星光 第75話 ホワイトの食事会
次話を読んでいただきありがとうございます。
新章です。
レッドリCEOとの会合で…
ティリオは、とある時空にある、とあるレストランの個室に来ていた。
このレストランに招待したのは、レッドリCEOのホワイトだ。
ティリオは、レストランのイスに座り、ホワイトが来るであろう対面の席を見つめる。
ティリオが到着して一時間が過ぎた。
ティリオが静かに待つ。
個室のドアが開いて
「やあ…待たせたね」
と、ホワイトがティリオの対面に座る。
ティリオは立ち上がって
「いいえ、ボクも今…来た所ですから」
ホワイトが対面に座りつつ
ワザと、待たせたのに…平然とするティリオの態度に、ホワイトは複雑な顔をする。
ティリオに苛立つ様子はない。
落ち着いている。
これ程、待たされたのだ。
不機嫌になったり、不安になる筈が…。
ホワイトは
「私が遅刻した罰だ。好きなモノを選んで欲しい」
ティリオの目の前にメニューの立体画面が投影される。
ティリオは、目を通して
「では、シェフ、オススメのメニューで」
慌てないティリオの様子に、ホワイトは苛立つ。
こちらが場を用意している。
交渉は、自分が有利になる状況で行うのが鉄板だ。
ティリオからミスを誘う苛立ちを誘発しようとしているのに…。
ティリオが微笑み
「では、今回のデータです」
と、ティリオは、データが入った端末プレートをホワイトに渡す。
ホワイトが手を叩くと、ホワイトの執事ルビコンが入ってきて、調査する端末を持って来る。
ホワイトがそれを受け取り、端末にデータの端末プレートを入れると、そこには…あのオメガデウスの情報が入っていた。
そして、そのオメガデウスに入った超高次元多結晶体という情報も…。
「なるほど…確かに」
ティリオが
「ここまでしか…調査ができませんでした。後は…」
ホワイトが
「いや、上出来だと思いますよ。分からない何かよりは、いい」
ティリオが微笑み
「そうですか…」
ホワイトが
「これ程の情報だ。何か…そちらの望みはないかね? 対価を支払いたい」
ティリオが微笑み
「では、今回のお呼ばれが成功するという事で」
ホワイトがフゥ…と溜息を吐き
「全く、食えないな」
ティリオが
「そう簡単にお互いの信頼関係が構築できるとは思えません。時間が必要ですから」
ホワイトが
「もし、この間にも…例の存在、そのオメガデウスの被害が発生したら、どうするかね?」
ティリオは
「愚問でしょう。それなら、父達が出て対処する。それにボクが付随するだけです」
ホワイトは、内心で
確かに、その通りだ。
まあいい、今回はお互いに情報を交換できるという証明でも構わないか…
「これが…我々が持っている情報だ」
と、ティリオにデータ端末プレートを渡す。
ティリオは受け取り
「ありがとうございます」
と、懐にしまう。
ホワイトと執事ルビコンが視線を合わせる。
確認しないのか?
疑心暗鬼が生じた所へ料理が出て
ティリオが
「さあ、シェフのオススメを楽しみましょう」
ホワイトとルビコンは、十代後半の小僧とは思えない程のティリオの胆力に呆れと驚きを向けるも、ティリオと共に料理を楽しんだ。
◇◇◇◇◇
ティリオが去った後、ホワイトはルビコンに
「ルビコン、お前なら…あの小僧を…」
ルビコンが
「ムリでしょうな。相当に鍛錬されております。にじみ出る質量の気配が…」
ホワイトが
「拉致しようモノなら…」
ルビコンが
「我々が見るも無惨でしょう」
ホワイトが
「精々、お互いに利益を共有させて貰おうじゃないか…」
と、レストラン最上階の個室の窓から帰って行くティリオの時空戦艦を見つめた。
ティリオが来た場所は、ホワイトが所有する千キロ級のコロニー宇宙戦艦の一つだった。
その超巨大宇宙戦艦の港から、ティリオが乗って来た時空戦艦が出て行く。
その時空戦艦は、ファクドのモノだった。
◇◇◇◇◇
ファクドの時空戦艦で帰還するティリオは、広めのホールで、ファクドとグランナの二人をソファーに座らせて、ティリオ自身も座っている。
グランナが
「ティリオ、どうして…ファクドの時空戦艦で来て帰るんだ? お前の時空戦艦を使えば…」
ティリオが
「ファクドのゴールドジェネシスの民の時空戦艦で来るって事は、ゴールドジェネシスの民との太いパイプがある証明になる。これも外交の一つさ」
ファクドが
「レッドリCEOから貰ったデータは?」
ティリオが指を空中で踊らせると、データ立体画面が出て、グランナとファクドの前にデータ立体画面が来る。
「ゾディファル教団が、別の時空へ移動した後に…どんな事をしているか?の情報だ」
グランナが
「ゾディファル教団は、他の時空、宇宙にオメガデウスを供給しているのか…」
ファクドが
「これは信用できる情報なのか?」
ティリオが
「信用できなくても関係ない」
グランナが
「それじゃあ、お互いに情報交換している意味がないだろう」
ティリオが
「直ぐに信用されるとは思わない。まずは…こちら、相手と話し合えるのを証明し続ける。
無論、こちらの情報は正しいのを提供するさ」
ファクドが
「なるほどね…こちらは本物を提供して、相手はウソを提供しているとなれば、ウソを提供している相手は、本物を渡すこちらを離せなくなる」
グランナが呆れの溜息をして
「なるほど、こちらで餌をぶら下げて、操作するって事か…」
ティリオが
「相手がそこまで、騙される器だったら、それだけさ」
ファクドが
「じゃあ、これは…キミが招き入れたの?」
と、三人の間に、とある映像が映し出される。
それはティリオ達が乗っているゴールドジェネシスの時空戦艦に侵入した者だ。
ティリオ達に近い十代後半の少女が一人、装備は姿を隠すステルス装置と…小型の武器だけ。
ティリオが笑み
「新しいお客様が来てくれて、うれしい限りだ」
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次回、侵入者