星光 第85話 流転悪化
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オージン達との邂逅の後、ティリオは仲間へ連絡を…
事態は流転し続ける。
ティリオは、オージンが操作するマルチバーストジョイントシステムと接続する、この時空を維持する超空間ネットワークのコアと、そのコアに封印されるサタンヴァルデットを見せられて
「これは…どういう…事ですか?」
オージンはティリオの隣に立ち
「どうもこうも…この時空の連中が、我らアサの民を虐殺してくれたお陰で、これが誕生したのさ」
ティリオは、オージンを見つめて
「まさか…これを生み出す為に…アサの民を…」
オージンは首を横に振り
「全く違う」
と、オージンは悲しげな顔で
「本来は、この時空を支える為にアサの民による連結した超越存在、リンク・ハイパーグレートを作ろうした。だが…」
ティリオは最悪な想像をする。
「それが…成される前に…」
オージンは呆れた顔で
「何を勘違いしたのか…我らがこの時空を支配する絶対的な存在になると…愚かな事だ」
ティリオが鋭い顔で
「これと…ぼく達が…」
オージンは微笑み
「オメガデウスにサタンヴァルデット、このコアなしの集合体サタンヴァルデットを組み込むシステムを考えたのはワシじゃ。そして…」
と、後ろにいるゲヘノムヴァの男女を見て
「その為の器を作ったのが…彼らじゃ」
ティリオがオージンを見つめて
「何のために…そんなシステムを…」
オージンが微笑みながらティリオに
「お主達がアリアナ銀河の呑み込んだサルヴァードを取り込んだように、ワシも同じ事をしようと…。お主達に先を越されたがなぁ…」
ティリオが渋い顔で
「つまり、ぼく達がやった。フォーミュラリオンと同じ事を…」
オージンは、目の前の立体画面にあるサタンヴァルデットと超空間ネットワークを見つめて
「お主達がやった事よりも、ワシ等の方が難易度は低い。何せ、同じ者達から派生したモノ同士が一つになるだけだからなぁ…」
ティリオは、後ろにいるゾディファル教団のテスタメント、クワイエルトとアクレイトを見て
「つまり、今回のデータも…ゾディファル教団に…」
オージンは笑み頷き
「ああ…色々と協力してくれた見返りとしてなぁ…」
ティリオが痛そうに目を閉じて
「他に道は…」
オージンは鼻息を荒げて
「他にあると思うか? お主達、聖帝のご子息様を利用してワシ等を排除しようとした連中に…」
ティリオが苦しい顔をして沈黙する。
オージンが微笑みながらティリオに
「老害からの言葉だが…知恵や技術は十年以上も磨いても身につかず、信頼は生涯を通しても得られず、だが、詐欺師は一晩で得られると言う、お前は詐欺師か?」
ティリオが苦しそうにしていると、オージンがティリオに
「そう、苦しそうにするな。お主は…詐欺師ではない。だが、詐欺師ばかりに騙されたワシから言える真実だ。失った信頼は二度と戻らない…そして、信頼は、この世に存在する対価となる全てよりも重い…お金なんかよりも遙かにだ。信頼を対価や金で得られると口にする全員が詐欺師であるのは…自明の理ぞ」
ティリオが口にできないでいると、オージンが
「ごめんな。どうも…年を取ると説教ばかりになる。お主は未来だ。分かるよ。お主達は真っ当で真っ直ぐで優しい。だからこそ、ワシ等のような過ちは…なって欲しくない。ある意味、計画が発動する前に、お主達のような優しい輝きを持つ未来の子達に出会えたのは、人生最後で初めて神に感謝しているよ」
ティリオが
「でも、他に…方法が…」
オージンが
「他に方法があるか? サタンヴァルデットを解放して、では…この時空はどうなる? 審判の大量虐殺が始まるぞ。では、お主達…超越存在の者達が介入すれば…この時空は裏切りとして、他の同じ時空達から攻撃の的になる」
ティリオが悔しそうに俯く
オージンがティリオに優しく
「お主が苦しむ事は無い。これは、どうしようもない事だ。世の中の大半は、解決できない問題ばかり。それを分からん連中が世の中をダメにしているのも気付かないのも事実。だから、お主達が苦しむ事は無いぞ」
ティリオが
「その…この事を…父さんに…」
オージンが頷き
「構わん。その為にここへ来て、ワシの説明を聞いて貰った。そして、お主も…その為に誘拐されてくれたんじゃろう」
ティリオが頷き
「じゃあ、通信を…」
オージンが
「こっちじゃ」
◇◇◇◇◇
クロエラは、ルジェルが軟禁されているコロニーへ来た。
ルジェルは草原地区でコロニー天井の空を見上げていると近づく気配を察知して
「あ…クロエラ…お嬢様…」
クロエラが悲しそうな顔で
「ルジェル…話を聞かせて…」
ルジェルが苦しそうな顔になる。
クロエラが
「私達の祖先ってアナタ達を…虐殺したの?」
その言葉にルジェルが項垂れて
「全てをお話します…」
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次回、過ちの加速