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星光 第58話 光の元へ

次話を読んでいただきありがとうございます。


ついにティリオ達の作戦が始まり、成功する。

そして、それによって分かった願い…


 ティリオ達、ティリオとジュリアにナリルにアリルとエアリナ、グランナ、ファクド、ルビシャル、レリス、クロスト達十二名。

 サルヴァードへ続く上昇中に何かが飛び込んできた。


「え? アオイ兄さん?」

と、エアリナが


 ティリオ達が次元上昇する光の中にスラッシャーの機体アシェルが飛び込んできた。


 ティリオ達は構えていると、青い人型機体の胸部ハッチが開いてスラッシャーが

「コイツを持って行け、楽にやれるはずだ」

と、告げた瞬間、機体アシェルの装甲が全て剥ぎ取れる。

 それが戦闘機のような形状に合体して、それにスラッシャーが乗って

「じゃあな、成功を…」


 アシェルのコアである青い水晶の巨人がティリオ達の上に静止すると、目映い光を放って光の粒子になり、ティリオ達を包み込む。


 ティリオは、その光の粒子を触れて

「こ、これは…」


 ファクドも光の粒子に触れて驚き

「信じられない。宇宙規模の超空間ネットワークが…十五メートルの人型に…」


 ティリオ達は、自分達の超越存在の力で擬似的に宇宙サイズの超空間ネットワークを再現して、それをサルヴァードの体にするつもりだったが…スラッシャーが与えた機体アシェルの人型コアが、その宇宙サイズの超空間ネットワークの集合体だった。

 それを吸収して、ティリオ達が更なる次元上昇を、サルヴァードへの道を進む。


 グランナが

「これなら、相当な余力を持って事が行えるぞ」


 ティリオが頷き

「ああ…遠慮無く使わせて貰おう」


 エアリナが

「ありがとう。アオイ兄さん」


 外でモニターしているディオス達の混乱を余所に、ティリオ達は高次元へ上昇する。

 そして、時空達を足下にする超高次元に到達すると、スラッシャーが与えた超空間ネットワークが形を、サルヴァードの体を構築する。


 ディオス達は、ティリオ達がサルヴァードを構築し始めた事を探知して

「せ、成功…したのか…」

と、ディオスが驚きと共に、どこか呆れてもいる感じだ。


 隣にいる充人が

「で、どうするんだ?」


 ディオスが通信を繋げる。

 相手は、ゴーアシャヴァを封印しているアヌビスと北斗にだ。

「アヌビス、北斗…ティリオ達が成功させた」


 北斗が厳しい顔で

「分かりました。封印を解放して…その領域へ送ります」


 アヌビスが

「ディオス、やれると思うか?」


 ディオスが肩をすくめて

「やれるでしょう。ティリオ達は、宣言通りにしましたから」


 アヌビスが微笑み

「分かった」


 ◇◇◇◇◇


 ティリオ達は昇る光の中で到達した。

 自分達のいる場所が浮かぶ巨大水晶となる。


 ティリオ達がいる巨大水晶を中心に、光の脈動が広がって形を形成する。


 黄金の空、足下には紫真珠の宇宙、時空達。

 その紫真珠の時空達を踏みしめて、光り輝く翼を伸ばす光の巨人機が立ち上がる。

 それがティリオ達が構築、再現したサルヴァードだ。


 光が黄金に染まる。黄金の鎧と翼を持つサルヴァード、オルティアス(黄金導鎧)


 そして、その前にディオス達が封印を解除しつつ上昇招来させたゴーアシャヴァが出現する。


 ゴーアシャヴァが漆黒の体を変貌させる。

 紫に輝く鎧の体、その体から紫水晶の翼を伸ばす紫黄金と鎧のゴーアシャヴァ(罪罰審判)ゴルティアス(紫金現鎧)


 黄金のオルティアスと、紫金のゴルティアスが対面する。


 オルティアスがゴルティアスに向かって光の雨を降り注ぐ。

 ゴルティアスの力を呑み込もうとする。


 それにゴルティアスが拒否を示して、オルティアスへ向かっていく。


 オルティアスのコアである巨大水晶にいるティリオが

「よし、予定通りだ」


 ゴルティアスが吠えてオルティアスに拳を向ける。

 それをオルティアスが受け止めて、ゴルティアスにアクセスする。

 

 ゴルティアスの内部にある意思とエネルギーが流れてくる。

 そこにあるのは、おぞましい記憶達だ。

 

 ゾロアス・リヴァイブ計画によって無理矢理に改造される苦痛の顔達と、その憎しみの情景。


 悲劇の記憶をティリオ達が見る。


 クロストが

「なんてヒドい事を…」


 ティリオ達も苦しそうな顔をする。


 ゴルティアスとオルティアスの衝突…というよりゴルティアスの攻撃を受け止めて、そのエネルギーを吸収するオルティアス。


 その度に、ゴルティアスの内部にあるサタンヴァルデットの元になった数多の億の人々の記憶と感情の情景が、ティリオ達のいる巨大水晶を流れて行く。


 そして、本来なら一つの意識と数多の集合体の一というゾロアスになるはずだった、ソレがサタンヴァルデットという罪罰審判の大神へ変貌した理由が見える。


 ゾロアスの部品にされた人々の中に共通の願いがあった。

 自分達が苦しめられた意思以上に強い意志、それは…この悲劇を繰り返すな!という怒りだった。


 こんな悲劇を自分だけで終わりにして欲しい。


 その願いの根幹がゾロアスではなく。サタンヴァルデットになった。


 それをやった者達への憎しみもあるが、それ以上に、こんな事…もう、これだけにしてくれ! 自分達で終わりにしてくれ!


 その魂達の願いがあった。


 ティリオが手を伸ばす。

「ぼく達は、アナタ達の願い、意思を受け取ったよ」


 ティリオが告げる頃、オルティアスはゴルティアスのコアである惑星サイズの巨大な水晶のコアに触れる。


 ゴルティアスの全ての力を、オルティアスは呑み込んだ。


 オルティアスとゴルティアスが融合していく。

 それと同時に、ゾロアス・リヴァイブ計画に使われた魂達が昇って、そこへ、数多の時空から神格達が飛翔していて、ゾロアス・リヴァイブ計画の犠牲となった魂達を抱きかかえて時空達へ還して行く。


 ゴルティアスとオルティアスは融合して、一柱のサルヴァード、宇宙王の力となる。

 黄金と紫金が融合したフォーミュラリオン(光輝双極機)へ。


 紫金と黄金の合わさった鎧の体に、黄金と紫水晶を備えた翼を広げるティリオ達のサルヴァード。


 それをディオス達が確認した。

 ディオスは溜息をして

「ああ…なってしまったか…」


 隣にいる充人が

「でも、いいじゃないか…戦う為のサルヴァードではない。そうだろう」


 ディオスは額のサードアイを開いてフォーミュラリオンを視る。

 ぶつかり戦う、解放する。

 ディオス達が持つサルヴァードの力ではない。

 力を注ぎ、解放して導く。

 神格の魂達の帰還を導くサルヴァードをティリオ達は編み出した。


 そこへ駆けつけたアヌビスと北斗も来る。


 アヌビスが

「ディオス、これが…ティリオ達の導きだした答えか」


 北斗が

「なるほど、破壊ではなく…ですか」


 充人が

「これがどんな先を進むか…」


 ディオスが

「でも、心配していない。ティリオは一人じゃあない」


 それに北斗とアヌビスに充人は微笑む。


 ◇◇◇◇◇


 ティリオ達が自分達のサルヴァード・フォーミュラリオンを完成させて、吸収されたアリアナ銀河をシュルメルム時空へ戻す。


 そして、惑星アリアドネ、スカイギアのあった巨大な穴の真ん中にエアリナの母、エリドナが入る黄金の石版が浮かんでいた。


 そこへティリオのゼウスリオンや、エアリナ達のマキナ達が駆けつけて回収する。


 近くにあった陸地へエリドナがいた黄金の石版を下ろして、ティリオ達が横にした黄金の石版の上に来て、ティリオがそのシステムを解除すると、エリドナがいたコアの紫水晶が開く。


 エリドナが目を覚まし

「ここは…」


「お母さん!」とエアリナが抱き付く。


 エリドナは少し困惑して

「ここが黄泉の国なんですね。なんて幸せな」


 ティリオが微笑み

「ここは、現実ですよ」


 エリドナが困惑で目を見開き

「ええ…じゃあ」


 ティリオ達、全員が微笑む。


 エリドナは微笑みの涙で、この場にいるティリオ、ジュリア、ナリル、アリル、グランナ、ファクド、レリス、ルビシャル、クロストと多くの少年少女達の顔を見て

「ありがとうございます」


 エアリナは嬉しくて母親エリドナに抱き付いたまま涙していた。


 その上に、ディオス達の時空戦艦達が降臨していく。


 全ては…無事に終わったのだ。



 ◇◇◇◇◇


 ゾディファル教団の中枢である全長三千キロの超弩級惑星戦艦の、とある格納庫。

 そこは百キロ近い巨大な格納庫で、その中に…スカイギアがあった。


 それを教皇マリアンナが内部の展望台から微笑み

「成功ですね」


 その後ろにいるホロイエル、クワイエルト、アクレイトが跪き

 ホロイエルが

「はい、お陰でサルヴァード・フォーミュラリオンのデータも入手できました」


 クワイエルトが

「そして、ゾロアスを構築する方法の完成度も…」


 アクレイトが

「アリアナ銀河へ向かった我々の目的が…全て成就され…」


 教皇マリアンナが微笑みながら

「あと、幾つかのピースを集めるに、姪っ子のエアリナ達には…がんばって貰わなければ…」


 ホロイエルが

「次こそは…」


 教皇マリアンナは手を合わせて祈り 

「全ては、我らのゾロアス()の為に」





 ◇◇◇◇◇


 スラッシャーが一人、ゾロアスがいる座へ向かう。

「ゾロアス!」

と、ゾロアスの座へ怒鳴り込む。


 そこには、アルファティヴァと一莵、ゼキスの三人と、それを前にして座にいるゾロアスがいた。


 スラッシャーがゾロアスを苛立ちで指さし

「テメェ! 何てモノをゾディファル教団に提供しやがって!」


 普段から笑っているゾロアスから笑みが消え、鋭い視線で一喝したスラッシャーを見る。


 その鬼迫にスラッシャーは、怒気が下がる。


 アルファティヴァが

「落ち着け。ゾロアスも我々も、あのオメガデウスを提供した憶えは一切ない」


 ゼキスが

「まさか…ガオス・カスパール…シンイラが…」


 一莵が

「いいや、連中は養殖された罪なんて欲しくない。確かにサタンヴァルデットを取り込むオメガデウスを作れるなら…シンイラしかないが…」


 スラッシャーが

「ちょっと待て、どういう事だ?」


 ゾロアスが

「我が愛するティリオ・グレンテルが…サルヴァードを手にしたのは喜ばしいが…だが…フォーミュラリオンというサルヴァードは、我が望んだ事ではない」


 アルファティヴァが

「まさか…アヌンナキ・ホモデウス共が…」


 ゾロアスは苛立つ笑みで

「かもしれん。我だけでは満足はしてない…という事だ」


 一莵が歩み

「オレは、ゾディファル教団の裏の繋がりを追ってみる」


 ゼキスが

「私も、それに近い技術が他の時空や宇宙にないか、調べてみる」


 スラッシャーが

「オレも、オレなりに…調べるわ」

と、三人が座から出て行く。


 ゾロアスとアルファティヴァだけになった座で、アルファティヴァが

「ゾロアス、私は…三人のバックアップに…」


 ゾロアスは頷き

「頼む」


 アルファティヴァが出て行った後、ゾロアスは天を仰ぎ

「神である私も、まだまだ…だな…」  

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次話を出すがんばりになります。

次回、エアリナの気持ち

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