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星光 第53話 母の御前

次話を読んでいただきありがとうございます。


エアリナの母がいるスカイギアに入るティリオ達、その内部には、人が進化を求めた結果の悪業が…


 全長百キロ級の超巨大建造物の内部にティリオ達が入っていく。

 十五メートルもあるマキナ達やバトロイドの機体達が何倍も小さくなるような大きな鋼の扉が開き、そこからスカイギアの内部へ入る。


 内部に入るとファクドが

「驚いた…内部は無重力にしてあるのか…」


 スラッシャーが

「その方が色々と都合が良かったのさ」


 内部に入ると、そこには膨大な数の人型の機体が並んでいた。

 上部から下部まで、無数のマキナサイズの人型の機体。


 グランナがそれを見て

「オレ等の技術のマキナと似ているなぁ…」


 人型機体は、ブロック単位の機械ではない、有機的な肉体と、それを繋ぐ機械で構築された生体サイボーグのようだ。


 スラッシャーが

「お前等が使っている機械的な人工筋肉の塊じゃあねぇ。これは…生物の情報を使った生体ベースの…巨人達だ」


 ルビシャルが

「生体ベースの巨人?」


 ティリオが鋭い顔で

「生体実験を繰り返していたのか…」


 ルビシャルが

「え? 生体実験って…」


 先を案内するエアリナが

「ここは、様々な生体遺伝情報を元に…完成された人類を作ろうとしていた区間らしいわ」


 レリスが目を細めて

「完成された人類…嫌な響きだ」


 千華が

「どこの時空でも、どこの場所でも、行き着く先は同じって事か…」


 紫苑が自分の胸に触れて

「私達の生体動力炉…」


 ティリオが

「生物は進化するように設計されている。それこそが生物としての証。その生物としての性に人の欲が重なれば…こういう結果になる。再現のない生体実験。そして…」


 ティリオ達の機体が更に奥の空間へ入る。そこには…吐き気がこみ上げる風景ばかりだ。


「う…」とルビシャルが口を押さえる。


 グランナが

「胸くそ悪い」


 そこの区間にあったのは、膨大な数で、膨大なサイズの生物と機械との融合が行われたバイオ水槽のケースが並び続いていた。

 苦悶の顔で、バイオ水槽のケースにいる生物達が機械回路や部品と融合途中の状態で保存されている。


 スラッシャーが

「お前達、憶えて置け。神の為と声高に言う連中がやった事を…」


 ファクドがとあるバイオ水槽のケースの前に来て

「これ、人の…」

 ファクドが見たそこには、肉塊の中心に人が埋まり、その周囲を機械や部品達が覆い形作る前の状態が収まっている。


 スラッシャーが

「無論、生産されるモルモットばかりじゃねぇ。人として修正不能な犯罪者や、人身売買によって提供された人も、ここで…使われたんだぜ」


 ルビシャルが

「そんなの犯罪でしょう! 間違っている!」


 スラッシャーが笑み

「その通りさ。そんなの百も承知よ。だが…その最悪が許された。オレ達は、前時代の惑星に閉じこもった時代よりかは、進歩した筈だったのに。何時までも大義名分っていう正義の棍棒を持って、人から搾取する。その事実がここにある」


 それを聞いてエアリナが俯いていると通信でティリオが

「エアリナ、気にするな。キミがやった事じゃあない」


 エアリナが

「それでも…ここであった事は…私達、ネオデウスの継承者が関係する事だから…」


 ティリオが

「確かに、エアリナの親達の世代は、加担したかもしれないが。子であるエアリナに、その罪過が降りかかる謂れは無い」


 スラッシャーが

「その通りだぜ。これは、エリドナやヴィルガメス達が知らなかった事だ。これを知ってヴィルガメス達は、猛反対して…この事実を…そして…」


 更なる奥地、青き結晶の塊であるスカイギアの巨大なコア部分が目の前に現れた。

 その大きさ十キロ級、小大陸くらいのコア部、それにエアリナが

「ここが…スカイギアの中枢、母さんがいる…」


 エアリナの前にある結晶の壁が波紋のように表面に電子回路模様を明滅させ

『よく、来てくれましたね。エアリナ』

と、声が、エリドナの声が放たれる。


 エアリナが

「母さん、迎えに来たよ」


 結晶の壁が開き

『さあ、入ってください。エアリナ…皆さん、お待ちしていました』


 エアリナ達が結晶の大扉を潜る。

 そこには…。


 全員が入ったそこから、動けなくなった。

 内部からの威圧でもない。このコア部の内部を見て驚愕して動けなくなった。


 ファクドが

「ウソだろう…」


 ルビシャルが

「最悪…」


 レリスはツラそうに目をそらせる。


 千華は顔を引きつらせて

「うわぁ…最悪だわ」

 紫苑が無言で目を閉じる。


 グランナが怒りに震えて

「なんなんだよ。これぇぇぇぇええ!」


 エアリナが

「そんな、こんな事って…」


 ティリオが怒りに震えて

「結局、これかよ…」


 ティリオ達が見た光景、それは十字の結晶の棺の中で、両手を広げて苦悶の顔をしている数多の人々の磔が広がっていた。

 磔になった全員が男性であり、十字架の結晶の中で、その全員が怒りや憎しみ、悲しみ、諦め、涙、非業の感情を伴った顔で結晶の十字架の中にいた。


 スラッシャーが淡々と

「これが…ゾロアス・リヴァイブ計画の中枢。総勢…十億人もの生け贄さ。もう…この結晶十字架にいる全員は、助からない。中枢に魂を吸われて、その魂の楔とする為に、結晶十字架に肉体を保管されている」


 ティリオが

「まさか…ここにいる全員は…」


 スラッシャーが

「ゾロアス・リヴァイブ計画に協力する殉教者じゃあない。ゾロアス・リヴァイブ計画の際に作られたレメゲトンに適合する人材を、宇宙の隅々から誘拐して…こういう事になったのさ」


 スラッシャーの機体が全員の目の前に来て

「言ったろう。これが大義名分ってヤツを声高に叫ぶ連中がやった事さ。人間は、正義ってだけで人殺しを平然とやるんだよ」


 スラッシャーの機体の後ろから暖かな波動が放たれて

『皆さん。ようこそ…神を求めた者達が起こした罪の場所へ』


 その波動が放たれる場所には、十五メートルほどの黄金の石版があり、その中心にある青い結晶の中に、エアリナと同じ、髪色のが赤から青と変わる女性、エアリナの母であるエリドナが入っていた。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次話を出すがんばりになります。

次回、スカイギアの真実

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