星光 第65話 痴話ゲンカ
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ファクドとグランナのデュエロタクト、二人だけの勝負は…
グランナは、ホームでマキナ・ガイオロスの調節をしていた。
グランナは、マキナではあるがオメガデウスのガイオロスの操縦席で色々としていると、そこにティリオが来て
「どうだ?」
グランナが操縦室のドアにいるティリオに
「問題ない。性能の差はお互いに、ない」
ティリオが
「なんで、ファクドは…こんな事をやろうとしたんだろう?」
その問いにグランナが
「ケジメってヤツだ。ファクドなりのな…」
ティリオが
「勝ち負け関係なしに、終わったら…ファクドの儀式はやるよ」
グランナが微笑み
「ああ…」
◇◇◇◇◇
グランナとファクドのデュエロタクトが始まろうとしていた。
デュエロタクトのラウンジには、ティリオ、エアリナ、ジュリア、ナリル、アリル、そして、ルビシャルとレリス、ファクド側としてアルド、ルアラ、ラアーラ、アルラ、ミアラの傍人達が来ている。
他の傍人達は、ファクドのホームで対戦を見つめている。
ティリオがこのデュエロタクトの立会だ。
グランナのマキナ…ガイオロス
ファクドのマキナ…サスハラジャ
その二機が、宇宙空間に出る。
ティリオが立会の元でデュエロタクトの口上が行われる。
「ええ…契約って特に…ないよね」
「ああ…」とグランナが
「まあね…」とファクドが
ティリオが
「じゃあ、そういう事なんで、後腐れも何もないので、両者…デュエロタクトのルールに則って、対戦、開始」
と、告げた瞬間、ガイオロスとサスハラジャが飛び出した。
最初から二機は全速力の亜光速で走る。
そして、シュルメルム宇宙工学学園の外で両者がぶつかった火花が花開く。
亜光速でぶつかり合う二人のマキナ、機体達の戦闘にルビシャルが
「ああ…参考になるから見て置いてねって、みんなに言ったけど…」
エアリナが
「全く参考にならないわね」
光の速度でぶつかるガイオロスとサスハラジャにティリオが
「何か、最初から全力って後先を考えていない試合って感じで良いよね」
ジュリアが
「デュエロタクトは、エンターテインメント要素が強いからね。派手でらしい戦いよ」
◇◇◇◇◇
亜光速でぶつかり合うグランナのガイオロスと、ファクドのサスハラジャ
ぶつかる火花が派手に爆発している。
ファクドが
「全く、強くなったなぁ…グランナ」
グランナが
「最初から手加減していた舐め腐り野郎が…偉そうに」
ファクドが
「当然だろう。オレは…ゴールドジェネシスの民なんだぞ! お前みたいな普通人を本気で相手にしたら、殺してしまうからな」
グランナが
「もう、普通人じゃあねぇ!」
ファクドが
「そうだったな! えええええ! ハイパーグレートのグランナが!」
グランナが
「は、やっと本性を見せやがった! お前…どこか傲慢な感じがしていたが…それを隠しているが、バレバレなんだよ!」
ファクドが
「お前こそ、真面目で優しくて誰にでも対等で、偉そうにしない! そういう所がムカつくんだよ!」
グランナが
「そりゃあ! そうだろうが! 誰だって同じ人、対等だ!」
二人が会話をしながら高度に戦いぶつかっている。
その会話は、ティリオ達にも聞こえている。
ファクドが
「対等! いいか! 人ってのは対等な相手なんていないんだよ! その地位や、社会的な役割、産まれた場所、その他でランク付けされる。それが人だ!」
グランナが
「そうだな。確かに…そうかもしれないが! それは、その一部だけであって全てじゃあない!」
ファクドが
「いいや! お前は分かっていない! それが全てだって奴らは多いんだよ! お前は…綺麗な場所に居て分からないだけだ!」
グランナが
「そうかよ。だがなぁ! それだけが全てだって奴らなんて、そこから出る事が怖い、臆病者だろうが!」
ファクドが
「人は、臆病だ。自分がちっぽけで弱くて、寂しくて…誰も分かってくれる人なんていない。人は誰しもが孤独なんだよ!」
グランナがガイオロスで、ファクドのサスハラジャを弾き離して
「そうだな。確かにお前の言う通りさ、人は誰しもが孤独だろう。だがよ! その孤独があるからこそ、寄り添いたい、気持ちを共有したいって何時も願っている。ファクド、オレ達に怯えてんじゃあねえよ。オレ達は…お前の淋しさを受け止められない程に小さいか?」
ファクドがサスハラジャの多腕を広げて膨大なエネルギーをチャージする。
「分かった風に!」
グランナもガイオロスの翼を広げて膨大なエネルギーをチャージして
「そうさ、オレはお前と違う。だから…教えてくれよファクド。お前の事を…」
ファクドが叫ぶ
「グランナーーーー」
サスハラジャの最大攻撃、サウザンド・ハンズ・ゴディッスが発射される。
グランナが叫ぶ
「ファクドーーーー」
ガイオロスの最大攻撃、閃光万撃が飛んでいく。
サスハラジャの幾つも光の流星と、ガイオロスの幾万もの光の閃光が衝突して、シュルメルム宇宙工学学園の外で大爆発した。
光の流星と光の閃光が互いに相殺する中をグランナのガイオロスが特攻して抜けて、サスハラジャに接近して、光の剣の一閃をサスハラジャに放った。
それを受けてサスハラジャは吹き飛ばされ、多腕の腕装甲がバラバラになる。
ティリオは、両者のパラメーターを見ると、ファクドが気絶したのを確認した。
操縦者の身体に問題はない。衝撃が入って終わった。
これ程の戦いをしても、デュエロタクトのルールは守っている。
操縦者を殺さない。これはスポーツであって、戦争でも殺し合いでもない。
それ故に、成り立っている。
グランナが勝利した。
グランナは、停止したファクドの機体に近づきファクドがいる操縦席を空けると
「大丈夫か?」
と、手を伸ばす。
ファクドは頭を振って
「やられたよ」
と、手を伸ばす。
グランナはファクドの手を取り
「気が済んだか?」
ファクドは微笑み
「ああ…もう十分だ」
グランナが微笑み
「また、面倒くさくなったら、つき合ってやる」
ファクドが呆れ笑みで
「そっちこそ、絡めてが苦手な時は、相談しろよ」
ファクドとグランナは、お互いに微笑み合うのであった。
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次回、お祭りの準備