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星光 第52話 スカイギア

次話を読んでいただきありがとうございます。


惑星アリアドネ中枢へ向かうティリオ達、それにスラッシャーも同行して…


 ティリオ達九人とスラッシャーを含めた全員は、それぞれの機体に乗り、とある場所へ向かっていた。

 九つの機体が空を飛び向かう先は…空が七色に輝いている場所。

 この惑星アリアドネ中枢であるスカイギアが鎮座する座である。


 ティリオはゼウスリオンに乗って、向かう先を睨みつけているが…全身に鳥肌が。

 感じる。あそこには…ゾロアスの力が…。

 ゾロアスの力の気配を感じている。


 九つの機体の先頭を行くエアリナの機体、マキナ。

 その後ろ右にスラッシャーの青いマキナの機体アシェルがいる。


 エアリナが秘匿回線でスラッシャーに

「お久しぶりです。アオイ兄さん」


 スラッシャーがエアリナの映る立体映像を見つめて渋い顔をする。


 エアリナが続ける。

「疑問だったんです。シュルメルム宇宙工業学園のセキュリティは、この時空で最も強力なのに…簡単に侵入されてしまう。その理由は…」


 スラッシャーが

「それ以上は、喋るな。オレは…エンキドじゃあない。親父は…」


 エアリナが

「アオイさんのお父様、エンキドさんは…」


 スラッシャーがツラそうに目を閉じて

「死んだよ。だから、オレは…抜けた」


 エアリナが少し悲しげに

「何があったのか?は…聞きません。でも、私の父さんは…気付いていると思いますから」


 スラッシャーが鋭い顔で

「オレは、エンキドを継承したつもりはない」


 エアリナが「はい…」と静かに答えた。


 この通信を傍受していた者達がいた。

 ファクドである。

 ファクドの持つゴールドジェネシスの空間操作の力で秘匿回線を拾って暗号を解き、静かにエアリナとスラッシャーの会話を聞いていた。

 エアリナがスラッシャーの協力を得ようとしていた事から、エアリナとスラッシャーが知り合いのは予想できた。

 その予想の答えを求めて、エアリナが秘匿回線を使ってスラッシャーと話すだろうと当たりを付けていたら、その通りになった。

「さて…これを…」

 今、言うべきか…と迷っている。


 そこにティリオのゼウスリオンがファクドのマキナに近づく。

 ファクドがティリオに

「ティリオ…エアリナとスラッシャーの…」

と、匂わせるように通信で伝える。


 ティリオが平然と

「ああ…知り合いである可能性だろう。それがどうした? 今は…エアリナの母親を救出するのが先決だ。そういう話は、エアリナの口から後で聞けばいい。目的を忘れるな」


 ファクドはティリオの胆力に「ふぅ…」と驚きの溜息を漏らし

「そうだね。その通りだ。オレもそっちに専念するよ」


 ティリオが

「勿論、全員が生き残って帰るってのは当たり前だからな」


 ファクドが「そうだね」と答えた。

 ティリオの胆力と、一般である自分達の違いをファクドは感じるのであった。



 ティリオ達が進んだ先、突然に地面が銀色に染まった。

 グランナが機体のカメラから銀色の大地を見て

「うおぃ! これ…全部、ディスガードか?」


 銀色の大地を埋め尽くしているのは、丸まってうずくまるディスガード達の集合体だ。


 ルビシャルが機神の画面から

「こんな数、いくら…ダブルDSがあるからって…ムリよ」


 エアリナが

「大丈夫よ。みんな眠っていて起きないから」


 レリスが自分の機体の通信から

「その保障は?」


 エアリナが

「母さんの気配を感じるの」


 バトロイドの機体に乗る千華が

「確か…エアリナさんと母親であるエリドナさんは、同じ力の…」


 エアリナが頷き

「ええ…同じ性質の力を持っているわ」


 ティリオが

「つまり、大多数の点を操作する力を…」


 エアリナが

「ええ…母さんは、大多数の色んなシステムを統括的に動かす力を持っていたわ」


 バトロイドの機体にいる紫苑が

「ネオデウスの継承者の力…」


 エアリナが

「私も父さんも…そして…近しい人達の血族は、かつて…ゾロアスと並び立ったネオデウスなの」

と、告げて少しだけスラッシャーの機体アシェルをチラ見して

「ネオデウスを継承した系譜は、今でもあるわ」


 九人が乗る機体が七色の空を作り出す壁に到着した。


 九つの機体は、その地の果てまで覆い尽くす七色の壁の前に止まり、ティリオが

「エアリナ…ここから先は…」


 エアリナが機体マキナの右手を七色の壁に向けて

「大丈夫よ。私なら…」

 エアリナは、七色の壁にアクセスする。

 そして、幾つかの回路の統合をすると、七色の壁が左右に割れて開いた。

 その開いた先には、地の底まで空いた超巨大な穴、百キロ級の陥没と、その陥没に浮かぶ百キロ級の駒形建造物が浮かんでいた。


 ティリオがその百キロ級の建造物を見て

メルカバー(天の車)


 エアリナが

「二百年前は、そう呼ばれていたわ。でも、私達は…スカイギア(天の歯車)って呼んでいるわ」


 開かれたそこに、黄金の石碑型のゾロアス・エミュレーター達が近づく。

 それにティリオ達は警戒するが、エアリナが

「待って、構えないで」

と、みんなを静止させる。


 ティリオの開けた入口に集まったゾロアス・エミュレーター達が何度か明滅すると、エアリナがマキナ機体を前に出して近づく。


「エアリナ!」

と、ティリオが危険だ!と…


 エアリナは

「大丈夫よ」


 ゾロアス・エミュレーターがエアリナのマキナ機体の周囲を回った後、離れて行く。

 そして、興味を失ったかの如く、九つの機体のいる場所から離れて消えた。


 グランナが

「どういう原理なんだ?」

と、疑問を感じていると、エアリナが

「言ったでしょ。大丈夫だって」

と、エアリナはマキナの先をスカイギアへ向けて

「さあ、内部へ入るわよ」

 スカイギアの入口へ向かわせる。


 ティリオ達は、それに続く。

 エアリナとスラッシャー以外は、何となくだが…エアリナが導かれているのだろう…と気付いている。


 どうして、エアリナが導かれるのか?

 その疑問を考えるティリオには、嫌な予感しかない。


 ティリオ達九つの機体は、スカイギアの内部へ入った。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら

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次話を出すがんばりになります。

次回、母の御前

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