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星光 第56話 全滅作戦 後編

次話を読んでいただきありがとうございます。

事態が混迷、そこにディオス達、超越存在の宇宙王達が…


 セイントセイバー部隊の宇宙国家戦艦セイントセイバーのブリッジでは、各時空の宇宙王達との通信が繋がって、多くの宇宙王達の通信の画面が並んでいた。


 その中央に聖帝ディオスが立ち、宇宙王達の通信画面を囲む。


 宇宙王の一人が

「このまま、サタンヴァルデットが解放された場合、シュルメルム時空だけではなく、周辺の時空までも大量虐殺が…」


 宇宙王達の通信画面の中に、封印に関わった北斗もいて

「ディオスさん。例の装備を使う時ではないでしょうか…」


 ディオスは例の装備と聞いて厳しい顔をする。


 宇宙王の一人が

「高次元上昇焼却砲…デウスバベルか?」


 アヌビスが

「確かに…それを使えば、サタンヴァルデットも…封印されている具現化した存在も、一気に殲滅する事が可能だろう」


 北斗が

「超越存在同士でお互いの時空のエネルギー不足を補い合うシステム、ウードゥ・ネットワークを構築した際に、その副産物である高次元のエネルギーを招来させる力を活用した、捕捉対象を殲滅する無距離無限無軌道砲台…デウスバベル」


 宇宙王の一人が

「よもや、使う事はないだろうと…思っていたシステムをこんな形で使うとは…」


 宇宙王の一人が

「我々には、それを起動させる権限がない。それを使う権限があるのが…」


 通信の宇宙王達が、アヌビスとディオスを見つめる。

 そのシステムを構築したのは、アヌビスとディオスだった。


 ディオスが口を閉じているとアヌビスが

「ワシが結論を告げる。それにディオスも従うな」


 ディオスは目を閉じて静かに頷いた。


 アヌビスが

「今回のサタンヴァルデットを消滅させる為に」


「待ってください!」と通信するブリッジにエアリナが入る。

 エアリナは無断で緊急会議の場に入り込む。

「願いです。母さんを…助けてください。その後なら」

と、願いを告げる。


 北斗が厳しい顔で

「残念だが、それはムリだ」


「どうして!」とエアリナが叫ぶ。


 北斗は冷静に言い聞かせるように

「現在、エヴォリューション・インパクトとなったアレは…」

と、ディオスを見る。

 何と命名すれば…良いか?の視線にディオスは、頭を掻いて

「アリアドネ、ミノタウロス…牛頭、馬頭、ゴーアシャヴァか…」


 北斗が

「そのゴーアシャヴァのコアは、キミの…封印の要になっている母親だ。もし、その母親を外せば…ゴーアシャヴァは、サタンヴァルデットへ変貌して、瞬時に」


「それでも、何とかする方法があるんでしょう!」

と、エアリナは食い下がる。


 アヌビスが

「時間が足りない。急ごしらえの結界、オメガデウスを…依り代としてサタンヴァルデットの更なる固着。それによる進化速度は、凄まじい。もっと早く、せめて一ヶ月前に…」


 ほかの宇宙王の一人が

「キミは、エアリナ・シュルメルムさんだったね。確かにキミの気持ちは理解できる。だが…早急に手を打たなければ…かつて、キミの時空で二百年前にあった悲劇より更にヒドい事が起こる」


 エアリナが涙して

「でも、でも…」

お母さんを助けたい!

 

 そんな願いも虚しく、北斗が

「ディオスさん、アヌビスさん、号令を…エアリナ・シュルメルムさん。残念だけど、超越存在でも、今回ばかりはムリだ」


 エアリナがその場に崩れ落ちる。


 ディオスが

「雷御、聞いているんだろう?」

と、アルシュの通信がある画面を見る。


 サタンヴァルデットの上位であるサタンヴァルデウスの雷御の通信が出て

「なんだ?」


 ディオスが

「シンイラで…この状態からの制御は?」


 雷御が首を横に振り

「ムリだ。ある程度の成長をしたサタンヴァルデットでなければ…」


 ディオスが「そうか…」と悲しげに告げる。


 エアリナがその場に崩れ座り「お母さん…」と涙する。


「待ってください」

と、ティリオが入ってきた。

「一つだけ方法があります」


 ザワザワと会議の場がざわめく。


 エアリナの隣に来たティリオが堂々と

「今回のエヴォリューション・インパクト・ゴーアシャヴァをトリガーにして、更なる超越存在への神化をすれば、彼女の、エアリナの母親も助けられて、取り込まれたアリアナ銀河も無事に戻ります」


 ええええええ! 

 と、会議に困惑が広がる。


 宇宙王の一人が

「そんな事が可能なのか?」


 ティリオが

「出来ます」


 ディオスがティリオを凝視して

「ま、まさか…ティリオ!」


 ティリオが自分を指さして

「ぼくが、そのトリガーを吸収して神化する超越存在になれば、問題ありません」


 通信の宇宙王達が驚きでティリオを見て、アヌビスと北斗が驚きを向けている。

 ディオスが

「ダメだ! それは理論的な話であって、成功するはずがない!」


 ティリオが父ディオスを見て

「ここで拒否しても、ぼくはやるよ」


 北斗が呆れつつ

「ティリオくん、理由は?」


 ティリオを見上げるエアリナをティリオが優しく肩を抱いて起こして

「彼女のお婿さんだからです。妻であるエアリナの願いを…お母様を助けたい! それだけです」


 ディオスが

「ダメだ! ダメだ! 絶対に」


「父さん!」とティリオが真剣にディオスを見つめて

「出来る。出来る事を出来るって言って何が悪いの?」


 ディオスは息子の覚悟を見てしまい黙ってしまう。


 アヌビスが考えつつ

「北斗くん。時間は?」


 北斗が遠くを見るように

「あと…24時間で封印が…」


 アヌビスが

「ティリオ、それだけ言うのだから」


 ティリオが

「これが計画書です」

と、ティリオは手を振り、データを会議の宇宙王達に転送して、アヌビスはそれを素早く読破する。


 アヌビスが

「ディオス、ティリオの計画書を拝見したが…準備には三時間程度で終わる。ならば…」


 北斗が

「最悪は、デウスバベルの使用を考慮して…」


 ディオスは頭を抱えて無言だ。


 アヌビスが

「ここで決議を取る。今すぐ、デウスバベルの殲滅を望むなら挙手を」


 誰も手を上げない。


 アヌビスが

「ティリオ・グレンテルの計画、ルーダヴァを試作して、失敗した場合にデウスバベルを使用するを望むなら挙手を」


 ディオス以外の宇宙王達が挙手した。


 アヌビスが

「と、いう事だ。ディオス…」


 ディオスが鋭い顔で

「息子が危険と判断した場合は…こちらの勝手にさせて貰いますからね」


 アヌビスが頷き

「構わん」


 こうして、緊急会議が終わり、エアリナがティリオに抱き付いて

「ありがとう…本当にありがとう」


 ティリオが抱き付くエアリナの肩に手を置いて

「いいさ。やれるだけの事はやろう」


 父ディオスが鋭い顔で

「ティリオ」


 ティリオが微笑み

「ごめん。父さん」


 父ディオスは項垂れてしまう。

 息子だけは、自分と違う救済の化身へ道を歩んで欲しくなった。


 

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次回、光の刃

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