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星光 第60話 二人の道

次話を読んでいただきありがとうございます。

結ばれたティリオとエアリナ、二人の道は長く続くだろう。

祝福の最中にレリスが…


 エアリナは、母親がいる理事長宅ではなく、マキナがあるホームの部屋で帰ってきた。


 シトリーが泣いて帰ってきたエアリナに困惑していると

「エアリナ!」

と、走ってきたティリオも来た。


 シトリーが困惑気味に

「どうしたの? エアリナが泣いて帰ってきたけど…」


 ティリオが息を切らして

「ここにエアリナがいるのか?」


 シトリーが頷き

「ええ…今さっき、自分の部屋に…」


 ティリオが急いでエアリナの部屋の前に向かった。


 それでシトリーが察した。

 何か、ティリオがやった…。


 ◇◇◇◇◇


 ティリオはエアリナの部屋の前に来ると、ドアが開かない。

 ロックしている。

「エアリナ…」

と、ティリオは恐る恐る呼びかけるが無反応だ。

 

 ティリオはドアの前に座り

「ごめん。エアリナ…まさか…その…ごめん」


 エアリナは答えない。


 ティリオは座って項垂れて

「何時からなんだ? いや、それにぼくが気付かなかったのが悪かったのは…間違いないけど」


 ティリオが何て言えば困り、んん…と唸っていると

「どうして、来たの?」

と、エアリナの声がドアの向こうから


 ティリオが顔を上げて

「それは…」

 なんて言えば良いのか…だが、ここは正直に言うしかない。

「ぼくは、エアリナの事が好きだ。でも、エアリナは…ぼくの力を母親の救出に使いたい…それだけだと…思っていたから。まさか…エアリナが…」


 ドアの向こうにいるエアリナが

「じゃあ、ティリオを利用する為に…私が…好意を向けていると思っていたの?」


 ティリオが

「正直、そう思っていた事もあった。まあ、でも…大半は、学友として…接してくれていると…」 


 ドアの向こうのエアリナが

「自分が異性から好かれているとは思わないの?」


 ティリオが頭を掻いて

「そんな事…思った事もない。ぼくの父親は聖帝ディオスだ。だから、それの繋がりが欲しいだけだろうって。ぼくは、嫌われているとは思わないけど、ぼく自身を好きになってくれる異性は、長くいてくれたジュリアとナリルにアリルの三人くらいだけ…と」


 ティリオは、力がある。

 だが、それはあくまでも自分の父親である聖帝ディオスの延長であって、自分自身ではない。

 それに不満もないが、でも…何処かで自分自身を本気で好きになってくれるのは、少ないだろう…と。

 友人はできる。作れる。

 でも、そこから…先へは…。


 ドアが開いて、目元が赤いエアリナがいた。


 ティリオが立ち上がる。

「ごめん、本当にごめん」

と、頭を下げる。


 エアリナがティリオの下げる頭に

「そう謝ってくれるって事は…私の気持ち…」


 ティリオは頭を上げて

「う、うん…その…ぼくと、一緒にいてくれる?」


 エアリナが呆れ気味に

「ホント、最悪な告白だわ」


 ティリオが渋い顔で

「ごめん。本当に申し訳ない」


 エアリナがティリオの顔を両手で挟みキスをする。

「まったく、この自信がないぼくちゃんは…仕方ないなぁ…」


 ◇◇◇◇◇


 そして、ティリオとエアリナは同じ朝を迎えて。

 エアリナがティリオの腕の中で目を覚ます。

 二人は互いに裸で温もりを交わした。


 エアリナが上半身を起こして、隣にいるティリオの顔をなぞり

「ホント、仕方ないヒト…」

 ティリオと一緒に過ごしただけで、昨日あったいざこざがどうでも良くなった。


 ティリオが目を覚まして

「おはよう」


 エアリナが「おはよう」と微笑む。


 それにティリオも微笑み

「なんか、嬉しなぁ…って」


 エアリナがフッと笑み

「はやく、起きないと講義に遅れるわよ」


「ああ…」

と、ティリオはエアリナと一緒にベッドから出て、学園へ向かうのであった。


 その後、エアリナはティリオ達がいるホームに来る。

 ティリオの元でエアリナは暮らす事になった。

 ティリオとエアリナは家族になった。


 そして、ティリオは改めてエアリナの両親、ヴィルガメスとエリドナに挨拶に行く。

 ヴィルガメスは苦笑いだが

「このムチャクチャな娘を任せられるのは、キミしかいない」


 エリドナが微笑み

「娘の事、よろしくね」


 祝福してくれた。

 

 そして、ティリオの方はディオスが

「二人の都合に合わせるよ」


 アースガイヤへの紹介は、夏期休暇の頃となった。


 ◇◇◇◇◇


 ティリオとエアリナが結ばれた事がシュルメルム宇宙工学学園に広がって話題になっている頃、レリスがホームの秘匿通信で、とある場所と通信していた。

 その通信先は、ヘオスポロスだ。


 レリスが、ヘオスポロスのデータにアクセスして調べているのは…

「あのサタンヴァルデットを取り込んだオメガデウス…情報がないなぁ…」


 惑星アリアドネのスカイギアでゾディファル教団が使ったサタンヴァルデットを取り込んだオメガデウスの資料がないか?を探していた。


 オメガデウスに、サタンヴァルデットを取り込むなんて機能は無い。

 オメガデウスが取り込めるのは、高次元の存在、神格だけ。

 それが、全く違う存在であるサタンヴァルデット、罪喰いの天道を取り込めた。

 そんなモノを、ゾディファル教団が作れるとは思えない。


 レリスは背もたれに体を乗せて

「全く、見つからない。なら…似たような技術を…」


 レリスは再び検索を開始する。

 サタンヴァルデット、吸収、活用、技術

 と絞っていくと…

「んん?」


 一件の該当があった。

 それは、神の眼プロジェクトとされる計画。

 その最中に遭遇したサタンヴァルデットの結晶という道の技術。


 レリスが

「この資料は、どこに…」


 保管されている資料の場所は、ヘオスポロス、X07-31BJという量子化保管庫だった。


 参ったなぁ…とレリスは頭を痛める。

 自分が持っている権限ではアクセスさえ出来ない。

 手詰まりになった。


 ◇◇◇◇◇

 

 その頃、レリスと同じくヘオスポロスのデータを検索している人物がいた。

 それは、アースガイヤにいるルビードラゴンだ。

 ルビードラゴンは知っていた。

 かつて、自分が産まれる際に関わった神の眼プロジェクトに、簡易的にサタンヴァルデットへ変貌させる特殊結晶があったのを。


 ルビードラゴンが別の場所へ通信を入れる。

 帰還途中の時空戦艦にいるディオスに通信を入れるルビードラゴン

「見つかったぞ」


 通信画面のディオスが

「手に入りそうか?」


 ルビードラゴンが笑み

「問題ない。ただ、この権限を持っているのは…エピオンだからな。エピオンに頼めば…少量のサンプルくらいは貰えるはずだ」


 通信画面のディオスは安堵した顔で

「すまんな。助かる」


 ルビードラゴンが

「今からエピオンの元へ向かう」


 ルビードラゴンは、ティリオが遭遇したサタンヴァルデットを取り込むオメガデウスの所在を追っていた。

 

ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら

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次話を出すがんばりになります。

次回 秘匿資料

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