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星光 第62話 消えた資料

次話を読んでいただきありがとうございます。


何者かが消した秘匿資料の波紋は広がり…


 X07-31JBに保管されていた結晶。

 それはエピオンとルビードラゴンが関係する神の眼プロジェクトの時にRDとされる人物が持っていた特殊な結晶で、その結晶を取り込むと簡易的ではあるが小規模のサタンヴァルデットになる事ができた。

 小規模のサタンヴァルデットが関係した事態は、処理されて終わったが…。

 その結晶をエピオンが回収して保管し、ヘオスポロスの量子化保管庫へ保存していた。


 この技術自体、サタンヴァルデットの上位種達サタンヴァルデウスが集まるシンイラなら作れるだろうと…故に、シンイラも介入していた。

 エピオンとヘオスポロスはそう判断して

 結晶は、量子化保管庫に厳重に封印保管されていた。

 

 だが、事態は違っていた。

 シンイラは、そんな結晶なんて作っていない。

 その結晶と似た技術をゾディファル教団がサタンヴァルデットを取り込むオメガデウスで使った。


 シンイラの力が無くても、サタンヴァルデットをコントロールする技術がどこかの時空で誕生している。



 

 ◇◇◇◇◇


 クロストは、セイントセイバー部隊の宇宙国家戦艦セイントセイバーの居住空間コロニーでランニングをしていた。

 足取りは軽い。

 ティリオがサルヴァード・フォーミュラリオンを得た。

 使用するには、父ディオスと同じく多くの人々の力が必要だが。

 それでも得られた。

 更に、エアリナ・シュルメルムとの婚姻。

 時空を管理する宇宙王達の一団に加わるという事は、それ相応の要職に就く義務が発生してティリオは、シュルメルム宇宙工学学園を卒業後にセイントセイバーの総隊長の下に付く副官になり、行く行くは総隊長になる。

 自分が望んだ未来が確定したのが嬉しくて、クロストは日々の訓練が楽しくて仕方ない。


 クロストが何時ものランニングの日課を終えて寮に戻ると…仲間達がホールに集まっていた。


「どうしたんだ?」とクロストが集まる仲間達に近づく。


 仲間の一人が

「クロスト…大変な事になった」

とあるデータ端末を渡す。


「んん? どういう事だ?」とクロストがデータ端末を見ると、みるみる青ざめて

「これって…」


 クロスト達、将来のセイントセイバーの男女達が厳しい顔だ。

 その一人の乙女が

「ティリオの卒業…事態によっては早まるかもしれないわ…」


 クロストは口を閉じて厳しい顔をする。

 クロスト達が見たデータには、ティリオと自分達が関係したフォーミュラリオン事案の際に使用されたサタンヴァルデットを取り込むオメガデウスは、シンイラから提供されたモノではないと…。

 そして、それに類似するサンプルを獲得しようとしたが…破壊されて喪失した。

 それに、シンイラは一切、関わってない…と。


 ◇◇◇◇◇


 ディオスは屋敷で、ルビードラゴンから報告を聞いて頭を抱えていた。


 ディオスは青ざめて

「シンイラが…作っていなかったのか…」


 ディオスの隣に立つルビードラゴンが頷き

「確証は取れている。シンイラ側が…そう…」


 ディオスが頭を抱えたままルビードラゴンを見上げて

「あんな超技術…誰が作ったんだ?」


 ルビードラゴンが渋い顔で

「ゾロアス達が…」


 ディオスが頭を振り

「いいや、それはない。アイツ…彼が…一莵が動いているのを確認した。あのフォーミュラリオン事案の事を調べていると…」


 ルビードラゴンが腕を組み

「では、どこが作ったんだ?」


 ディオスが

「あんなバケモノみたいな技術…それを作れる組織が…何処かに…」


 ルビードラゴンが

「すまん。サンプルも消失して…」


 ディオスが

「ゾディファル教団は、何と手を組んでいるんだ?」



 ◇◇◇◇◇


 ティリオはシュルメルム宇宙工学学園のホームにある端末から、フォーミュラリオン事案の事を見ていると、あのサタンヴァルデットを取り込むオメガデウスに関しての資料を目にして厳しい顔をする。


 ソファーに座って鋭い顔をしているティリオに、ナリルが

「どうしたの? そんな怖い顔をして…」


 ティリオが

「父さん達が、アリアナ銀河の事件で使われたオメガデウスの技術を追跡していたんだ」


 ナリルが隣に座って

「それで? ティリオが怖い顔をする事と関係するの?」


 ティリオが視線を鋭くして下げ

「ぼくもそうだけど、他の人達もシンイラが関係して、例のオメガデウスが作られたと思った。でも違った。シンイラは関係していない」


 ナリルが慎重に

「じゃあ、一莵の…」


 ティリオが鋭い顔で

「絶対にそんな事をゾロアス達はしない。アリアナ銀河のスカイギアはゾロアスのアルファティヴァが技術を提供した。その副産物として、あのサタンヴァルデットが…それをわざわざ、収めて使う技術なんて…必要ない」


 ナリルが真剣な顔で

「つまり…どういう…まさか…他の時空間を股に掛ける見えない…」


 ティリオが

「ゾディファル教団…とんでもない連中と手を組んでいるかもしれない」


 その話をエアリナが壁に隠れて聞いてしまった。


 ティリオが壁に隠れているエアリナに

「エアリナ…」

と、呼びかける。


 エアリナが姿を見せて

「ごめん、聞いちゃった」


 ティリオは首を横に振り

「いいさ。エアリナには絶対に話す必要があると…と思っていたから」


 エアリナはティリオの空いている右に座って

「話を聞かせて」


 ティリオは、エアリナに分かった事実を話す。

 あの時、母親のエリドナが閉じ込めていたサタンヴァルデットを取り込んだオメガデウスに使われていた技術は、シンイラとするサタンヴァルデット達が上位種になったサタンヴァルデウス達が集結した組織シンイラがもたらしたモノと…皆が思っていたが、違っていた。

 シンイラ以外の未知の組織か…存在か…それがゾディファル教団へ提供した。

 そして、多くの時空間を行き交う時空達にある組織の中で、そんな技術を持っている存在は確認されていない。

 事態は、想定されていた話より深刻という事実だった。


 誰が…あのオメガデウスを提供したのだろうか?



 ◇◇◇◇◇


 スラッシャーがゾディファル教団の痕跡を追っていた。

 フォーミュラリオン事案の後、ゾディファル教団はシュルメルム時空から別の時空へ移動してしまったが。

 必ずシュルメルム時空へ戻ってくる。

 ならば、その繋がりは…残しているはず。


 それをスラッシャーは追跡していた。


 ゾディファル教団には、とある力を提供する能力がある。

 それは…疑似超越存在のエネルギーと、ネオデウスの権能を秘めたネオデウス結晶だ。

 ネオデウス結晶と疑似超越存在のエネルギーがあれば、惑星開発を容易に出来る。

 ネオデウス結晶は、どんな物質も変質させて別の物質へ変える力を持っている。

 その力を使えば、惑星一つを改造するシステムが構築できる。

 惑星を緑溢れる世界にするも、惑星サイズの恒星間兵器に変えるも、自在だが…その為には膨大なエネルギーが必要だ。

 そのエネルギー源として疑似超越存在のエネルギーが最適だ。

 その二つを提供できる故に、今まで存続を許されていた。

 ヴィルガメスのアッカド機関による監視下で。


 スラッシャーは、ゾディファル教団の提供によって居住可能になった惑星や星系へ向かう。


 その惑星の都市へ下りると、スラッシャーが向かった先は、都市の裏、都市の最下層にある地下都市へ入る。

 

 世の中がどんなに良くても、進んでも必ず馴染めない者達は現れる。

 そんな者達は、必然的に馴染める日向を避けて地下へ潜る。


 その地下都市にも時空文明の技術によって日の光は下ろされ、地下とは思えない程の広大な緑が広がる。

 その緑の巨大空間をスラッシャーが歩んでいると、目の前に青年が現れて

「エンキド」


 スラッシャーが呆れ気味に

「オレはエンキドじゃあねぇ」


 青年がスラッシャーに近づき

「でも、エンキドを継いだんだろう?」


 スラッシャーが忌々しい顔で

オリジナル(父親)から渡された、それだけだ」


 青年がスラッシャーに

「スラッシャーなんて格好つけた名前より、似合っていると思うぜ」


 スラッシャーが

「お前に用事なんてない。長老に会いに来た」


 青年アレスが微笑み

「じいちゃんもエンキドに会いたいって、だから…来てくれたんだろう」


 アレスの案内で長老がいる村落へ来る。

 そこには、時空級文明からすれば、太古なレベルの生活風景が広がっていた。

 ログハウスの家々、土で舗装された道、ただ…所々に時空文明の技術の影がある。移動手段の馬が金属のロボットだったり、腰にある道具が様々に変化するナノ素材だったり、中世と高度な技術が入り交じるアンバランスな村落だ。


 スラッシャーがアレスによって、長老がいる家に入る。

「元気か?」

 

 そこにはイスに座る白髪でヒゲの老人、長老がいた。

「おお…元気じゃよ。アオイ…」


 スラッシャーが長老の前に来て

「いい加減に地上に出ないのか?」


 長老が

「ワシ等は、こういう生活が好きなんじゃ。十分さね」

と、長老が答えてスラッシャーを前にイスに座らせると

「アオイ…ゾディファル教団の教皇マリアンナが…どうやら…厄介な連中と手を組んでいるらしい」


 スラッシャーが鋭い顔で

「厄介な連中?」


 長老が

「連中は、ゲヘノムヴァと名乗っているらしい」


 スラッシャーが渋い顔をして

地獄から来た者(ゲヘノムヴァ)? 悪趣味な」


 長老が

「妙な雰囲気を持つ連中で、全員が似たような気配を感じる。顔はフルへフェイスで覆われて分からないが…」


 スラッシャーが

「じいさん。合ったのか?」


 長老が両手を広げると、手の平から黄金の光の粒子が昇り

「ワシが作ったオメガデウスが使われたのだから…」


 スラッシャーが

「じゃあ、あの事件…」


 長老が頷き

「知っている。まさか…ワシが作ったオメガデウスがあのように使われるとは…」


 スラッシャーが

「詳しく話を聞かせてくれないか?」


 長老は頷き

「ワシは…ゾディファル教団に滅んで欲しくない。戒めて暴走するのを止めて欲しい。アオイなら…できる」


 スラッシャーが

「オレは捨てたんだ。アイツらがどうなろうと関係ないが…今回の事は見過ごせない。それだけだ」


 長老は微笑み

「それでもアオイが動くなら、何とかしてくれるじゃろうし、アオイがお気に入りの若人達もいる事だしな」


 長老はスラッシャーに話をする。

 あのオメガデウスに関して…。  

 

 長老はスラッシャーに語る。

「ワシが作ったオメガデウスに、あのシステムを組み込んだのは、ゲヘノムヴァの連中なんじゃよ」


 スラッシャーが鋭い目をした。  


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次回、ファクドの事

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