 グレイスが苦しそうな顔で

「いいや、知らなかった。これは、恥ずかしい話だが、ワシ等は自分達の罪を直視する事が出来なかった。今の…ホワイトの代になって…自分達の罪を過ちを認める事が出来た。そして、その償いを…その為に、自らアサの民と同じように超空間ネットワークを作ろうとしたが…結果は散々だった」


 ホワイトが

「我々は、密かに生き残っているアサの民の子孫を探し保護して…そして…今を共に生きている」


 グレイスは苦しそうな顔で

「ワシ等は、本当にバカじゃった。勝手にアサの民を、忠義を誓ったオージン様を裏切り…そして…それは、アサの民が全て悪いと決めつけて…」


 ティリオはハッとして

「まさか、ホワイトさんが…ぼくに近づいた理由は、これを…」


 ホワイトは頷き

「我々にとっては、何も作れなかった素材だが。ハイパーグレートの君なら…我々が出来なかった事を…」


 ティリオは黙ってキーブレードを見つめる。


 グレイスが

「これが、ワシ等のやった概要じゃ」

 ホール全体に、自分達が作ろうした超空間ネットワークの映像が投影される。

 

 ティリオはその全体を見つめる。

 そして、思考と知識を回す。聖帝ディオスである父親から受け継いだ知識と技術を使ってホワイトが作って失敗した超空間ネットワークの全体像を解析した結果、黙ってしまう。


 グレイスが

「どうかね? キミなら…作れるかね? 我らの悲願を…我らの贖罪の…」


 ティリオが

「残念ですが。ここにある構築されたシステムでは、超空間ネットワークは出来ません。いや、そもそも、集めた素材自体、間違っている」


 ホワイトが肩を落として

「そうか。素材自体が間違っていたなんて。出来ないわけだ」


 ティリオが

「でも、別のモノは作れます」


 グレイスが

「別のモノとは?」


 ティリオが素材が組み上がったシステムの全体映像を見ながら

「超空間ネットワークを…助けつつ、この時空の上位の領域に、この時空を管理するシステム空間を構築できます。父さんが昔、関わった事件の資料の中に充座というシステムがありました。それが…作れるかもしれません」


 ホワイトが

「つまり、それは…超空間ネットワークの代わりになるのかね?」


 ティリオが頷き

「はい、超空間ネットワークと同じ力を持つと共に、時空全域を管理する上位システムなので…。考え方としては、惑星全体の環境をコントロールするシステムを、宇宙規模でやるようなモノです」


 ホワイトが

「なるほど、つまり…アサの民が、この時空の超空間ネットワークを持っていても、これが…」


 グレイスが

「それでは、我らの贖罪になっていない。結局、贖えなかった…」

と、悲しげに項垂れた。


 ホワイトが父グレイスに

「父上、贖罪はムリだったのです。ですから」


 そこへ緊急通信が入る。

「グレイス様。大変です。交渉に来たアサの民の代表が重傷を!」


 グレイスが通信に

「やったのは、誰だ?」


 通信が

「アルファイス・カンパニーの専務をしています。アルファイスのご子息が…」


 グレイスが吐き捨てるように

「子供から孫の代まで、結局…ワシ等は、同じ過ちを繰り返して…それを終わらせる事ができんのだなぁ…」

と、涙する。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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