星光 第55話 全滅作戦 前編
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衝撃の告白を母から聞いたエアリナ、そこへ…ゾディファル教団も現れ、ゾディファル教団のオメガデウスが…
降臨する黄金の機体オメガデウス、その周囲をテスタメントの機体達が周回する。
そのオメガデウスを操るのは…ゾディファル教団の教皇マリアンナで、マリアンナは惑星アリアドネの宇宙域に静止するゾディファル教団の巨大本拠地要塞戦艦から、遠隔でオメガデウスを操縦している。
エリドナが封印のコアとなっている黄金の石版の上に、マリアンナのオメガデウスが止まる。
エアリナが
「マリアンナ…おばさま…」
オメガデウスが波動を放って
「エアリナ…ここまでの道を開いてくれて、ありがとう」
スラッシャーが自身の機体アシェルを立ち直そうとすると、テスタメントの機体の一つホロイエルの機体がスラッシャーの機体アシェルの前に瞬間移動して
「裏切り者は、少し黙っていなさい」
と、空間を固着する波動でアシェルを止める。
スラッシャーが忌々しい顔で
「テメェ等! 分かっているのか!」
テスタメントのクワイエルトが
「分かっているとも」
ティリオの隣にいるエアリナが怯えるように、オメガデウスを見つめて
「マリアンナおばさま…」
ティリオは、そばにいるエアリナの肩を抱えて、ゼウスリオンの中へ入れる。
「ティリオ!」
と、エアリナが叫ぶ。
ティリオはエアリナを無理矢理に自分の膝の上にのせて、操縦席に座りハッチを閉めて、エアリナの機体マキナのリンクを繋げ
「エアリナ…すまない」
オメガデウスからマリアンナの声が放たれ
「エアリナの保護、感謝するわ。流石…聖帝のご子息ね」
オメガデウスの元へディオスの通信立体映像が近づき
「ええ…ゾディファル教団の宗主と見て間違いないか?」
オメガデウスと繋がるマリアンナが
「ええ…初めまして聖帝様…」
通信の聖帝ディオスが
「どういうおつもりなのか…そこには、このシュルメルム時空を危機に陥れる危険な存在があるのだが…」
オメガデウスに繋がるマリアンナが笑み
「我らゾディファル教団の目的は、神の復活…それだけですから、それの障害となる存在の排除をするまで…」
オメガデウスが背中に背負う黄金の翼を広げる。
その翼から無数の光を放出して、その光がエリドナの封印するサタンヴァルデットのコアを包み込む。
マリアンナが
「我が妹、エリドナ…今までありがとう。後は…私達がやって置きますので…」
黄金の石版のコアにいるエリドナが
「姉さん、ダメ! これを解放しては!」
マリアンナが
「解放ではありません。形を与えてあげるのですよ」
エリドナが封印するサタンヴァルデットのコアをオメガデウスが吸収していく。
黄金の天使型機体であるオメガデウスが漆黒に染まりつつサタンヴァルデットとコアと融合した。
テスタメント達は、直ぐに瞬間移動して消える。
その最中、ホロイエルが
「裏切り者のアオイ、アンタには何も救えない」
スラッシャーが
「うるせぇ! お前等も一緒だろうが!」
テスタメント達の機体が消えた後、不気味な漆黒の光を放つオメガデウスが
ヴォオオオオオオオオオオ!
雄叫びを上げる。
ティリオ達がいるスカイギアが動き出す。
同時に、その周囲にあったディスガード達が目を覚まして、一斉にスカイギアへ取り付く。
スカイギアが上昇していく。
スカイギアの中心で、上昇の慣性を感じるティリオ達、ファクドが
「ティリオ、何が起こっているのか? 分かるか」
ティリオが
「おそらくだけど、オメガデウスが封印してあったサタンヴァルデットを吸収して…このスカイギアを乗っ取り…」
グランナが
「乗っ取った後、どうなるんだ?」
ティリオが漆黒のオメガデウスを見つめて
「あのオメガデウスに仕組まれたコアの命令を実行しているんだと思う」
ルビシャルが
「何の命令を実行していると思う?」
ティリオが
「そこまでは…分からない」
エアリナが
「お母さん!」
エリドナが
「エアリナ…ごめんなさい。そして…逃げて、後は…聖帝様、お願いします」
と、通信の聖帝ディオスに呼びかける。
通信の聖帝ディオスは嫌な顔で無言だった。
ディオスの通信立体映像のドローンは、ティリオのゼウスリオンへ戻り、ゼウスリオンにいるティリオに
「逃げるぞ!」
ティリオは頷き
「行こう、こっちだ!」
エアリナが
「嫌! お母さん! お母さん!」
ティリオ達は、一斉に脱出を開始して、スラッシャーもそれに続き、スカイギアの外へ出ると、上昇していくスカイギアへ取り付こうとするディスガード達の中を進み、抜けたその先に
「ティリオーーーー」
迎えに来たジュリア、ナリル、アリルとみんなが駆けつけていた。
ティリオ達が合流して、ティリオが
「この惑星から脱出する!」
その一声と共に、全員が宇宙艦にマキナを収容して、一斉に惑星アリアドネから脱出する。
亜光速で脱兎するティリオ達の宇宙艦達、その後ろにはスカイギアが漆黒の光を放ち、その光が惑星アリアドネを包み込む。
脱出するティリオ達より先にゾディファル教団の艦隊が脱出している姿が、それをティリオ達も追いかけるように脱出していく。
ティリオが操縦する操縦席では、ティリオの膝の上にいるエアリナが
「お母さん、お母さん」
と涙する姿があった。
それをティリオは悔しくて噛みしめている。
惑星アリアドネは、スカイギアから放たれた漆黒の光に包まれ、惑星サイズの水晶になり、その頃には、アリアナ銀河を包んでいた特別な力は消えて、アリアナ銀河はシュルメルム時空に帰還していた。
シュルメルム時空に戻ったアリアナ銀河から、巨大な存在が出現する。
二十万光年サイズのアリアナ銀河を呑み込んで出現する巨大な存在。
漆黒の光輪を背負い、全身を鎧のようなデザインで構築された漆黒の鎧巨人。
ティリオ達は、惑星アリアドネから脱出して、セイントセイバー部隊の宇宙国家戦艦セイントセイバーに収容され、アリアナ銀河から遠く離れた場所へ空間転移して逃げていた。
ティリオ達は直ぐに、セイントセイバー号のメインブリッジに来て変貌したアリアナ銀河を見て
「なんて事だ…」
と、ティリオが驚きを告げて、ほかの仲間達は驚愕で無言だった。
メインブリッジにいるディオスが
「はぁ…こうなってしまった」
と、告げた次に、変貌したアリアナ銀河の周囲に幾つもの時空転移の光が灯った後、そこから二十万光年サイズの存在を封印する結界が広がって、変貌した惑星アリアドネを包み込んだ。
ええ…とティリオ達は驚きと困惑を見せた次に、メインブリッジの画面にアヌビスが現れて
「ディオス、北斗の力を借りて…急ごしらえの封印の結界は構築したが…」
ディオスが厳しい顔で
「もって三日でしょうね」
通信のアヌビスが頷き
「その通りだ」
エアリナがディオスに駆け寄り
「母さん、助けて貰えるんですよね」
別の通信画面にメガデウス時空にて、この封印を構築したメガデウス時空の北斗の顔が出て
「ディオスさん、早く決断するしかありませんよ。これを消滅させる算段を」
ディオスとアヌビスは無言だ。
エアリナが
「お願い、お願いします! お母さんを助けてーーーーーー」
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次回、全滅作戦 後編