星光 第61話 秘匿資料
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ティリオ達の事件に出現したオメガデウスの技術を追跡するも、その結末は…
強大な時空間の兵力を持つヘオスポロスが管理する次元倉庫、量子化保管庫。
その一つが爆発した。
ヘオスポロスを統べるエグゼクティブ達が
「どういう事だ?」
エグゼクティブの一人が
「我々が持つ、量子化保管庫の一つが消えた」
エグゼクティブが
「破壊する事が可能なのか?」
エグゼクティブの一人が
「時空の弦サイズまで最小化した保管庫だぞ」
エグゼクティブ887が
「その量子化保管庫の中で…アレが保管されている場所が…」
エグゼクティブの一人が
「アレか…なら、シンイラが?」
エグゼクティブ887が
「その必要があるのか? それなら…かなり前に…」
エグゼクティブの一人が
「とにかく調査が必要だな」
◇◇◇◇◇
ヘオスポロスのネオデウス・ウェポンであるエピオンは喫茶店の軒先の席でノンビリとココアをお供に本を読んでいると
「おう」
と、ルビードラゴンが声を掛ける。
エピオンがフンと鼻息を荒げて
「おう、じゃあない」
ルビードラゴンが笑み
「久しいな。エピオン」
エピオンは本を閉じて
「元気だったか? という前に、目の前にいるのだから、元気か…」
ルビードラゴンは頷き
「ああ…息災だ」
エピオンが
「最近は、活躍を聞かないが…」
ルビードラゴンが後頭部を掻き面倒くさそうな顔で
「とある娘…いや、聖帝ディオスの娘ティリアの下にいる。今日もどこかへ出かけると話したら…」
と、ルビードラゴンが左を向くと、物陰に隠れてジーと凝視する金髪の乙女、聖帝ディオスの娘ティリアがいた。
エピオンがココアを口にして
「そうなるように魂にキズを付けたのはお前だろう」
ルビードラゴンが渋い顔で
「そんなつもりは無かった。あの時は…」
エピオンが
「彼女も呼べ、問題ない」
ルビードラゴンがティリアを手招きすると、ティリアが出てきてルビードラゴンの左に並ぶ。
ティリアがルビードラゴンの左腕を両手で掴む。
その仕草は、ルビードラゴンを取られまいとする仕草だ。
それにエピオンが呆れ笑みで
「我々は、彼を君から奪うつもりはない」
ティリアがエピオンを見つめて
「本当に…?」
その問いかけにエピオンは頷き
「ああ…ルビードラゴンはキミの好きにするといい」
ティリアの顔から鋭さが消えて「うん」と素直に頷く。
でも、ルビードラゴンからは手を離さない。
エピオンが
「で、だ…私に用事があるから来たんだろう」
ルビードラゴンが
「ヘオスポロスの量子化保管庫にあるX07-31BJに保管されている結晶サンプルを少量でも良いから欲しい」
エピオンが首を傾げ
「ああ…神の眼プロジェクトでRDが持っていた。あの結晶か…」
ルビードラゴンが
「提供してくれるか?」
エピオンが席から立ち上がり
「問題ない。その資料の最高権限があるのは、私だ。まあ…ヘオスポロスでも」
話を続けようとするルビードラゴンの周囲を少女達が囲む。
ルビードラゴンとエピオンが鋭い顔になり、ルビードラゴンはティリアを守るように背にする。
その囲んだ少女達の後ろから
「初めまして…」
と、一人の妖艶な女性が現れる。
「わたくし、リーコウランと申します」
丁寧な挨拶をする。
エピオンが
「まさか…シンイラが来るとは…」
ルビードラゴン達を囲むのはシンイラの眷属である彼女達だ。
ルビードラゴンが
「まさか…今回のティリオの事件で…」
リーコウランがお辞儀して
「お察しの通りです。ですが…一つ…聞いてください。ティリオ・グレンテル様の事件で使われた技術、アレは…我々、シンイラが持つ技術にないモノです」
ルビードラゴンが困惑して
「はぁ? あのサタンヴァルデットを取り込むオメガデウスは、お前達が…」
リーコウランは首を横に振り
「いいえ、開発もしていませんし、ましてや提供なんて…我々は罪人を狩る存在、それを自ら罪人を生み出すような事は絶対に致しませんわ」
ルビードラゴンが戸惑っていると、エピオンのネオデウス・ウェポン達が繋がる統一意識から
「な、どういう事だ!」
エピオンの戸惑いを全員が見つめる。
エピオンが渋い顔で
「今し方、連絡が来た。X07-31JBを保管している量子化保管庫が爆発して、保管されている資料が消滅したらしい」
ルビードラゴンは驚きを向け、リーコウランは厳しい顔だ。
この場にいる関係者やシンイラ以外の何者かが…資料を消滅させた。
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次回 消えた資料