星光 第76話 侵入者
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侵入者として現れた彼女…その目的は?
ティリオ達の時空戦艦に侵入した少女は、腰にある端末を取り出して、時空戦艦内にある端末へアクセスする。
ハッキングして時空戦艦の見取り図を取り込む。
そして、とある人物を探す。
少女は、右腕にあるステルス装置の手甲を作動させて、姿を見えないようにした。
そして、目的の人物がいる場所へ向かう。
ハッキングしたデータで、ドアを開けて入ると
「あれ?」
そこには誰もいない。
少女は、部屋の中を見回して入った。
部屋の中央へ来た瞬間
「動くな」
少女の首にエネルギーの刃が向けられる。
少女の後ろには、鋭い顔のティリオがエネルギー剣の刃を少女の首に向けている。
少女はステルス装置を使っているのに、ティリオには意味が無いと悟り
「すいません。その…正体を明かしますので…」
「その必要は無い」
と、少女の右にファクドが現れて少女の右腕にあるステルス装置の手甲を解除させた。
少女の姿が顕わになる正面にグランナがいた。
「何の目的で、ここに来た?」
と、グランナが尋ねる。
ステルス装置が解除された少女は、頭部に獣耳、黒髪、人の顔、人型が主軸の獣人系だった。
少女が
「私の名前は、クロエラ、クロエラ・ルビージュです」
ファクドが名前と容姿から検索を書ける。
時空戦艦内にあるシステムが、クロエラを調べる。
そのデータをファクドに転送して
「クロエラ…ルビージュ…。アルファイド時空の出身で…ええ…」
グランナが
「どうしたんだ?」
ファクドが呆れ気味に
「ティリオが会談したレッドリCEO、ホワイトの娘の一人だ」
ティリオがエネルギー剣を下げて
「これは失礼をした。だが…乗船許可もなく、勝手に上がり込むのは…どうかと思いますよ。クロエラ嬢」
と、告げる目は鋭い。
まだ、警戒を解いていない。
クロエラが首を摩って無事なのを確認すると
「分かっています。勝手に侵入した事を謝罪します。ですが…どうしても…お願いがありまして…」
と、後ろにいるティリオへ向く。
ファクドは、クロエラの右腕にあるステルス装置の手甲を外してティリオの左に来る。
「これは、こちらで預かるよ」
隠れて何かをされては困るので…。
ファクドがティリオにクロエラのステルス装置の手甲を渡した。
ティリオがそれを受け取ると…それを見つめて固まる。
ファクドは、ティリオが装置の分析をしていると思って、自分が会話をする事にして
「クロエラさん、お願いとは?」
クロエラが苦しそうな顔をして
「助けて欲しい方がいます」
グランナもティリオの右に来て
「助けて欲しい方とは?」
クロエラが
「彼を…ルジェルを助けてください」
グランナがティリオを見て
「だ、そうだが…ティリオ…」
ティリオはハッとして顔を上げて
「ああ…助けて欲しい方とは、どんな人物だ?」
ファクドが
「ルジェルという人物らしい」
ティリオが「ああ…」と
「なるほど、その…ルジェルとは?」
ファクドとグランナがティリオの様子に戸惑う。
クロエラが
「ルジェルは…人造の…」
ティリオが
「人造だとしても、我々は差別しない」
クロエラは
「ルジェルは、私が小さな頃から護衛をしてくれていた人造兵器人、アームズヒューマンです」
グランナとファクドにティリオが渋い顔をする。
クロエラが
「そのルジェルが、最近になって誘拐されて…」
人造存在は、消耗品としての側面がある。
ましてや、クロエラはレッドリCEOの娘だ。消耗品が一つ消えた程度では、動かない。
むしろ、新しい消耗品を補充するだけだ。
誘拐されても、所詮は、消耗品。
ティリオが
「その誘拐されたルジェルを見つけて欲しいと…」
クロエラが
「誘拐された場所は、分かっています。私の時空で…最近、力を付けてきたテロ組織メメントに誘拐されて…」
グランナが
「つまり、そのテロ組織から、キミの大切なナイトを救って欲しいと…」
クロエラが頷き
「お願いできますか?」
ファクドが
「それなら、キミに父上の方が向いているのでは? テロ組織だ。放って置けないし…」
クロエラが
「テロ組織ですが…使い勝手の良い傭兵でもあります」
ティリオが面倒くさい顔をする。
色んな意味でお察しだ。
要するに、テロ組織の仮面を被った、荒事と汚い仕事を請け負う極秘組織であり、おそらく…レッドリCEO、クロエラの父親も通じている。
不意に疑問がよぎる。
要するに顧客の位置であるクロエラの父ホワイトの所有物や大切な者を襲撃するなんてあり得るのか?
そういう事は絶対に…
クロエラが
「もし、助け出してくれるのでしたら…それ相応の…」
ファクドが
「残念だけど、金銭や資源といった報酬は欲してはいないんだよ」
クロエラが懐から
「これのデータを…」
ティリオ達がそれを受け取って、ファクドが自分の時空戦艦に読み取らせて、出てきた立体画面の一覧を見て
『うわぁ…』
と、ティリオとグランナとファクドが唸った。
そこには、レッドリ・カンパニーが裏で通じている組織達のデータの一部があった。
クロエラが
「もし…ルジェルを助けて頂いたなら…残りのデータも…」
ティリオは呆れ、グランナは渋い顔をして、ファクドは頭が痛くなって抱えた。
トラブル中のトラブル。
何もしていないのに、飛び込んできた。
そして、かなり怪しい。
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次回、怪しい依頼