星光 第67話 レリスへの頼み
次話を読んでいただきありがとうございます。
ティリオはレリスに、とある要望を…
シュルメルム宇宙工学学園の校舎で、ティリオとレリスは話をしていた。
ティリオは、真っ直ぐとレリスを見つめて
「レリス、キミにお願いがあるんだ」
レリスが微妙な顔で
「どんな、お願いだい?」
ティリオはレリスの瞳を見つめて
「ヘオスポロスに繋がる時空群、宇宙達の中で自分達に興味がある人達に、極秘で良いから、このお祭りに来て欲しい」
レリスの顔が固まる。
「それは…つまり、裏口を作るって事か?」
ティリオが「違う」と否定して
「来てくれるだけでいい。適当にお祭りを楽しんでくれればいい。それだけだ」
ティリオがレリスを見つめる瞳は、大きく開いている。
レリスの様子を見つめている。
レリスが難しい顔をして
「それに何の…思惑があるんだい?」
ティリオが堂々と
「何でもいい。ぼく達の祭典に来てくれるという事は…ぼく達と接触を持ちたいという意思の表れになる。最初は、接触がない…参加だろう。だが…やがて…」
レリスが
「警戒を解いて、ゆっくりと懐柔って事か」
ティリオが
「協力を構築したいだけさ。小さい事でもね」
レリスが淡々と
「来ると思う?」
ティリオが
「レリスがいる事が、その意思の表れじゃあないか?」
レリスは黙ってしまう。
自分の目的は、超越存在の力が手に入るなら…だが、それがムリなら…その関係者との繋がりを構築だ。
ティリオとの関係性は構築しつつある。
そして、ティリオはそれを自覚している。
レリスが
「考えて置くよ」
と、去って行った。
ティリオはその背中を見つめて笑む。
レリスは確実に、ティリオの思惑を伝えるだろう。
それによって、どんな人物が来るか…
「さて…祭典の用意を続けるか…」
と、ティリオは仕事へ。
◇◇◇◇◇
その夜、ティリオはホームの広間にあるソファーに座っているとエアリナが来て
「ティリオ…レリスに言っていた事…」
ティリオは後ろにいるエアリナを見て
「聞いていたのか…まあ、後でエアリナ達に説明する手間が省けた」
エアリナがティリオの隣に座って
「ねぇ…ティリオは、超越存在、宇宙王の側よね」
ティリオが頷き
「ああ…そうだよ」
エアリナが
「敵対する側に呼びかけるなんて…ちょっと…」
ティリオがフッと笑み
「敵か味方かなんて、その時の立場や目的によって流動するものさ。少なくとも、今は…敵対していない。なら…何かしらの繋がりがあった方が良いだろう」
エアリナが
「お義父様には、どう…説明するの? 超越存在と敵対する側を極秘裏に招待するなんて…」
ティリオが笑みながら
「父さんなんて、もっとずる賢いよ。おそらく…直接、ヘオスポロスに呼びかけて、護衛の補充として…数人…そう、相当な手練れをヘオスポロスから参加させるかもよ」
エアリナは驚きの顔をする。
エアリナの考えでは、敵対する側と繋がるという事は、何かしらの利用される危険性をはらんでいる。なら、繋がらない方がいい…と思うのだが、ティリオ達、聖帝ディオス側は違う。
敵も味方も、時と場合によって変わる。そんな複雑な事の上で勢力を見ている。
胆力というのだろう。
自分が持っている胆力、器を比べて、ティリオの器の大きさが違い過ぎる。
自分は小さなコップなら、ティリオは大きな池、いや湖くらいかもしれない。
エアリナはソファーを立ち
「それが分かっているなら、早めに伝える人達に伝えてね」
ティリオが「ああ…」と頷き
「エアリナが知っているなら、ジュリアもナリルもアリルも…」
エアリナが手を振って去りながら
「三人とも知っているわ」
と、部屋に戻った。
エアリナが廊下の角を曲がると、そこにジュリアとナリルにアリルがいて、エアリナが
「だってさ」
ジュリアが
「分かった。ティリオのしたいようにさせるわ」
エアリナは
「アタシに尋ねさせたって事は…そうティリオが答えるって分かっていたの?」
ナリルが
「アタシ達は、ティリオと付き合いが長いから…何となくそう答えるだろうって分かっていたけど」
アリルが
「エアリナは、まだまだ、ティリオとの付き合いは短いでしょう。だったら、エアリナはもっとティリオと話してお互いを知るべきだと思う」
エアリナが
「ごめん。気を使わせたわね」
ジュリアが
「気にしないで、私達は家族なんだから」
エアリナは改めて自分がティリオの家族になった自覚が出てきた。
「そうか、そうだね。じゃあ、明日もあるし…寝るわ」
こうして、夜は更けていった。
そして、翌日…デュエロタクトのラウンジでティリオが…
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次回、変わる者