星光 第87話 過ちの対価
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ティリオは仲間達と合流し…
オージンがディオスに転送した超空間ネットワークのコードから、魔導時空戦艦ダガーノートが転移して、ティリオがいるオージンの惑星戦艦へ到着した。
オージンの惑星戦艦ミッドルに入港する魔導時空戦艦ダガーノート。
大きな内部の港に入ると、その港にティリオとオージンが並んで待っていた。
ダガーノートからジュリアとアリルにナリルが先に降りて、ファクドとグランナが行く。
ティリオへジュリア達が来て
「もう…不安だった」
と、ジュリアが伝える。
ティリオが申し訳ない顔で
「ごめん」
謝った後、ファクドとグランナが来て、ファクドが
「色々と情報を得たんだろう。オレ達をこんなに心配させたんだからなぁ…」
ティリオは頷き
「ああ…」
と、ティリオはオージンを示して事の全てを話した。
それを聞いたグランナとファクドは厳しい顔をして
「なるほど、こっちで聞いたとおりか…」
と、グランナが頷く。
ティリオが
「カレイドの二人は?」
ファクドが渋い顔で
「こっちの時空へ部隊を派遣するそうだ…」
ティリオが嫌そうな顔で
「許可は…得ていないよね…」
アリルが
「この後…どうする?」
ティリオ達が黙っているとオージンが
「言ったはずじゃ、もう…お主達にはやれる事は無い。傍観者に徹するのが良いぞ」
ナリルが
「クロエラ嬢は?」
ティリオが
「ルジェルさんの…元へ」
◇◇◇◇◇
クロエラは、ルジェルの居住である家のベッドに座ってルジェルの話を聞いて俯いていた。
ルジェルが悲しそうにそれを見つめて
「そういう事です。お嬢様…」
クロエラが顔を上げて
「ルジェルは…最初から私が…その一族の娘だと知って…」
ルジェルは頷き
「はい。製造された初期では…まだ…アサの民として覚醒していませんでしたが…。お嬢様の屋敷に来る時には…もう」
クロエラが悲しい笑みで
「私の事…私達の事…憎かったよね」
ルジェルは難しい顔で
「始めは、自分達、アサの民にとって有利な情報を得る為に…ですが。今は違います。クロエラ嬢様と過ごして、後悔しています」
クロエラが
「後悔しているって?」
ルジェルが
「普通の護衛者のようにクロエラ嬢様と過ごしたかった。でも…」
クロエラが立ち上がってルジェルの手を握り
「ルジェル、私と一緒に来て欲しい」
ルジェルがそれを振りほどき
「できません。私は…アサの民…それは」
クロエラが首を横に振り
「違う。私は…お父様達と交渉します。ルジェル達がこの時空で暮らせるようにする為に…だから」
ルジェルが苦しそうな顔で
「私は…その願いを…信じる事ができません」
クロエラが悲しい顔して涙が溢れそうになる。
ルジェルが
「ですが、もし…それが最後の交渉であるなら…アサの民の王である兄上の名代として…何よりクロエラ嬢様を信頼しているルジェルの役目だと思っています」
クロエラがルジェルに抱き付いて
「ありがとう。ルジェル」
その背中をルジェルは優しく撫でた。
◇◇◇◇◇
ルナリスでは…ルナリス達、軍閥が一莵を通じて提示された提案に頭を抱えていた。
一莵は頭を会議室で頭を抱えているルナリス達、この時空の司令達を見下ろして
「という事です」
ヴァルスアルヴァの要求、それは…
アサの民がこの時空から居なくなり、この時空を支える超空間ネットワークを持っていった場合の代案、ヴァルスアルヴァが構築する超空間ネットワークの所有権、優先的使用権を全てヴァルスアルヴァが持つという。
あまりも不平等すぎる内容がそこにあった。
司令達の一人が
「これでは、あまりにも…不平等だ!」
一莵がフンと鼻を鳴らして呆れて
「アナタ達は…自分達がどれだけ、信用がないか…ご理解していないのですか?」
一莵の右にいるディジレーターのユノが呆れた顔で
「散々、汚い仕事をアタシ達のような外部に委託させて、その成果だけを持って行くアンタ達が裏切らないって保障は何処にも無い」
一莵が
「確かに世の中には、手を汚す必要も無い事はありますが。どっちに転がっても最悪だった選択は幾つもあった。そのワガママを我々は遂行していた。自分達の最大の汚点、背負うべき罪業の尻振りをさせて、綺麗なままです?」
と、一莵はルナリスの座る席の脇に来てドン!とテーブルを叩き
「いささか、都合が良すぎませんか?」
司令達は黙っていると、一莵が
「どうぞ、解決できるならやってください。この提案を呑めないなら、我々、ヴァルスアルヴァは…この時空から撤退しますので」
と、告げて会議室から出て行くのをユノも続く。
ユノが去り際に
「この世にはね。神様だって帳消しに出来ない都合の悪い事は一杯あるんだ。どうするかは…アンタ達が決めな」
会議室から一莵とユノが出て、ユノが
「ヘオポロスを使うかな?」
ユノと並んで歩く一莵は
「兵力は対価次第で貸すだろうが…」
ユノが笑みながら
「アタシ等と同じ超空間ネットワークを作るってなると…同じくらいの要求は絶対にするだろうね」
一莵が鋭い顔で
「後は…この時空の連中が決める事だ」
◇◇◇◇◇
一莵達、ヴァルスアルヴァの要求を知ったルナリスが頭を抱えた。
「どうして、もっと早く…」
何時までも先延ばしにしたツケがここで来た。
自分のデスクで悩むルナリスに秘書官が
「ルナリス様…通信が…」
ルナリスが顔を上げて
「誰から?」
秘書官が
「クロエラ・ルビージュ様です。内容は、アサの民の名代の方を連れて、この時空を支える組織達のトップ達全員と…交渉したいと…」
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次回、贖罪の対価