表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
動く世界、なんだこれ?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/1119

第85話 修学交流、だが…

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ロマリアにてディオスは修学の交流を開始、ロマリア皇帝ライドルの子息に魔法を教えたり、ロマリアでの魔法の勉強と、研究の手伝いをして上手く行っていた矢先に…


 ディオスは、ドリトルと共に首都モルドスにある様々な研究所へ行く。

 そこにある様々な魔法技術の見学をするディオス。

 無論、それを見せている研究者達は、自分達の力をディオスに見せる為だが…ディオスが開発中の魔法陣設計図を見て、屋敷の時のように、この魔法陣を組み合わせると、この魔法は成功しますよ…と、即興で書いた魔法陣の設計図を渡す。


 研究者達は半信半疑だったが…。

 その設計図通り、魔法陣を組み合わせると、本当に開発していた魔法を使えた。

 まさか…まぐれだろう…。

 そう研究者達は思っていたが、次々とディオスがその開発中の魔法陣を、発動可能にする補足の魔法陣の設計図を渡し続け…。

 ディオスの言う通りに開発中の魔法が完成するのだ。


 ディオスが、来て四日目にして、とある魔法の解析をディオスに依頼した。

 空間に高い魔力を留める魔法の設計図であるが…全く上手く行かない。


 高度で緻密な魔法陣の設計図を前に、ディオスは、この魔法のデータを要求して、そのデータと睨めっこしながら、その魔法を完成させた。


 その日から、ディオスの元へ様々な魔法に関する案件が入るようになった。


 ロマリアでの滞在する屋敷では、書斎でディオスは、寄越される魔法陣の設計図とデータを見て、補足の魔法陣を作る状態に

「いいのかぁ…バルストランの屋敷と同じ事をしているけど…」

 まあ…ロマリアでの色んな魔法やデータも見れるからいいか!


 そう、ロマリアでも大学のような学院で学ぶつもりでいたのだが…。

 予想外な状態にディオスは、暫し戸惑うも、屋敷にやっている補足魔法を作ると同じだから、いいか!と、深く追求する事を止めた。



 六日目、とある少年が母親と共にディオスの滞在する屋敷に来た。


「こんにちは、ディオス様」

と、客間にて魔族の母親が挨拶をする。


「どうぞ…」

と、ディオスは母親と息子の少年をソファーに座らせ事情を聞く。


 母親はライドル皇帝の妃、北方の王妃シャルボアだ。


 息子は、ライドルの子で、ラハトアという名で十歳である。


 ライドルには五人の妻、妃がいる。南の南方、西の西方、東の東方、皇帝城の中方。

 中方は、謂わば正妃の位置でアルミリアスの母親である。

 後はそれぞれの出身地の方角にちなんだの名が冠されたのが、まあ…側室ではあるが…。

 ライドル自身は、そんな差別的な扱いをしない。

 皆、平等に扱う。

 

 なんか…過去にあった自分達の地球での武将達に見習わせたいわ…とディオスは思った。


 北方の王妃は、ラハトアの肩を抱き

「この子に魔法を教えて頂けないでしょうか…」

 

 ディオスは目をパチパチとさせる。

「…もしかして…魔法が…」


 ライドルと同じ青髪で青瞳のラハトアを見つめる。


 ラハトアは、俯き加減だ。


 北方の王妃は

「日常では困らない程度の魔法は使えます。ですが…それ以外は…。ロマリアの皇帝の血筋に受け継がれる神獣技の扱いは上手いのですけど…」


 ディオスは暫し、顎を手に置いて考え

「分かりました。お預かりします…。少し…母親であります。シャルボア様と離れる事になりますが…」


 北方の王妃はお辞儀して

「お願いします」



 ディオスに新たな日課が加わる。

 午前中は、持ち込まれた魔法を補足する魔法を作り、午後になってラハトアを屋敷の庭に呼んで、ラハトアと色々と話す。

「どんな、魔法が使えるんだい?」


 ラハトアは俯き加減で

「こんな感じしか」

”アクア・タワー”

 魔法陣を発動させると、そこから水の柱が伸びる。

 初歩の水の魔法だ。

 ラハトアは、元気がない。

「他の姉上や兄上達に、弟達は、色々と使えるけど…僕は…」


 ディオスは肯きながら

「得意なのは?」


 ラハトアが両手を合わせて、皇帝の血筋に伝わる神獣技を発動させる。

 ラハトアの隣に、青い光が集中して、三メータ前後の青い光の龍のような存在が出現する。


 ディオスは、発現され神獣技を見つめ

「これが…ロマリア王家に伝わる秘技か…」


 ラハトアが

「半径百メータの範囲なら、色んな事が出来るんだ」


「例えば?」とディオスは聞く。


「炎や水、大地に風を自在に操れるんだ。大きく爆発させたり、その爆発を風で閉じ込めたり、好きに大地を隆起させたり、とにかく、魔法みたいに色々と…」

 その説明をするラハトアは楽しげだ。


 ディオスが興味深げに

「君のお母様から、聞いたが…。君は一番、扱いが上手いんだってね。どうして?」


 ラハトアは上を見ながら

「力は、お父様や、アルミリアスお姉様の方が強いんだけど、僕だけが上手く大地と繋がれるんだ」


 ディオスは眉間が寄り

「大地と繋がる?」


「うん。これを使う時に、自分と大地を繋げるんだけど…。僕はね。その繋がりを上手く体の中で混ぜる事が出来るんだ」


 ディオスは、右手を顎に当て考える。

 神獣技を使う場合は、体の中で力を練るという事か…これは…。


 色々と考えているディオスに、屋敷での補佐をしてくれるアルミリアスの親衛隊の乙女が

「ディオス様、ラハトア様。お茶が入りましたよ」

と、呼び掛ける。


 ディオスは思考から帰還して

「ラハトア様…。お茶の後、ちょっとした訓練をしましょう。そして…」

と、ディオスはお茶を呼び掛けた親衛隊の乙女達に

「貴女達も、一緒にやりましょうか…」


「はぁ?」と乙女達は首を傾げた。



 ディオスがラハトアの魔法の世話を親衛隊の乙女達と共にして、三日後。

 首都モルドスの近郊にある皇帝城へ、アルミリアスが親衛隊の乙女達六人とラハトアを連れて、父親ライドル皇帝のいる皇帝の座に来る。

「お父様!」


 声をはるアルミリアスにライドルは訝しい顔をして

「なんだ? 騒々しい。どうしたのだアルミリアス?」


 アルミリアスは驚愕の顔で

「お父様…大至急、わたくし達と一緒に来てください!」


 ライドルは首を傾げ

「今は、まだ…仕事中だ。後にしろ」


「いいから!」とせがむアルミリアスにライドルは渋々、動く。

 


 来たのは、皇帝城の大きな庭園だ。そこに三台の魔導操車がいる。


「なんだ?」とライドルは眉間を寄せる。


 アルミリアスが「行きなさい」と親衛隊の乙女達に呼び掛け、乙女達は魔導操車と対峙する反対に来る。


「何をするつもりだ?」

 ライドルが尋ねる。


 魔導操車から

「本当によろしいのですか? アルミリアス様…」


 アルミリアスに呼び掛ける操縦者の声。

「構いません。やりなさい」

と、アルミリアスは告げた。


「知りませんよ」と魔導操車は、砲身を親衛隊の乙女達に向けた。

 そして、実弾の魔導操車の攻撃が始まった。


「なにーーーーー」と驚くライドル。


 魔導操車の砲撃が乙女達に迫る。そして、その場が爆発した。

 

 だが、乙女達は無事である。

 なぜなら、短距離の瞬間移動するベクトを使って、残像を残しながら、魔導操車に迫る。


 魔導操車は、迫る瞬間移動のベクト使いの乙女達に、腕部の短機関銃を放つも、その全てが乙女に当たる前に、乙女の纏う超震動の空間膜エンテマイトに弾かれ地面に埋まる。


 魔導操車は、防護壁を展開、だが…そこへ乙女達がエンテマイトの超震動を浴びせ、吹き飛ばした。


 そう…いうなれば、戦車にケンカを売って勝ってしまった。

 

 ライドルは、乙女達が負けるのを予想していたのに、覆った結果に口を開けて驚く。


 そして、次にアルミリアスは隣にいる弟のラハトアに

「さあ…お父様に見せてあげなさい」


「うん!」とラハトアは力強く頷いた次に、魔法陣無しで空へ飛翔した。


 ラハトアが…魔法が苦手な息子が縦横無尽に空を翔る姿に、ライドルは驚きの余り口が開きっぱなしだ。

 

 そして、ラハトアが何も無い空へ、バハ・フレアを連射して、連続する爆発を起こす。しかも、魔法陣無しでだ。

 バハ・フレアは高位の火炎魔法故に、扱える者は、魔導士階級でウィザードクラスである。


 ライドルは瞳を激しく瞬かせ

「何が起こった? アルミリアス。お前の親衛隊は、魔導操車を倒す位に強かったのか? いいや、それ以前に…ラハトアは魔法が…。そんな、一体…」


 ラハトアが二人の前に降り立つと、アルミリアスが

「ラハトア…お父様にお教えしなさい」


 ラハトアは嬉しげに

「ディオス様の所に、魔法を習いにいっていました。ディオス様が、自分は体内で魔力を練るのが上手いと言われて、それで、ディオス様に体内で魔力を練って魔法を使えるようになる手解きを受けてきました」


 親衛隊の乙女達が来て

「ラハトア様が、体内で魔法を練る方法を、ディオス様から伝授されると、それを人に伝えて使えるようにする訓練の為に、私達も参加して、このような凄い魔法を…体内で生成する事が出来るようになりました」


 ライドルは額に手を置いて、今の話を整理していると、アルミリアスが

「お父様…これは…ディオス様が編み出した。グランスヴァイン級魔法運用者を生み出した体内生成魔法の原理だと思われますわ」


 ライドルは膝を曲げ、ラハトアの肩をつかみ

「ラハトア…何処まで、魔法を…その体内で生成する魔法を習った?」


 ラハトアは楽しげな顔で

「ディオス様に、ええ…と…」

 両手を出して指折りして数えて

「多分、三十個くらいかも…。それくらい使えれば、大体の魔法は体内の組み合わせで使えるって、ディオス様が言ってました」


 アルミリアスが

「一応、大規模破壊魔法は教えられていないそうです」


「そうか…」とライドルはラハトアの頭を撫で

「お前の努力、しかと見せて貰った。私は嬉しかったぞ」


「うん!」とラハトアは大きく嬉しげに頷いた。


 ライドルは、震えた。

 魔法が苦手だった息子が、僅かな指南でこれ程に…そして、その教えの余波によって、アルミリアスの親衛隊の乙女達がとんでもなくなった事に。

 ディオスの、アーリシアの大英雄の力に驚愕して武者震いした。



 ディオスが来て11日目、ライドルは皇帝城にドリトルを呼び出した。


 ドリトルと夕食をしながら、ライドルは

「ドリトル…。グレンテルの様子は、どうだ?」

と、斜めで食事するドリトルの手が止まる。

「どうした?」


 ライドルは見つめると、ドリトルは

「忌々しい男ですよ! あの男が来てから、我らロマリアの魔法技術は、大きく前進した。我らロマリアの研究者が必死で編み出す事を、あの男…ディオス・グレンテルは、軽々と凌駕する! 本当に悔しい! だから、燃えるのですよ。グレンテルをアッと言わせるような魔法作ってやろうと…今、ロマリアの魔法研究者達は、血気盛んになっている。本当にあの男は…悔しいが、素晴らしい! もっと一緒に研究をしたいと、皆が思っています」


 ドリトルの熱の入った言葉に、ライドルは肯き

「そうか…」


 その夜、ディオスは何時も通り、滞在の屋敷の大浴場で汗を流す。

「ああ…」とディオスは天井を見上げる。

 お風呂から出た後、バルストランの屋敷とゼリティアの城邸に、今日の出来事を魔導通信機で連絡して話すのがここでの夜の日課だ。

 ついつい、話し込んでしまう。

 最近は、ティリオとリリーシャが、言葉を話すようになって、パパと呼んでくれる。

「帰りたい…」

 そう、ディオスはぼやいた。

 そうして、ディオスは腹ばいになって湯船に浮かぶと、ヒタヒタと誰かが歩いてくる足音が聞こえる。


「んん?」と音の方を振り向くと、タオルで裸の前を隠す親衛隊の乙女達六人がいた。

 ええええええええええええ!

 ディオスは真っ青になり、直ぐに六人から顔を背ける。


 乙女の一人が

「ディオス様、一緒にお湯を共にしてよろしいでしょうか?」


 ディオスは内心で

 いやいや! 確かに親しくはなったよ。確かになった!

 でも、裸の付き合いって! しかも異性だし! 何で! 

 ここは、混浴だっけ?

 もう訳が分からず混乱すると、乙女達はディオスのいる湯船に入ってくる。

「ごめん。出るよ」

と、ディオスは出ようとしたが


 乙女達がディオスを引き留め

「いいではありませんか…」

「そうですよ。一緒に入りましょう」

「どうせなら…もっと」

「そう…もっと、楽しい事をしましょう」

 六人の乙女達が柔肌をディオスに密着させる。


 柔らかい女の感触がディオスの全身を包む。

 ちょっと! ちょっと! ちょっっっっっっと!

 ディオスは内心でツッコみまくる。


 乙女が

「ディオス様は、本当にお優しいのですね。ラハトア様をあんなに大切にして、魔法を教えてくださいました」

「そんなお優しい方なら…もっとお近づきになりたいです」

「お互いにそう…もっと愛で合いましょう…」


 そんな言葉を聞いたディオスの興奮度が一気に下がった。

 ああ…なんか…色仕掛け使われているわ…。

 何か、急に冷静になったディオス。

「皆さん…」とディオスが鋭く口調になる。

 さっきまでの甘酸っぱい空気が消えて渋くなる。

「先を生きている先輩として、思うのですが…。すこし、恥知らずだと思います。もっと分別を持った方がいいですね」

 ディオスの鋭くなる空気に乙女達は固まった。


 そう、籠絡に失敗した。


 ディオスはスッと立ち上がり「では…」と浴場を後にした。



 その後、ディオスは屋敷に居づらくなって、街へ出た。

 街の交差路にある噴水のそばのベンチに腰掛け、夜景の街を見つめ

「はぁ…なんで、こういう事になるのかなぁ…」

 軽く落ち込んだ。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ